MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【大会レポートと各国優勝デッキ解説】

先週末は、チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド1に参加しました。

各地の予選を勝ち上がることで参加資格を獲得できて、トップ12入賞でプロツアー権利が付与、1位と2位が世界選手権に招待される、競技レベルの大会です。

フォーマットは、「発見」によって激変したパイオニア。はたして「発見」の強さが本物なのかも、注目されていました。

以下その大会レポートに加えて、各国の地域チャンピオンシップの優勝デッキも解説していきます。

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■参考情報

日本公式イベントカバレージ
チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド1
南アメリカ地域チャンピオンシップ
カナダ地域チャンピオンシップ

■《地質鑑定士》発見コンボ

チャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド1
使用者:高橋 優太
デッキリスト
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
4:《蒸気孔/Steam Vents
4:《欺瞞の神殿/Temple of Deceit
4:《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway
3:《魂の洞窟/Cavern of Souls
2:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs
2:《天啓の神殿/Temple of Epiphany
1:《山/Mountain
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
25 Lands


4:《玻璃池のミミック/Glasspool Mimic
4:《地質鑑定士/Geological Appraiser
4:《嘶くカルノサウルス/Trumpeting Carnosaur
4:《鏡殻のカニ/Mirrorshell Crab
3:《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk
1:《ドゥームスカールのタイタン/Doomskar Titan
20 creatures

3:《異界の進化/Eldritch Evolution
4:《創造の発露/Creative Outburst
4:《マグマ・オパス/Magma Opus
4:《豪奢+誤認/Bedeck+Bedazzle
15 other spells


1:《巨智、ケルーガ/Keruga, the Macrosage
4:《サメ台風/Shark Typhoon
2:《徙家+忘妻/Consign+Oblivion
2:《暗記+記憶/Commit+Memory
2:《終局の始まり/Commence the Endgame
2:《執念の徳目/Virtue of Persistence
2:《虐殺少女/Massacre Girl

15 sideboard cards

デッキ内のマナ総量3以下のカードを限定することで、発見3で必ず《玻璃池のミミック》《異界の進化のどちらかが公開されます。

玻璃池のミミック》で《地質鑑定士》をコピーしたり、《異界の進化》から《嘶くカルノサウルスをサーチしてクリーチャー数を増やして、最終的には《異界の進化》から《ドゥームスカールのタイタンサーチで速攻付与して20点以上のダメージを与えるコンボデッキです。

地質鑑定士》と《クイントリウス・カンドで2つの発見デッキが台頭したことにより、緑単信心、ラクドス・サクリファイス、ロータスコンボなど、インスタントでの妨害手段が少ないデッキは減少して、メタゲームにかなり影響を及ぼしました。

クイントリウス・カンド》型の発見コンボとの比較ですが、地質鑑定士》の方がコンボが決まるターンが1ターン早く、宝物トークンを生成するカードから3ターンキルを狙えます。

版図の《クイントリウス・カンド型はタップインが多くて序盤の出遅れが気になり、最速でも4ターンキルと、この1ターンの差は大きく、《地質鑑定士》型の方が好印象。

3ターンキルの魅力があり、マナを構えていないと3ターンキルされる!と相手が考えることで、相手のアクションを制限できる点もデッキとしての強さだと感じて、《地質鑑定士》発見コンボを使用しました。

マナベースは青赤メインは確定。青黒土地→赤マナのパターンが《豪奢+誤認》を使いやすかったのと、サイドに追加の除去である《執念の徳目》が欲しかったので、黒をタッチしました。

マグマ・オパス》《創造の発露は宝物トークン生成で3ターンキルを成立させてくれます。どちらもインスタントなので、手札から捨てる効果と《奔流の機械巨人》が相性良し。

特に《マグマ・オパス》は、相手のターン終了時に土地をタップする事で相手のインスタント行動を阻害して、次のターンに発見コンボが狙いやすくなります。

単純に《奔流の機械巨人》からの《マグマ・オパス》が強力で、本体4点+攻撃で9点で13点で、その後《創造の発露をプレイヤーに撃ってライフを詰め切る戦い方も出来ます。《創造の発露》が5点なのも嬉しく、《黙示録、シェオルドレッドを除去できるのは《マグマ・オパス》にない強み。

