MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【今流行のモダンデッキ5選】
今回はモダン記事です。
直近のオンライン大会「MODERN SUPER QUALIFIER」の結果を元に、最新の環境を分析していきます。
この大会は上位2名にセットチャンピオンシップの権利が付与される大会で、参加者も競技プレイヤーが多く、ガチデッキが中心なので信頼が置ける情報です。
早速見ていきましょう。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
参考情報(公式サイト)
マジックオンラインの大会結果をチェックしたい方は、下記のURLをお気に入り登録すると便利です。
公式サイト
■青《死せる生/Living End》
青《死せる生/Living End》 | |
---|---|
デッキリスト | |
3:《植物の聖域/Botanical Sanctum》 2:《繁殖池/Breeding Pool》 1:《森/Forest》 1:《島/Island》 4:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 2:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 3:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》 2:《蒸気孔/Steam Vents》 1:《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》 19 lands 4:《意思切る者/Architects of Will》 |
3:《死せる生/Living End》 4:《否定の力/Force of Negation》 4:《暴力的な突発/Violent Outburst》 11 other spells 4:《忍耐/Endurance》 |
デッキの基本的な動きとしては、まずはサイクリングでドローを進めながら墓地にクリーチャーを増やしていきます。
そのため、ほとんどのクリーチャーはサイクリングするのみですが、《秘法の管理者》は4マナと手札から出してもそこそこ戦える性能なので、プレイすることも多いです。《波起こし》はサイクリングより1枚多く見ることができて、キーカードを探すのに使います。
サイクリングによって墓地にクリーチャーが溜まったら、2種類の続唱呪文をプレイ。デッキ内にコスト2以下のカードが《死せる生》しか入っていないため、確定で《死せる生》をプレイできます。
《死せる生》は全体除去の役割も持っているため、相手のクリーチャーを全て墓地に送りながら、自分の場は圧倒的な巨大クリーチャー達の群れになります。《死せる生》1枚で勝利できるようなデッキ構造です。
もちろん《死せる生》はメリットばかりではなく、続唱で《死せる生》を確定させるためには、デッキにコスト2以下のカードを採用できないというデメリットもあります。
そのため《悲嘆》《否定の力》を採用しており、どちらもコストが4と3なので続唱に引っかかることなく、0マナで相手に干渉することが出来ます。特に《悲嘆》は、想起により勝手に墓地に落ちるため、《死せる生》と相性抜群。手札に来てしまった《死せる生》を追放コストにもあてがえるなど、まさにこのデッキのために生まれてきたようなカード。
他にも妨害手段として採用されている《神秘の論争》《厚かましい借り手》は、《時を解す者、テフェリー》対策の側面も持っています。
テフェリーの常在型能力によりインスタントタイミングでのプレイが不可になるので、続唱からめくれる《死せる生》が唱えられません。デッキコンセプトが崩壊してしまう1枚なのです。
そのため、テフェリーを意識する意味でも、《神秘の論争》はかなり良いサイドカードです。
■青白コントロール
青白コントロール | |
---|---|
デッキリスト | |
1:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》 3:《ヴァントレス城/Castle Vantress》 1:《天界の列柱/Celestial Colonnade》 4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 2:《氷河の城砦/Glacial Fortress》 2:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》 4:《島/Island》 2:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 2:《秘教の門/Mystic Gate》 1:《平地/Plains》 1:《汚染された三角州/Polluted Delta》 1:《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》 1:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 25 lands 1:《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》 |
2:《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》 4:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》 4:《虹色の終焉/Prismatic Ending》 3:《至高の評決/Supreme Verdict》 4:《大魔導師の魔除け/Archmage’s Charm》 4:《対抗呪文/Counterspell》 2:《謎めいた命令/Cryptic Command》 2:《嘘か真か/Fact or Fiction》 2:《虚空の杯/Chalice of the Void》 4:《サメ台風/Shark Typhoon》 2:《広がりゆく海/Spreading Seas》 33 other spells 1:《天界の粛清/Celestial Purge》 |
《対抗呪文》を構えながら、相手のターン終了時に《嘘か真か》。クリーチャーを並べられたら《至高の評決》という、昔ながらの青白コントロールです。
使用者は殿堂顕彰者のGuillaume Wafo-Tapa。青系コントロールが強い環境では必ず上位入賞する歴戦の猛者です。彼はドローゴーするタイプのデッキが得意ですが、ドロースペルを沢山撃ってラスゴ(全体除去)を引かずニコニコ投了していく姿も有名です。
《死せる生》で記載した通り、《時を解す者、テフェリー》は続唱デッキが多い現在のモダン環境に非常に合致しています。青系コントロールを組むならまずはテフェリー4枚から!
