MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【ジャパンオープン直前!スタンダードデッキ特集】
『ブルームバロウ』発売で、新スタンダード環境開幕!
スタンダードのローテーションに伴い、『イニストラード:真夜中の狩り』『イニストラード:真紅の契り』『神河:輝ける世界』『ニューカペナの街角』の4つのエキスパンションがスタンダード落ちして、使用できなくなりました。
《放浪皇》《策謀の予見者、ラフィーン》など慣れ親しんだカード達ともお別れ。前環境のトップメタだったエスパーミッドレンジとアゾリウスコントロールは中核のパーツを失い、デッキごと消滅。
魂力土地の中では、《耐え抜くもの、母聖樹》が落ちたことが最も影響が大きそう。
《斡旋屋一家の潜伏先》など、ニューカペナのフェッチランドもスタン落ちしたため、ティムール・アナリストもデッキごと消滅。
さて、今週末には『ブルームバロウ』入りの新スタンダードで「マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024」が開催!完全オンラインの、参加費無料で賞金の出る大会です!
今回の記事では、ジャパンオープンに向けて、新スタンダードの注目デッキを紹介していきます!
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
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■参考情報
8/4 蒼紅杯
8/4 Standard Challenge
8/6 Standard League
8/7 Standard League
直近1週間で開催された、スタンダードの大会結果を参考にしています。
新環境ゆえにデッキの種類が多い!その中でも、特に注目しているデッキを紹介して行きます!
■ドメインランプ
【インポートデータ】
殿堂顕彰者のWilly Edelさんが使用して2位に入賞。その後同じデッキリストが複数回リーグで5-0するなど、今注目を集めているデッキです!
デッキ名はドメインランプですが、実際はマナ加速に主軸を置いているわけではなく、除去しながらアドバンテージを獲得して行く、コントロールデッキに近い動きをします。
序盤は《群れの渡り》で場の基本土地タイプを増やして、《力線の束縛》のコストを軽減。《一時的封鎖》や《太陽降下》といった全体除去で場をコントロールしていきます。
《ジアトラの試練場》など、いわゆる「トライオーム系」の3色土地がスタンダード落ちした事で弱体化が懸念されていましたが、諜報土地と《山積みの収穫》《寓話の小道》に置き換わる形で生き残りました。《山積みの収穫》は3ターン目にプレイ→4ターン目に起動で5ターン目の《偉大なる統一者、アトラクサ》につながります。
しかし「トライオーム系」があった頃よりはマナベースが弱くなっているので、それにデッキのカードも青白緑のバントカラーに集中。赤マナや黒マナが必要なのは2種類の天使だけで、それ以外のカードはバントカラー3色に抑えられています。
除去で時間を稼ぎ、《山積みの収穫》でマナ加速した後は、天使たちで場を掌握していきます。
《怒りの大天使》は、除去して回復しつつしながら絆魂の3/4が残り、アグロデッキにとって天敵!
デッキ内にエンチャントやアーティファクトなどカードタイプが散っているので、《偉大なる統一者、アトラクサ》は一度場に出れば圧倒的なアドバンテージを獲得します!
どちらもクリーチャータイプが天使で共通しており、《魂の洞窟》で打ち消し呪文を気にせずにプレイしていけます。
メインデッキに《完成化した精神、ジェイス》が2枚採用されているのは、ドメインランプのミラーマッチを強く意識しているからです。同系対決はお互いが除去してアトラクサを出し合い、ライフ回復もするのでゲームがなかなか終わらない!
お互いに《豆の木をのぼれ》《偉大なる統一者、アトラクサ》でライブラリーが減っていくので、《完成化した精神、ジェイス》を出すことでライブラリーアウトでの勝利が狙えます。
ジェイスの有無で勝率が大きく変わるほど重要ですが、逆に言うとランプミラー以外ではジェイスはそこまで強くないので、メタゲーム次第といったところ。
《エルズペスの強打》は赤系アグロへの対策で、序盤出遅れやすいこのデッキにとって1マナ除去が合っています。
《強情なベイロス》は同じく赤系アグロ兼、《ヴェールのリリアナ》の[+1]能力で捨てた時に戦場に出すことが出来ます。
ドメインランプが意識されると《ヴェールのリリアナ》の採用率も増えると予想しているので、デッキに2-3枚《強情なベイロス》があると相手がリリアナを使いにくくなりそう。
このドメインランプは完成度が高く、変更せずにそのまま使用しても強いです。
迷ったらドメインランプがおすすめ!
