MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【最新のヒストリック環境を紹介】

スタンダードのローテーションを今月に控えてることもあり、MTGアリーナはカジュアルに遊んでいる方も多いのではないでしょうか。

最近ちょうど『Jumpstart: Historic Horizons』がリリースされて、『モダンホライゾン』のカードを中心に、過去のカードが多く収録されました。

新キーワードや新コンボが多く、合間の時間に遊ぶのにはピッタリのセット。今回の記事では、新しいヒストリック環境を分析して行きます。

『Jumpstart: Historic Horizons』のカードに関して、井川さんの紹介記事もあるのでそちらもどうぞ。

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参考情報

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mtgmelee上で開催された、ヒストリックの大会を元に上位デッキを紹介して行きます。

■ジェスカイ不屈の独創力コンボ

優勝(9勝1敗)【インポートデータ
デッキリスト
1:《平地/Plains
1:《島/Island
3:《山/Mountain
4:《ドワーフの鉱山/Dwarven Mine
4:《寓話の小道/Fabled Passage
4:《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome
4:《聖なる鋳造所/Sacred Foundry
4:《蒸気孔/Steam Vents
25 lands


2:《セラの使者/Serra’s Emissary
2 creatures

2:《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria
4:《堅固な証拠/Hard Evidence
4:《表現の反復/Expressive Iteration
4:《不屈の独創力/Indomitable Creativity
2:《神々の憤怒/Anger of the Gods
1:《火の予言/Fire Prophecy
4:《記憶の欠落/Memory Lapse
3:《稲妻のらせん/Lightning Helix
4:《プリズマリの命令/Prismari Command
1:《暗記+記憶/Commit+Memory
2:《アズカンタの探索/Search for Azcanta
2:《サメ台風/Shark Typhoon
33 other spells


1:《サメ台風/Shark Typhoon
2:《邪悪な熱気/Unholy Heat
4:《安らかなる眠り/Rest in Peace
2:《神秘の論争/Mystical Dispute
2:《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils
2:《神の怒り/Wrath of God
1:《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite
1:《原初の潮流、ネザール/Nezahal, Primal Tide
15 sideboard cards

モダンでもおなじみの《不屈の独創力》コンボですが、ヒストリックでも強化されました。

堅固な証拠》《ドワーフの鉱山》《プリズマリの命令》で、まずは各トークンを生成。そのトークンを対象に《不屈の独創力を唱えます。

デッキに入っているクリーチャーは1種類だけなので、確実に《セラの使者》が出てきます。

プロテクション(インスタント)を指定すれば多くの除去を避けることが出来て、プロテクション(クリーチャー)なら相手クリーチャーから一切のダメージを受けなくなります。

不屈の独創力》をX=2で唱えた場合は、2体の《セラの使者》が場に並ぶことになります。インスタントとクリーチャーをそれぞれ指定すれば、ほとんどのデッキに勝利できます。

ただし、《探索する獣》を出されたり、《踏みつけ》を撃ち込まれると、プロテクションによる軽減が封じられてしまうため、プロテクション(クリーチャー)があろうともダメージを受けてしまいます。それだけ注意しましょう。

 

とはいえ、コンボ一辺倒というわけではなく、メインの動きは《ドミナリアの英雄、テフェリー中心のジェスカイコントロールに近いです。除去や《記憶の欠落で時間を稼ぎながら、相手が手札を消耗したタイミングで《不屈の独創力》コンボを狙う。ここら辺はモダンと同じですね。

サメ台風》は序盤にX=1で《不屈の独創力の対象を作ることも出来ますし、後半はフィニッシャーにもなるデッキに噛み合ったカード。

クリーチャーを横並べしてくる相手なら《大修道士、エリシュ・ノーン》、打ち消しや除去が多い相手なら《原初の潮流、ネザール》といったように、サイド後は相手のデッキに合わせて《セラの使者》を1枚入れ替えます。

