MTG │ 考察記事 │ 井川良彦【スタンダードローテションと今後の注目カード】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
もうすぐ『ブルームバロウ』が発売。それと同時にスタンダードがローテーションし、『イニストラード:真夜中の狩り』『イニストラード:真紅の契り』『神河:輝ける世界』『ニューカペナの街角』の4つのエキスパンションがスタンダード落ちすることとなります。
※MTG公式より引用
昨年にスタンダードのローテーション周期が2年→3年と変更した影響もあり、ローテーション自体が凄く久しぶりに感じますね。良くも悪くも上記4エキスパンションの影響は大きく、特に《策謀の予見者、ラフィーン》や《放浪皇》を出された回数は数え切れません。
※発売からずっとスタンダードを支配し続けた人たち
そこで今回の記事では、「ローテーションで落ちる有力カード」、そしてローテーション後に残る、「最近あまり使われていないけど今後注目のカード」をピックアップしていきたいと思います!
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★ローテーションで落ちる有力カードたち
■白
今回のローテーションにより最も打撃を受けるのが白。
《婚礼の発表》《放浪皇》という最強パッケージが落ちることにより戦略の変更を余儀なくされますね。正直見飽きていたので嬉しいです。
最近はあまり見なかったものの、一時はメタゲームの上位に位置した白系アグロも主戦力が脱落。《有望な信徒》→《スレイベンの守護者、サリア》→《輝かしい聖戦士、エーデリン》というパイオニア級の123がすべていなくなってしまいます。今後は既存のソルジャー軸か、もしくはブルームバロウでの新デッキに期待することになりそうです。
◎その他、スタンダード落ちする主なカードたち
《月皇の古参兵》
《粗暴な聖戦士》
《永岩城の修繕》
《痛烈な一撃》
《神聖なる憑依》
《夜明けの空、猗旺》
《告別》など
■青
青はなんといっても《記憶の氾濫》でしょう。様々なデッキで最高峰のドローソースとして活躍。フラッシュバックでプレイされたら「あぁ、負けたかな」と相手を絶望させるほどのパワーがこのカードにはありましたね。
前述の《放浪皇》との二段構えが特に強力で、最終盤の青白コントロールは歴代でも屈指のデッキパワーを誇りましたが、その両翼を失ったため今後のコントロールは構築時点でかなり苦戦が強いられるのではないでしょうか。
そしてカウンターしながら殴るデッキ、いわゆるクロック・パーミッション戦略を支えてくれていたこの2種類も今回でサヨナラです。
青白カラーであれば《喝破》がありますが、そうでないデッキは《機を見た干渉》や《妥当な疑惑》といったカードに手を伸ばすことになりそうです。
◎その他、スタンダード落ちする主なカードたち
《考慮》
《秘密を掘り下げる者》
《渦巻く霧の行進》
《帳簿裂き》
《心悪しき隠遁者》
《船砕きの怪物》など
■黒
黒は《大洞窟のコウモリ》《ヨーグモスの法務官、ギックス》《黙示録、シェオルドレッド》《最深の裏切り、アクロゾズ》《切り崩し》《喉首狙い》といった主力の大部分が残るので、ローテーションによるダメージは非常に小さいものとなっています。
一番影響が大きいのが《危難の道》《寄生性掌握》といった有力サイドボードたちでしょうか。高速アグロ系へのガードが一時的にかなり落ちることが予想されます。
特にこういったカードは落ちたことに気付かずデッキを組みがちなので、ローテーション直後は要注意です。
もはや記憶の片隅に追いやられていましたが、禁止カードになってしまったこの2枚は今回のローテーションで姿を消すことになります。
もっと使ってあげたかったような、早めに禁止になって嬉しかったような。。。
◎その他、スタンダード落ちする主なカードたち
《しつこい負け犬》
《墓地の侵入者》
《夜の棍棒使い》
《魂転移》
《不笑のソリン》
《墓所の冒涜者》など
■赤
1マナ域最高峰であり、「これからスタートできない赤単は二流」とまで言われた《熊野と渇苛斬の対峙》がついにスタンダードを去ります。個人的にかなり好きなカードだったので残念です。
