MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【2020年7月禁止改定】
Hi,
先日禁止改定が発表され、各フォーマットにそれぞれ変化が起こりました。
それにより評価の変わるカードも増えてメタゲームも変わって行きます。今回はその思考過程を伝える記事です。
禁止改定(※イゼ速より引用)
禁止制限告知:ヒストリックにて《運命のきずな》が禁止、モダンにて《アーカムの天測儀》禁止、パイオニアで《ニッサの誓い》解禁など
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■ヒストリック
《運命のきずな》禁止
《裏切りの工作員》禁止
《軍団のまとめ役、ウィノータ》禁止
《創案の火》禁止
《炎樹族の使者》一時停止
最近のヒストリックの実情としては、グルールアグロとシミックネクサスの2強環境でした。
1ターン目《ラノワールのエルフ》→複数の《炎樹族の使者》→《グルールの呪文砕き》は2ターン目に投了が発生するブン回り。
グルールを倒すために除去沢山のデッキを使うと、無限ターンコンボのシミックネクサスにボコボコにされると言う顛末。この2つは使用率もトップで、妥当な禁止に思えます。
《創案の火》《裏切りの工作員》でジェスカイルーカにも歯止めをかける内容で、ヒストリックの禁止方針は「過去にスタンダードで強かったデッキがそのまま強い」事を防ぐものに見えますね。
《運命のきずな》が禁止になったことで、フィニッシュ手段は《発展+発破》になる可能性あり。スタンダードのティムール再生でもそのまま行けそう。
■パイオニア
《ニッサの誓い》解禁
クリーチャーと土地を補助する、緑のドロー呪文。1マナと軽く使えるデッキが多い為、4枚揃えるのにお勧めのカードです。
0マナで5枚見る《むかしむかし》は強過ぎて他のフォーマットでも禁止ですが、3枚見る《ニッサの誓い》は強さとして適正と判断されて帰ってきました。プレインズウォーカーも探せる点は《むかしむかし》には無いメリット。
《集合した中隊》もそうですが、こういった「上X枚を見る」カードの性質としてはデッキ構築の段階でX枚が外れない程度入れる必要があります。《ニッサの誓い》で持ってこれるカードは最低でも40枚くらいは必要。
参考データとしてかつて《ニッサの誓い》入り4色サヒーリがスタンダードだった頃は、クリーチャーと土地とプレインズウォーカーの合計が45枚で割合は75%でした。
(《ニッサの誓い》《霊気との調和》《蓄霊稲妻》《チャンドラの誓い》の15枚が外れ)
《ニッサの誓い》解禁で他にどんな影響があるか考えて行くと、
《ニッサの誓い》解禁でまず考えられるは緑単信心の復活でしょう。緑マナシンボルで信心を稼ぎつつ、キーカードの《ニクスの祭殿、ニクソス》《世界を揺るがす者、ニッサ》へのアクセスが簡単!
もともとパイオニア初期に緑単が勝ち過ぎたことで禁止された側面があります。序盤はマナクリーチャーや足りない土地、中盤はプレインズウォーカーといつ引いても嬉しい。
《時を解す者、テフェリー》で《ニッサの誓い》を戻しても嬉しい。《ニッサの誓い》のプレインズウォーカーへの色マナサポートで多色デッキでも出しやすいです。
伝説のエンチャントで2枚目以降が墓地に行くため、《隠された手、ケシス》の能力起動にも役立ちます。この組み合わせは強すぎる可能性があり、次パイオニアに出るなら是非試したい。
伝説のエンチャントで2枚目が墓地に行くので、《夢の巣のルールス》で再利用もできます。もちろん《空を放浪するもの、ヨーリオン》でブリンクしても良し。
また、エンチャントが墓地に行く事で昂揚の条件を満たしやすくなります。
■モダン
《アーカムの天測儀》禁止
モダンは多色化し過ぎるとフェッチランド+ショックランドのダメージが増えすぎてアグロに弱くなります。
そのため4色5色デッキは組みにくかったのですが、多色化しつつショックインせずにライフを安全圏に保てる《アーカムの天測儀》はその常識を覆しました。
色の定義を破壊するカードであり、モダン禁止は妥当であるように思えます。レガシーでも禁止説は出ていますが、《渦まく知識》《思案》と比較するとドロースペルの方が強いのでレガシーは許容範囲かなと。