僕が発見デッキを評価しており、それに対抗してアゾリウスコントロールが増えると予想していたため、メインからその2つへの打ち消し手段を増やしたくて《鏡殻のカニ》を採用。

しかしこれは大失敗で、発見デッキやアゾリウスコントロールに対して《鏡殻のカニは良いのですが、ラクドスミッドレンジやボロス召集といったデッキに対して全然効きません。なんなら発見デッキやアゾリウスコントロールにも、後半はケアされやすい。

これなら4枚目の《奔流の機械巨人》を入れたり、《鏡殻のカニよりも汎用性の高い《徙家+忘妻》の方が良かった。

「《終局の始まり》を打ち、《魂の洞窟》で構築物を指定して《奔流の機械巨人でフラッシュバックしたらアゾリウスコントロールに強いのでは」と考えていました。実際は《思考のひずみ》対策で《ナーセットの逆転》がサイドに増えており、《終局の始まりもそこまで強くない。

虐殺少女》は、ボロス召集などの横並べするデッキに対して、《スレイベンの守護者、サリア》の影響を受けずに全体除去。《嘶くカルノサウルス》の発見5から公開されたときでも、相手のクリーチャーが4体なら合計-5/-5修正なので生き残るかも!?

…と思っていましたが、実際には《地質鑑定士》コピーから《異界の進化を経由するせいで、-6/-6を超える修正になってしまうので、欠陥サイドボードでした。もし全体除去クリーチャーを1枚取るなら、《異界の進化からのサーチ用に《虐殺のワーム》か《陰謀の悪魔》だったかなと。

そして会場にいた原根さんと会話したとき、全体除去は《嵐の怒りが一番良いという話になり、これにとても納得。

ボロス召集の2ターン目《敬慕されるロクソドン》パターンでも、宝物トークンから3ターン目《嵐の怒り》なら間に合うし、《嘶くカルノサウルス》から公開されて全体4点でも7/6トランプルが残ります。《虐殺少女》の黒黒よりも《嵐の怒りの赤赤の方が出しやすいですし、こっちの方が良かった!

■大会結果

〇ラクドスミッドレンジ
×ラクドスミッドレンジ
×ボロス召集
〇ラクドスミッドレンジ
×クイントリウス発見コンボ
〇クイントリウス発見コンボ
×ボロス召集

3勝4敗で初日落ち。

敗因は準備期間の短さによるデッキリストの粗さと、発見コンボがしっかりと意識されていたことです。

先週月曜日に発見デッキがワンツーフィニッシュしてから、デッキ提出の期限が木曜日の22時で、その期間でカードプールのマナ総量6以上を再確認。《マグマ・オパス》《奔流の機械巨人》型を選べたことは良かったものの、《鏡殻のカニ》を入れすぎたり、サイドに《嵐の怒り》が不採用など、細かいカード選択が粗かった。

そして日本で発見コンボがかなり意識されているタイミングで、対戦相手のデッキもメインに《塔の点火複数など、インスタント干渉が多いリストでした。

発見コンボですが、対策しなければ3ターンキルできる速度は脅威であり、強いデッキであることは間違いないと思います。実際、発見デッキの台頭により数を減らしてしまったデッキもある程。(緑単信心、ラクドス・サクリファイス、ロータスコンボなど)

しかし発見が最強というほどではなく、今後はメタゲームの一角になるデッキぐらいの評価です。

ここからは、パイオニアの各大会の優勝デッキを紹介していきます。

■ジャンド異形化

チャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド1優勝
使用者:増門 健太
デッキリスト
4:《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway
3:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs
3:《花盛りの湿地/Blooming Marsh
2:《闇孔の小道/Darkbore Pathway
2:《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway
2:《血の墓所/Blood Crypt
2:《カープルーザンの森/Karplusan Forest
2:《マナの合流点/Mana Confluence
1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground
1:《ミレックス/Mirrex
1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
1:《草むした墓/Overgrown Tomb
1:《変わり谷/Mutavault
25 Lands


