MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【MRL#4 -スタンダート使用デッキの変遷-】
先週末にライバルズリーグ#4が行われました。
フォーマットはスタンダードで、今回はデッキの種類がかなり多く難航し、毎週メタゲームが移り変わっていました。
提出期限3時間前にデッキを変更したりと大慌てでしたが、それまでの思考過程を記していきます。
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■スゥルタイ根本原理
・戦績
〇グルールアドベンチャーt青
×イゼットドラゴン
〇グルールアドベンチャーt青
×ディミーアローグ
×白単アグロ
〇グルールアドベンチャーt青
3-3
・デッキ使用理由
→環境初期でなるべくカルドハイムのカードを多く使ったデッキを使いたかった事と、7マナでゲームに勝つのはかなり安価なマナコストに感じた事。
→アドベンチャーデッキにはクロックが遅く《出現の根本原理》に干渉できないため特に有利で、マナブーストからの《影の評決》《絶滅の契機》でもイージーウィン。
→《星界の大蛇、コーマ》は《無情な行動》デッキ以外に対して強く、根本原理に匹敵する制圧力がある。
・デッキの弱点
→「マナブースト」「除去」「必殺技」に特化したデッキなので、「必殺技」を対処されると脆い。特に《神秘の論争》。
→2マナ域の不足。特に後手時は《無情な行動》《取り除き》を8枚取らないと初手キープが難しく、かと言ってメインデッキに除去を増やしすぎるとミラーマッチで弱くなるジレンマ。
→《海の神のお告げ》《耕作》は初手をキープする基準ではあるが、盤面に干渉できないためアグロに対してマナパスに近い事がありライフ喪失が大きい。
→この頃に台頭してきた白単アグロの《傑士の神、レーデイン》が苦手。《無私の救助犬》に守られた状況だと、マナコストを増やす効果がかなりキツイ。
→高マナコストが多いことによる初手の不安定性。
《神秘の論争》に弱いこと、2マナ域の不足、序盤の盤面形成が弱いことから、意識されて尚勝てるほどのデッキパワーはないと判断しました。
■ディミーアローグ
2/19 セカコロ1次予選 「ディミーアローグ」 | |
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デッキリスト | |
4《マーフォークの風泥棒/Merfolk Windrobber》 4《盗賊ギルドの処罰者/Thieves’ Guild Enforcer》 3《遺跡ガニ/Ruin Crab》 4《空飛ぶ思考盗み/Soaring Thought-Thief》 2《取り除き/Eliminate》 3《無情な行動/Heartless Act》 2《神秘の論争/Mystical Dispute》 2《心を一つに/Of One Mind》 2《無礼の罰/Didn’t Say Please》 2《アガディームの覚醒/Agadeem’s Awakening》 4《物語への没入/Into the Story》 3《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》 3《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome》 4《清水の小道/Clearwater Pathway》 4《寓話の小道/Fabled Passage》 1《ロークスワイン城/Castle Locthwain》 5《島/Island》 4《沼/Swamp》 |
サイドボード 2《塵へのしがみつき/Cling to Dust》 2《死の重み/Dead Weight》 2《否認/Negate》 3《スカイクレイブの影/Skyclave Shade》 1《神秘の論争/Mystical Dispute》 2《激しい恐怖/Crippling Fear》 2《凪魔道士の威圧/Lullmage’s Domination》 1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》 |
・戦績
〇白単アグロ
〇ディミーアローグ
〇赤単アグロ
×赤単アグロ
〇白単アグロ
4-1
・デッキ使用理由
→白単アグロに対して有利。《遺跡ガニ》《空飛ぶ思考盗み》のタフネス3が強く、軽い除去が多いので手数差でも負けない。白単は《夢の巣のルールス》を除去出来るカードが少なくルールスがゴールになりやすい。サイド後の《激しい恐怖》で盤石。
→打ち消し呪文が多くスゥルタイ根本原理に対して有利。
・デッキの弱点
→カルドハイムからの新しいカードがほとんどないため、デッキとしての性能は前環境から変わっていない。周りのデッキが強化されている事を考えるとパワーダウンと言える。
→軽い除去が多く《灰のフェニックス》《アゴナスの雄牛》等の脱出クリーチャーが入った相手がとても苦手。前環境でグルールに不利だったのもこれが原因。赤単に2:8、グルールに3:7の相性。
→強いデッキではなく、ポジションデッキという印象。軽い除去や脱出カードが少ない相手にはとても有利だが、11試合で色んなデッキタイプと当たるリーグ戦には向いていない。
