MTG │ コラム │ 高橋優太【敗北との向き合い方】

真剣にやるなら、ゲームは勝負の世界です。何らかの形で、勝ちと負けが明確に示されます。
大会では勝者が華やかに取り沙汰されますが、勝者の裏には必ず敗者が存在します。


特に競技としてカードゲームをプレイしている方に取って、敗北が続いて苦しい瞬間は起こるでしょう。

例えばMTGで最高レベルのプロツアーを目指すとしたら、店舗予選、エリア予選、プレミアム予選、チャンピオンズカップと、複数の予選で上位に残り続けて、ようやく参加権利が獲得できます。
しかしこの参加権利を獲得できるのは、ピラミッドの形が示す通り、参加者全体の5%以下です。
数で言えば、勝者よりも敗者の方が圧倒的に多い!

予選に出ても結果を残せず、失意のまま帰り道に付く事もあるでしょう。

プロになる以前、僕は下積み期間が長かったので、プロツアーを目指して遠方の予選に出ては、0勝2敗や1勝2敗で即ドロップ(※大会を途中棄権)したことも、数えきれない程あります。
あと1勝でプロツアーの権利獲得!という所で、最後の試合に負けて悔しい思いをしたことも、何度も何度も何度もあります。

今回は、悔しい敗北との向き合い方についてです。

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①リラックスする

ポーカー用語で、ティルトという言葉があります。
ティルトとは、プレイヤーが合理的な判断ができなくなり、感情にかられた行動をとるようになってしまった状態を指します。

敗北した直後は特にそうですが、ティルト状態に陥っている状態では、冷静な判断や経験が得られません。僕も数えきれないほどティルトで失敗してきました。

ティルトの原因は「イライラ」や「モヤモヤ」で、このイライラやモヤモヤの原因として考えられるのは、自分の持っている感情がはっきりと理解できていない事です。

自分を別の視点から見るような感覚で、何が原因で負けたのか、頭をリセットしてから考える必要があります。一度休んで、自分の試合履歴などを振り返る時間が必要です。
大会中であったら、友人と会話をする事でリラックス状態に戻すのも良いでしょう。1人になる時間があるのなら、運動する事も思考の整理に役立ちます。

イライラやモヤモヤで追い詰められた状態よりも、リラックスしている状態の方が集中力を保ちやすく、新しい発想が生まれやすいです。
真の集中はリラックス状態にあり!

②言語化する

負けたのは運が悪かったのか?それとも自分のプレイが悪かったのか?デッキ構築が悪かったのか?

例えば1ターン目に《悲嘆》《フェイン・デス》コンボを2試合連続でされて負けたら、相手運良すぎ!となるかも知れません。
しかしあなたのデッキに《緻密》や《否定の力》が多く入っていたのなら、相手の1ターン目に《悲嘆》《フェイン・デス》に対して干渉できる可能性は増えるでしょう。デッキ構築の段階でも出来る事はあります。

別のケースとして、あなたの手札にある1枚の《致命的な一押し》が《稲妻》だったら本体3点で勝てる可能性があったかも知れません。(逆に《稲妻》が《致命的な一押し》だったらという場面も多く起こるのが、マジックのデッキ構築の面白さの一つです)

選択肢を間違えて、明らかなプレイミスで負ける事もあるでしょう。全ての試合で100%正しいプレイをする事は不可能!
重要なのは、ミスを次の教訓にする事と、ミスした原因を振り返る事、それとミスを過剰に気にしない事です。

負けた際に、運・プレイ・構築など、敗因を言葉にしてまとめる事で、自分にとって何か不満なのか、不足しているかを認識する機会が増えます。次に同じ負け方はしたくない!

言語化する事で自分が何に対してストレスを感じているのかも理解できるので、イライラやモヤモヤといった感情の軽減にも役立ちます。例え不運で負けたとしても、あなたの認識次第で実力を上げるチャンスに変わります!

頂への雪道》割れずに負けた?スタジアム足りて無くない?

③楽しむ

敗北が続くと楽しくないですし、楽しくないゲームを続けるのは辛い瞬間もあるでしょう。それでも好きで続けるために必要なのは、楽しめる環境を作ること。

例えば大会上位入賞や、プロツアー参加を目標にしたとして、目標が同じ友人たちと切磋琢磨する事で、お互いの意欲を高めて、競い合いながら成長する事が出来ます。
一緒に練習する友人が大会上位に入ると嬉しいですし、議論して新しいアイディアや知識が共有できます。

そして、自身の成長を自覚する機会がある事。
負け続けているけど原因がわからないと、それがイライラやモヤモヤの原因になります。少し行き詰ったのなら、他の人の配信を見たりして、自分との違いを比べてみるのも良いでしょう。

大会で勝ち越した、MTGアリーナのミシックランクまで上がったなど、少しでも上達を実感出来れば、それが次へのモチベーションにもつながります。
一旦行き詰ったら、統率者など他のフォーマットをやるのもアリです。普段やらないフォーマットからアイディアから生まれる事もあります。

■おわりに

プロツアーの権利が欲しくて海外の大会に遠征したのに、自信を持って行ったはずのオリジナルデッキで全く勝てず、あっさり初日落ち。僕にはこんな経験が山ほどあります。

ゲームを真剣にやればやるほど、何度も何度も敗北は訪れますし、自分の成長と言う壁にぶち当たる瞬間も多い。そして自分のレベルが上がる程、成長速度もどんどん遅くなって行くし、強豪プレイヤーは世界に沢山います。

それでもマジックを辞めずに続けてこれたのは、やはりこのゲームが本当に楽しかったからです。デッキ選択の失敗、0-2ドロップする予選、徐々に成長する自分、強敵との戦い、どれもが楽しかった!

敗北はとても辛いものですが、その先にある自身の成長の自覚は大きな感動があります。
敗北と向き合って、楽しんでゲームを続けてみて下さい。

「上達」をテーマにした過去の記事があるので、この記事が気に入った方はどうぞ

MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【マジック上達のための考え方】

それではまた。


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