MTG │ デッキ紹介│ 高橋優太【読めばわかる!パイオニアメタゲームまとめ】

先週に引き続き、パイオニア記事です。

各国の選手権やパイオニア神決定戦などの大会結果から、注目デッキを紹介していきます!

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■これまでのパイオニアメタゲームまとめ

まず前提として、パイオニアはラクドスミッドレンジと緑単信心の2つは使用者が特に多く、Tier1と呼べるデッキです。どちらも1マナスタートできて中盤から終盤まで粘り強く戦える、良いデッキ!

Tier1だからこそ、ラクドスミッドレンジや緑信心の両方に不利になるようなデッキは選びにくいとも言えます。どちらかには勝てるようにしたい所。

mtgmeta.ioから引用

6/3-6/4に開催された各国の選手権で、全体勝率1位だったのはラクドスサクリファイス、全体勝率2位はアゾリウススピリットでした。

ラクドスサクリファイスはクリーチャーデッキ全般に強く、特にタフネス1が多い相手には《波乱の悪魔》が盤面を一掃するので有利。緑単信心、ラクドスミッドレンジに対しても悪くない勝率です。

しかし5色《奇怪な具現》やアブザンパルへリオン、《不屈の独創力》コンボ、ロータスコンボなど、クリーチャー除去が効きにくいコンボ要素の強いデッキを苦手としています。(僕も先週末のパイオニア神決定戦でラクドスサクリファイスを使用しましたが、独創力とパルへリオンという少し不利な相手に負けてドロップでした)

アゾリウススピリットは、瞬速で打ち消し呪文を構えながら展開していくデッキなので、5色《奇怪な具現》やロータスコンボなど、特定のキーカードに頼ったコンボデッキに対して特に有利です。

その反面、序盤から猛攻をしかけてくるボロス召集や、タフネス1を殲滅するラクドスサクリファイスを苦手としています。

そしてカナダ地域選手権準優勝から、急激に増えたのがアゾリウスロータス。アゾリウスコントロールに《睡蓮の原野》のマナ加速要素を取り入れたことで、最速4ターン目《ドミナリアの英雄、テフェリー》から土地2枚アンタップで4マナ構えというスケール要素(早いターンに高マナ域を唱えていくことで有利を築くデッキ)があります。従来のアゾリウスコントロールでは不利だった、ラクドスミッドレンジへの耐性がアップ。

先週の記事でラクドスサクリファイス、アゾリウススピリット、アゾリウスロータスをそれぞれ紹介していますので、各デッキの詳細はこちら。

■参考情報

・パイオニア神挑戦者決定戦
・ヨーロッパ地域選手権
・台湾地域選手権参加者
・PIONEER SUPER QUALIFIER
・PIONEER CHALLENGE

6/10-6/11にもパイオニアの大会が目白押しでした。
その中から、特に注目しているデッキを紹介していきます。

■ボロス召集(ヨーロッパ地域選手権優勝)

ボロス召集(ヨーロッパ地域選手権優勝)
デッキリスト
1:《平地/Plains
4:《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge
4:《聖なる鋳造所/Sacred Foundry
1:《マナの合流点/Mana Confluence
2:《針縁の小道/Needleverge Pathway
4:《感動的な眺望所/Inspiring Vantage
2:《シェフェトの砂丘/Shefet Dunes
2:《バグベアの居住地/Den of the Bugbear
20 Lands


4:《羽ばたき飛行機械/Ornithopter
4:《イーオスの遍歴の騎士/Knight-Errant of Eos
4:《毅然たる援軍/Resolute Reinforcements
4:《ヴォルダーレンの美食家/Voldaren Epicure
4:《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon
3:《無謀な奇襲隊/Reckless Bushwhacker
4:《スレイベンの検査官/Thraben Inspector
3:《クラリオンのスピリット/Clarion Spirit
1:《威厳あるレオサウルス/Regal Leosaur
3:《巨人落とし/Giant Killer
34 creatures

