MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【スタンダードメタゲーム】

Hi,

今週は激動のスタンダードのメタゲームを追っていく記事です。

MTGAによる環境変化があまりにも早く、先週金曜日に強かったデッキが今週月曜日に弱いなんてことも起こっています。早速見て行きましょう。

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■スタンダードあらすじ

「ゼンディカーの夜明け」発売後、《創造の座、オムナス》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》擁する4色ランプが環境を支配。

レガシー級のカードパワーで以前より問題視されていた《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が禁止され、その後は《創造の座、オムナス》を活かしたオムナスアドベンチャーが環境を支配。

2020シーズン・グランドファイナル(混合フォーマット):優勝はアメリカ出身のAustin Bursavich選手に

10月9-11日、マジックアリーナ上でスタンダードとヒストリックによる混合フォーマットにて行われた2020シーズン・グランドファイナル。優勝はアメリカ出身のAustin Bursavich選手となっています。 トップ8選手&使用デッキ 優勝 オムナスアドベンチャー/オムナスランプ プレイヤー:Austin

グランドファイナルではオムナスアドベンチャーが上位を占め、この結果を受けて《創造の座、オムナス》《幸運のクローバー》《僻境への脱出》が禁止に。

自然の怒りのタイタン、ウーロ》《創造の座、オムナス》の突出したカードパワーを持つ2つを禁止したことにより環境が健全化。メタゲームがぐるぐる回る群雄割拠の時代に突入。

■メタゲームスタート

MTG │ 解説記事 │ 井川良彦【スタンダード上位デッキ解説】

皆さんこんにちは。Rush Prosの井川(@WanderingOnes )です。 皆さんご存知の通り、2020年10月12日、新たに3枚のカードが禁止になりました 。ついこの間禁止改定後の記事を書いたはずなのですが、まさかこんな短期間でさらに禁止が出るとは……

10月16日に掲載された井川さんの記事にも書いてあるように、まずは前環境の生き残りであるラクドスミッドレンジ、緑単アグロ、ゴルガリアドベンチャーからスタート。

砕骨の巨人》に弱いデッキが減少傾向で、この時点ではラクドスに弱い青黒ローグは少数。

3ターン目にパワー5クリーチャーを着地させてからの4ターン目《グレートヘンジ》はそのままゲームに勝てるだけの力があります。

緑単アグロとゴルガリアドベンチャーに共通して言える事は序盤からクリーチャーの質が良く、《グレートヘンジ》《怪物の代言者、ビビアン》により単純なクリーチャー除去だけでは対処しきれないという点です。

クリーチャーの質で緑はラクドスに勝り、中盤の《怪物の代言者、ビビアン》《グレートヘンジ》による粘り強さもあるため、ラクドスミッドレンジは徐々に緑アグロに攻略されていきました。

■白緑ヨーリオン

そして《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキの台頭。

青黒ローグに勝てるラクドス、ラクドスに勝てる緑アグロ、と来たら今度は緑アグロを攻略するデッキが現れます。

10月18日、マジックアリーナ上でスタンダードフォーマットにて開催されたCFB Pro Showdownでは、セレズニアヨーリオンを使用したOndrej Straskyが優勝を収めます。

CFB Pro Showdown(スタンダード):優勝はセレズニアヨーリオン、トップ8にはグルールアドベンチャーやナヤランプなど

10月18日、マジックアリーナ上でスタンダードにて行われたCFB Pro Showdown。優勝はセレズニアヨーリオンを使用したOndrej Strasky選手となっています。 トップ8選手&使用デッキ 優勝 セレズニアヨーリオン プレイヤー:Ondrej Strasky 2nd 赤単アグロ プレイヤー:Silas

サンプルレシピ : 白緑ヨーリオン

6《
4《平地
4《枝重なる小道
4《豊潤の神殿
4《金のガチョウ
4《スカイクレイブの亡霊
4《ラノワールの幻想家
4《意地悪な狼
4《空を放浪するもの、ヨーリオン
2《魅力的な王子
2《絡みつく花面晶体
1《巨大猿、コグラ
2《ガラスの棺
2《グレートヘンジ
4《パンくずの道標
2《太陽の神のお告げ
2《エルズペス、死に打ち勝つ
3《変わり樹の共生
2《エメリアの呼び声

サイドボード
3《鎖巣網のアラクニル
3《漁る軟泥
2《空の粉砕
2《怪物の代言者、ビビアン
1《巻き添え
1《ガラスの棺
1《太陽の神のお告げ
1《エルズペス、死に打ち勝つ
1《ヘリオッドの介入

エルドレイン産の食物シナジーで、マナブーストと中盤のリソース、盤面除去、ライフ獲得、それぞれの相性が良く、《意地悪な狼》で盤面を維持しながら《パンくずの道標》で手札を補充します。

緑アグロは盤面を並べて《怪物の代言者、ビビアン》《グレートヘンジ》を目指すデッキなので、緑アグロが流行するなら相手の盤面に干渉できる白の出番です。

スカイクレイブの亡霊》は「ゼンディカーの夜明け」でもトップクラスの性能。4マナ以下のあらゆるパーマネントを対処しつつ、除去されても相手の盤面に出るクリーチャーが元よりも弱いのでデメリットが気になりません。

この手のカードにしては珍しく「戦場に出た時」「戦場を離れた時」の能力が2つに分かれています。

「戦場に出た時」の能力にスタックして自分で手札に戻したりすると先に「戦場を離れた時」が誘発するため、相手にイリュージョントークンを出さずに除去することも出来ます。

そして重いカードの押し付け合い環境になったら《エルズペス、死に打ち勝つ》が輝きます。《怪物の代言者、ビビアン》《グレートヘンジ》をあっさりと対処。

上記の食物カードと《スカイクレイブの亡霊》《エルズペス、死に打ち勝つ》を《空を放浪するもの、ヨーリオン》の効果で再利用して盤面から圧倒的なアドバンテージを稼ぎ出します。