相性が良い所にはとことん強いですが、赤単とグルールを乗り越えられないため断念しました。
■グルールアドベンチャー
2/20 SCG Tour Online – Satellite #5「グルールアドベンチャー」 | |
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デッキリスト | |
4《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper》 4《山火事の精霊/Brushfire Elemental》 2《漁る軟泥/Scavenging Ooze》 4《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》 4《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》 2《傷頭のアーニ/Arni Brokenbrow》 2《探索する獣/Questing Beast》 2《火の予言/Fire Prophecy》 2《アクロス戦争/The Akroan War》 3《グレートヘンジ/The Great Henge》 3《エンバレスの宝剣/Embercleave》 4《髑髏砕きの一撃/Shatterskull Smashing》 4《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》 4《寓話の小道/Fabled Passage》 4《山/Mountain》 8《森/Forest》 |
サイドボード 1《火の予言/Fire Prophecy》 3《魂焦がし/Soul Sear》 3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》 2《萎れ/Wilt》 2《怪物の代言者、ビビアン/Vivien, Monsters’ Advocate》 2《解き放たれた者、ガラク/Garruk, Unleashed》 2《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》 |
・戦績
〇ラクドスサクリファイス
×ナヤアドベンチャー
〇ディミーアローグ
×ナヤアドベンチャー
×白単アグロ
2-3
・デッキ使用理由。
→《砕骨の巨人》《恋煩いの野獣》は序盤のマナカーブを埋めてどの相手にも強い。《エッジウォールの亭主》は1マナ1ドローした上に相手に除去を強要する。スタンダードを定義するのはこの3枚であり、黒の2マナ除去よりもアドベンチャーセットの方が安定性がある。
→赤単や白単が増えるなら、前環境と同じく《グレートヘンジ》を軸にした、除去や《アクロス戦争》多めのグルールが良さそうと判断
→スゥルタイ根本原理の速度に対抗するため速攻クリーチャー多め。自分がスゥルタイ根本原理の時も速攻に良く負けた。
・デッキの弱点
→カルドハイムからの新しいカードがほとんどないため、デッキとしての性能は前環境から変わっていない。周りのデッキが強化されている事を考えるとパワーダウンと言える。
→ナヤアドベンチャーはデッキの性質が似ているが、相手だけ《巨人落とし》で除去してくる上に《スカルドの決戦》で長期戦に強い為4:6で不利。
→白単に《巨人落とし》《スカイクレイブの亡霊》と2種類の除去があるため、なかなか《グレートヘンジ》が定着しない。飛行も止めにくく、白単に4:6で不利。
→除去が火力頼りなため、サイズの大きいクリーチャーに苦戦する。《無私の救助犬》→《光輝王の野心家》という動きに対応できないし、《歴戦の神聖刃》→《スカイクレイブの大鎚》にも対応できない。相手が先攻時の《恋煩いの野獣》も除去できない問題がある。
→スゥルタイ根本原理を倒すためには速攻の《傷頭のアーニ》《探索する獣》を入れると、今度はアドベンチャー系統に弱くなる矛盾。速攻2種類は《砕骨の巨人》《恋煩いの野獣》に対してあまり強くない。
クリーチャー除去を入れすぎるとスゥルタイ根本原理に不利になり、速攻クリーチャーを入れすぎるとアグロに不利になる。
相手によって強さが上下するものが多いのでどっちかに寄せる必要があり、不自由なカード選択を選ばされるデッキの印象を受けました。
■ナヤFury
・戦績
セカコロ平日予選
2021/2/2
2021/1/2
0-2
・デッキ使用理由
→リーグは赤単と白単、そしてアドベンチャー系でアグロデッキが多いはず。それなら相手の《恋煩いの野獣》を《巨人落とし》出来て長期戦にも強いナヤがベスト。
→相手の除去に弱くなり事故の原因にもなる《憤激解放/Unleash Fury》は少な目に。《群れの番人》と相性が良くクリーチャーデッキ全般に強い《アクロス戦争》を信頼。
デッキリスト提出3時間前までは「ナヤ最強!ナヤに決定!」と考えてサイドボーディングまで考えていたのですが、ここで問題が発生します。
同じ調整チーム熊谷陸さんの「ティムールアドベンチャー」と練習したところ、連敗に次ぐ連敗。ナヤはティムールに全く勝てない!?