■セレズニア硬化した鱗

2位(8勝2敗)インポートデータ
デッキリスト
1:《森/Forest
5:《平地/Plains
4:《ハイドラの巣/Lair of the Hydra
4:《寺院の庭/Temple Garden
4:《枝重なる小道/Branchloft Pathway
4:《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove
22 lands


4:《議事会の導師/Conclave Mentor
2:《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent
4:《生皮収集家/Pelt Collector
4:《優秀な学徒/Star Pupil
4:《ファートリの猛竜/Huatli’s Raptor
2:《オーカー・ジェリー/Ochre Jelly
4:《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant
2:《素拳のモンク/Monk of the Open Hand
26 creatures

2:《ドロモカの命令/Dromoka’s Command
4:《硬化した鱗/Hardened Scales
2:《戦いの覚悟/Gird for Battle
2:《自然の化身/Wild Shape
1:《オゾリス/The Ozolith
1:《石の宣告/Declaration in Stone
12 other spells


3:《石の宣告/Declaration in Stone
1:《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage
2:《蛇皮のヴェール/Snakeskin Veil
4:《漁る軟泥/Scavenging Ooze
1:《ドロモカの命令/Dromoka’s Command
2:《レンジャー・クラス/Ranger Class
1:《強制着陸/Forced Landing
相棒
1:《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den
15 sideboard cards

デッキ名にもなっている《硬化した鱗》。+1/+1カウンターが乗る場合に、その数を1つ増やすエンチャント。

この《硬化した鱗》を中心にデッキが組まれており、クリーチャーは全て+1/+1カウンターとシナジーを持つもので構成されています。

生皮収集家》《光輝王の野心家》はそれぞれ誘発型能力の+1/+1カウンターが増えます。どちらも過去にスタンダード、ヒストリックで活躍した実績があり、《硬化した鱗を引かなかった場合にも単体で十分強いカード。

優秀な学徒》は構築戦では珍しい採用ですが、デッキのシナジーの為に採用されています。《硬化した鱗があると+1/+1カウンターが2個乗った状態で出て、死亡したときには味方に+1/+1カウンターを3個付与します。

さらに+1/+1カウンターをサポートするのがこの3種類。

議事会の導師》はクリーチャー版《硬化した鱗ともいうべき能力で、《ファートリの猛竜》は増殖により+1/+1カウンターを増やして行きます。

オゾリス》は+1/+1カウンターの乗ったクリーチャーが死亡したときにオゾリスの上にカウンターを移動し、戦闘時にカウンターを味方に移動します。この移動の際にも《硬化した鱗》《議事会の導師》があれば+1/+1カウンターは増えます!

自然の化身》の主な使い道は「1/3の呪禁カメ」モードで、除去から守るのが役割。《石とぐろの海蛇》《優秀な学徒》のような元のサイズが0/0のクリーチャーを対象に「3/3のトランプル象」にすると、0/0が3/3になったあとで+1/+1カウンターの数値が適用されるので《巨大化のような使い方も出来ます。

ドロモカの命令》は+1/+1カウンターを乗せながらインスタントで格闘を行う、このデッキのためにあるようなカード。もう少し枚数を増やしても良さそうです。

■セレズニアカンパニー

3位(7勝2敗)インポートデータ
デッキリスト
6:《森/Forest
5:《平地/Plains
2:《ハイドラの巣/Lair of the Hydra
4:《寺院の庭/Temple Garden
4:《枝重なる小道/Branchloft Pathway
2:《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove
23 lands


4:《小走り樫/Scurry Oak
4:《裕福な亭主/Prosperous Innkeeper
4:《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition
4:《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves
4:《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant
4:《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned
4:《精鋭呪文縛り/Elite Spellbinder
3:《議事会の導師/Conclave Mentor
2:《エスパーの歩哨/Esper Sentinel
33 creatures