白緑ヨーリオンにも《グレートヘンジ》が採用されていますが、場のクリーチャーを追放すればヨーリオンで帰ってきた時に+1/+1カウンターと1ドローが付いてくるので相性良し。

緑の食物シナジーによるリソースと盤面除去、それに白の追放除去が合わさることによって、緑アグロに対して高い耐性を誇ります。

ヨーリオンと言えば80枚ですが、このデッキの場合は相棒に設定せず60枚デッキで4枚フル採用しています。その理由として考えられる点は2つ。

現在のスタンダードはカードプールが狭い状態であり、デッキを80枚にするとどうしても弱いカードが混じってしまう事。

相棒経由ではなく5ターン目に手札から直接ヨーリオンの方が圧倒的な盤面を作りやすい事。

この2つであると僕は考えています。

■青白ヨーリオン

白緑ヨーリオンが緑アグロを攻略して環境の覇権かと思いきや、今度は白緑ヨーリオンを攻略する青白ヨーリオンが現れます。

上記の大会CFB Pro ShowdownでLuis Scott-Vargasが使用し、Ondrej Straskyのセレズニアヨーリオンを打ち破ったのがこの青白ヨーリオン。

No Title

Selesnya Yorion took @OndrejStrasky on an undefeated run through the #CFBPro Showdown, but he couldn’t make it past @LSV, who remains undefeated as the End Boss.Want to play in the next CFB Pro Showdown? Join CFB Pro at https://t.co/6nIJPmHDg8 to stay ahead of the competition! pic.twitter.com/TmbxTDw9pa

サンプルレシピ : 青白ヨーリオン

10《
8《平地
2《ヴァントレス城
4《ラウグリンのトライオーム
4《啓蒙の神殿
2《平穏な入り江
1《魅了された者、アリリオス
4《魅力的な王子
2《夢さらい
2《玻璃池のミミック
4《スカイクレイブの亡霊
4《真面目な身代わり
1《深海住まいのタッサ
3《空を放浪するもの、ヨーリオン
4《エルズペス、死に打ち勝つ
4《エメリアの呼び声
1《本質の散乱
4《ガラスの棺
2《精神迷わせの秘本
1《否認
4《海の神のお告げ
1《太陽の神のお告げ
2《空の粉砕
2《崇高な天啓
4《メレティス誕生

サイドボード
1《夢さらい
2《本質の散乱
1《巨人落とし
2《神秘の論争
2《否認
4《サメ台風
2《空の粉砕
1《空を放浪するもの、ヨーリオン》(相棒)

世は大クリーチャー時代。それらに対して強い《空の粉砕》《夢さらい》でコントロールの要素を持つ青白ヨーリオンが現れます。

夢さらい》は特にヨーリオン同型対決で強く、《エルズペス、死に打ち勝つ》されず《空を放浪するもの、ヨーリオン》よりもサイズが大きい為、全体除去以外では対処不能です。

また《崇高な天啓》は相手のヨーリオンの「場に戻す」誘発型能力を打ち消して盤面を空にしたり、自身のクリーチャーをコピーしたりと、ヨーリオン同型対決で最も輝くカードです。

白緑ヨーリオンと同じく《スカイクレイブの亡霊》《エルズペス、死に打ち勝つ》の部分が緑アグロに強いので、そこでの相性差は担保されています。

空を放浪するもの、ヨーリオン》《エルズペス、死に打ち勝つ》のような5マナが中心になる環境なら、それを2マナで対処する打ち消し呪文の出番です。

サイドボードで打ち消し呪文を多く詰めるのも青の利点。もともと《海の神のお告げ》《精神迷わせの秘本》などで2マナ残してエンドしやすいデッキなので、自然と打ち消し呪文を構えられます。

環境がどんどん重くなってきて、相対的に打ち消し呪文の価値が上がってきました。

■さらにメタゲームは回る

環境がヨーリオン中心に重くなって来ているのなら、その隙を付いて早いアグロデッキの出番です。

砕骨の巨人》が環境で少なくなったことから赤単やグルールなどのクリーチャーデッキが復権。特に《山火事の精霊》は青白ヨーリオンの《メレティス誕生》《太陽の神のお告げ》をすり抜けて攻撃します。

また、ヨーリオン系のデッキは盤面処理は得意なのですが、《エンバレスの宝剣》のような一撃で大ダメージが入るカードを後出しの《エルズペス、死に打ち勝つ》で対処してもライフは残っていません。

赤単、グルールアドベンチャー、打ち消しの使える青黒ローグが戻って来て、メタゲームはまた一周しつつあります。

■おわりに

今週末から始まるマジック・ライバルズリーグに備えて僕もスタンダードを猛練習中ですが、禁止改定後のスタンダードは目まぐるしく変化しており、日々強いデッキも塗り替えられています。

自然の怒りのタイタン、ウーロ》《創造の座、オムナス》というモダン級のカード2種類が去ったことでデッキの種類も多くなり、群雄割拠の時代。

カード1枚1枚のアドバンテージの積み重ねとライフ1点を争うゲームに戻っており、非常に面白いスタンダード環境だと感じています。

果たして環境の覇者となるデッキは何なのか、この後に始まるマジック・プロリーグ、マジック・ライバルズリーグで皆さんも確かめてください。

これから始まる強豪たちとの真剣勝負にワクワクしています。ライバルズリーグの内容はTwichでも配信する予定です。リーグ全力で楽しむぞ!

vendilion_mtg – Twitch

Yuta Takahashi@Vendilion/MTG Rivals League Competiter.

それではまた。

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