MTG | スタンダードデッキ解説 | 井川良彦【白黒吸血鬼】

皆さんこんにちは!新たにRushProsに加入した井川 良彦(@WanderingOnes)です。

今回は初めての記事ということで、今週末に迫ったアリーナMCQに向けてスタンダードの記事をお届けします。

GP千葉後に現環境に触れてから僕はずっと白黒吸血鬼を使っているので、MTGAでミシックランクに到達したデッキリストをベースに、カード選択の理由や強みを解説していきたいと思います。

・目次
■白黒吸血鬼とは
■除去の選択について
■まとめ

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■白黒吸血鬼とは

吸血鬼クリーチャー自体は【イクサラン】【イクサランの相克】の2セットで出そろっていましたが、吸血鬼デッキが日の目を浴びることはありませんでした。

当時はラムナプ・レッドやティムールエネルギー、またその後は赤黒機体など軽量除去とマウント力に優れたビートダウンやミッドレンジが流行っており、半端なクリーチャーでは太刀打ちできなかったのです。

【カラデシュ】ブロックがローテーション落ちし【ラヴニカのギルド】が発売されてからも、デッキパワーや安定性が他のメタデッキに比べて一段落ちるため吸血鬼がメタに食い込んでくることはありませんでした。

ここ半年以内で目立った成果を上げたのは、ミシックチャンピオンシップ・クリーブランドでJoe Soh選手が使った「マルドゥ吸血鬼」だけと言っても過言ではないでしょう。

デッキリスト : ジョー・ソー 「マルドゥ吸血鬼」

ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 (7-3)

2 《平地/Plains
1 《沼/Swamp
4 《神無き祭殿/Godless Shrine
4 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry
2 《血の墓所/Blood Crypt
4 《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel
4 《手付かずの領土/Unclaimed Territory
-土地(21)-

4 《薄暮まといの空渡り/Duskborne Skymarcher
4 《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant
4 《敵意ある征服者/Vicious Conquistador
4 《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot
4 《軍団の副官/Legion Lieutenant
4 《災いの歌姫、ジュディス/Judith, the Scourge Diva
2 《薄暮の使徒、マーブレン・フェイン/Mavren Fein, Dusk Apostle
4 《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon
-クリーチャー(30)-

1 《喪心/Cast Down
1 《不敗の陣形/Unbreakable Formation
4 《軍団の上陸/Legion’s Landing
3 《議事会の裁き/Conclave Tribunal
-呪文(9)-

4 《強迫/Duress
3 《薄暮の勇者/Champion of Dusk
3 《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer
2《喪心/Cast Down
1 《沼/Swamp
1 《屈辱/Mortify
1 《イクサランの束縛/Ixalan’s Binding
-サイドボード(15)-


不遇の時代が続いた吸血鬼でしたが、【基本セット2020】で登場した1枚のカード=《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》がそんな状況を一変させました。

元々1-2マナ域のクリーチャー自体は白単アグロと肩を並べるほど強く、ブン回りの打点だけは環境屈指だった吸血鬼。そこに”忠誠度能力が3つとも強い3マナプレインズウォーカー”という奇跡のようなカードが加わったことにより、デッキの地力が大幅にアップしました!

サンプルデッキ

引用元URL :https://www.mtggoldfish.com/deck/2164565#paper

1マナクリーチャー14枚、2マナクリーチャー8枚を《聖域探究者/Sanctum Seeker》と《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》、軽量除去でバックアップ。

さらに3T《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》⇒「-3」能力で《薄暮の勇者/Champion of Dusk》というブン回りもある。まさに”速さと持久力を兼ね備えたビートダウン”として一気にトップメタにまで踊り出たのです。

■除去の選択について

さて、ここからは僕が先日ミシックランクに到達したときのリストを基に、吸血鬼における除去の選択について解説していきたいと思います。

参考デッキリスト


7 《平地/Plains
7 《沼/Swamp
4 《神無き祭殿/Godless Shrine
4 《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel
-土地(22)-

