MTG │ コラム │ 高橋優太【MTG世界チャンプがポケカ始めてみた】

突然ですが、ポケカ始めました。
きっかけは年始のMTGプロ新年会で、八十岡さんの家に遊びに行ったときにポケカの「スタートデッキ100」で対戦したことからです。
かわいいイラストや、カードをたくさんドローできるゲーム性に魅力を感じて、気付いたらカードラッシュ通販でデッキを揃えていました。
ポケカでは「スタートデッキ100」をはじめとした入門セットが豊富です。
再録が多いので必須カードでも200円程度で、5000円あればデッキを気軽に作れる点も魅力です。
MTGでは《敏捷なこそ泥、ラガバン》《意志の力》など高額カードに慣れてしまっているので、この初期費用が安く済む点は驚きでした!

カードラッシュ所属MTGプロの僕ですが、ポケカも遊戯王も昔プレイしたことがあり、カードゲーム自体がすごく好きです。
今回は初心者の視点から、ポケモンカードを語る記事です。
MTGのプロなのに、こんな趣味全開の企画を通してくれたカードラッシュに感謝。

■基本的なルール

ポケモンカードルール(公式サイト)

デッキ作成ツール

■ポケモン&進化

基本的にはポケモン同士でバトルして、相手のポケモンを倒していくゲームです。ゲーム開始時にデッキの上から6枚を裏向きで脇にどけて「サイドカード」として、相手のポケモンを倒すたびに「サイドカード」を獲得します。
6枚のサイドカードをすべて取ったらゲームに勝利です!
ただポケモンの中にはサイドを2枚とる「Vポケモン」や3枚とる「VMAXポケモン」などがいるので、1枚→2枚→3枚や2枚→2枚→2枚といったサイド枚数の取り方の計算が必要になってきます。
また重要なカードがサイド6枚に含まれてサーチできない「サイド落ち」という現象もあります。

最初に手札を7枚引いて、お互いに「たねポケモン」をバトル場に置いてスタート。
初手に「たねポケモン」が無い場合は7枚引き直し、引き直した回数分×1枚で相手がカードを引きます。MTGのマリガンは手札が減るものですが、ポケカは相手の手札が増えるのが逆ですね。
ベンチには5体までポケモンを出せます。
1ターンに1回エネルギーカードを付けて、バトル場のポケモンのわざを使ってダメージを与えて行きます。

「特性」は、何かしらアドバンテージを獲得できる能力です。
サーチしたりドローしたりエネルギーを付けたり、効果は様々ですが、ベンチにいる「特性」を上手く使うのがポケカの基本的な動きに思えました。

ポケカでは「特性」のためだけに入っている「たねポケモン」が多数存在して、《クロバットV》《ネオラントV》などはほとんどの場合、特性専用でわざを使うことは少ないです。
しかし初手に「特性」のためだけに入っている「たねポケモン」しかないとわざが使えず序盤で遅れる原因にもなります。
たねがあったら自動的にキープになるので、自分で初手をマリガンするかを自分の意思では選べません。このマリガンに関しては、自分に選択権があるMTGの方が恋しくなりました。

ポケモンは、出した次のターンから進化カードを重ねて進化出来ます。(先攻でも後攻でも、1ターン目に進化する事は出来ません)
進化したら使えるわざや「特性」もパワーアップして、ゲームを有利に進められます。
メッソン》《ジメレオン》《インテレオン》は、水エネルギーが入っていなくても「特性」で採用されることが多い進化ポケモンです。

新弾パックの《アルセウスV》は、無色エネルギーなのでどのデッキでも採用する可能性があり、なおかつわざのダメージもHPも「とくせい」も強力なポケモンです。人気があるのも納得!
「スターバース」による好きなカード2枚サーチは、MTG経験者からしたら「こんなに強くていいの?ゲーム勝ちでは?」と思う程です。
もしMTGで《悪魔の教示者》を2回使われたら、負けを覚悟しますからね。サーチとドローが強い、これこそがポケカの魅力だと思います。

「ポケモンのわざ」と「サポート」は1ターンにそれぞれ1回しか使えず、「ポケモンのわざ」を使った時点でターン終了になります。
先攻にもドローがあり、先攻が出来ない事は「ポケモンのわざ」「サポート」を使う事です。
後攻なら「ポケモンのわざ」でダメージを与えたり、「サポート」を使う事が出来ます。次は「サポート」について話します。

■サポート

「サポート」は1ターンに1回しか使えず、先攻だとプレイできません。
そのぶん超強力な効果を持つものが多く、MTG経験者からは信じられない性能を持っています。

0マナ3ドロー!?MTGでは強すぎて、ヴィンテージで1枚制限カードの《Ancestral Recall》を超えている!