■ゴルガリミッドレンジ
【インポートデータ】
(大会入賞リストではなく、僕がゴルガリ組むならといったこのリストという仮定で紹介していきます)
《大洞窟のコウモリ》で手札破壊、《切り崩し》《喉首狙い》でクリーチャーを除去と、相手を妨害しながら攻撃していくデッキです。
《グリッサ・サンスレイヤー》は接死先制攻撃により地上での戦闘では無敵で、攻撃が通るたびにドロー。現環境ではエンチャントを使うデッキも多いので、エンチャント破壊能力も役立ちます。
《最深の裏切り、アクロゾズ》は除去耐性があり、《喉首狙い》されたとしても数ターン後には変身。生き残れば、手札破壊と4/4飛行絆魂で盤面を掌握していきます。
以前のスタンダード環境でもゴルガリミッドレンジは活躍していましたが、スタンのローテーションにより落ちるカードが少なかったため、引き続き環境トップとして使用者の多いデッキです。
黒のカードが強いため黒系ミッドレンジの派生が多いですが、その中でもゴルガリが一番人気なのは、やはり《苔森の戦慄騎士》《眠らずの小屋》の影響が大きいです。
他の黒系ミッドレンジだと、2マナ域が《大洞窟のコウモリ》《腐食の荒馬》で、少し枚数不足。相討ちしても後半のドローとしても嬉しい2マナ域の《苔森の戦慄騎士》は、デッキの安定性を高めてくれます。
それとミシュラランド。《眠らずの小屋》は、高打点&墓地対策&食物による回復と、他のミシュラランドに比べて高性能!デッキの安定性という面で、《苔森の戦慄騎士》《眠らずの小屋》があるゴルガリが優れている印象を受けます。
相手の《眠らずの小屋》や、《最深の裏切り、アクロゾズ》の裏面を対処するためにも、《解体爆破場》の採用もおすすめです。ただ無色土地は色事故の原因にもなるため、土地26枚中無色3枚が限界で、4枚入れると事故率が上がり危険です。
『ブルームバロウ』の新カード達。
《亭主の才能》は継続的にクリーチャーを強化しつつ、レベル2で護法付与。レベル3でカウンターが2倍に。
レベル3になった状況で《裏切りの棘、ヴラスカ》をプレイすると、カウンターが2倍の状態で出てくるのでいきなり[-9]能力を使えて、毒9個を与える能力が2倍になるので毒18個で即勝利出来ます!(ちなみに完成化で出しても忠誠度12ー2の10個乗った状態で戦場に出るので、毒18個を与えられます!)
《裏切りの棘、ヴラスカ》は《最深の裏切り、アクロゾズ》を宝物に変えたり、単体で使っても悪くない性能なので、長期戦になったときに即死コンボがあるのが魅力。
ただ、単体除去が多い相手だったり、他の妨害呪文を優先したいときには《亭主の才能》や《裏切りの棘、ヴラスカ》をサイドアウトする場合もあります。
《思考忍びの邪術師》は相手がライフを失っていたら、手札から好きなカードを捨てられます。
最初は2/2威迫というボディが貧弱で印象は悪かったですが、好きなカードを捨てられるのが思ったよりも強く、使っていくうちに評価が上がりました。特にドメインランプ相手に重要で、《太陽降下》や《偉大なる統一者、アトラクサ》を捨てて相手のゲームプランを崩すことが多いです。ドメインランプを意識するなら《思考忍びの邪術師》は欲しい。
ゴルガリは使えるカードの幅が広く、使う人の考え方によって種類や枚数の選択が大きく変わると思います。
《腐食の荒馬》は除去されなかったときのリターンが大きいですが、地上の2/2が止まりやすかったり、赤系アグロデッキに弱かったりするので、サイドアウトできるくらいの2枚が丁度良さそう。
《ヴェールのリリアナ》は黒ミッドレンジ対決の3ターン目のアクションとして強く、ドメインランプにも手札を削って[-6]を目指すのが勝利に繋がりやすい。ただいつも強いわけではなく、クリーチャーが複数並んでいると攻撃で落されやすかったり、ボロス召集に何もしなかったりと一長一短。
《名もなき都市の歩哨》は除去されても地図トークンが残る、赤系アグロに対して4/5まで育つと頼もしい。しかし相手の接死クリーチャーに弱い。
