MTG │ デッキ解説 │ 高橋優太【MMM優勝「ディミーア眼魔」解説&モダンの禁止改訂について】
先週末は、BIG MAGICさん主催の大会MMMに参加しました。
MMM Final / Dimir Oculus
○Belcher
○Broodscale
○Jeskai Energy
×Boros Energy
○Boros Energy
○Jeskai Energy
ID○Esper Goryo
○Jeskai Control
○Boros Energy優勝🏆 pic.twitter.com/FdqsmLNGPv
— Yuta Takahashi (@Vendilion) December 14, 2024
結果は優勝!!!
使用したディミーア眼魔の解説と、モダンを揺るがす大規模な禁止改定について解説して行きます。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
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■ディミーア眼魔
MMM Final 2024 優勝 by 高橋優太 |
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デッキリスト | |
2:《島/Island》 1:《沼/Swamp》 2:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 4:《汚染された三角州/Polluted Delta》 2:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 2:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》 2:《地底街の下水道/Undercity Sewers》 2:《湿った墓/Watery Grave》 2:《闇滑りの岸/Darkslick Shores》 19 lands 4:《超能力蛙/Psychic Frog》 |
4:《考慮/Consider》 4:《思考掃き/Thought Scour》 3:《呪文嵌め/Spell Snare》 2:《呪文貫き/Spell Pierce》 4:《発掘/Unearth》 4:《致命的な一押し/Fatal Push》 2:《鋼と油の夢/Dreams of Steel and Oil》 3:《対抗呪文/Counterspell》 4:《否定の力/Force of Negation》 30 other spells 4:《記憶への放逐/Consign to Memory》 |
墓地を増やすカードを多用して《忌まわしき眼魔》《濁浪の執政》《超能力蛙》の定着を狙い、打ち消し呪文でバックアップしながら攻撃していくデッキです。
《忌まわしき眼魔》は追加コストの墓地6枚が難しいものの、一度出れば戦慄予示で強固な盤面を作り、戦慄予示で2枚目の《忌まわしき眼魔》を表返したらゲームに勝つ性能です!
《超能力蛙》は単体の強さはもちろんのこと、手札から《忌まわしき眼魔》を捨てる事で《発掘》出来るようになり、《発掘》なら墓地6枚の追加コストを支払うことなく1マナで《忌まわしき眼魔》を戦場に戻します。《超能力蛙》《忌まわしき眼魔》も除去必須のクリーチャーなので、これらを除去された後に《発掘》で戻して行く動きが強い!
マジックオンラインのリストでは《濁浪の執政》の枚数が減少傾向にありました。マナ総量7なので《発掘》で戻せないのと、《忌まわしき眼魔》と合わせて墓地要求枚数が多すぎる事が理由です。
僕も最初は《濁浪の執政》0枚《墓地の侵入者》入りで試したのですが、どうしても《墓地の侵入者》のカード性能が低く、3マナでプレイするのも《発掘》で戻すのもモダンレベルとは言い難い。相手の《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放したい気持ちはわかりますが、クロックが低いしエネルギー相手に地上の3/3の価値が低い!
《濁浪の執政》は《思考掃き》とフェッチランド経由で最速2ターン目に6/6飛行で出す事が出来ますし、《忌まわしき眼魔》《超能力蛙》の墓地を追放する能力と組み合わせて10/10以上のサイズにもなります!エネルギーに勝つには巨大な飛行クリーチャーが必須で、8/8飛行+打ち消し呪文で早く勝つのが実現しやすい《濁浪の執政》は多めに採用しました。
墓地を増やすカード。
《思考掃き》は一気に3枚墓地が増えるので確定で4枚採用。《考慮》は3枚の人もいますが、このデッキは常に墓地枚数が欲しいので安定性を高めるために4枚。
それとフェッチランドは多めの10枚!