と思いきや、ポケカでは「サポート」の3枚ドローは弱く、《ガラルの仲間たち》をトーナメントで見かける事はほとんどありません。
驚くべきことに、《ガラルの仲間たち》はポケカでは弱いカードの部類に入ります。

その理由としては、もっと強い「サポート」のドローがあるからです。博士の研究》は1枚制限カード《Wheel of Fortune》と同じ7枚ドローでありながら、デッキに4枚入れる事ができます!
コルニの気合い》は6枚引けますし、《マリイ》なら相手の手札に干渉しながら5枚引けます。

ポケカのドローが強すぎる理由ですが、基本的に「進化」「エネルギー」といったテーマがアドバンテージを失いやすいので、それを補うためにドローが強く設定されているのかなと考えました。
例えば進化したポケモンにエネルギーを3枚付けて、そのポケモンを失ったらカード5枚を損しますが、7枚ドローがある環境なら5枚の損失もすぐに補填できます。
ゲーム性を保つためにドローが強いんだろうなと言うのが、MTG出身の僕の感想です。

他のカードゲームをやっていると、呪文で相手のクリーチャーを除去するのは普通です。しかしトレーナーがポケモンを倒す事は世界観的にあり得ないので、直接の除去ではなく「サポート」が除去に近い働きをします。
あくまでポケモンを倒すのはポケモンのわざなので、相手のベンチのポケモンを狙って倒したいときは、入れ替えカードで呼び出してわざで倒します。
そういう点で、《ボスの指令》は実質ポケカにおける除去だと言えます。どのデッキでも採用される超強力なサポートで、2-4枚が多くのデッキに入っています。

「サポート」は超強力なのですが、1ターンに1回しか使えないので「サポート」ばかりが手札に来ると、上手く手札を使い切れない原因になります。
「サポート」をゲーム中に撃つ回数は3-4回なので、デッキ枚数の10%より少し多い6-8枚が適正なように思えました。

■グッズ

「グッズ」は「サポート」と異なり、1ターンに好きな回数プレイできます。
「サポート」のように先行時のプレイできない制限もありません。なので、いかにグッズでデッキを綺麗に回して行くかがポケカの鍵になって行きます。

ポケカはサーチカードがとても優秀です。ターンにプレイ制限がないので、自分の狙ったポケモンを揃えられます。
特に《クイックボール》《ハイパーボール》は多くのデッキで採用される汎用性の高いサーチです。どちらも手札を捨てるカードではあるのですが、前述の通りポケカは手札を補充する手段が非常に多いので、デメリットもそこまで気になりません。
むしろ狙ったポケモンから最初の動きを出来るメリットの方が、手札を捨てるデメリットよりも大きいのです。
多くのデッキが、「自分のデッキの中心になるポケモン」「それをサーチするグッズ」というデッキ構成をしているので、ポケカを始めるならまずはサーチ系の「グッズ」を揃えるのがおススメです。

ポケモンカードにおける事故(デッキがうまく回らない事)の要素としては、「特性」専用のたねポケモンしか初手にない事が挙がります。
そういった事態を防ぐために、ポケモンを入れ替えるカードは少量採用される傾向にあります。
相手の《ボスの指令》でベンチから引っ張り出されたときに、「にげる」エネルギーを消費せずに入れ替える役割もあります。
この3種類はよく見かけるのですが、それぞれ違った良さがあり、僕自身もどれが良いのかまだわかっていません。自分のデッキ次第です。

わざのダメージを増やしたり、HPを増やすグッズもあります。
例えばHP220の《アルセウスV》を倒したいから、「テクノバスター」の210と《こだわりベルト》30で240狙おうとか、逆にそれをケアして《アルセウスVに《大きなおまもり》を付けてHP250にするなど。

ここはポケカの環境を理解してから調整する枠かなと思います。

■スタジアム

スタジアムはバトル場に1ターンに1枚だけ置くことが出来て、新しいスタジアムが出たら古いスタジアムはトラッシュされます。
既に出ている同名のスタジアムを手札から出すことは出来ません。自分と相手お互いに対して効果が働くものが多いです。
相手のスタジアムをどかす意味でもスタジアムが必要なので、デッキに2-3枚あると便利です。

エネルギーのついたポケモンがトラッシュされると、エネルギーが不足する事があるので、その保険として《トレーニングコート》は便利です。

手札を高速で使い切る事の出来るデッキなら《ローズタワー》もドロー候補です。

「ルールを持つポケモン」の「特性」を失くすスタジアム。
例えばポケモンVやポケモンVMAXはVルールを持っているので、「特性」を無効化できます。
ポケモンVの「特性」に頼ったデッキは多いので、自分がポケモンV以外でデッキを組んだり、「特性」を使い切った後に出すと強いです。
かなり環境に影響を与えているように思えます。