2:《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier
2 creatures

2:《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator
3:《急使の手提げ鞄/Courier’s Briefcase
3:《エシカの戦車/Esika’s Chariot
1:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
4:《入念な栽培/Careful Cultivation
4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker
4:《思考囲い/Thoughtseize
4:《異形化/Transmogrify
1:《強迫/Duress
3:《塔の点火/Torch the Tower
2:《喉首狙い/Go for the Throat
1:《苦々しい勝利/Bitter Triumph
1:《致命的な一押し/Fatal Push
33 other spells


1:《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring
3:《光輝の炎/Radiant Flames
3:《真っ白/Go Blank
2:《強迫/Duress
1:《真髄の針/Pithing Needle
1:《減衰球/Damping Sphere
1:《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt
1:《虚空の選別者/Void Winnower
1:《石の脳/The Stone Brain
1:《双弾の狙撃手/Twinshot Sniper

15 sideboard cards

入念な栽培》《急使の手提げ鞄》など、2ターン目にトークンを出しながらマナ加速。

それらのトークンを対象に《異形化》をプレイ。デッキに入っている唯一のクリーチャーである《偉大なる統一者、アトラクサ》が3ターン目に降臨!

後はアトラクサの能力で各タイプのカードを手札に加えてアドバンテージ差を付けつつ、7/7飛行絆魂で勝利します。

3ターン目アトラクサが印象に残りやすいですが、実際はラクドスミッドレンジに近い動きをする、《思考囲い》やクリーチャー除去で相手を妨害しながら中速で戦うデッキです。

鏡割りの寓話》や《エシカの戦車》で強い盤面を作ることで、相手はクリーチャー除去をしなければいけないターンが生まれるので、相手が除去を消費したタイミングでの《異形化》が本当に強い!

大いなる創造者、カーン》はアトラクサで拾うカードタイプを増やすのと、サイドからサーチで器用に相手のカードを対処します。実際に配信でも《真髄の針》でテフェリーを止めたり、《双弾の狙撃手》で2点除去したりと活躍していました。

それぞれエンチャント・アーティファクト・プレインズウォーカーとタイプが散っているので、アトラクサの能力を最大限活かせるように構築されています。

サイドボードの《虚空の選別者》は、例えば発見コンボ相手に《異形化》から出すことが出来れば、デッキの大部分を唱えられなく出来ます。

光輝の炎》はボロス召集を意識した全体除去で、支払う色マナで1点から3点でダメージの点数を調整できるので、自分のクリーチャーが残るようにプレイできます。

真っ白》は、発見コンボに次いでイゼットフェニックスが多いと予想しての選択でしょう。

余談ですが、ジャンド《異形化》の制作者は僕の古い友人で本戦にも出場しており、彼は《八方塞がり》を推していました。手札破壊しつつ《異形化》のタネが残るのが良いらしいです。

■《地質鑑定士》発見コンボ

南アメリカ地域チャンピオンシップ優勝
使用者:guiyote
デッキリスト
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
4:《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway
2:《天啓の神殿/Temple of Epiphany
2:《山/Mountain
2:《マナの合流点/Mana Confluence
2:《蒸気孔/Steam Vents
2:《悪意の神殿/Temple of Malice
1:《水晶の岩屋/Crystal Grotto
1:《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
1:《血の墓所/Blood Crypt
1:《カーフェルの港/Port of Karfell
1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
24 Lands


4:《玻璃池のミミック/Glasspool Mimic
4:《地質鑑定士/Geological Appraiser
4:《嘶くカルノサウルス/Trumpeting Carnosaur
2:《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk
1:《ドゥームスカールのタイタン/Doomskar Titan
1:《暴走暴君、ガルタ/Ghalta, Stampede Tyrant
1:《巨大な空亀/Colossal Skyturtle
17 creatures

4:《異界の進化/Eldritch Evolution
2:《詭謀+奇策/Connive+Concoct
2:《精霊の傑作/Elemental Masterpiece
4:《創造の発露/Creative Outburst
4:《マグマ・オパス/Magma Opus
3:《豪奢+誤認/Bedeck+Bedazzle
19 other spells


