MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【再録禁止カードについて】
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今回は再録禁止カードについて語る記事です。
※記事内の価格は2020年7月時点、状態がニアミントを想定したものです。
※記事内紹介カードのカードラッシュ通販店での取り扱いについて、一部在庫調整のため価格を99999と表示しているものがございます。
あらかじめご了承ください。
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■再録禁止カードとは
アルファからウルザズ・ディスティニーまでに収録されたカードが対象。
再録禁止に指定されたカードの再録と、それらとカード・タイプ、サブタイプ、能力、マナ・コスト、パワー/タフネスのすべてが一致するカードの印刷を禁止する。
現在の再録禁止カードリストが今後更新される予定は無いと発表されている。
これはかつて第4版やクロニクルが発売されたときに、再録することでシングルカードの価格が暴落する可能性を無いとアピールするために作られたものだと言われています。
再録禁止カードの中には《Black Lotus》のようにマジックを代表するカードもあれば、《Wood Elemental》(4マナ0/0+デメリット)のようにとんでもなく弱いカードもあります。
しかし再録禁止リストのカードは今後増産される事は無く、需要の高いものは年々価値を増しています。
なぜこのカードが高いのか、どんなものに値段が付いているのか。
この記事では強さやコレクター的観点からランクを付けつつ、再録禁止カードについて解説して行きます。
再録禁止カード一覧(MTG公式サイト)
禁止カード・制限カード一覧(MTG公式サイト)
■Sランク
Sランクはこれの上位互換を作るのが不可能な程に強力で、それぞれがデッキの核になるようなカードです。
レガシーやヴィンテージで良く見かけて、毎年10%から20%ほどは値上がりしています。
パワー9
1マナで3枚引く《Ancestral Recall》、2マナで追加ターンを得る《Time Walk》、3マナでお互い7枚ドローする《Timetwister》。
0マナから3マナを生み出す《Black Lotus》、0マナで1マナを生み出す《Mox》シリーズ。
マジックが黎明期だった頃に作られた、明らかに壊れたカードパワーを持つ9枚を総称してパワー9と呼びます。アルファ、ベータ、アンリミテッドの最初の3つのエキスパンションにのみ収録。
すべて再録禁止カードに指定されており、今後これらを超える性能のカードが作られる事はまず無いと考えて良い、マジックを象徴する9枚と言えます。
白枠のアンリミテッド版は《Ancestral Recall》《Time Walk》が40万円ほど、《Mox》シリーズは青→赤→黒→緑→白の順で高く、30万から50万円。
パワー9でも最も有名な《Black Lotus》は毎年10-20%ずつ値上がりしており、マジックを知らない人でも投資対象として購入するという話を聞いたことがあります。アンリミテッド版の《Black Lotus》は2020年現在で100万円ほど。
また《Timetwister》はパワー9のうち唯一、統率者で使用可能です。統率者の人気により需要が高まり爆発的な値上がりを見せて、だいたい1年に10万円ずつ上昇しています(2017年10万円→2018年20万円→2019年30万円→2020年40万円)
これからパワー9を集める人は《Black Lotus》→《Timetwister》の順で集めることをお勧めします。
デュアルランド
アンタップ状態で場に出て2点のライフを要求することもなく、フェッチランドからサーチすることが出来る2色土地、通称デュアルランド。
これ以上強く作るのは難しい2色土地の最高峰と言える性能で、これらも全て再録禁止カードに指定されています。
デュアルランドが使えるフォーマットは《渦まく知識》《思案》《意志の力》により青が強く、青絡みのデュアルランドはどれも高価格を維持しています。
デュアルランドの中でも価格のトップは《Underground Sea》《Volcanic Island》。どちらもリバイズド版が6-7万円ほどの価値。
レガシーやヴィンテージなどの下環境になるほどコストの軽い呪文が求められるため、サーチや手札破壊の多い黒、《紅蓮破》《稲妻》擁する赤の需要が大きく、そのまま価格に反映されています。
最近では《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《氷牙のコアトル》によりレガシーでも青緑ベースのデッキが増え、その影響により《Tropical Island》が急激な高騰を見せて、現在はリバイズド版が5-6万円ほどの価値になっています。