4:《集合した中隊/Collected Company
4 other spells


3:《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben
3:《漁る軟泥/Scavenging Ooze
2:《安らかなる眠り/Rest in Peace
2:《封じ込める僧侶/Containment Priest
2:《石の宣告/Declaration in Stone
1:《エスパーの歩哨/Esper Sentinel
1:《秋の騎士/Knight of Autumn
1:《議事会の導師/Conclave Mentor
15 sideboard cards

ヒストリック環境で長期間活躍しているセレズニアカンパニー。

硬化した鱗》デッキ同様に+1/+1カウンターによるシナジーがあり、ここでも《議事会の導師》《光輝王の野心家》コンビが採用されています。

今回収録された《エスパーの歩哨は相手の非クリーチャー呪文にマナを要求するカードで、除去が撃ちにくくなる点が長所ですが、クリーチャー中心のデッキに対しては効きにくいという短所もあります。ちなみに、+1/+1カウンターでパワーを上げることで、要求するマナも増えて行きます。

そして《小走り樫が収録されたことで無限コンボも可能になりました。
1.《裕福な亭主》《小走り樫》《太陽冠のヘリオッドの3枚を場にそろえてから、何かしらのクリーチャーを出してライフを1点回復。
2.ライフ回復により《太陽冠のヘリオッド》の+1/+1カウンター付与が誘発。《小走り樫》に+1/+1カウンターを乗せて、1/1のリストークン生成。
3.リストークン生成により《裕福な亭主のライフ1点回復が誘発。これにより2に戻る。

2と3を繰り返すことにより、無限ライフと無限リストークンが出来ます。MTGアリーナには制限時間があるので厳密には無限ではないですが、50体程度なら出せると予想しています。

3枚コンボですが、コンボパーツが全部《集合した中隊から探してこれるので、そこまで難易度は高くないでしょう。

■ジャンドミッドレンジ

6位(6勝2敗)インポートデータ
デッキリスト
4:《血の墓所/Blood Crypt
4:《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway
4:《寓話の小道/Fabled Passage
4:《山/Mountain
3:《沼/Swamp
1:《バグベアの居住地/Den of the Bugbear
1:《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant
1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground
1:《草むした墓/Overgrown Tomb
1:《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway
24 lands


4:《ドラゴンの怒りの媒介者/Dragon’s Rage Channeler
4:《歴戦の紅蓮術士/Seasoned Pyromancer
4:《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant
4:《死の飢えのタイタン、クロクサ/Kroxa, Titan of Death’s Hunger
2:《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny
18 creatures

2:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance
2:《魂の仲介人、ダブリエル/Davriel, Soul Broker》
1:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern
3:《思考囲い/Thoughtseize
3:《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek
1:《血の長の渇き/Bloodchief’s Thirst
4:《邪悪な熱気/Unholy Heat
1:《致命的な一押し/Fatal Push
1:《悪意の熟達/Baleful Mastery
18 other spells


4:《削剥/Abrade
2:《目覚めた猛火、チャンドラ/Chandra, Awakened Inferno
2:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern
2:《絶滅の契機/Extinction Event
1:《悪意の熟達/Baleful Mastery
1:《思考囲い/Thoughtseize
1:《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny
15 sideboard cards

モダンでお馴染みの赤ミッドレンジのパーツが『Jumpstart: Historic Horizons』に収録されて、いわゆる「ジャンド系」デッキも強化されました。

ドラゴンの怒りの媒介者》《邪悪な熱気は歴代屈指の1マナ域。モダンと違って《ミシュラのガラクタや《血染めのぬかるみなどがないので、最速での昂揚達成は難しいですが、それでも後半に使える1マナ3/3飛行、1マナ6点と考えれば十分強いでしょう。