1:《巨智、ケルーガ/Keruga, the Macrosage
4:《思考のひずみ/Thought Distortion
3:《覆滅+複製/Repudiate+Replicate
2:《徙家+忘妻/Consign+Oblivion
1:《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk
1:《巨大な空亀/Colossal Skyturtle
1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures
1:《爆発域/Blast Zone
1:《虐殺のワーム/Massacre Wurm

15 sideboard cards

 

南アメリカを優勝したのは《マグマ・オパス》《奔流の機械巨人》型の《地質鑑定士》コンボ。

詭謀+奇策》は、手札から捨てた《嘶くカルノサウルス》をリアニメイトして5マナでコンボをスタートさせるカード。

マナベースは少し緑マナが出るように構成されています。
通常だと《異界の進化》は手札からはプレイできないですが、緑マナの土地が一つあると宝物トークンからプレイする選択肢が増えます。

耐え抜くもの、母聖樹》は《減衰球》などの対策が割れるのが便利ですが、《豪奢+誤認》をプレイしにくくなどメインの動きを悪くするデメリットもあります。

発見コンボはドロー操作を採用しにくいので、占術の価値は高く、占術土地は合計4枚がおすすめです。僕の6枚は多かった。

■ディミーアフェニックス

カナダチャンピオンシップ優勝
使用者:Ha Pham
デッキリスト
4:《湿った墓/Watery Grave
4:《闇滑りの岸/Darkslick Shores
3:《清水の小道/Clearwater Pathway
2:《蒸気孔/Steam Vents
1:《島/Island
1:《沼/Swamp
1:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
1:《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant
1:《難破船の湿地/Shipwreck Marsh
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
19 Lands


4:《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix
4:《帳簿裂き/Ledger Shredder
4:《錠前破りのいたずら屋/Picklock Prankster
2:《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse
14 creatures

4:《思考囲い/Thoughtseize
4:《宝船の巡航/Treasure Cruise
3:《手練/Sleight of Hand
4:《致命的な一押し/Fatal Push
4:《考慮/Consider
4:《苦々しい勝利/Bitter Triumph
3:《選択/Opt
1:《塵へのしがみつき/Cling to Dust
27 other spells


2:《闇の裏切り/Dark Betrayal
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
2:《崇高な工匠、サヒーリ/Saheeli, Sublime Artificer
2:《真っ白/Go Blank
1:《呪文貫き/Spell Pierce
1:《煤の儀式/Ritual of Soot
1:《神秘の論争/Mystical Dispute
1:《絶滅の契機/Extinction Event
1:《方程式の改変/Change the Equation
1:《一巻の終わり/The End
1:《ナーセットの逆転/Narset’s Reversal

15 sideboard cards

カナダ地域チャンピオンシップを優勝したのは、全く新しいタイプの《弧光のフェニックス》デッキで、それまでのイゼットの常識を覆すディミーア!

帳簿裂き》や《苦々しい勝利》など手札から捨てるカードや、《錠前破りのいたずら屋の出来事での切削によりフェニックスを墓地に落とし、《手練などドロー呪文を連打してフェニックスを並べて攻撃するデッキです。

パイオニアで黒の強さを支えている《思考囲い》《致命的な一押し》を使えることで相手に干渉しやすく、《思考囲いで安全確認しながらフェニックスで攻める動きが強い!

イゼットフェニックスだったときは天敵だった《黙示録、シェオルドレッド》も、味方にすればとても心強く、《考慮で2点回復、《宝船の巡航》なら6点回復!!!

ものすごく好みのデッキなので、自分でも早速回してみます!

■おわりに

3ターンキル、1枚コンボという事で大注目を浴びていましたが、大会結果ではそこまで大勝ちと言う程ではありませんでした。

発見デッキが強い事は間違いないですが、これ一強というほどではなく、今後はまたメタゲームが回って行くでしょう。

新能力を適切に評価するのは、とても難しいという教訓です。ただ、減少したデッキタイプのことを考えると、発見には何かしら手が加えられるかもしれません。(この記事を書いた後に発表されましたが、12月4日に禁止改訂が実施されるようです!

結果は振るわずでしたが、新しいデッキタイプを考えるこの1週間は楽しかった!デッキを1から作るのが楽しいと再認識できたのが、まさしく「発見」でした。

いつまでも初心を忘れずにいたいものです。

それではまた。


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