MTG │ 考察記事 │ 高橋優太【BO1スタンダード環境分析】
Hi,
今週末にはMTGアリーナ上で2日制の賞金イベント「THE ARENA OPEN」が開催されます。
MTGアリーナ内で賞金制トーナメント「The Arena Open」が開催決定!最大2,000ドルの賞金が手に入るスタンダードのイベント
日本時間の5月19日、MTGアリーナ公式アカウントより、MTGアリーナ内で開催予定の2日制の賞金イベント「THE ARENA OPEN」の開催が発表となりました。 ※本イベントに記載されている時間はすべて日本時間です。 本イベントは2日制。 初日のトーナメントで7勝することで2日目に進出し、7勝する前に3敗してしまうとそこで終了となります。 また、初日については1日に何度も参加することが可能です。 初日はBO1(サイドボードなしの試合形式)、2日目はBO3にて行われるとのこと。 ※対象となる地域で18歳以上の全てのプレイヤーが参加できるトーナメントとの記載があり、この対象地域に日本が含まれるかは現在不明です。 初日 2日目 Self-Paced Play Differentiates ‘Magic: The Gathering Arena’s First-Ever Cash Prize Tournament
(※イゼ速より引用)
初日のトーナメントで7勝することで2日目に進出し、7勝する前に3敗してしまうとそこで終了となります。
また、初日については1日に何度も参加することが可能です。
初日はBO1(サイドボードなしの試合形式)、2日目はBO3にて行われます。
初日のスタンダードはBO1の一本先取でサイドボード無しの大会です。サイドボード無しは普段と違うデッキ構築や戦略が必要になってきますので、今回の記事ではBO1スタンダードについて考えて行きましょう。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
■BO1環境分析
BO1は基本的にはアグロデッキが強い環境です。
アグロデッキは元々メイン戦での勝率が高く、サイドボード後に対策を多く積まれると負けやすいという性質を持っています。
特に「赤単オボシュ」「ボロスサイクリング」がそれに該当しますが、相手の全体除去や《霊気の疾風/Aether Gust》といった対策カードへの解答が少ないことや、対戦相手からの対策は強いのに、自分のサイドボードでは不十分という状況が多かったです。
しかしBO1の大会形式ではアグロデッキのサイド後の弱点を、メイン1本というゲームの性質が補っています。メイン戦1回を、先攻ブン回りなら勝ててしまうのもアグロデッキの長所です。
その反面、相手によって必要なカードが異なるコントロールデッキはBO1の制度では苦戦を強いられます。
打ち消し呪文を主体にした「青白ヨーリオン」「バントヨーリオン」「ティムール再生」などは、いつもよりアグロデッキが多いため手札の噛み合いでの負けが多くなると考えています。
理由としては現在のスタンダードのトップメタが「ジェスカイルーカ」であること。
「ジェスカイルーカ」を倒すために、コントロールデッキはそれに強い打ち消し呪文が必要になります。
しかし打ち消し呪文は基本的にアグロデッキに対して弱いカード。いくら相棒システムによってある程度相手のデッキが予想できるとはいえ、アグロに噛み合わない打ち消し呪文を多く引いてしまうと、BO1ではそのままマッチの敗北に繋がってしまいます。
アグロデッキが増加することを考えると、中速のデッキはいつもより全体除去を優先して採用したいところですね。合計4枚以上の全体除去は必須になると思います。
ただ、全体除去を多く取りすぎると今度は「ジェスカイルーカ」に弱くなるという欠点もあり悩みどころ。
BO1でサイドボード無しのゲームでも、サイドボードを活用する手段はあります。《願いのフェイ/Fae of Wishes》《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》を活用して75枚全てで勝負!
しかしどちらも4マナと重い為、《創案の火/Fires of Invention》と併用することになるでしょう。
■サンプルデッキ:ジェスカイルーカ
3《裏切りの工作員/Agent of Treachery》
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
4《メレティス誕生/The Birth of Meletis》
2《ガラスの棺/Glass Casket》
4《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》
4《轟音のクラリオン/Deafening Clarion》
4《創案の火/Fires of Invention》
4《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
3《サメ台風/Shark Typhoon》
4《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
4《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4《銅纏いののけ者、ルーカ/Lukka, Coppercoat Outcast》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4《蒸気孔/Steam Vents》
4《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》
4《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
3《寓話の小道/Fabled Passage》
3《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
1《ヴァントレス城/Castle Vantress》
4《島/Island》
3《平地/Plains》
2《山/Mountain》
サイドボード
1《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》(相棒)
1《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》
1《エンバレスの盾割り/Embereth Shieldbreaker》
1《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
1《深海住まいのタッサ/Thassa, Deep-Dwelling》
1《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace》
1《夢さらい/Dream Trawler》
1《裏切りの工作員/Agent of Treachery》
1《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
1《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
1《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
1《魔女のかまど/Witch’s Oven》
1《ガラスの棺/Glass Casket》
1《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》
1《王神の立像/God-Pharaoh’s Statue》
オンライン上の大会で最多勝率を誇る、紛れもないトップメタのデッキ。ジェスカイルーカです。
《創案の火/Fires of Invention》経由から5ターン目ルーカで工作員、ヨーリオンで明滅して2つのパーマネントを奪うのは環境最強と言える動きで、これに抗う為には打ち消し呪文に頼らざるを得ません。
BO1形式でもジェスカイルーカの強さには遜色がありません。その理由は、メインの各パーツのアグロ耐性の高さ。
《メレティス誕生/The Birth of Meletis》《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》はブロッカーになりつつルーカの[-2]能力の材料になります。これら2つをヨーリオンで使い回すだけでもアグロ相手には十分強い動きです。
ただ2マナ域が8枚だけでは不足しているので、少量の《ガラスの棺/Glass Casket》もしくは《霊気の疾風/Aether Gust》を採用すべきです。
またBO3よりもアグロが多いので、全体除去は《空の粉砕/Shatter the Sky》よりも1ターン早く撃てる《轟音のクラリオン/Deafening Clarion》の方がライフを高水準に保てると思います。0/4トークンも残る!
