MTG │ デッキ紹介 │ 井川良彦【スタンダードで活躍する非黒デッキたち】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
『団結のドミナリア』がアリーナで使用可能になってから約1ヶ月。今週末から始まるチャンピオンシップ予選サイクル2に向けて、黒いデッキだらけのメタゲームに頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はそんな逆境に立ち向かう、「非黒」で活躍しているデッキたちを紹介したいと思います!
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
★ルーンが死すともエンチャントは死せず!
昨期スタンダードでのナヤルーンの活躍はまだ記憶に新しいでしょう。各種ルーンを《ルーン鍛えの勇者》で軽く唱えて盤面を作りつつ、《スカルドの決戦》で長期戦もできるという、一見オールイン系のアグロに見えてかなりオールレンジで戦える、完成度の高いデッキでした。
そのナヤルーンで使われていた《樹海の自然主義者》。
ルーン一式が落ちてしまいコイツもお役御免かと思われましたが、まだまだ可能性が残っているようです!
ナヤエンチャント By HODORTIMEBABY(スタンダードチャレンジ:11位)
【インポートデータ】
ルーン無き今、エンチャントデッキのキーカードはもちろんコチラ。
一旦盤面に定着すれば圧倒的な盤面生成力を持つこのカード。ナヤルーン時代はメインに少し入るか、もしくはサイドボードという扱いでしたが、今回はこちらを主軸に据えてデッキ構築されています!
黒全盛の今、半端な枚数のエンチャントは《絶望招来》の餌食となってしまうところですが、このデッキは実に22枚ものエンチャントが搭載されているので大丈夫。滅多なことがない限りは《神聖なる憑依》が《絶望招来》を喰らう、なんてことにはならないでしょう。
このデッキの強みは、なんといっても3マナ域の厚さ!
優秀な3マナ域をこれでもかと採用できる上に、もちろんこれらは全てエンチャント。序盤~中盤戦を支えつつ、デッキの主役である《神聖なる憑依》へとキレイに繋げてくれます。
《神聖なる憑依》を使う=エンチャントをダンプしたいので手札の補充も欠かせません。そこで採用されたのがこのかなり珍しいインスタント。
先に紹介した3マナ域のエンチャントたちはマナを払わずにクリーチャーが出てくるターンがあるため、《調和の儀式》を打つにもピッタリ。《神聖なる憑依》と《樹海の自然主義者》を出した状態で《調和の儀式》→軽いエンチャント連打&クリーチャー生成で大量ドロー!!!なんて展開もあり得ます。
とにかく横並べするこのデッキ。《食肉鉤虐殺事件》がガンにはなりますが、黒いデッキのミラーマッチを見据えて《食肉鉤虐殺事件》自体の枚数も少し減少傾向にあるため、その間隙を縫って戦うのには最適かもしれませんね。
全体除去を食らっても《神聖なる憑依》さえあればリカバリーは可能なので、《調和の儀式》のフラッシュバックなども合わせて粘り強く戦いましょう!
★純正コントロール、お前生きていたのか!?
何度も言いますが、基本的には今のスタンダードは黒が主役。エスパー・グリクシスが最も多く、次に黒単やジャンドが続くという状態。
これらはどれも一般的に「ミッドレンジ」と呼ばれるものなので、これに勝つには「コントロール」を使えばいいと言いたいところですが、今のカードプールはそれを許してくれません。
これらがメインやサイドに搭載されており、さらには現代特有の「出すだけで有利」な軽くて強いパーマネント。さらには上位メタがエスパー・グリクシスと青と黒が入ったデッキであるためカウンターもありと、純正コントロールで勝つのは非常に難しいのが現状です。
そんなコントロール逆風の中、立ち向かう漢を発見しました!
ジェスカイコントロール By LUKASDUSEK(スタンダードチャレンジ:2位)
【インポートデータ】
スタンダード最強プレインズウォーカーと名高い《放浪皇》に加えて、《日没を遅らせる者、テフェリー》まで採用!スタンダード最強のドローソース《勢団の銀行破り》ももちろん4枚!
カウンターこそ《否認》2枚しか入っていませんが、大量の除去で構成された最新版のジェスカイ・コントロールです!