2ターン目に《濁浪の執政》を出す動きは、《思考掃き》とフェッチランド2枚で墓地を5枚貯める必要があります。3ターン目に《忌まわしき眼魔》を出すのにもフェッチランドは複数回必要。
フェッチランドから《地底街の下水道》で諜報する事で墓地2枚ぶんになりますし、このデッキのフェッチランドは常に2枚以上引きたいと考えたので、多めの10枚にしました。フェッチランド10枚に対してサーチする土地は7枚ですが、サーチする土地が枯れる展開は少ない印象です。
墓地の増えない《闇滑りの岸》の枚数は悩みましたが、エネルギー相手にライフを高水準で保つためには、ライフ支払いのない2色土地が少量必要だと感じたので2枚に。
《朦朧への没入》も何度も試しましたが、単色土地なので黒マナの枚数に不安が出ること、土地として3点が痛く、呪文として3マナが重いことから中途半端なカードだと感じて抜けました。
《考慮》や《思考掃き》を構えてターン終了するデッキなので、自然と1マナの打ち消し呪文が構えられます。
エネルギー中心の環境なら《呪文嵌め》の刺さりが良い!僕はかなり《呪文嵌め》が好きなので4枚も試したのですが、4枚だと相手に1マナ連打された際などに手札で浮きやすく、複数の《呪文嵌め》が手札で腐るのが敗因にもなるので3が適正と考えています。
環境は《一つの指輪》が中心なため、それを打ち消せる《呪文貫き》や《否定の力》が必要です。特にこのデッキはクリーチャーの展開で2マナ以上使うので、返しのターンに致命的なカードを通さないように《否定の力》の枚数を優先しています。現代のモダンはかなり高速化しており、その高速化に対応するためには《否定の力》4枚が必要です。レガシーの《意志の力》と同じポジションになってきました。
《対抗呪文》が真に強いタイミングは、相手の3マナ以上のカードを打ち消してマナ効率の良い交換をしたときです。
エネルギー中心の高速環境だと、1マナクリーチャー連打に対して《対抗呪文》は後れを取りやすく、2マナで1枚しか墓地が溜まらない事から《忌まわしき眼魔》《濁浪の執政》を出すターンも遅れます。
考え方としては、序盤に1マナ呪文を連打して墓地を増やしてから《忌まわしき眼魔》《濁浪の執政》、その後相手の反撃を封じるための《対抗呪文》と《否定の力》。
《対抗呪文》よりも1マナのカードを優先したくて、《対抗呪文》が3枚になりました。
《鋼と油の夢》は相手の《一つの指輪》やクリーチャーを手札破壊しつつ、墓地追放効果が《火の怒りのタイタン、フレージ》に効きます。しかし枚数を多く引きすぎると腐る展開もあり、《鋼と油の夢》が効きにくいデッキもあるので、2枚くらいが適正。
最近はタフネス1のクリーチャーの使用率が減り《オークの弓使い》がサイド行きに。タフネス1が多い相手や、お互いにマナを構えあう青対決のゲームでは依然として強いです。
墓地対策は《外科的摘出》なども試しましたが、ドローにつながり全て追放の《虚無の呪文爆弾》が結局一番強い!たまに自分の墓地を全て追放して《濁浪の執政》のサイズを上げる事があります。
打ち消せずに通ってしまった《一つの指輪》や《ゴブリンの放火砲》、各種墓地対策に対して《真髄の針》。
《濁浪の執政》を使う都合でサイドボードもインスタント・ソーサリーを優先したいですが、《真髄の針》が特別で、1枚あるとサイド後のゲームがやりやすくなります。
今回の禁止改定の影響を全く受けず、コンボデッキに対して有利なデッキなので、今後もディミーア眼魔は使われて行くと予想しています。
■禁止改定
そして、モダンを揺るがす大きな変更が行われました!
各カードについて解説して行きます。詳細は公式サイトをどうぞ。(公式記事)
《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》《湧き出る源、ジェガンサ》が禁止に。
《一つの指輪》は強すぎて禁止は妥当で、誰も驚かないでしょう。今後はレガシーでドローして行きましょう。
エネルギー最強を抑止するために何かしら禁止されるとは思いましたが、僕は《魂の導き手》かなと予想していました。《色めき立つ猛竜》は他のパーツに比べてアンコモンなので禁止もしやすかったのかなと。
《湧き出る源、ジェガンサ》はとても意外でした。イコリア発売直後の、相棒の3マナを払わずにプレイ出来ていた頃は《夢の巣のルールス》《空を放浪するもの、ヨーリオン》の存在感が強く、ジェガンサはそこまで目立っていませんでした。結局この3枚ともモダンで禁止になった事を考えると、ゲーム開始時から手札が1枚増える相棒ルールがいかに強すぎたかがわかります。
今回の禁止解除で最も影響がありそうなのは《オパールのモックス》でしょう。0マナから1マナに増えるのはあまりにも強い!
