
MTG │ 攻略記事 │井川良彦【GP直前メタゲーム解説】
みなさんこんにちは。Rush Prosの井川(@WanderingOnes)です。
いよいよ明日からグランプリ・名古屋2019ですね!
今回はGP直前特集として、先週末に開催されたアリーナMCQの大会結果を元に上位メタのデッキとその特徴についてお届けしていきたいと思います。
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ミシックチャンピオンシップⅦ予選(MTGアリーナ)
今回のアリーナMCQは「Day1:10勝するか2敗するまで参加可能。7勝以上が2日目に進出」「Day2:6回戦で5勝するか3敗するまで参加可能。5勝以上したプレイヤーと、そのほか16人になるまで上位のプレイヤーが権利獲得」という、約15ラウンド以上にも及ぶ過酷な大会でした。
初日突破した102デッキの分布は以下の通り。
スゥルタイフード 36
シミックフード 22
バントフード 6
ゴルガリアドベンチャー 11
セレズニアアドベンチャー 1
グルールアグロ 6
ティムール再生 4
シミックフラッシュ 3
バントランプ 2
ジャンドアリストクラッツ 2
4色PWファイア 1
青白コントロール 1
エスパースタックス 1
グリクシスファイア 1
イゼットフラッシュ 1
ジェスカイファイア 1
マルドゥ騎士 1
ラクドスアリストクラッツ 1
ティムールフレンズ 1
そして見事権利を獲得した16デッキは以下の通り。
スゥルタイフード 6
シミックフード 2
ゴルガリアドベンチャー 2
バントランプ 2
ラクドスアリストクラッツ 1
ティムール再生 1
シミックフラッシュ 1
青白コントロール 1
従来のシミックフードに黒=《害悪な掌握/Noxious Grasp》をタッチしたスゥルタイフードが大会を席巻する結果になりました。
Day1突破者の半数以上、そして権利獲得者の半数が青緑系という異様な事態。《死者の原野/Field of the Dead》が禁止になったことにより、元々強かった青緑系の「フード」デッキがますます隆盛を極めることに!フードデッキ以外は様々なデッキが抜けてはいますが、10/16に《金のガチョウ/Gilded Goose》《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》が使われているのはまさにフード一強状態と言えるでしょう。
■スゥルタイフード
dav3m スゥルタイフード
「《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》が憎いなら《害悪な掌握/Noxious Grasp》を使えばいいじゃない」
そう言わんばかりに、色対策カードである《害悪な掌握/Noxious Grasp》をメインにフル投入し、ミラーマッチを対策した新型のフードデッキ、それが先週末に大活躍したスゥルタイフードです。
黒を追加したことにより《害悪な掌握/Noxious Grasp》だけでなく《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen》を採用できるようになり、《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》を対処しやすくなっています。
今週末はスゥルタイフードが一番人気だったことがほとんどのプレイヤーにとって想定通りだったようです。スゥルタイのミラーマッチではシミックフードのミラーマッチと異なり互いが互いのプレインズウォーカーを《害悪な掌握/Noxious Grasp》しあうためロングゲームになりやすく、そのため《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》《呪われた狩人、ガラク/Garruk, Cursed Huntsman》のような重く、より太いプレインズウォーカーが活躍するようになったのです。特に《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》は色対策として採用されている《害悪な掌握/Noxious Grasp》《霊気の疾風/Aether Gust》のどちらも当たらないため、メタゲームにマッチしたプレインズウォーカーとして再評価されています。GP名古屋でスゥルタイフードを使う予定の方は、このカードをどう対処するか、よく考える必要があるでしょう。
また、今回好成績だったスゥルタイフードの特徴として、《虐殺少女/Massacre Girl》の採用が挙げられます。元々シミックフードは横並びを苦手としていましたが、押されている盤面をこのカード1枚で大逆転できるようになりました。《虐殺少女/Massacre Girl》でリセット→その4/4威迫という戦闘能力でプレインズウォーカーを倒すというシーンも多々。アドベンチャー系への対策カードとして、今週末もよく使われるであろう1枚です。
■シミックフード
Sorquixe シミックフード
純正シミックフードは今大会2番人気。権利を獲得したリストはどちらも《厚かましい借り手/Brazen Borrower》が多めに採用されているのが特徴です。
2マナの確定除去である《害悪な掌握/Noxious Grasp》や重量級PWである《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》などを採用してコントロール寄り、ロングゲーム重視になったスゥルタイフードとは真逆の方向で、シミックフードはよりシャープに、テンポ重視にデッキがシフトしてきているのがわかります。
八十岡 翔太 シミックフード
アリーナMCQ直後となる今週に行われているMagic Pro League・PEARL DIVISIONでは、八十岡 翔太選手がよりテンポ重視のシミックフードを使用しています。《霊気の疾風/Aether Gust》《厚かましい借り手/Brazen Borrower》という2種類の2マナの妨害を駆使してテンポを稼ぎ、先手後手をひっくり返したり先手のマウントを取ることを主眼において構築されているのがよくわかりますね。
■ゴルガリアドベンチャー
Chris Kavartech ゴルガリアドベンチャー
フード系の対抗馬筆頭はゴルガリアドベンチャー。ミシックチャンピオンシップⅢ(ロンドン)でトップ8入賞し、前回のアリーナMCであるミシックチャンピオンシップⅤ(ロングビーチ)にも予選を突破して参加している注目のプレイヤー、Chris Kavartech。
Kavartecは今回も独自の調整を加えたゴルガリアドベンチャーで権利を獲得しています。
