MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【指輪物語後のレガシーデッキ紹介】
今回はレガシー記事です。
モダンを大きく変化させた指輪物語ですが、レガシーにはどう影響しているのか、大会結果から紐解いていきます。
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■指輪物語発売後のレガシー事情
モダンで大活躍中の《オークの弓使い》はレガシーでも猛威を振るっており、あらゆるデッキが《オークの弓使い》のために黒をタッチする程の影響を与えています。
その理由はドロースペルの強さです。例えば《渦まく知識》にスタックで《オークの弓使い》を出せば、戦場に出た時の効果と誘発3回で合計4点ダメージを与えつつ、場に4/4トークンが残ります。
レガシーでは《思案》《渦まく知識》の採用率が高く、これらのドロー呪文にスタックで《オークの弓使い》を出すだけで、2マナのカードとは思えないほどのダメージ量を与えます。
もう一つの目玉カードである《一つの指輪》は、モダン程は大きな影響を与えていません。
理由として考えられるのは、4マナというコストが少し重く、《目くらまし》や《意志の力》といった抑止力があるからでしょう。
とは言え、《一つの指輪》《黙示録、シェオルドレッド》の両方が4枚入ったデッキがレガシーチャレンジで入賞しており、《暗黒の儀式》や《古えの墳墓》で早いターンで出せば強い!
これから《一つの指輪》デッキの研究が進んで行くでしょう。
■参考情報
LEGACY CHALLENGE 32(7/15開催)
LEGACY CHALLENGE(7/16開催)
LEGACY SHOWCASE QUALIFIER(7/16開催)
第23期レガシー神決定戦カバレージ
先週末に開催された大会から、気になるデッキを紹介して行きます。
■死の影
LEGACY SHOWCASE QUALIFIER トップ8 使用者:THALAI | |
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デッキリスト | |
3:《Underground Sea》 1:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 2:《汚染された三角州/Polluted Delta》 1:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 2:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 2:《湿った墓/Watery Grave》 4:《不毛の大地/Wasteland》 1:《島/Island》 16 Lands 4:《死の影/Death’s Shadow》 |
4:《目くらまし/Daze》 4:《思案/Ponder》 4:《渦まく知識/Brainstorm》 4:《意志の力/Force of Will》 3:《思考囲い/Thoughtseize》 4:《再活性/Reanimate》 1:《頑固な否認/Stubborn Denial》 2:《四肢切断/Dismember》 2:《致命的な一押し/Fatal Push》 28 other spells 2:《水流破/Hydroblast》 |
《思考囲い》やフェッチランドからの《湿った墓》サーチで自らのライフを減らし、早いターンに《死の影》を出してそのまま巨大なサイズで攻めて行くデッキです。
新採用の《カザド=ドゥームのトロール》は《湿った墓》《Underground Sea》の両方をサーチ可能で、能動的に墓地に送れるクリーチャーなので《再活性》と相性抜群!
1ターン目にフェッチランドから《湿った墓》サーチで《カザド=ドゥームのトロール》サイクリング、《湿った墓》の2枚目をサーチ。ライフ17。
2ターン目に《湿った墓》で2点払ってから《再活性》で《カザド=ドゥームのトロール》を戦場に戻してライフ9。《死の影》を4/4の状態でプレイする事が出来るので、2ターン目にして合計パワー10のクリーチャーが出せます!