再びアーティファクト中心のデッキが活躍しそうですが、《溶融》や《空の怒り》といったアーティファクト対策もあるので、メタゲームが回って行きそう。
《オパールのモックス》と相性が良さそうなカード達。
《知りたがりの学徒、タミヨウ》は攻撃で手がかりトークンが増えるので金属術達成、この手がかりトークンをタップして《最高工匠卿、ウルザ》でマナを出したり、巨大な《ウルザの物語》で攻撃したり。青の伝説のクリーチャーが多いので、《モックス・アンバー》と組み合わせてダブルモックスも良いかも。
いわゆる親和デッキ、《電結の荒廃者》や《河童の砲手》を使ってアーティファクトのアグロデッキ復活なるか?
《緑の太陽の頂点》禁止解除。序盤から後半までいつ引いても強く、緑のデッキの安定性を大きく上げてくれます。
パッと思いつくサーチ先。
X=0で《ドライアドの東屋》でマナ加速。これは今後の《緑の太陽の頂点》デッキで確実に採用されます。
《溜め込み屋のアウフ》で前述の《オパールのモックス》を使うデッキを対策。
《飢餓の潮流、グリスト》で除去と盤面形成。《原始のタイタン》でコンボ勝ち。
《信仰無き物あさり》禁止解除で、墓地利用デッキの産声が聞こえます。
能動的に墓地を増やせるのが強く、かつてモダンと言えば墓地デッキと言えるほど、一時代を築いたカードです。
このカード解禁の影響で、各種墓地対策の需要がさらに増えるでしょう。
思い付くのは発掘デッキの復活、《弧光のフェニックス》中心にしたデッキ。青赤で《表現の反復》と一緒に使ったり、赤黒で《生き埋め》したり。
《偉大なる統一者、アトラクサ》を捨てて2ターン目《御霊の復讐》が実現可能に。《虚ろな者》もあるよ!
ただ《信仰無き物あさり》が流行ると、《オークの弓使い》が強くなるかも。
《虚ろな者》デッキで、自分がオークを使って《燃え立つ調査》で相手に強制3ドローさせて3点もあり得そう。
《欠片の双子》禁止解除。今まで禁止改改定のたびに話題に上がるカードでした。
このカードが強かった当時と比較して、モダンは0マナでプレイできる妨害がかなり増えており、《否定の力》や《孤独》で対処できます。禁止当時は《致命的な一押し》が出る前でしたし、《邪悪な熱気》もありませんでした。
もし双子デッキが再び強くなったとしても、対策するカードは環境に十分ありますし、以前ほど支配的な強さはないと予想しています。
とは言え、《詐欺師の総督》《やっかい児》につけて無限トークンのコンボは魅力的。
クリーチャー除去は《呪文滑り》を置いておけば対象変更で守れて、《苛立たしいガラクタ》を置いておけば、相手の0マナの妨害を防げます。相手の妨害をいかに乗り越えるかが課題!
■おわりに
最近はエネルギーデッキの支配的な強さが続いており、《一つの指輪》とエネルギー関連が禁止されるのは予想通りでしたが、ここまで禁止解除されるのは全くの予想外でした!
しかもどれも使うなら4枚入る、デッキを組みたくなるカードばかり!早く新しいモダンで遊びたい!
禁止解除で、僕が最も注目しているのは《知りたがりの学徒、タミヨウ》です。
《オパールのモックス》の金属術達成を早めてくれて、《信仰無き物あさり》で変身条件を満たせて、青赤《欠片の双子》デッキに入りそう。
色々なデッキに入る可能性があるので、タミヨウを集めておくと良さそうです。
それではまた。