歴戦の紅蓮術士》は手札入れ替えで昂揚達成が早くなりますし、5マナのエレメンタル生成も消耗戦に強い能力です。

手札破壊はモダンと比べても遜色ない性能。もちろん《ドラゴンの怒りの媒介者》の諜報とも相性良し。

MTGアリーナ限定のプレインズウォーカーがこのダブリエル。まずはテキストに書かれている提案と条件についておさらいしましょう。

【-2】能力の「提案」は以下より3つがランダムに表示されます。

・カード3枚を引く。
・あなたの手札に「荘園の守護者」・カード1枚を創出する。
・あなたの墓地にあるクリーチャー・カード2枚を無作為に選び、それらをあなたの手札に戻す。それらはそれぞれ永久に+1/+1の修整を受ける。
・あなたの墓地にありマナ総量が最も大きいクリーチャー・カードのうち1枚を無作為に選び、それを戦場に戻す。
・あなたは「あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+2/+0の修整を受ける。」を持つ紋章を得る。
・あなたは「あなたが呪文を唱えるためのコストは{B}少なくなる。」を持つ紋章を得る。
・あなたは「あなたがコントロールしているすべてのダブリエル・プレインズウォーカーは『[+2]:カード1枚を引く。』を持つ。」を持つ紋章を得る。
・あなたは「あなたがカードを1枚引くたび、あなたは2点のライフを得る。」を持つ紋章を得る。

【-2】能力の「条件」は以下より3つがランダムに表示されます。

・あなたは6点のライフを失う。
・あなたの手札にあるカード2枚を追放する。これにより追放されたカードが2枚より少なかったなら、各対戦相手はそれぞれの差に等しい枚数のカードを引く。
・パーマネント2つを生け贄に捧げる。
・あなたがコントロールしていないすべてのクリーチャーは永久に+1/+1の修整を受ける。
・あなたは「あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは-1/-0の修整を受ける。」を持つ紋章を得る。
・あなたは「あなたが呪文を唱えるためのコストは{B}多くなる。」を持つ紋章を得る。
・あなたは「あなたがカードを1枚引くたび、あなたのライブラリーの一番上から2枚のカードを追放する。」を持つ紋章を得る。
・あなたは「あなたのアップキープの開始時に、あなたはあなたがコントロールしているクリーチャー1体につき1点のライフを失う。」を持つ紋章を得る。

 

次に、ダブリエルの忠誠度能力について目を向けていきましょう。

【+1】は次のターンまで、攻撃された際に手札1枚を捨てるか攻撃クリーチャーの生贄を要求。
【-2】はMTGアリーナ限定の能力で、ダブリエルの「提案」というメリットを受ける代わりに、「条件」というデメリットを受けるという能力です。
【-3】はクリーチャーを永続的に-3/-3するので、例えば《弧光のフェニックスのように墓地から戻るクリーチャーもゲーム中ずっと無効化できます。

「提案」は全体的に強く、「カード3枚を引く」や「あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+2/+0の修整を受ける」紋章を駆使して行きます。

「条件」は「あなたは6点のライフを失う」が比較的軽いデメリットで、相手のクリーチャー強化や自分のクリーチャー弱体化の紋章など、状況によってはさほど困らないものがいくつかあります。

「提案」による全体強化、「条件」によるパーマネント2つの生贄を考えると、トークンを生成するデッキで使いやすい能力です。非常に多くの能力を使えるため、僕は【-2】は強い能力だと考えています。

若き紅蓮術士》《歴戦の紅蓮術士のようにトークンを出すカードと相性が良いので、赤黒のミッドレンジ系統でダブリエルを見るようになるでしょう。

■おわりに

アリーナ専用のカードには驚かされましたが、DCG化が進む中でこういった試みも面白いと思います。

《魂の仲介人、ダブリエル》は能力が多すぎて理解するのに時間がかかりますが、実際には強いプレインズウォーカーです。一度お試しあれ。

いよいよ今夜からは新セット「イニストラード 真夜中の狩り」のプレビューが始まります。

カードパワーが高くスタンダードの中心だった「エルドレインの王権」ともお別れ。果たして《砕骨の巨人》《恋煩いの野獣》の居ない世界はいかに?

砕骨の巨人が居ないことで活躍しそうなクリーチャーも多いと思うので、今からタフネス2で検索してみるのも面白そうですね。

それではまた。

 

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