《カザド=ドゥームのトロール》の3体以上のクリーチャーにしかブロックされない能力が強く、序盤に3体並べるのはかなり難しいので、速やかに相手のライフを削って行きます。
《オークの弓使い》が流行しているため、相手の1点除去を受けにくい、サイズの大きいクリーチャーで攻めて行くことを意識したデッキ構成になっています。
環境を定義している《オークの弓使い》もしっかり4枚採用。相手の《オークの弓使い》に対抗するためには、自分も《オークの弓使い》で1点除去するのが良いです。
《オークの弓使い》が入ったデッキ同士の対決では、後出しする方が有利なので、お互いマナを構えあっている状況ではプレイしない選択肢もあります。
《死の影》を出す前の妨害として《思考囲い》、出した後の蓋として《頑固な否認》。いずれも場に残った《死の影》《カザド=ドゥームのトロール》《濁浪の執政》での攻勢を維持して行きます。
サイドボードの《オルサンクのパランティール》は珍しい採用で、クリーチャー除去の多い相手など、消耗戦を見越してのサイドボードだと思われます。
《死の影》相手にアーティファクト破壊はサイドインしにくいですし、《オルサンクのパランティール》切削の効果で《濁浪の執政》が公開されたら7点入ります!
■職工エルフ
レガシー神決定戦 トップ8 使用者:高野 成樹 |
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デッキリスト | |
2:《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》 2:《森/Forest》 2:《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》 2:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》 1:《カラカス/Karakas》 4:《Bayou》 2:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 2:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》 1:《ボジューカの沼/Bojuka Bog》 4:《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》 1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》 23 Lands 4:《エルフの開墾者/Elvish Reclaimer》 |
4:《むかしむかし/Once Upon a Time》 4:《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》 4:《自然の秩序/Natural Order》 4:《飢餓の潮流、グリスト/Grist, the Hunger Tide》 16 other spells 3:《忍耐/Endurance》 |
緑のクリーチャーを軸にして、状況に合わせてサーチを繰り返して対応するミッドレンジです。
ベースの部分はエルフに近いですが、《オークの弓使い》の加入によりタフネス1のエルフは使いづらくなってしまい、かわりに緑と黒のタフネス2以上で構成されています。
《喜ぶハーフリング》は伝説のパーマネントを打ち消されなくする効果で《飢餓の潮流、グリスト》を補助。ハーフリングが2体いれば、後述する《偉大なる統一者、アトラクサ》の素出しも狙える!
《飢餓の潮流、グリスト》は、昆虫トークンを生成して《ガイアの揺籃の地》で生み出すマナを増やしつつ、「-2」で相手のクリーチャーやプレインズウォーカーを除去。
モダンのヨーグモスでもそうですが、《オークの弓使い》が低タフネスを除去し、《飢餓の潮流、グリスト》が高タフネスを除去するので、この2つは本当に相性が良い!
《飢餓の潮流、グリスト》はライブラリーにいるときはクリーチャー扱いなので、《緑の太陽の頂点》X=3でも持ってこれます。
そして《悪魔の職工》は、《飢餓の潮流、グリスト》や《オークの弓使い》で生成したトークンを生贄にして、ライブラリーから状況に合わせたクリーチャーをサーチ。
デッキの必殺技と言えるのが《自然の秩序》で、最速3ターン目に《偉大なる統一者、アトラクサ》が降臨します。クリーチャーの頭数が並んでいるのなら《孔蹄のビヒモス》サーチで特大ダメージ!