高騰したトロピの反面、青絡みであるにも関わらず値段があまり高騰しないのが《Tundra》。これは《Tundra》を使うデッキが青白奇跡のように基本地形ベースな事が多く、《Tundra》が入っても1枚程度なため需要が少ないことが理由です。それでも3万円を維持しています。
昔は安かった《Badlands》も値上がりしており、今では《Bayou》と同様に3万円。赤黒リアニメイトやホガークなどの墓地デッキが活躍していることも理由でしょう。
今からデュアルランドを買ってレガシーに参入したいのなら、《Volcanic Island》→《Tropical Island》→《Underground Sea》の順で購入すると使えるデッキも多いのでお勧めです。
Bazaar of Baghdad
タップするとカードを2枚引き3枚捨てる、マナの出ない土地。
普通に使うとアドバンテージを失うだけですが、「発掘」を持つカードと組み合わせる事により1回の起動で10枚以上墓地が貯まります。また、起動で3枚捨てるため《虚ろな者》も1ターン目に0マナで出ます。
《Bazaar of Baghdad》は1枚18万円ほどですが、これ4枚さえ揃えてしまえばヴィンテージのTierデッキである「ドレッジ」が組めるため、パワー9全部を揃えるよりもハードルが低いです。ヴィンテージの初期投資には一番おすすめ。
高いですが統率者でも使えるので、墓地を使うデッキなら1枚欲しいですね。(1枚買った人は4枚買います。経験談)
Mishra’s Workshop
アーティファクト呪文専用の3マナを生み出す土地。
アーティファクト専用のデッキ構築が必要ですが、それでも1枚で3マナ生み出す能力はあまりにも強力。継続して使える点で、マナ効率は《Black Lotus》を超えます。
《Mishra’s Workshop》と《Bazaar of Baghdad》は同じくらいの値段で、1枚18万円ほど。
《Mishra’s Workshop》《Bazaar of Baghdad》はどちらも4枚使うカードなので、今後も毎年20%以上は値上がりするカードだと考えています。
これも統率者で使えます。アーティファクトのジェネラルなら高速召喚できますし、マナアーティファクトを高速で出しても強いから1枚欲しい!
■Aランク
Aランクは統率者の人気カードだったり、レガシーのデッキに複数枚入るようなカードです。
唯一無二の効果が多く、上位互換を作るのが難しいものを選んでいます。
通常のアンタップ・ステップでアンタップせず、自分のターンを飛ばす事でアンタップするアーティファクト。
タップすると追加ターンを得る事が出来るので、《多用途の鍵》《通電式キー》と組み合わせると合計4マナでお手軽に無限ターンを得ることが出来ます。
ただヴィンテージ制限・統率者禁止なので1枚しか使わず、ヴィンテージでもデッキを選ぶカードなので値上がりスピードは緩やか。アンリミテッド版は現在9万円。
全てのプレイヤーが手札を捨てて7枚引く赤のドロー呪文。《Timetwister》同様に統率者で禁止されておらず、赤のジェネラルならほとんど入る強力なカードです。
《Timetwister》と異なり《Wheel of Fortune》はリバイズドにも収録されているため、リバイズド版はお手頃価格で2017年には5000円程度でした。
しかし統率者の需要により値段が一気に跳ね上がり、現在はリバイズド版でも2万円ほど。改めて統率者需要の凄さを実感しますね。今後も値上がりが続くカードだと考えています。
2マナで場に出ているアーティファクトのコピーになる効果。
統率者では《魔力の墓所》《太陽の指輪》はどのデッキでも標準装備しているので、それらをコピーしてマナ加速します。
これも《Wheel of Fortune》同様にリバイズドまでの収録で、2017年には1500円程度でした。統率者での需要で大幅な値上がりを見せており、2020年には4500円と3倍の値段になっています。
青い統率者のデッキにはほとんど入る良いカード。
アンティキティー収録、アーティファクトコンボ用のカード。
《Power Artifact》アーティファクトの起動方能力のコストを2マナ減らす効果。《厳かなモノリス》《玄武岩のモノリス》にエンチャントすることで無限マナを生み出せます。
《Transmute Artifact》はアーティファクトを生贄にして、ライブラリーからアーティファクトをサーチする効果。サーチ対象が生贄よりも重かった場合はその差分のマナコストを支払います。
《修繕》は強すぎて統率者で禁止なため、アーティファクト主体のデッキなら《Transmute Artifact》を入れることが多いです。