3 《薄暮まといの空渡り/Duskborne Skymarcher
4 《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant
3 《敵意ある征服者/Vicious Conquistador
4 《アダントの先兵/Adanto Vanguard
4 《軍団の副官/Legion Lieutenant
2 《聖域探究者/Sanctum Seeker
4 《薄暮の勇者/Champion of Dusk
1 《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan
-クリーチャー(25)-

4 《軍団の上陸/Legion’s Landing
3 《軍団の最期/Legion’s End
1 《屈辱/Mortify
1 《牢獄領域/Prison Realm
4 《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord
-呪文(13)-

4 《強迫/Duress
3 《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade
2 《リリアナの勝利/Liliana’s Triumph
2 《害悪な掌握/Noxious Grasp
2 《灯の燼滅/Despark
1 《軍団の最期/Legion’s End
1 《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan
-サイドボード(15)-

◎《軍団の最期/Legion’s End

2マナ以下のクリーチャーにしかプレイできませんが、吸血鬼・スケープシフトがトップメタである今、スタンダード最強除去の一角です。

ミラーマッチではこれで1:2交換をするとそれだけで圧倒的に有利になりますし、後手のときに《アダントの先兵/Adanto Vanguard》を捌くのに最良のカードといえます。基本的にクリーチャーと《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》だけの手札をキープしたいデッキではありますが、1枚なら初手にあっても許せます。

このカードは従来の《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》《残響する衰微/Echoing Decay》などと違ってプレイでケアできない(引いてしまったら戦場でも手札でも損する)のが特徴。サイドボード後はお互いこのカードが3-4枚になることを考えると、そもそもサイドボーディング段階でケアして“同じカードを引かないように全部を少しずつ減らす”といった工夫が必要になります。

スケープシフト戦においては、中盤の《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》に使うか、後半の《死者の原野/Field of the Dead》のゾンビトークンに使うかしっかり考えてからプレイすること。ライフを詰めることが最重要となるマッチなので、時には《樹上の草食獣/Arboreal Grazer》に打ってゴリ押すことも大事です。

◎《喪心/Cast Down

よく2枚程度採用されている《喪心/Cast Down》ですが、僕はこのカードの採用をメイン/サイドともに見送りました。

最も効果的なジャンド恐竜をほとんど見なくなった点、また《軍団の最期/Legion’s End》と異なり相手の《アダントの先兵/Adanto Vanguard》やゾンビトークンを捌けない上に、完全な無駄牌になる相手が一定数存在する(スケープシフト、エスパーコントロールなど)点もその理由として挙げられます。

そして何よりも“《喪心/Cast Down》で倒せないクリーチャーが増えてきた”という要素が大きいです。




スケープシフトは比較的デッキの自由度が高いため様々なリストが試行錯誤されており、その過程でこういった“伝説のクリーチャー”を見る機会が増えてきたのです。《冒涜されたもの、ヤロク/Yarok, the Desecrated》《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》はどちらも3/5というサイズで盤面を止めてくるだけでなく、少しでも放置すると相手に無尽蔵なアドバンテージを与えてしまいます。

また、吸血鬼同士のミラーマッチで《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan》が強いことが周知の事実となり、今ではメイン・サイド合わせて2枚程度は採用されているケースが多いです。

軍団の最期/Legion’s End》を減らすことはできない以上、残りの除去枠を《喪心/Cast Down》ではなくこれらのレジェンドを対処できるカードにしよう、というのは比較的分かりやすい思考過程でしょう。

◎《屈辱/Mortify》《牢獄領域/Prison Realm


喪心/Cast Down》が抜けた枠に、僕はこれらのカードを1:1でスプリットして採用しています。どちらも《喪心/Cast Down》と違い確定除去でありほぼすべてのクリーチャーに対処できますが、それぞれ少しだけ強い相手が異なります。

屈辱/Mortify》はシミックネクサス(《荒野の再生/Wilderness Reclamation》)、赤単(《実験の狂乱/Experimental Frenzy》)に対して効果的です。インスタントタイミングでプレイできるので、《拘留代理人/Deputy of Detention》を対処する際もスムーズです。

牢獄領域/Prison Realm》はミラーマッチ(《アダントの先兵/Adanto Vanguard》《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》)やエスパー系(《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》など)に強く、また《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》も後腐れなく対処できます。