今までモダンの主流な除去と言えば《流刑への道》でしたが、《虹色の終焉》はその認識を覆しました。
というのも、現在のモダンは《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》が多用される環境であり、1マナクリーチャーに《流刑への道》を撃つような状況は、カードアドバンテージ面でかなり損をするからです。
その点、《虹色の終焉》は1マナクリーチャーの返しの除去としては最高品質。クリーチャー以外も除去できる汎用性の高さがあり、これのために白を使う価値があるほど優秀な除去です。
そして《流刑への道》がすべて《虹色の終焉》に置き換わったことで、《虚空の杯》を採用できるようになった点も非常に重要です。《虚空の杯》をX=1で置いた後も、《虹色の終焉》はXの値を可変で選べるため、手札で腐ることがありません。(1マナクリーチャーを対象にするときに2マナを支払うだけで良いのです!)
《虚空の杯》もテフェリー同様に続唱デッキに強いカードで、X=0で置くことにより、相手の《死せる生》《衝撃の足音》を打ち消します。X=0、X=1と相手の呪文をシャットダウンする《虚空の杯》は、アーティファクトなので全てのデッキが使用でき、需要と価格も跳ね上がっていますね。
このデッキリストの特徴的な部分が、4枚投入された《サメ台風》です。普通なら《精神を刻む者、ジェイス》などを採用したくなる枠。
《サメ台風》は相手のプレインズウォーカーを攻撃で倒したり、《敏捷なこそ泥、ラガバン》と相打ちしたり、ドローゴーで一貫して《対抗呪文》を構えられるといった点が強みです。
サイドボードにも珍しい採用が多いので紹介していきます。
《ヴェクの聖別者》は最近増えてきたグリクシスラガバンや赤黒《死の影》対策として最上級。《死の飢えのタイタン、クロクサ》が墓地に落ちた際も追放できますし、《ドラゴンの怒りの媒介者》の昂揚も達成しにくくなります。
《即時却下》はウルザトロン対策。このリストは《廃墟の地》不採用なので、トロンをほぼ早いターンに揃えられます。そのため、プレイされるであろう《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《世界を壊すもの》を誘発型能力ごとまとめて打ち消してくれる《即時却下》は、優秀な対策カードです。
《オリークの誘惑》はかなり珍しいですが、相手の《時を解す者、テフェリー》《レンと六番》など、このデッキが苦手とするプレインズウォーカーを奪う目的で採用されています。
■ティムール続唱サイ
ティムール続唱サイ | |
---|---|
デッキリスト | |
1:《繁殖池/Breeding Pool》 1:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 1:《森/Forest》 3:《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》 2:《島/Island》 1:《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》 4:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 1:《山/Mountain》 4:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 1:《蒸気孔/Steam Vents》 1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 3:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》 23 lands 4:《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》 |
4:《衝撃の足音/Crashing Footfalls》 1:《海門修復/Sea Gate Restoration》 3:《死亡+退場/Dead+Gone》 4:《火+氷/Fire+Ice》 4:《否定の力/Force of Negation》 2:《プリズマリの命令/Prismari Command》 4:《暴力的な突発/Violent Outburst》 22 other spells 3:《血染めの月/Blood Moon》 |
デッキ全体をサイクリングに寄せる必要のある《死せる生》と異なり、《衝撃の足音》は唱えて殴るだけなので、2マナ以下のカードを採用できないという部分を除けば、他は比較的自由度が高いのがティムール続唱サイ。
2種類の続唱呪文から3ターン目に《衝撃の足音》を唱えて、打ち消しや除去でサイをバックアップし、速やかにライフを削ります。
スタンダードでおなじみの出来事クリーチャー《砕骨の巨人》《厚かましい借り手》はモダンでも実用レベル!3マナでありながら、2マナの呪文として使えるため、続唱と相性抜群です。
ただ、これだけだと2マナスタートになってしまうので、相手の先手《敏捷なこそ泥、ラガバン》に対抗するために、《死亡+退場》《激情》が採用されています。
《死亡+退場》はマナ総量が4なので続唱を阻害しない1マナ除去。《激情》は『モダンホライゾン2』発売直後は評価が低かったですが、環境が進むにつれて採用率も上がってきました。4点振り分けは序盤に2体除去することも多いですし、5マナでプレイしても3/3二段攻撃が頼もしいです。
■《不屈の独創力》コントロール
《不屈の独創力》コントロール | |
---|---|
デッキリスト | |
2:《乾燥台地/Arid Mesa》 3:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》 4:《ドワーフの鉱山/Dwarven Mine》 1:《島/Island》 1:《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》 1:《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》 2:《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》 4:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 2:《蒸気孔/Steam Vents》 1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 3:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》 24 lands 2:《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》 |
2:《先駆ける者、ナヒリ/Nahiri, the Harbinger》 4:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》 4:《レンと六番/Wrenn and Six》 4:《堅固な証拠/Hard Evidence》 4:《不屈の独創力/Indomitable Creativity》 4:《虹色の終焉/Prismatic Ending》 2:《異形化/Transmogrify》 4:《稲妻/Lightning Bolt》 1:《流刑への道/Path to Exile》 3:《プリズマリの命令/Prismari Command》 2:《差し戻し/Remand》 34 other spells 1:《流刑への道/Path to Exile》 |
デッキの動きは単純。まずはトークン生成。《堅固な証拠》でカニや手掛かり、《ドワーフの鉱山》でドワーフなど、トークンを生成します。
そして生成したトークンを対象に《不屈の独創力》《異形化》をプレイ。
デッキ内のクリーチャーは《引き裂かれし永劫、エムラクール》だけなので、確定でエムラクールが出ます。あとは攻撃→滅殺6→勝利!