・デッキの弱点
→4マナと5マナのカードが中心のため、打ち消し呪文に対して弱い性質がある。デッキの大半が3マナ以上なため、《黄金架のドラゴン》を打ち消されると複数アクション出来ない。
→4マナと5マナのカードが中心のため、《厚かましい借り手》のバウンスにも弱い。《スカルドの決戦》をバウンスされても手札を使い切れない。
→スゥルタイ根本原理に不利。もともとグルールの速攻クリーチャーでも間に合わなかったのに、それより遅いクロックでは太刀打ちできない。
→《憤激解放》を減らしたことで勝ちきれないデッキになっておりセカコロの勝率もそれを表している。デッキを悪い方向に調整している可能性が高い。
ティムールとの違いは打ち消し呪文と《厚かましい借り手》による行動回数の差でした。
敗因と思考をまとめて行くうちに、ティムールが僕の求めていた全てを持っている事に気づき、ここで急遽デッキを変更します。
■ティムールアドベンチャー
・戦績
〇Kenta Harane(4色Doom)
×Brent Vos(ナヤFury)
〇Ryuzo Fujie(ナヤFury)
〇Lucas Esper(グルール)
〇Shintaro Ishimura(スゥルタイローグ)
〇Alexander Hayne(ディミーアローグ)
〇Mike Sigrist(白単)
〇Joel Larsson(赤単)
×Jakub Tóth(スゥルタイ根本原理)
〇Yoshihiko Ikawa(4色Doom)
×Kowalski, Grzegorz(サイクリング)
8-3
・デッキ使用理由
→《砕骨の巨人》《恋煩いの野獣》は序盤のマナカーブを埋めてどの相手にも強い。《エッジウォールの亭主》は1マナ1ドローした上に相手に除去を強要する。スタンダードを定義するのはこの3枚であり、黒の2マナ除去よりもアドベンチャーセットの方が安定性がある。
→グルールが改善できなかったサイズの大きいクリーチャーへの対処を《厚かましい借り手》が改善している。白単の破壊不能や、《エンバレスの宝剣》のついたクリーチャーにも対処出来て、《アクロス戦争》《予言された壊滅》のターンもずらす事が可能。
→環境で4-5マナの呪文が中心になってきたことで、打ち消し呪文が強くなっている。スゥルタイ根本原理への相性が、他のアドベンチャー系に比べて大きく改善。
・デッキの弱点
→マナベースが不安定で、青青赤赤緑緑と全てのダブルシンボルが要求される。この不安定さを解消するために、両面合わせて合計31枚の土地。
→リソースを取り返す手段が少ないため、適切に使わないとすぐに手札が枯れる。インスタントを上手く使って攻撃出来るターンを増やすことで、リソースを使い切ってダメージで勝つデッキ。
《襲来の予測》《神秘の論争》といった打ち消し呪文は1マナ2マナの多い環境ならサイドアウト筆頭ですが、4-5マナの呪文が中心の環境ほど輝きます。
白単には打ち消しは弱いですが、赤単は《鍛冶で鍛えられしアナックス》《朱地洞の族長、トーブラン》が中心のデッキなので《襲来の予測》も悪くない。
もともと安定していたアドベンチャー軸に加えて、打ち消し呪文と《厚かましい借り手》が「《出現の根本原理》《影の評決》を打ち消せる」「サイズ関係なく対処できる」と、青の呪文がグルールやナヤの弱点を補っています。
追加ターンを得る《アールンドの天啓》はカードの性質としては《エンバレスの宝剣》に近く、最後のライフ押し込みをするカードです。
特に強いのはアドベンチャー同型対決で、実質10点以上の追加ダメージを与えるカードになります。ナヤがティムールに勝てない一番の理由は《アールンドの天啓》に干渉できないからです。
ただ、青いカードのため《神秘の論争》されやすく、初手をマリガンする理由にもなる重いカードなので、赤単白単ローグなど、サイドアウトする事も多いです。
《黄金架のドラゴン》や《空飛ぶ思考盗み》、《スカイクレイブの大鎚》を装備したクリーチャーや《傑士の神、レーデイン》を除去できます。
1マナの《巻き添え》で相手の3マナ以上と交換出来れば、そのまま行動回数の差で勝因になりやすいカードです。
ディミーアローグには相手の《遺跡ガニ》をほぼ除去できず、《黄金架のドラゴン》《アールンドの天啓》など重いカードが打ち消しに弱いため不利です。
そのためサイド後は重いカードを減らして軽く動けるように、大きくサイドインします。
《運命の神、クローティス》《アゴナスの雄牛》はローグへの相性改善しつつ、コントロールデッキに対しても併用できるのでかなり信頼しているサイドボードです。2枚と3枚がおススメ。
対ローグ
1《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon》
1《襲来の予測/Saw It Coming》
1《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
1《カザンドゥのマンモス/Kazandu Mammoth》
2《グレートヘンジ/The Great Henge》
3《アールンドの天啓/Alrund’s Epiphany》
↓
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
3《アゴナスの雄牛/Ox of Agonas》
2《巻き添え/Run Afoul》
2《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》
■おわりに
That's a wrap! We have standings after this second Kaldheim #MTGLeagueWeekend.
See you next month for more Magic! pic.twitter.com/WGA8KqwDJD
— PlayMTG (@PlayMTG) March 1, 2021
強豪あつまるリーグ戦を8勝3敗で終える事が出来て、現在の順位は7位タイ。
3月末に行われる「カルドハイムチャンピオンシップ」で上位に入ればMPL昇格も見えてくる位置にいるので、引き続き練習を積んでいきます。
それではまた。