しかし《轟音のクラリオン/Deafening Clarion》には《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》《探索する獣/Questing Beast》などを除去できない欠点もあるので一長一短ではあります。
BO1の大会でもサイドボードを用意する意味はあります。
これは《裏切りの工作員/Agent of Treachery》の入った全デッキに言える事ですが、相手の《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》《アーク弓のレインジャー、ビビアン/Vivien, Arkbow Ranger》を奪う可能性があるので、能力用にサイドボードを用意しています。
■サンプルデッキ:ウモーリ+ウィノータ
4《金のガチョウ/Gilded Goose》
4《樹上の草食獣/Arboreal Grazer》
3《楽園のドルイド/Paradise Druid》
4《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
4《軍勢の戦親分/Legion Warboss》
4《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》
4《予見のスフィンクス/Sphinx of Foresight》
3《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》
4《裏切りの工作員/Agent of Treachery》
4《繁殖池/Breeding Pool》
4《寺院の庭/Temple Garden》
4《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4《蒸気孔/Steam Vents》
3《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
3《寓話の小道/Fabled Passage》
1《平地/Plains》
1《島/Island》
1《山/Mountain》
1《森/Forest》
サイドボード
1《集めるもの、ウモーリ/Umori, the Collector》(相棒)
1《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》
1《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》
1《エンバレスの盾割り/Embereth Shieldbreaker》
1《深海住まいのタッサ/Thassa, Deep-Dwelling》
1《探索する獣/Questing Beast》
1《夢さらい/Dream Trawler》
1《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》
1《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
1《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
1《魔女のかまど/Witch’s Oven》
1《ガラスの棺/Glass Casket》
1《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》
1《王神の立像/God-Pharaoh’s Statue》
1《エンバレスの宝剣/Embercleave》
人間以外が攻撃すると誘発する《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》。
ウィノータの能力で《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》《裏切りの工作員/Agent of Treachery》をデッキから直接場に出して攻めていくデッキです。
4マナと少し重いウィノータを支えるのがこれらのマナ加速クリーチャー達。それぞれのクリーチャータイプが人間ではないので、マナ加速しながらウィノータの誘発条件になります。
1ターン目《樹上の草食獣/Arboreal Grazer》→2ターン目《軍勢の戦親分/Legion Warboss》→3ターン目《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》なら、なんと4回誘発します。3ターン目《裏切りの工作員/Agent of Treachery》も夢じゃない!
それに加えて、《金のガチョウ/Gilded Goose》《楽園のドルイド/Paradise Druid》は黒マナを生み出して《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》の起動型能力にも役立ちます。
しかしウィノータはデッキに4枚しか入れられず、サーチ手段も無いため毎回うまく決まる訳ではありません。
そこを補うのがドローの質向上の《予見のスフィンクス/Sphinx of Foresight》。序盤の爆発的な回りを補助する、BO1に適したカードです。
また《集めるもの、ウモーリ/Umori, the Collector》はウィノータを引かない場合の中速デッキとしての役割で、《裏切りの工作員/Agent of Treachery》を6マナにして手札から唱えます。
ジェスカイルーカがトップメタであるなら、《厚かましい借り手/Brazen Borrower》はその対策として非常に優れています。
ルーカの[-2]能力にスタックでトークンを戻せば防げますし、それにより忠誠度3になったルーカを攻撃で落とせます。《サメ台風/Shark Typhoon》のトークンも難なく対処。
対アグロにもそこそこの働きをするので、ジェスカイルーカ以外の青いデッキなら是非採用したいカードです。
■おわりに
僕も色々なアグロデッキを試しましたが、ジェスカイルーカ側が全体除去を引くと対アグロでも勝つ印象です。安定性の面で、結局はジェスカイルーカがベストという考えに落ち着きました。
しかし、大会の2日目の条件はBO1で7勝。そうなるとデッキの安定性を捨てても「ブン回れば勝ち」のデッキを使い駆け抜けるのもアリ。そう考えたのが、2つ目のウィノータデッキです。
安定性に難はありますが、ウィノータは回れば圧倒的な動きをするデッキです。ジェスカイルーカのミラーマッチに飽き飽きしているのなら、是非使ってみて下さい。
それではまた。