2:《軍団の上陸/Legion’s Landing
4:《上機嫌の解体/Gleeful Demolition
6 other spells


1:《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring
3:《炉の小悪魔/Forge Devil
1:《真髄の針/Pithing Needle
3:《引き裂く流弾/Rending Volley
2:《希望の光/Laight of Hope
2:《婚礼の発表/Wedding Announcement
2:《ゴバカーンへの侵攻/Invasion of Gobakhan
1:《救済の波濤/Surge of Salvation
15 sideboard cards

早いターンからの展開で、相手の準備が整う前に押し切ることが多い、超速攻デッキです。

まず1ターン目はトークン展開の準備。《スレイベンの検査官》《ヴォルダーレンの美食家はどちらもアーティファクトを生成するので、自身のアーティファクトを対象にして《上機嫌の解体をプレイしてゴブリントークン3体を生成します。

1マナのカードが17枚入ったデッキなので《クラリオンのスピリット》は誘発させやすく、毎ターンスピリット・トークンを生成。

トークンを生成した後は、2種類の召集持ちによって盤面をより強固なものにしていきます。

どちらも最速2ターン目に召集可能で、先攻《敬慕されるロクソドン》なら盤面にパワー2体が5体と《敬慕されるロクソドン》で14点クロック!序盤に手札を多く使うデッキですが、《イーオスの遍歴の騎士のリソース供給により何度も大量展開を狙っていけます。

上機嫌の解体》後に召集クリーチャーをプレイすることが多く、ゴブリントークンでは赤マナ分の召集しか出来ないので、召集元として白いクリーチャーを優先して採用。《毅然たる援軍は、2マナでプレイしながら即召集の白マナ源になるので実質0マナのような動きをします。

召集以外にも、《無謀な奇襲隊》の速攻付与+全体強化で高打点を与えていきます。1枚だけ入っている《威厳あるレオサウルス》での変容は強烈で、パワー1が7体いれば一気に20点入る!

ボロス召集はデッキの大部分が1-2マナのカードなので、《一時的封鎖》を特に苦手としています。その破壊手段として《希望の光》がサイドボードに採用されています。
希望の光》は少し限定的なサイドボードではありますが、軽く動いていきたいこのデッキにとって1マナであることが大事。

炉の小悪魔》はスピリットや《ラノワールのエルフなどのタフネス1を焼きつつ、召集元として運用。

サイドボード後に全体除去を入れられることが多いデッキなので、軸をずらす目的で《ゴバカーンへの侵攻》《婚礼の発表は理にかなっています。アゾリウススピリットのサイドボードにも《ゴバカーンへの侵攻》《婚礼の発表》が採用されていましたし、除去デッキに対する対抗策として、今後一般的になっていきそうです。

■イゼットフェニックス(ヨーロッパ地域選手権3位)

イゼットフェニックス(ヨーロッパ地域選手権3位)
デッキリスト
2:《島/Island
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
4:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal
4:《蒸気孔/Steam Vents
2:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast
19 Lands


4:《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix
4:《デミリッチ/Demilich
8 creatures

4:《稲妻の斧/Lightning Axe
4:《考慮/Consider
4:《焦熱の衝動/Fiery Impulse
4:《宝船の巡航/Treasure Cruise
4:《選択/Opt
4:《イゼットの魔除け/Izzet Charm
4:《異世界の凝視/Otherworldly Gaze
4:《パズルの欠片/Pieces of the Puzzle
1:《棘平原の危険/Spikefield Hazard
33 other spells


2:《霊気の疾風/Aether Gust
3:《若き紅蓮術士/Young Pyromancer
2:《燃えがら地獄/Cinderclasm
2:《呪文貫き/Spell Pierce
2:《否認/Negate
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
1:《神秘の論争/Mystical Dispute
2:《削剥/Abrade
15 sideboard cards