これらも統率者需要により爆上がりしていて、現在は両方とも2万円します!5000円で買えた頃が懐かしい。
手札が7枚ちょうどの時にタップすると1ドローできる土地。無色マナも出ます。
後攻1ターン目なら起動条件を満たしており、手札枚数を上手く調整すれば毎ターンドローも簡単。かつてはパワー9に《Library of Alexandria》を加えてパワー10と呼ばれたこともあるほど強力な土地です。
レガシー禁止、ヴィンテージ制限、統率者禁止なので持っても1枚のカードであり、値上がりスピードは緩やか。現在15万円ほど。
お互いのプレイヤーが順番にパーマネントカードを出し続けるソーサリー。
どんな重いカードもマナコストを無視できるので、レガシーで《実物提示教育》と組み合わせて《全知》を出すコンボデッキで使われています。《Eureka》はプレインズウォーカーも手札から出せるのが《実物提示教育》との違い。
現在は5万円ほど。
ザ・タバナクル・アット・ペンドレル・ヴェール、通称「名前が長い土地」です。
すべてのクリーチャーに「アップキープに1マナ払わないと破壊する」能力を与える土地で、低コストでクリーチャーを並べる相手に対して絶大な効果を発揮します。
特にヴィンテージの「ドレッジ」は0マナでクリーチャーを大量展開するので、それに対して劇的に刺さります。レガシーでも《輪作》からのサーチ用に土地単が採用しています。
伝説の土地でありマナも出ないため、ほとんどの場合はデッキに1枚しか入れない事が多く、値上がりスピードは緩やかで現在20万円。
しかしヴィンテージの「ドレッジ」対策でとても優秀なため、最近はサイドボードに2-3枚入れたリストを見かけるようになりました。僕も泣く泣く2枚目を買いました。
■Bランク
Bランクは「レガシーで少数見かけるカード」「古くてコレクション性の強いカード」「たまに統率者で見るカード」です。
アップキープにパワーが最も低いクリーチャーを破壊して再生不可。場にクリーチャーが1体もいないと、《Drop of Honey》を生贄に捧げます。
珍しく緑のクリーチャー除去であり、対象を取らないためプロテクション(緑)も関係なく破壊できます。レガシーでも《真の名の宿敵》対策としてサイドボードで採用された経歴があります。
しかし《真の名の宿敵》の使用率が落ちたことで見ることが減り、一時期高騰して9万円しましたが現在は値段も落ち着いて5万円ほど。
アップキープに自分に1ダメージを与える4マナ5/5。昔のマジックはクリーチャーが弱かったため、《暗黒の儀式》から2ターン目に出てくる《Juzam Djinn》は黒のエースでした。
カードの単体性能は現代スペックではないので、単純に絵がカッコいいという理由で値段が付いています。古いカードのみのフォーマット「Old School」で使われているのも高い理由の一つです。
現在は約12万円。
XマナとタップでX個の土地をアンタップするアーティファクト。約7万円。
2マナ以上生み出す土地を起こせばマナ加速になります。かつてレガシーで《High Tide》《時のらせん》と組み合わせたコンボデッキもありました。
飛行を持たないクリーチャーが攻撃できなくなるエンチャント。約6万円。
昔のレガシーではナヤカラーのアグロデッキ「Zoo」対策として需要が大きかったです。しかし今では「Zoo」はほぼ存在せず、近年のカードパワー上昇と共に《Moat》を見ることはめっきり減りました。
かつて高かったカードですが、残念ながら最近はあまり使われていません。
各プレイヤーのアップキープにアーティファクトでないクリーチャーを破壊して再生不能にするエンチャント。一時期は10万円以上に高騰しましたが、今は落ち着いて約7万円。
《Drop of Honey》と違い自壊能力も無いので、延々と破壊し続けます。多人数戦に向いた能力なので今後値上がりのチャンスはあると思います。
長くてややこしい能力ですが「通常のドローステップ以外でカードを引いた場合、手札を1枚捨ててから1枚引く。手札が0枚ならライブラリーを1枚削り、カードは引けない」です。
つまりカードを複数枚引く《渦まく知識》などを無効化する効果があります。黒単色であり2マナという軽さから、手札破壊デッキで使用されることがあります。
デッキを選ぶカードなので、値上がりはスピードは緩やかで現在約7万円。
全ての呪文は追加で3マナを支払わないと打ち消されるエンチャント・ワールド(ワールドを持つパーマネントは場に1枚しか存在できません)
レガシーで手札破壊を主体にしたデッキで、相手の手札を空にした後にゲームをロックする役割で1-2枚入っています。
3マナも増えたらほとんどの呪文は打ち消されてしまうので、お互い何も出来なくなるような状況を作るカードです。自分はその間に《ミシュラの工廠》などの土地で攻撃するのが主な勝ちパターンです。
