MTG │ 新弾レビュー │ 高橋優太 【基本セット2021 – 前編 -】

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先日基本セット2021のフルスポイラーが公開されました。

基本セットは再録が多く、テキストが短く簡単なカードが多いイメージですが、最近は構築級の新規カードも多く作られています。

実際去年の基本セット2020も《夏の帳》《死者の原野》、各種騎兵など強力なカードが多いセットだったので、今回も高いカードパワーを期待しています。

今回は前後編の2回に分けて、各色毎に注目するカードを解説していきます。早速見て行きましょう。

※基本セット2021カードギャラリー(MTG公式サイトより)
Core Set 2021

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■白

10年振りの基本セット再録。

当時はジャンド全盛期で、《終止》《大渦の脈動》など優秀な除去が多かったにも関わらず「生き残れば勝ち」として4枚採用されていました。

また《精神を刻む者、ジェイス》がスタンダード現役だった頃なので、バウンスという弱点もありながらそれでも悪斬の使用率は高かったです。

5マナで除去耐性が無いので《時を解す者、テフェリー》《エルズペス、死に打ち勝つ》に弱いのが気になる点ですが、アグロデッキに圧倒的な強さを誇るためサイドボードで見かけることになると思います。

メインは《エルズペス、死に打ち勝つ》の方が優先されそう。

[+1]でクリーチャー強化、[-2]で自分の攻撃クリーチャー分のトークン生成と、どちらも継続して攻撃するための能力。

先攻で1マナと2マナのクリーチャーから《バスリ・ケト》という動きはそれだけで勝てるほどのプレッシャーがあります。
完全にアグロデッキ専用のプレインズウォーカーで、入れるなら3-4枚採用になりそう。

欠点としてはクリーチャーが居ることが前提の能力なので、場が不利なときは何もしないこと。全体除去されるとバスリだけ佇むこともありそう。

現スタンダードの特徴として、高マナコストのクリーチャーには《時を解す者、テフェリー》への耐性が求められるのでプロテクション(多色)は良い!

また、除去されてもトークンを出すので、カウンターを分配する《バスリ・ケト》とも相性が良いですね。《敬慕されるロクソドン》で全員に+1/+1カウンターを載せたら全体除去でも倒しにくい場になります。

モダンやパイオニアに影響を与えそうな再録。墓地やライブラリーからクリーチャーを探すデッキに対して特に効きます。

ただ、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の脱出には影響がないのが残念。

旧ラヴニカから再録。プレインズウォーカーの能力を封じる事が出来ますし、ライフ4点もありがたい。

土地も対象に出来るので、たまにタップ状態の《爆発域》に付けることもありそう。

去年は白アグロで《アダントの先兵》が良く使われた事を考えると、除去で倒しにくい《歴戦の神聖刃》は良く見ることになりそう。

ブロック時に能力を使っても良く、《空の粉砕》にも耐性あり。白アグロ復権なるか。

ライフが7以上多い条件を達成すると毎ターン天使を生成。自身が絆魂をもつためそこまで難しい条件ではなく、《メレティス誕生》《太陽の神のお告げ》と組み合わせれば5ターン目には天使を出せそう。

1マナクリーチャーでありながら盤面を支配する性能なので、強いカードだと思います。モダンのソウルシスターズなら一瞬で達成できますね、

■青

3マナ2/2にバウンスが付いているだけでも十分ですが、珍しくプレインズウォーカーも戻せる!

また、自身のパーマネントが手札に戻るとドローするので、《シミックの成長室》《雲の宮殿、朧宮》など手札に戻す土地とも相性が良いです。

深海住まいのタッサ》と組み合わせて毎ターンバウンスしても強く、構築でも良く見かけることになると思います。4枚買う枠。

自分のターンにはコストが減るので、相手がエンド時に唱えたインスタントを2マナで無効化します。
相手のアップキープ中に撃てば、強制的にターンを終了して実質追加ターンのような働きをします。

また、スタック上のすべてを追放するので「打ち消されない」呪文に対しても打ち消しと同等の効果を得ることが出来ます。
プレイヤーの腕が出そうな、非常に面白いカード。今回の一番のお気に入りです。

クリーチャータイプが良いので、スピリットやならず者を主軸にしたデッキなら使われるかも。
今回「手札を捨てる:効果」という能力が多いのが次セットへの布石なのかが気になりますね。

通常プレイはソーサリー版の《予期》ですが、手札以外からプレイすると3ドロー。アンリコじゃないか!
墓地から《瞬唱の魔道士》《ヴリンの神童、ジェイス》の能力で唱えると強そう。

インスタントだったらモダンレガシーでチャンスがあったかも知れませんが、ソーサリーなのが残念。

モダンやパイオニアのスピリットデッキで即レギュラー入りしそうな性能。

この手の部族デッキはクリーチャーを大量に入れるため呪文が少なく、相手に干渉しにくいのが欠点でした。
しかし《鎖霊》は2/2飛行とクリーチャーとしての性能を保ちながら、後半はタッパーにもなる。素晴らしい。

モダンで《魔力変》からなら2ターン目に出ます。1マナのドロー呪文経由で3ターン目に出してもGood。
自分のターンに《目くらまし》《意志の力》を使った場合も出しやすいですね。

こういう青くて軽くなるクリーチャーは下環境でチャンスがあるかも。ヴィンテージでも可能性あり。

初の相手ターンにも能力を使えるプレインズウォーカー。

毎ターンカードを引いて捨てるため墓地が早く貯まり、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の脱出と相性良し。