これまでのイゼットフェニックスとは一線を画す、かなり墓地コンボ要素の強いデッキです。

異世界の凝視》でデッキを切削したり、《イゼットの魔除けで手札を入れ替えたり、《パズルの欠片》など、序盤は全力で墓地を増やしていきます。

異世界の凝視》や《イゼットの魔除けの2枚ドロー2枚ディスカードでは手札が減っていくので、そこを《宝船の巡航》の3枚ドローでカバー。

目指す方向は、デッキを切削して、1マナインスタント・ソーサリーを4回唱えて《デミリッチ》のコストを0にして、《弧光のフェニックス》2体、《デミリッチ2体のような一気に攻めて行ける盤面を作ること。

4-5ターン目にこの盤面を作られると、大抵のデッキは返すことが出来ません。《弧光のフェニックスも《デミリッチ》も墓地から戻ってくる能力なので、追放除去以外では根本的に対処不能。

1回《デミリッチ》が生き残ってターンが帰ってくれば、攻撃時の誘発型能力により《焦熱の衝動》《稲妻の斧を墓地から唱えて除去しながら殴れます。

なんと《稲妻の斧》が4枚フル採用!ドローを繰り返すデッキなので《黙示録、シェオルドレッドは絶対に倒す必要があり、なおかつ自分から手札を捨てることがメリットにもなるデッキなので4枚なのでしょう。
墓地対策が少ない時期なら、かなり勝率が高そうなデッキです。

ただこれだけ墓地に比重を置いたデッキだと、サイド後の《未認可霊柩車》《真っ白》《安らかなる眠りをどう乗り越えるかが課題になっていくでしょう。

■オパス独創力(パイオニア神決定戦トップ4)

オパス独創力(パイオニア神決定戦トップ4)
デッキリスト
2:《山/Mountain
2:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal
4:《シヴの浅瀬/Shivan Reef
4:《蒸気孔/Steam Vents
1:《変わり谷/Mutavault
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
1:《バグベアの居住地/Den of the Bugbear
1:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
3:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
1:《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance
24 Lands


4:《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk
4 creatures

1:《呪文貫き/Spell Pierce
3:《焦熱の衝動/Fiery Impulse
2:《棘平原の危険/Spikefield Hazard
1:《否認/Negate
3:《かき消し/Make Disappear
2:《削剥/Abrade
4:《厳しい授業/Stern Lesson
1:《プリズマリの命令/Prismari Command
2:《崇高な天啓/Sublime Epiphany
4:《マグマ・オパス/Magma Opus
4:《不屈の独創力/Indomitable Creativity
1:《兄弟仲の終焉/Brotherhood’s End
4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker
32 other spells


2:《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror
3:《引き裂く流弾/Rending Volley
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
2:《方程式の改変/Change the Equation
2:《多元宇宙の警告/Behold the Multiverse
1:《兄弟仲の終焉/Brotherhood’s End
1:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance
1:《イゼット副長、ラル/Ral, Izzet Viceroy
1:《希望の標、チャンドラ/Chandra, Hope’s Beacon
15 sideboard cards

コンボ要素を持つコントロールデッキです。

序盤は《焦熱の衝動》や《削剥》《かき消しで相手のカードを対処。
厳しい授業》《鏡割りの寓話》でアーティファクト・トークンによるマナ加速をしつつ、ドローを進めていきます。

宝物トークンやパワーストーントークンを生成したら、それを対象に《不屈の独創力》をプレイ。

デッキのクリーチャーやアーティファクトが《奔流の機械巨人》のみなので、確定サーチして来ます。誘発型能力により、墓地から《マグマ・オパス》をプレイし、盤面を除去しながら圧倒的なアドバンテージを稼いで行きます。

この《奔流の機械巨人》と非常に相性が良いのが《崇高な天啓で、《奔流の機械巨人》により墓地から唱えると、《奔流の機械巨人をコピーしながら残りのモードも選ぶことが出来ます。相手の呪文を打ち消しながら巨人が大量生産される光景は、実に脳に良い!