アーティファクトであるため《湖に潜む者、エムリー》を軽減し、《最高工匠卿、ウルザ》でマナを生み出す器用さ。
《豊かな成長》と合わせて1マナ1ドローを《空を放浪するもの、ヨーリオン》で使いまわすバントコントロールも最近の流行でしたね。
これらは全て《アーカムの天測儀》がデッキの中心パーツと言える存在だったため、今のままでのデッキタイプ存続は難しいと思います。《オパールのモックス》も奪われアーティファクトデッキは憂き目。
《アーカムの天測儀》は氷雪パーマネントでもあったので、禁止により《氷牙のコアトル》が2ターン目に接死を持つことも出来なくなりました。特に後手だとこの接死の有無は大きい。
今後は氷雪コントロールは無理な多色化(4-5色)はせず、バントかティムールの3色になりそう。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に毎ターン土地を供給する《レンと六番》がある分、ティムールに可能性を感じています。
実質解禁宣言に近いかも知れません。
《アーカムの天測儀》は基本地形ベースかつ好きなマナを出すため、モダンで《血染めの月》を見ることはかなり減っていましたが、禁止後なら再評価の対象。
もともとモダンはウルザトロン等の特殊地形が強い環境なので、相手によっては《血染めの月》《月の大魔術師》だけで完封するゲームもあります。
再びモダンで《血染めの月》で何もできず負ける事も起こるでしょう。《血染めの月》は自分のデッキ構築やフェッチのタイミングが悪かったと考えさせてくれる良いカード。
2ターン目《血染めの月》でモダンの洗礼を浴びせて行け!
■パウパー
島を他に3つコントロールしていたらインスタントソーサリーをデッキトップに。自身も島であるためフェッチランドからサーチ可能で、レガシーでも《終末》をデッキトップに積んで再利用と活躍中。
土地でありながら呪文一つ分の価値があり、尚且つアンタップインで、これ以上強く作れないほど強力な土地。なぜ島にしてしまったのか。
どちらも効果で土地を戻すカードですが、《剥奪》は《神秘の聖域》を回収して毎ターン打ち消し。《悲劇的教訓》は毎ターンドローでマナフラッド回避。
コモンのみのフォーマットであるパウパーは基本的にアドバンテージを稼ぐ手段が少なく、青コントロールはマナフラッドに陥りやすい欠点がありました。
そのマナフラッドの欠点を《悲劇的教訓》はカバーしており、《剥奪》のループでロック状態に持ち込むことが出来ます。《神秘の聖域》禁止は妥当。
モダンでもお馴染みのウルザトロン。
パウパーでもトロンの爆発的なマナ加速から《熟考漂い》《記憶の壁》を明滅してアドバンテージを稼ぐ青トロンが一大勢力でした。
この《探検の地図》禁止は《神秘の聖域》禁止によりトロンが最強になることを考えての配慮に思えます。
しかし、《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》が禁止されたわけではないので、青トロン自体は存続していくと予想しています。
実は最近のセット2つで、青トロンを強化する新規カードが増えていました。
《眷者の装飾品》は統率者2020収録。無色から好きなマナを生み出し、後半はドローに変わるのでトロンに最適のカードです。ラッシュでも現在90円で販売中!
そして《興隆する島嶼》はJumpstartに収録。青トロンはメインカラーは青ですが、前述の《眷者の装飾品》と《予言のプリズム》で好きなマナを生み出せるため各色の強力なカードをタッチしています。
多色化に貢献する《興隆する島嶼》で除去や《紅蓮破》なども使いやすく、ゆっくり盤面を除去しながらトロンを揃えるコントロールデッキに変化していくでしょう。
■おわりに
特に《ニッサの誓い》解禁は新しいデッキがいくつか生まれてきそうでとても楽しみ!また4色ケシスコンボのマナベースに頭を悩ませる日が来るとは。
禁止改定はネガティブな印象を受けやすいものですが、僕としては新しいゲーム環境で思考を広げてくれるので肯定的に捉えています。
新デッキ考えて行きましょう。
それではまた。