しかし自信を守る能力が[-3]と消費が大きく一時しのぎにしかならないため、複数引きたいカードではないかなと考えています。2枚くらいが適正。
多人数戦のゲームでは起動回数が増えるためとても強そう。

■黒

墓地から出るとデーモンに変わるクリーチャー。

夢の巣のルールス》《死住まいの呼び声》で戻せば条件達成は簡単に出来ます。クリーチャーを生贄にするデッキで4枚使われそう。

無情な行動》もそうですが、最近は2マナの除去の層が厚く、倒せる範囲が広い。
王冠泥棒、オーコ》も簡単に倒せるので、スタンダード以外でも強い除去だと思います。

クリーチャーデッキ全般に刺さる能力。

大釜の使い魔》は0/0になるので《魔女のかまど》コンボを防ぎ、《鍛冶で鍛えられしアナックス》のトークンもまとめて倒せるのが良いですね。
クリーチャーであることは除去されやすいデメリットがありますが、墓地から回収しやすいメリットにもなります。

ケアヴェクは主にサイドボードで1-2枚見かけるようになるでしょう。

[+1]は《ヴェールのリリアナ》を彷彿とさせる能力ですが、手札が0枚なら3点火力になります。
[-3]は4ターン目に起動するなら、墓地を準備しない限りは-2/-2程度。
[+1]により墓地が増えて[-3]の除去能力が上がるので、[+1][-3]を交互に起動するのが主な使い方になると思います。

ただ盤面が有利なら[+1]を続けて3ターン後には[-7]。起動できればほぼ勝ちの[-7]が貯まるまでが早い。

僕の第一印象としては《ゴルガリの女王、ヴラスカ》が近いですね、たまに1-2枚見かける程度になりそう。

むかつき》以来、久しぶりの黒の大量ドロー。

7マナと重いものの、レガシーなら《暗黒の儀式》《水蓮の花びら》のマナ加速からそのターン中に《苦悶の触手》に繋げることも出来ます。
スタンダードでも《地獄界の夢》から《深淵への覗き込み》の2枚コンボで勝てますね。

スタンダードで最も見かけるライフ回復カードは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で、3点回復は《銀打ちのグール》の復活条件にピッタリ合っています。
スゥルタイカラーで墓地を貯める構成にして、ウーロ脱出から《銀打ちのグール》が付いてくるデッキが組めそう。

待望の軽い生贄ドロー。ラクドスサクリファイスは手札が尽きやすい弱点があったので、リソース札として2枚くらいは入るかも。
統率者やパウパーにも影響を与えそうな良いデザインです。

■赤

赤単アグロの爆発力を高める犬。

熱烈な勇者》→《禁じられた友情》→《雷光の猟犬》なら3ターン目に8点入りますね。

[+1]はライブラリーの上3枚からリソースを補充。もう1つの[+1]は《ショック》。

除去すると忠誠度が上がるのは歴代チャンドラでも珍しい!
[-9]は赤のインスタントやソーサリーを探してマナ加速。エルドレインのレア《切り離す一撃》を1枚デッキに入れておけば7点ダメージになります!

3枚めくる[+1]でリソースを補充するのが主な使い方になると思います。
しかし代償として手札を全て捨てるため、なるべくチャンドラのターンまでに手札を使いきれるデッキが望ましい。

軽い赤単アグロのマナカーブの頂点として2-3枚採用して、場に出た次のターンから手札を補充するような構成が良さそう。

炎の印章》や《裂け目の稲妻》待機など、ターンを跨いでダメージを与えられるカードと組み合わせれば、2ターン目に1マナ6/6トランプルを出すのも難しくない!
そして場に出てしまえば、本体火力がすべてクリーチャー除去を兼ねます。《チャンドラの焼却者》は今後モダンのバーンデッキに変革を起こしそう。

2ターン目《人目を引く詮索者》→3ターン目《ボガートの先触れ》で《鏡割りのキキジキ》をサーチ、能力によりコピーゴブリンを大量生成、トークン大量生成後に《ボガートの先触れ》をコピー。《モグの狂信者》をサーチして「生贄に捧げる:対象に1点」の能力を全員が持って勝ち。

モダンで3ターンキルが出来るコンボです。

既にモダンにある《献身のドルイド》《療治の侍臣》と同じく、除去に弱いクリーチャーコンボですが3ターンキルは魅力。
ゴブリンの首謀者》など手札を補充する仕組みもあり、徐々にゴブリンデッキが強化されています。

魔女のかまど》《大釜の使い魔》コンボと相性が良く、生贄に捧げた分だけマナ加速が出来ます。
出てきた宝物トークンは任意に生贄に出来るので《波乱の悪魔》とも相性良し。相手のクリーチャーの死亡時にも誘発する能力なので、《波乱の悪魔》で撃ち落とした分だけ宝が出ますね。

統率者でもコンボが狙えそうなドラゴンです。

2マナパワー2の果敢は過去のスタンダードでも頻繁に使われていました。
除去にもなり、パワーを上げる呪文とも非常に相性が良い。本体にダメージが入らないのが残念!

中盤はブロック不可能力、終盤はドローと無駄のないアグロ向けのカード。
最近はウーロ中心の低速デッキが流行しており、何とか赤アグロ白アグロを復権させようというのがカードリストから伝わってきます。

伝説なので複数は入らないですが、2枚くらいはアリ。

禁止改定前まで主流デッキだった《銅纏いののけ者、ルーカ》と似た性能。2スロットあればデッキを組むには十分です。
デッキのクリーチャーを1種類のみにして、あとはトークンを出すカードで構成すれば、コンボも狙えそう。


前編での紹介はここまで。残る色の注目カードは後編で紹介していきます。後編へは下記リンクからどうぞ。

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