ベンチを4匹に変えるスタジアムもあります。まだ経験が少ないので、強さについてはイマイチ理解していません。

■エネルギー

専用デッキを組むことで、エネルギー2つ分の効果を得る特殊エネルギーもあります。
「いちげき」「れんげき」「フュージョン」などはそのままデッキ名になっている事が多いです。

MTG出身の僕からしたら《ダブルターボエネルギー》は《古えの墳墓》に似て見えて、これは強いと思って発売日に4枚揃えました!
ただこれも《アルセウスV》のように無色2をすぐ使えるポケモンを使う必要があり、どのデッキにも4枚入るわけではないことを知りました。

■デッキを組んでみた:ミュウVMAX

【デッキコード】ng9Ngn-Pma7OX-HnnLgH

最初何も知らない状態で情報収集していたら、《ミュウVMAX》が強いという意見が多かったので、まずは一番強いとされるデッキを組みました。
後攻で《メロエッタ》から《カミツレのきらめき》で《フュージョンエネルギー》をサーチ、手札から《フュージョンエネルギー》を付けると、なんと後攻1ターン目から210ダメージ出ます。
ポケカ初心者の僕でも、後攻で相手のポケモンを一撃で倒したら強いことは理解できます!

ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」でベンチの《ゲノセクトV》の「テクノバスター」を選ぶことにより210ダメージを与えます。
「テクノバスター」は次のターンわざを使えなくなりますが、《ポケモンいれかえ》でバトル場とベンチのミュウを入れ替えて、その後ミュウで「にげる」とミュウの情報が書き換わるので、再度「テクノバスター」を使うことが可能です。最近学びました。
210ダメージのわざに《パワータブレット》《こだわりベルト》を追加する事で、HPの高いポケモンも一撃で倒す可能性があります。

特に《バトルVIPパス》が初手にあったときの爆発力はすさまじく、自分の場にポケモンを並べながら《ゲノセクトV》の「特性」で手札を補充して行きます。
その上でサーチが多く、デッキとしての再現性が非常に高いです。完璧な場と完璧な手札を1ターン目に揃える事もあり、カードゲーム的に強いデッキであることを体感しました。
最高の回りだと1ターン目に場に6体並べながら10枚ドローする事も可能って、信じられる?

このデッキの《ウッウロボ》は必須に思えます。
バトルVIPパス》をサーチからのスタート、および後攻で《フュージョンエネルギー》や《カミツレのきらめき》をサーチしてからの《メロエッタ》210ダメージを手助けしてくれます。
コインが外れると虚無になりますが、それでも手札を捨てる事で《ゲノセクトV》の「特性」で手札を回して行けるのでデッキに噛み合っています。
ウッウロボ》という強力なサーチの存在により、デッキに1枚差しのスタジアムなどにも意味が出てきます。

ミュウVMAX》はポケカにしては珍しく、高価なデッキです。デッキの値段の大半を《ウッウロボ》が占めています。外出できない時期に配布されたプロモなのが理由だそうです。
普段からポケカを遊んでいる方からしたら、《ウッウロボ》は値段が高すぎると感じるかも知れません。
ただMTGの場合は一線級のデッキに敏捷なこそ泥、ラガバン》(10000円)が4枚入っており、僕はMTGに慣れ過ぎていて買うことに抵抗がありませんでした。

ダメージを-20する「特性」により、ポケモンの耐久性を上げます。
たまに《ミュウVMAX》の「クロスフュージョン」から「じょうねつのしずく」を使うことで、相手のベンチのHPの低いポケモンを狙う事もあります。

ミュウVMAX》のデッキを組むにあたって、シャロンさんの動画がかなり参考になりました。感謝。

■おわりに

上記のカードはヴィンテージ1枚制限ですが、ポケカの基準からしたらおそらく弱い方です。
MTGプレイヤーからしたら信じられないほどドローが強い!サーチが強い!

ドローとサーチが強い影響で、1枚差しのカードでもゲーム中にアクセスできる事が多く、「すべて4枚!」よりは「状況に合わせた1枚差しを複数入れる!」デッキ構築の方が良いように感じています。

感覚としてはMTGのレガシーやヴィンテージに近くて、サーチを駆使してデッキ60枚全体で戦うイメージです。しかし重要なカードがサイド落ち(最初のサイド6枚に含まれる)する可能性もあるのが怖い!こればかりは自分でどうしようもないので仕方なし。

しばらくMTGのトーナメントが無く「神河:輝ける世界」の発売も少し先なので、今回は他のカードゲームに触れてみる記事でした。
特にドローとサーチが強いレガシーやヴィンテージや、1枚差しデッキの統率者戦が好きな方には、ポケカがおすすめできます!

カードラッシュのポケカも見てね。

次回はMTG記事に戻ります!
それではまた。

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