ただ「打ち消す」テキストなので、《魂の洞窟》に致命的に弱いと言う弱点があります。約5万円。
自分のクリーチャーを追放することで貯蔵カウンターを1つ置き、貯蔵カウンターの数だけマナを生み出す土地。
追放なので生贄シナジーが出来ないのが残念ですが、トークンを多く用いるデッキなら大量マナを生み出す事が出来ます。《初子さらい》などと組み合わせても良し。
統率者向けの能力で、じわじわと需要を伸ばして現在2000円。ザ・ダークのマイナーなカードなので売っている事が少なく、見かけたら買うと良いと思います。
昔らしい、ホラー映画のようなイラスト。
累加アップキープコストで自分のライブラリーを追放。自分のライブラリーを1枚削るごとにダメージを1点軽減するエンチャントで、ライブラリーをライフのように扱うことが出来るエンチャントです。
能力によりライブラリーを好きなだけ削ることが出来るため、《タッサの神託者》との相性は抜群。6マナの2枚コンボでゲームに勝利します。
また初期ライブラリーを300枚にすることで鉄壁の防御にもなります。《タッサの神託者》の登場により注目され、現在1500円。
Xマナとタップで、クリーチャー・カードかカードがX枚置かれるまで相手のライブラリーを削るカード。現在3000円。
墓地に置かれることを参照するので、《虚空の力線》《安らかなる眠り》で墓地が追放される状況を作れば、1回の起動で相手のライブラリーを空にすることが出来ます。
戦場に出たときに沼を生贄にして、タップと沼を生贄にすることで黒4マナを生み出す土地。
リソース消費は激しいですが、その代償として爆発的なマナ加速が可能です。単純に沼→沼→《Lake of the Dead》でも3ターン目に6マナ!《墓所のタイタン》が出てくる!
統率者・レガシー共に黒単色デッキを強化するカードで、現在3500円。これにしかできないマナ加速なので、今後もじわじわ値上がりするタイプのカードだと思います。
■Cランク
Cランクは現在ではマイナーですが、今後に期待できると考えているカードです。
自分のアップキープにクリーチャーを1体生贄に捧げることで、アーティファクト1つを破壊する効果。現在4000円。
珍しく黒でのアーティファクト破壊能力で、黒はクリーチャーの生贄によるシナジーが多い為デメリットも苦になりません。
統率者による需要が増えている昨今、再録禁止かつこのカードでしかできない効果の《Gate to Phyrexia》はもっと高騰してもおかしくないと考えています。
3マナで手札にあるミノタウロスを1枚出すアーティファクト。現在1000円。
これが印刷された当時はミノタウロスがマイナーな種族で、トーナメントで通用するものは皆無でした。
しかし時は流れ《ファイアソングとサンスピーカー》《ボロスの布陣者》など少しずつ強いミノタウロスが増えています。
弱いカードが多いホームランドのなかでも《Didgeridoo》は将来性あり。未来のミノタウロス達に期待しましょう。
累加アップキープコストで毎ターン1点のライフを要求。各プレイヤーのアップキープに、そのプレイヤーは緑か白のパーマネントを1つ生け贄に捧げる。
珍しく黒でエンチャントを除去できるカードで、《神聖の力線》や呪禁クリーチャーも除去することが出来ます。現在200円。
色対策として良い性能であり、再録禁止の中でも現代スペックのカードだと思うので将来的にチャンスがあると考えています。あと安い。
通称おにぎり。0マナでライブラリートップを追放して、そのコスト分の+1/+1カウンターが乗り、パワーが7以上になると自信を生贄にする能力。
主な使い道は統率者でのコンボパーツで、《Phyrexian Devourer》《歩行バリスタ》を墓地に置いてから《壊死のウーズ》を出すと両方の能力を獲得。ライブラリーの総コスト分に応じた+1/+1カウンターが乗り、バリスタ能力で大量ダメージです。
主に黒い統率者で《生き埋め》《納墓》と組み合わせて使うカードで、現在800円。統率者による需要が上がっている事を考えると、もう少し値上がりするチャンスがあるかも。
■おわりに
僕は競技として大会に臨むマジックが大好きですが、古いカードを集めるコレクターとしてもマジックが同じくらい好きです。
最初に買ったパワー9は《Black Lotus》だったのですが、最初に一番高いものを購入するとその後の心のハードルが下がります。
パワー9を鑑賞しながら飲むお酒は本当に美味しいのでおすすめです。
最近は統率者の需要により古いカードの値上がりが激しく、見たことがあるけど良くわからない高いカードも多いと思うので、それらを紹介する記事を書きました。
今回は100%趣味の記事です。反響があればミラージュやテンペスト、ウルザブロックの再録禁止についても書いて行きたいです。Twitterで感想よろしく♪
それではまた。