他には《夏の帳/Veil of Summer》を無視して《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》や《拘留代理人/Deputy of Detention》を対処できるのも地味に嬉しいですね。

簡単にまとめると、

・《屈辱/Mortify

吸血鬼:△
スケープシフト:△
エスパー系:×
赤単:○
シミックネクサス:○
バントランプ:△

 

・《牢獄領域/Prison Realm

吸血鬼:○
スケープシフト:△
エスパー系:△
赤単:△
シミックネクサス:△ (タミヨウには触れるので×ではない)
バントランプ:○

———————–
○:効果的
△:プレイはできる
×:全く効かない
———————–

といったところでしょうか。

この2枚は「3マナの確定除去」でほぼ互角の性能だと思っており、どちらも対戦相手によって裏目があるので今は1:1にしています。こういう除去の散らし方は僕の構築の特徴かもしれません(少しミッドレンジ/コントロール寄りの発想)。

もし明確にメタを絞れるようならば、どちらか2枚に寄せると良いでしょう。

◎《議事会の裁き/Conclave Tribunal

牢獄領域/Prison Realm》が強いならいっそのこと白単同様に《議事会の裁き/Conclave Tribunal》でもいいのでは?と考えて少し使ってみましたが、白単ほどはクリーチャーが軽くない&並ばないので「展開+除去」という展開になりづらく、思ったより使いづらかったため採用を見送り。

ただし万能さはNo.1なので、エンチャントとプレインズウォーカー両方に触りたい相手=赤単が増えるならこちらも視野に入れます。

◎《リリアナの勝利/Liliana’s Triumph


あまり見かけないカードですが、これは《贖いし者、フェザー/Feather, the Redeemed》デッキとミラーマッチを意識してサイドに採用しました。

対フェザーは吸血鬼側の除去が少ないため、メインボードは《贖いし者、フェザー/Feather, the Redeemed》《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》からの《無謀な怒り/Reckless Rage》でゲームを落とすことが少なくないです。そのため、少しサイドボード後に意識を上げる必要があります。

強迫/Duress》で《神々の思し召し/Gods Willing》を、除去で要所を落として除去に強い《アダントの先兵/Adanto Vanguard》や《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade》で殴り勝つのがサイド後のプランとなりますが、《強迫/Duress》を引けなくても《リリアナの勝利/Liliana’s Triumph》なら安心です。ビバ生け贄。

ミラーマッチでも《アダントの先兵/Adanto Vanguard》や《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan》といった比較的触りづらいクリーチャーを対処できるので(脇のクリーチャーは適当に相打ちしたり除去打ったりしましょう)、比較的裏目の少ない除去として機能します。

◎《敬虔な命令/Devout Decree

対象が狭くあまり強くないカードだと個人的に思っているので、赤単をかなり意識しない限りは採用したくないなーということで《敬虔な命令/Devout Decree》は採用を見送っています。

無頼な扇動者、ティボルト/Tibalt, Rakish Instigator》に触れるのは嬉しいのですが、《実験の狂乱/Experimental Frenzy》に触れないため劇的ではないなという印象。《天界の粛清/Celestial Purge》が欲しかった…。

■まとめ

赤単が増えてきたり、エスパーがメインに《軍団の最期/Legion’s End》を採用しはじめていたりと「メタられる側」になってきた白黒吸血鬼ですが、それはトップメタの常。デッキパワーが高い証左ともいえます。

今回紹介したカード以外にも、プレイヤーにも打てるため腐りづらい《ケイヤの誓い/Oath of Kaya》がメインボードに入っているリストがあったり、サイドボードに《疫病牝馬/Plague Mare》が使われはじめたり、軽さ重視で《見栄え損ない/Disfigure》が使用されていたりと、その選択はかなり千差万別。

白黒吸血鬼はデッキのベースが強い分、自由枠が少ないため、その数枚が明暗を分けやすいデッキです。メタをうまく読み切り、時流にあったベストな構築ができれば、きっと好成績を残せるでしょう!

それでは、また次回。

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