宝物トークンやパワーストーントークンにより、《奔流の機械巨人》は6マナでも通常プレイも問題なく行えます。除去や《厳しい授業》を唱えるのでも十分強く、《鏡割りの寓話の3章まで行けば《奔流の機械巨人》をコピーも可能。

黙示録、シェオルドレッド》がきついと感じるデッキなので、5点火力は何かしらあった方が良いかも。

■イゼットドレイク(PIONEER SUPER QUALIFIER2位)

イゼットドレイク(PIONEER SUPER QUALIFIER2位)
デッキリスト
4:《蒸気孔/Steam Vents
4:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
2:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast
2:《島/Island
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
19 Lands


4:《弾けるドレイク/Crackling Drake
4:《帳簿裂き/Ledger Shredder
8 creatures

4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker
4:《焦熱の衝動/Fiery Impulse
4:《選択/Opt
2:《雷猛竜の襲撃/Blitz of the Thunder-Raptor
2:《棘平原の危険/Spikefield Hazard
4:《考慮/Consider
1:《消えゆく希望/Fading Hope
4:《呪文貫き/Spell Pierce
1:《勝利の炎/Fires of Victory
1:《焙り焼き/Roast
4:《宝船の巡航/Treasure Cruise
2:《絞殺/Strangle
33 other spells


2:《高山の月/Alpine Moon
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
2:《霊気の疾風/Aether Gust
2:《神秘の論争/Mystical Dispute
3:《精神迷わせの秘本/Mazemind Tome
2:《削剥/Abrade
2:《兄弟仲の終焉/Brotherhood’s End
15 sideboard cards

ここ最近のマジックオンライン上の大会で、上位入賞が多いのがこのイゼットドレイク。見た目はイゼットフェニックスに似ていますが、実際は《弧光のフェニックス》が0枚。

パイオニアでも屈指のパワーカードである《宝船の巡航を強く使うことが、このデッキが台頭した背景として考えられます。

宝船の巡航》はとても強いのですが、《宝船の巡航》のために《パズルの欠片》《弧光のフェニックス》を入れると、どうしても墓地対策に弱くなってしまいます。《パズルの欠片が3ターン目に盤面に全く影響しないことも、パイオニアの速度感としては不安が残ります。

パズルの欠片》のようなシナジーで強くなるカードよりも、単体で強い《帳簿裂き》《鏡割りの寓話》を多く採用し、除去しながらカードを多く引いて、巨大な《弾けるドレイクでゲームを終わらせることを狙いとした、コントロールデッキです。

イゼット系デッキに共通する課題として、相手の《黙示録、シェオルドレッド》を効率良く除去できるかがあります。イゼット系はドローを繰り返す構成が多いので、《黙示録、シェオルドレッド》が残ったらそのまま負けるからです。

このデッキでは《黙示録、シェオルドレッド》を意識してか、5点火力が多め。《雷猛竜の襲撃》は追放除去なので、《老樹林のトロール》にも対処できるのが良いですね。

驚いたのが4枚の《呪文貫き》!長年マジックをプレイしていますが、《呪文貫き4枚はかなり尖ったデッキです。ただ1マナ+1マナ+1マナの最大マナ効率を目指す上で《呪文貫き》は必要で、《帳簿裂き》《鏡割りの寓話》で手札入れ替えも出来るので無駄にはならないという考えなのでしょう。

すごく好みのデッキなので、次回僕がパイオニアの大会に出るとしたらこのイゼットドレイクを使います。

■おわりに


ラクドスミッドレンジと緑単信心の2つのTier1に加えて、ラクドスサクリファイス、スピリット、アゾリウスロータスの台頭。

それに加えて各種イゼット系統が復活の兆しを見せており、パイオニアは多様なメタゲームで群雄割拠の環境と言えます。
ラクドスサクリファイスやスピリット、ボロス召集に効く事を考えると、今後は《食肉鉤虐殺事件が強くなっていきそうです。

チャンピオンズカップファイナルなどパイオニアの大会も続きますし、まだまだ目が離せない!千葉でどうメタゲームが動くかも楽しみです。

それではまた。


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