グリストやオークのトークンでクリーチャーが並べば《ガイアの揺籃の地》から大量マナが出るようになるので、そこから《緑の太陽の頂点》X=7やX=8で《偉大なる統一者、アトラクサ》や《孔蹄のビヒモス》が狙えます。
《意志の力》の無いデッキなので、コンボデッキへの耐性が若干気になりますが、そこは《エルフの開墾者》のサーチと、サイドボードを厚く取る事でカバーしています。
リアニメイトや《実物提示教育》デッキに対しては《カラカス》をサーチ、墓地を使うデッキには《ボジューカの沼》をサーチ、展開したいときには《ガイアの揺籃の地》をサーチと、《エルフの開墾者》は器用に立ち回る事が出来ます。
■ボロスイニシアチブ
LEGACY CHALLENGE トップ8 使用者:VARAL |
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デッキリスト | |
4:《裏切り者の都/City of Traitors》 4:《古えの墳墓/Ancient Tomb》 1:《カラカス/Karakas》 4:《魂の洞窟/Cavern of Souls》 2:《Plateau》 2:《平地/Plains》 1:《山/Mountain》 18 Lands 4:《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》 |
4:《金属モックス/Chrome Mox》 4:《虚空の杯/Chalice of the Void》 4:《水蓮の花びら/Lotus Petal》 2:《精霊界との接触/Touch the Spirit Realm》 4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》 4:《進め、エオルの家の子よ!/Forth Eorlingas!》 22 other spells 2:《月の大魔術師/Magus of the Moon》 |
今年3月に《白羽山の冒険者》が禁止されたことで、イニシアチブデッキの使用者は減りましたが、ボロスに形を変えて再度活躍しています。
序盤に《エメリアのアルコン》を出して相手の特殊地形をタップインにしつつ、連続して呪文を唱える事を制限。ストンピィ系デッキの定番である、1ターン目《虚空の杯》X=1で、1マナ呪文を打ち消し。
《虚空の杯》《エメリアのアルコン》で相手の行動を阻害した後に、《練達の地下探検家》《混沌の洞窟の冒険者》によるイニシアチブ取得で、盤面の有利を維持しながら攻撃するデッキです。
イニシアチブで頻繁に起こる動きとしては、「秘密の入り口」→「鍛冶場」→「罠だ!」→「書庫」→「死せる三者の玉座」です。
《混沌の洞窟の冒険者》なら「鍛冶場」で次のターンには7/5になるので、「罠だ!」の5点と2回の攻撃で合計19点入ります!
クリーチャーを除去された場合は、「秘密の入り口」→「失われた井戸」→「隠し部屋」→「地下墓地」→「死せる三者の玉座」で探索して、宝物トークンと4/1威迫のスケルトントークンを出しながら、「死せる三者の玉座」でマナと盤面両方のアドバンテージを得ます。
イニシアチブは打点が非常に高く、なおかつクリーチャーを除去されてもアドバンテージを獲得するので、攻撃してイニシアチブを奪う方法以外では対処が難しいです。
新採用の《進め、エオルの家の子よ!》は、2/2速攻トークンにより高打点で、なおかつ統治者になることで継続したアドバンテージを得ます。
マナが余る後半になるほど強く、《金属モックス》で刻印して2色出るのも良いので、これからストンピィ系デッキの定番になって行きそうです。
■デス&タックス
《スレイベンの守護者、サリア》で相手の非クリーチャー呪文に制限をかけながら、《不毛の大地》《リシャーダの港》でマナを拘束。その間に《霊気の薬瓶》からクリーチャーを展開して、妨害しながら攻めて行くデッキです。
デッキ名のデス&タックス(死と税金)は「逃れられぬもの」を意味する英語の慣用表現で、サリアやマナ拘束をする様子を表しています。マジックの長い歴史上でも、かなり格好いいデッキ名です。
指輪物語からは《剛毅なるサムワイズ》が採用されており、起動した《不毛の大地》や除去されたクリーチャーを手札に回収。指輪のブロック不可能力も、パワーの低いクリーチャー中心のこのデッキなら役立ちます。《救出専門家》で《剛毅なるサムワイズ》を回収しても強い!
面白いのがサイドボードの《先駆者の松明》で、なんと《石鍛冶の神秘家》からサーチ可能なイニシアチブです。除去の多い相手にサイドインしたら強そう!
タフネス1が中心のデッキなので《オークの弓使い》に弱いのが気になりますが、《思案》などのドロー呪文を使うわけではないので、1体除去程度で被害は抑えられそうです。
■おわりに
《カザド=ドゥームのトロール》は、《再活性》や《動く死体》が使える環境では大活躍しています。
序盤はマナベースを整えて、2ターン目に出したらブロックでは対処が困難。モダンもそうですが、今回の基本地形サイクリングはどれも良いバランスで、今後も環境に影響を及ぼしそうです。
《ロリアンの発見》も、島タイプを持つデュアルランドをサーチしつつ、《意志の力》のコストに使えるので、今後採用が増えてくると思います。
それではまた。