ローテーション後は久しく見ていなかった《溺神の信奉者、リーア》。《墓地の侵入者》やサイド後の《未認可霊柩車》に掃除されてしまうのが玉に瑕ではありますが、それでも後半の制圧力は抜群。イゼット天啓時代からお馴染み、《消えゆく希望》で自身を守る動きは、確定除去の少ない相手からすると絶望以外の何者でもありません。
《削剥》や《邪悪を打ち砕く》のようなモード選択呪文も、《溺神の信奉者、リーア》のような再利用できるカードと相性良いですね。「序盤は除去で使いつつ《勢団の銀行破り》破壊として打ち直す」「《鏡割りの寓話》を打ち砕きつつ、《黙示録、シェオルドレッド》も打ち砕く」など、今の盤面に合わせてプレイしつつ、後から対処できるのは非常に嬉しいところ。
このデッキを成立させているのが『団結のドミナリア』で新加入した全体除去。クリーチャーおよびプレインズウォーカー全てに5点ダメージというのが環境にマッチしており、《鏡割りの寓話》のような「面」、《黙示録、シェオルドレッド》などの「点」、《放浪皇》をはじめとした「プレインズウォーカー」と、角度の異なる環境上位のカードたちをまとめて流すことが可能です。
《家の焼き払い》と基本的なスペック(5マナで全体5点ダメージ)は同じですが、キッカーにより最大2つのパーマネントをフェイズアウトさせて守ることができるのが特徴。特にこのデッキのように攻め手が細いデッキだとそのバリューが高く、《溺神の信奉者、リーア》や《放浪皇》など大事なパーマネントを守りつつ敵軍だけ殲滅できることの強さを実感できます。
サイドに見慣れないカードが採用されているので一応ご紹介。正直名前を見てもテキストが分からず、両面ともに読み直しました。
僕自身が使ったことがないので予想になりますが、これは黒系デッキ対策かなと。
《冥府の掌握》こそ当たりますが《ヴェールのリリアナ》《絶望招来》《強迫》をまとめてシャットアウトできるので、これを《否認》で守るだけで有利な状態を築けるということなのでしょう。「《溺神の信奉者、リーア》に《冥府の掌握》を使わせたあとにコレ出して勝ち!」みたいな流れを想定しているのではないでしょうか。デッキ非公開制であるMagic Onlineの大会ですので、サイド後に《食肉鉤虐殺事件》が残っていることもまずないでしょうしね。
こういったこれまで日の目を見なかったカードが使われているのも、新スタンダードならではの魅力ですね。
★今こそカウンターで戦え!令和のフェアリーがこれだ!
その昔、青黒フェアリーは4マナ構えてターンを返し、《謎めいた命令》《霧縛りの徒党》という「究極の2択」を相手に突きつけたものでした。
動けばカウンターにハマり、動かずに戦闘に入ったりエンドにいくと4/4飛行瞬速+《枯渇》に蹂躙される。《苦花》から始まり4ターン目にその動きをされると非常にストレスフル、逆に言うと使う側からすれば至高の喜びでもありました。
そんな「究極の2択」を再現しようとしているのがこちらのデッキ!
アゾリウステンポ By ROCARDITO(スタンダードチャレンジ:8位)
【インポートデータ】
戦闘に入れば《放浪皇》、呪文を唱えれば《過充電縫合体》。これぞまさに令和のフェアリー!!!!
《放浪皇》の「4マナ立ててゴー」はそれだけだと分かりやすいアクションですが、《過充電縫合体》に加えて《記憶の氾濫》なども採用されており、こういう風に他の4マナの選択肢があると、相手からすれば途端にやり辛くなります。
マジックは不完全情報ゲームなので、「いかに相手にケアさせるか」「裏目を引かせるか」も重要な要素です。フェアリーやローグといったクロックパーミッションはそういった強みを有しておりましたが、こちらのデッキもその系譜といえるでしょう。
4マナ域の2択だけでなくクリーチャー陣は瞬速で統一されており、《婚礼の発表》《勢団の銀行破り》といったスタンダード屈指のパワーカード以外は、常に構えることを中心にデッキが構築されています。非常に好感が持てますね。
2色土地として採用されているのは、なんと1点ゲインのタップインランド。同じタップインであるトライオーム(《スパーラの本部》《ラフィーンの塔》)よりも優先して採用されています!デッキが比較的細いクロックパーミッションなので、サイクリングでの1ドローよりも1点のライフでダメージレースを差し切ることを意識したのでしょうか。
実は先程紹介したジェスカイコントロールでも《ジェトミアの庭》よりも優先して《風に削られた岩山》が採用されており、ダメージランドでライフが減る分、その補填としてもライフ1点の価値をかなり重くみているようです。
正直僕は現段階ではこれに少し懐疑的で、少なくともこのアゾリウステンポでは、サイクリングによりマナフラッドを受けられて、かつデッキを擬態しやすい《ラフィーンの塔》に統一すべきだとは思っています。(ジェスカイコントロールの方はゲイン土地でも良さそうです)
ですが「タップインランドならサイクリングランド!」という固定観念に捕らわれず、自分のデッキに合っていると思うカードを選択するというのは非常に良い試みです。こういう柔軟な発想を忘れないようにしたいものですね。
■おわりに
先に述べました通り、10月からはついにスタンダードシーズンです。黒いデッキが多いし実際勝っているというのが現状ではありますが、今回紹介したようにまだまだ新しい可能性は残されています。
今回は紹介しませんでしたが、《産業のタイタン》を廃して《聖域の番人》《夜明けの空、猗旺》に寄せた《報復招来》デッキなんかも好成績を残していたりします。
今環境になってから使われ始めた《夜明けの空、猗旺》のように、これまでの実績がなくても環境にマッチしたカードをぜひ探してみてください!そういうカードを見つけて活用できたら、きっとライバルたちに差をつけることができるでしょう。
相手と同系統のデッキを使って微調整やプレイスキルの差で勝負するのも良いですが、全く違うデッキでの勝負もまた楽しいものです。自分にあったスタイルでスタンダードを楽しんでもらえればなと思います。
それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!