また、赤単アグロにおいて中長期戦を戦う上で必須だった《血に飢えた敵対者》も同時にいなくなるため、かなりのパワーダウンが想定されます。
そして今のスタンダードで最も使われている赤いカードであろう《ヴォルダーレンの美食家》もローテーション落ちです。
この空いた枠を《ヨーティアの前線兵》で埋めるのか、それとも多色化して《遠眼鏡のセイレーン》に手を伸ばすのか。ボロス召集の今後が気になります。
◎その他、スタンダード落ちする主なカードたち
《火遊び》
《祖先の怒り》
《祭典壊し》
《無謀な嵐探し》
《大勝ち》
《轟く雷獣》など
■緑
緑単アグロが存在したのも今は昔。現状のスタンダードの緑はかなり肩身が狭く、ゴルガリミッドレンジ、ティムールアナリスト、ドメインランプとあるものの一部のカードを除きあまり使われていないのが現状です。
スタンダード落ちする中で最も使われている緑のカードの1枚は《装飾庭園を踏み歩くもの》ですが、こちらはすでに《古のヤギ角》という代替品もあり、そこまで痛手ではありません。
ティムールアナリストで使われている《樹海の幻想家、しげ樹》も、ティムールアナリスト自体の存続が危ぶまれている以上、そこまで気にする必要がなさそうです。
◎その他、スタンダード落ちする主なカードたち
《掘り返し》
《タミヨウの保管》
《麒麟の教え》
《見事な再生》
《産業のタイタン》など
■多色
冒頭で述べた圧倒的エース《策謀の予見者、ラフィーン》がついにスタンダードを卒業します!
ただ出すだけと思うなかれ。強力ではあるものの対象から捨てる能力まで非常に腕を問われるカードであり、それゆえに実力者が使うエスパーミッドレンジは無双。この2年半近く環境上位に居続けました。
また、徐々に頭角を表してきた《大スライム、スローグルク》も今回のローテーションで姿を消すことになります。こちらは後述する「魂力」土地も一緒に落ちるので、いい時期での引退と言えそうですね。
そしてこの2-3年で最も使われたであろう2マナクリーチャー、《税血の収穫者》がついにスタンダードを去ります。
正直リミテッドで使っていた頃はここまで強いとは思っていませんでした。《鏡割りの寓話》との凶悪な組み合わせはパイオニアでは今も健在です。
◎その他、スタンダード落ちする主なカードたち
《敬虔な新米、デニック》
《忘却の儀式》
《眼識の収集》
《樹海の自然主義者》
《漆月魁渡》
《敵対するもの、オブ・ニクシリス》
《死体鑑定士》
《結ばれた者、ハラナとアレイナ》
《暁冠の日向》など
■アーティファクト、土地
アーティファクトはこの2枚の影響が大きそうです。
どちらも優秀なサイドボードとして様々なフォーマット・デッキで使われてきた実績があります。
環境を語るうえでマナベースは欠かせない存在です。
3色タップインであり版図カウントとしても優秀だった各種ニューカペナトライオーム。
高速アグロ以外での採用率が非常に高かったスロウランド。
基本地形のほぼ上位互換として、そしてデッキによってはスペル換算としても使われた魂力土地。
スタンダード末期に見出されて《事件現場の分析者》を一気にトップメタへと押し上げたニューカペナフェッチ。
これら全てが一気にスタンダードから姿を消すことになります。
残る2色土地がファストランド、ダメージランド、ミシュラランド、諜報ランドとなるため、ミッドレンジ~コントロールよりもアグロ寄りのデッキが組みやすそうに見えますね。
◎その他、スタンダード落ちする主なカードたち
《失われし者のランタン》
《勢団の銀行破り》
《セレスタス》など
★最近あまり使われていないけど今後注目のカード
最後に、おまけとして「最近あまり使われていないけど今後注目のカード」をあげていきたいと思います。
前回のローテーション時は《夜明けの空、猗旺》をピックアップして大当たりしたこともあったので、今回も数撃ちゃ当たる戦法でザーッと紹介していきます。
新エキスパンション『ブルームバロウ』はマイナー種族推し。
ということで単体のスペックが高く、クリーチャータイプにも価値が出るとするとこの2枚の価値はグッと上がりそう!特に《下水王、駆け抜け侯》はライバルだった《墓地の侵入者》《婚礼の発表》がいなくなったのも嬉しいですね。
クリーチャータイプ繋がりでこちらもピックアップ。カワウソ果敢やネズミアグロができるなら活躍しそうです。安いうちに買おう!