《ドワーフの鉱山》は山なので、《沸騰する小湖》などのフェッチランドからサーチしてくることも可能。この《ドワーフの鉱山》のアンタップ条件のために、土地は山タイプを持つものが優先されています。
実質《不屈の独創力》《異形化》とフェッチランドだけでこのコンボは決まるので、再現性が非常に高いコンボとなっています。
また、エムラクールの副次効果として、墓地に落ちた時にライブラリーを修復するので、自然とライブラリーアウトデッキに耐性が付きます。最近は青黒ライブラリーアウトも増えており、普通のデッキでもサイドボードにエムラクールやコジレックなどを採用したリストを見かけますね。
《不屈の独創力》によりコンボの印象が強いですが、実際の性質はプレインズウォーカーを中心としたコントロールデッキです。
《レンと六番》はフェッチランドとサイクリング済みのトライオームを回収して手札を増やし、タフネス1クリーチャーへの牽制になります。《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ドラゴンの怒りの媒介者》が出てくる現環境では強力です。
既にこの記事で何度も名前の出てきている《時を解す者、テフェリー》は、このデッキでは更に強力です。相手のインスタントタイミングでの妨害を不可能にするため、《不屈の独創力》《異形化》で確実にトークンをエムラクールに変えることができます。【+1】で相手のターン終了時に《不屈の独創力》《異形化》を唱えることもできるので、奇襲性もアップ!
あまりモダンでは姿を見かけない《先駆ける者、ナヒリ》は、エンチャントを除去できる点が優秀で、【-2】で相手の《ウルザの物語》を追放します。【-8】でエムラクールが速攻アタックするので、ゲームを長引かせてナヒリを守ることがゴールにもなります。
これらのプレインズウォーカーを《稲妻》《虹色の終焉》や《差し戻し》で守りながらアドバンテージを得ていき、相手が手札を消耗したタイミングで《不屈の独創力》《異形化》を狙うのが、このデッキの主な勝ち筋です。
■ティムールミッドレンジ
ティムールミッドレンジ | |
---|---|
デッキリスト | |
1:《繁殖池/Breeding Pool》 1:《銅線の地溝/Copperline Gorge》 1:《森/Forest》 4:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 1:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》 2:《蒸気孔/Steam Vents》 3:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 4:《ウルザの物語/Urza’s Saga》 4:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》 21 lands 4:《ドラゴンの怒りの媒介者/Dragon’s Rage Channeler》 |
3:《レンと六番/Wrenn and Six》 4:《表現の反復/Expressive Iteration》 4:《火+氷/Fire+Ice》 4:《稲妻/Lightning Bolt》 4:《邪悪な熱気/Unholy Heat》 1:《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》 4:《ミシュラのガラクタ/Mishra’s Bauble》 1:《影槍/Shadowspear》 1:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》 1:《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》 27 other spells 2:《高山の月/Alpine Moon》 |
9位のデッキですが、好きなリストだったので軽く紹介します。
『モダンホライゾン2』で突出した性能である《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》と、その先輩にあたる《レンと六番》がタッグを組むこのデッキ。特に《レンと六番》は、前述したようにタフネス1環境で活躍するのはもちろん、このデッキでは《ウルザの物語》を使い回すことができます!
《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》《邪悪な熱気》という今のモダンを代表する赤セットに、《タルモゴイフ》《レンと六番》《表現の反復》を足した、強いカードを全部盛り込んだデッキで、僕もかなり好きなリストです。
最近は続唱デッキが流行しているので、《死せる生》《衝撃の足音》を1マナで打ち消せる《狼狽の嵐》の評価も上がっています。(2番目に紹介した青白コントロールのサイドボードにも3枚採用されています)
ちなみに《虚空の杯》がX=1で置いてあっても、《狼狽の嵐》のストームの部分は解決してくれます。
■おわりに
前回の記事では《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》が中心の環境になると書きましたが、今回紹介した大会結果ではどちらも採用枚数が少なく、全く予想外の展開でした!
この2つはあくまでフェアカードであり、2ターンキルや3ターンキルに寄与するわけではないので、対策が進めば十分攻略可能ということなのだと思います。メタゲームは健全に回っており、おそらく禁止されることもないと考えています。
最近のモダンは《死せる生》《衝撃の足音》といった2つの続唱デッキの上位入賞が目立っています。
モダンは広大なカードプールであり、一つのデッキが勝ち続けることは珍しいので、続唱に有利なタイプのデッキが今は狙い目かも知れません。《虚空の杯》《時を解す者、テフェリー》がキーになりそうです。
それではまた。