《分派の説教者》は2/4接死が相手の地上クリーチャーを止めつつドローでアドバンテージ。しかしライフ状況でドロー出来ないと少し弱く、お互いに攻撃しあう展開だと使い方が難しい。
《黙示録、シェオルドレッド》は生き残ればゲームに勝つ性能なのだが、《喉首狙い》された時に2マナと4マナの交換で損になりやすい。
どれも状況次第で強くなったり弱くなったりするので、それぞれの長所短所を踏まえて選ぶと良いです。
■赤単ミッドレンジ
【インポートデータ】
蒼紅杯を優勝していたのが、ryuumeiさんの赤単ミッドレンジ。
《雇われ爪》《僧院の速槍》で序盤から攻めて火力で押し切るパターンも持ちつつ、中盤は除去に強いパーマネントで攻めていくデッキです。クリーチャー中心のアグロデッキ構成と言うよりは、序盤から攻めつつ《ウラブラスクの溶鉱炉》《レジスタンスの火、コス》といったクリーチャー除去に強いカードで攻めて行くデッキなので、ミッドレンジと表現しています。
新加入の《陽背骨のオオヤマネコ》は過剰な特殊地形を咎めるカードで、3-4点は入り、後半は特大ダメージになります。このカードを意識するなら、過剰に特殊地形を手札から出さないことも大事です。
《ウラブラスクの溶鉱炉》《レジスタンスの火、コス》をメインから対処できるカードは少なく、これらのカードを火力除去で守りながら、ターンが経過するごとに勝利が近づいていきます。
単純に《切り崩し》《喉首狙い》を入れれば良いわけではなく、異なるパーマネントの対処を要求して来ます。
このデッキを意識するなら、クリーチャー以外も対処できる《払拭の光》や《羅利骨灰》が必要になりそうです。
赤単ミッドレンジはマナベースが強いのも良いですね。《噴水港》は《ウラブラスクの溶鉱炉》のトークンを生贄にドロー出来たら最高!
■ボロス召集
【インポートデータ】
蒼紅杯4位入賞のボロス召集。《ヴォルダーレンの美食家》を失いブン回りの確率は下がってしまいましたが、環境最速の回りは健在。クリーチャーの大量展開と全体強化で、早ければ4ターン目にライフを20点削り切る、爆発力のあるデッキです。
《上機嫌の解体》用のアーティファクトカウントとして、《ヨーティアの前線兵》が4枚採用されています。
しかし、1ターン目《ヨーティアの前線兵》から《上機嫌の解体》だと、クリーチャーが3体しか並ばないので2ターン目《イーオスの遍歴の騎士》に繋がらないという欠点もあります。
最近では青を入れて《遠眼鏡のセイレーン》を入れたバージョンも見かけるようになりました。
確かに《遠眼鏡のセイレーン》から《上機嫌の解体》なら2ターン目《イーオスの遍歴の騎士》を狙えますが、問題はマナベース。ファストランド全開、ダメージランドまで入れても、どうしても青マナは13-14枚ほどが限界で、色事故の危険もあり、ファストランドで4ターン目以降タップインしやすいデメリットもあります。
ただ青を入れることで《交渉団の保護》など打ち消しを使えるメリットもあるので、今後はジェスカイ型が出てくるかも知れません。
■その他
オルゾフミッドレンジ、ラクドスミッドレンジ、黒単ミッドレンジなど、黒系ミッドレンジの派生も多くあります。
《星界を呼ぶ者、ゾラリーネ》はとても強いのですが、能力を上手く使うには能動的に墓地に落とせる3マナ以下のパーマネントをが欲しいところですが、自分から墓地に落とすのは少し難しい。
《悪名高い残虐爪》も攻撃が通れば強いですが、能力で唱えるために高コストのカードがデッキに欲しくて、高コストを入れすぎると事故率も上がるのでバランス配分が難しい。
結局《苔森の戦慄騎士》《眠らずの小屋》があるぶん、黒系ミッドレンジならゴルガリが良さそうな印象を受けています。
■おわりに
新環境のデッキを紹介していきました。
まずはドメインランプ、ゴルガリミッドレンジから環境がスタートしそうなので、この2つを意識したデッキやカード選択がおすすめです。
それではまた。