前述の通り黒いミッドレンジのカードは大半がローテーション後も使えるため、ゴルガリやディミーアのようなミッドレンジが最初は流行ることが予想されます。
そこでこの《同化の神盾》の出番です。細かいクリーチャーを並べられる《婚礼の発表》こそなくなってしまいましたが、《最深の裏切り、アクロゾズ》や《黙示録、シェオルドレッド》といった強力なクリーチャーへのカウンターとしては最高峰。
《耐え抜くもの、母聖樹》が落ちたことによりエンチャント・アーティファクトの信頼性は上がりましたし、こういったアーティファクト・アグロで《喉首狙い》を嘲笑いながら戦うのが良いかもしれません。
《記憶の氾濫》の後継種が見つからない場合、コントロールは《豆の木をのぼれ》を生かしたバントコントロール、もしくは赤抜き4色の版図ランプにシフトしていく可能性が高そうです。
前者の場合は、過去にも実績のある《有角の湖鯨》の出番。低マナ域とフィニッシャーを兼ねる有力カードとして、再び日の目を見る可能性は十分にあります。
最後に、既にトップメタとして使われている=今回の趣旨と異なるけど、メタ的に強くなる可能性を考えてピックアップ。
《ヴォルダーレンの美食家》が使えなくなるのは痛いですが、《害獣駆除》擁するエスパーがいなくなり、ディミーアやゴルガリから《危難の道》を打たれなくなり、《一時的封鎖》を使う青白コントロールが弱体化するなら、今より相対的に強化されるのでは??
★おわりに
ということで、新セットレビューを行う前に「ローテーションで落ちる有力カード」と「最近あまり使われていないけど今後要注目のカード」特集をお届けしました。
皆さんのためもありますが、正直言うと自分のためのまとめでもありました。何が残って何が落ちるのか、こうやって見直さないと分からないですよね。
主にサイドボードで重宝していたこれらのカードはローテーション落ちするので、デッキ構築の際は気を付けてくださいね!MTGアリーナやMagic Onlineを介せば問題ないですが、机上で考えて紙で組むとこういうミスは頻発するので要注意です。
「落ちたカードに気付かずそのまま大会出た」なんて話は昔から無限にありますからね。
また《眼識の収集》《虚空裂き》《未認可霊柩車》は『サンダー・ジャンクションの無法者』の速報カードとして存在しますが、ローテーションに伴い使えなくなります。分かりづらすぎる!!
今後に目を向けると、まだカードリストに目を通してないのであまり大きいことは言えないですが、次期スタンダードは「ボロスorジェスカイ召集」vs「黒系ミッドレンジ」vs「《太陽降下》コントロール/ランプ」vs「新機軸のデッキ」といった構図になる気がします。3年スタンダードは既存ベースのデッキが強いですからね。
《婚礼の発表》《放浪皇》《策謀の予見者、ラフィーン》と戦い続けたのと同様に、今後は《大洞窟のコウモリ》《分派の説教者》《ヨーグモスの法務官、ギックス》《黙示録、シェオルドレッド》《最深の裏切り、アクロゾズ》擁する黒ミッドレンジと対峙することになるので、まずはこれらを倒せるかどうかスタートラインになるでしょうね。『ブルームバロウ』がどれだけやってくれるのか、今から楽しみです。
そんなところで今回はここまで。
次回は『ブルームバロウ』のレビュー記事です。お楽しみに!