シミックフードを使うプレイヤーの多くが《害悪な掌握/Noxious Grasp》を加えてスゥルタイフードに移行したことを見据えて、《害悪な掌握/Noxious Grasp》でテンポを取られやすい《探索する獣/Questing Beast》《アーク弓のレインジャー、ビビアン/Vivien, Arkbow Ranger》《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》といった従来採用されていたアグレッシブな緑のクリーチャー/プレインズウォーカーをすべて廃し、《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen》《虐殺少女/Massacre Girl》といった中長期的な戦略を組み込んでいます。
またスゥルタイフードと同様に、ゴルガリアドベンチャーも《害悪な掌握/Noxious Grasp》をメインに4枚採用しています。もはやこれがこのスタンダードの基本。《金のガチョウ/Gilded Goose》《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》デッキが幅を利かせており、ミラーマッチやグルールなどにも腐らない《害悪な掌握/Noxious Grasp》は、黒いデッキであればメインに入れ得ということです。
■青白コントロール
edmvyrus 青白コントロール
そして今大会で最も注目を集めたデッキが、この青白コントロールです。《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》が灯争大戦で発売されて以来めっきり見なくなっていた《吸収/Absorb》が4枚、さらには歩《天才のひらめき/Stroke of Genius》こと《老いたる者、ガドウィック/Gadwick, the Wizened》の採用など、随所に個性を感じるリストです。
《老いたる者、ガドウィック/Gadwick, the Wizened》は使って分かるその強さ。普段《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》のドローの強さに感動している人がこのカードを使ったら昇天してしまうかもしれません。《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》で4枚引くには10マナ(X=8)必要ですが、《老いたる者、ガドウィック/Gadwick, the Wizened》ならたったの7マナ(X=4)!!
インクの染みのようについているタップ能力も実はかなりのいぶし銀で、特に《厚かましい借り手/Brazen Borrower》との相性がバツグン。《時の一掃/Time Wipe》までの時間を大いに稼いだ上に、最終的には《時の一掃/Time Wipe》で自身が手札に戻るという噛み合いっぷりです。
《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》全盛の今、プレインズウォーカー対策のカードは欠かせません。そこでこの青白コントロールでは《牢獄領域/Prison Realm》をメインに複数枚採用しています。《害悪な掌握/Noxious Grasp》と異なり《夏の帳/Veil of Summer》されないところが特に優れています。《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》を追放している場合や、既に追放しているプレインズウォーカーを出されたときに《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》でバウンスして再利用する小テクがあるので、青白コントロールを使う方は頭に入れておくと良いでしょう。
■おまけ:GP名古屋に出る方へ
GP名古屋を翌日に控え、デッキリストの残り数枚やサイドボーディングに頭を悩ます方も多いでしょう。そこで僕から上記の4デッキを使う方に簡単なアドバイスです。
スゥルタイフードを使う方へ
間違いなくGP名古屋の最大勢力です。《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》が最近のトレンドなので、出されたあとにどう対処するか/戦うかをよく考えると良いでしょう。特にメインは《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》に全く触れないリストも多いので、《残忍な騎士/Murderous Rider》《戦争の犠牲/Casualties of War》《集団強制/Mass Manipulation》といったカードを1-2枚だけでも採用しておくとミラーマッチで差が出るかもしれません。
シミックフードを使う方へ
シミックフードにはスゥルタイフードと異なり《害悪な掌握/Noxious Grasp》のような確実な除去が無いため、基本的にフード系ミラーマッチではアドバンテージよりもテンポを意識して2-3ターン後のアクションまで見据えてアクションする必要があります。サイドボードをしすぎて自分のデッキの動きを損ねないように気をつけましょう。
ゴルガリアドベンチャーを使う方へ
《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper》を出すタイミングがとても重要なデッキです。初手にあるからといって毎回1-2ターン目に出すことが正解とは限らないので、自分の手札、相手のアクションなどに合わせて考えると勝率が上がるはずです。特にフード系デッキと対戦するときは、相手の《意地悪な狼/Wicked Wolf》をどうケアするか、いつ出させるかが鍵となります。
青白コントロールを使う方へ
メインはフード系に対して有利に戦えますが、《夏の帳/Veil of Summer》、《否認/Negate》、《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》などといったカードで最適化されるサイドボード後は基本的に苦戦することとなります。《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》さえ定着すれば有利にゲームを進めることができるようになるので、《厚かましい借り手/Brazen Borrower》や《霊気の疾風/Aether Gust》を駆使して、どうすれば《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》が生きている状態で自分のターンが帰ってくるのかを考えてプレイすると良いでしょう。
今回の記事は以上となります。
個人的にはGP名古屋、MCリッチモンドと連戦になるので、今年一年間の集大成としてベストを尽くせるよう頑張りたいと思っています。名古屋で対戦する方は、どうぞよろしくお願いします!
それでは、また次回の記事で!