MTG │ 新弾レビュー │ 井川良彦【サンダー・ジャンクションの無法者】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
毎度おなじみ、最新エキスパンションである『サンダー・ジャンクションの無法者』のレビューをお届けします。
発売直後にエリア予選、そしてその翌週にはプロツアーとイベントが盛り沢山なので、スタンダードを中心に評価していきたいなと思っています。
それではスタート!
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
★強力な能力が来た!「計画」で圧倒的なターンを実現しよう!!
マナを先払いして追放することによって、次ターン以降に0マナでプレイできるようになる「計画」。
計画したカードを好きなターンにまとめてプレイできるため、パスターンを作る代わりに1ターンに爆発的なアクションをすることが可能になります。直近の能力の中でもかなり強力な能力であり、様々なフォーマットでの活躍(ないしは悪用)が期待されます!
以下のカードたちはかなり有用だと個人的に思っていますので、順に紹介していきます。
今セット注目カードの《精鋭射手団の目立ちたがり》。
回避能力・速攻・疑似果敢とアグロで嬉しい能力の揃い踏みですが、その上「計画」によって非常に使いやすくなっています。
・スタンダードの赤単アグロの場合
自分が後攻、相手が先攻で2T《かき消し》《喉首狙い》を構えている場合などは、走らせるよりも「計画」することにより相手の2マナを無駄にさせることができます!
また、《熊野と渇苛斬の対峙》でスタートできなかった場合は「計画」することにより、3ターン目に《擬態する歓楽者、ゴドリック》を出すことにより《擬態する歓楽者、ゴドリック》を4/4飛行速攻で運用できます!
・パイオニアのボロスヒロイックの場合
エースクリーチャーを生存させることが大事なので、マナを立てて(=《神々の思し召し》《ロランの脱出》を構えて)クリーチャーを出せるのがとても嬉しいです。
ロータスコンボのような除去がない相手には普通に2Tに出して殴ればいいですし、ラクドス吸血鬼やイゼットフェニックス相手には2T「計画」→3Tマナを構えながらプレイ、といった流れで自分のペースに持ち込むことができるでしょう!
2マナパワー2速攻シリーズに新しい選択肢が登場しました!
長期戦で有用な《血に飢えた敵対者》、フレキシブルに動ける《魅力的な悪漢》と比べても遜色なく、特に最序盤の打点だけならば最高の1枚と言えます!
この《狡猾なコヨーテ》の「計画」が非常に強力なので、3マナ域に速攻がなくても優秀な《焼炉の懲罰者》や《ランプ光のフェニックス》が検討に値します。
2ターン目3ターン目の打点を考えてみましょう。
普通にプレイすると、2ターン目2点、3ターン目も2点で4点です。仮に1ターン目に《僧院の速槍》《フェニックスの雛》が出ていれば5点。
一方「計画」ルートだと2ターン目は0点ですが、3ターン目にパワー3のクリーチャーを出しつつ《狡猾なコヨーテ》をプレイすれば6点です!1点お得!!
もちろん3マナのクリーチャーに除去が当たったりカウンターされたりすると打点が下がるのでケースバイケースですが、「計画」した方が打点が上がるケースをしっかり覚えておきましょう。
上記の2枚と違って「計画」経由の方が軽くなるオーラ。普通にプレイしてもそれなりのスペックですが、1ターン目「計画」からの2ターン目オーラ着地はかなり強力です。
オススメは《皇の声、軽脚》!
これまでは《無私の救助犬》や《離反ダニ、スクレルヴ》で守る必要がありましたが、今回はなんと《皇の声、軽脚》を出したら即オーラを貼って守ることができます!2ターン目のアクションとしては最上級と言えるのではないでしょうか。
調べたところ、スタンダードで一番有用な除去耐性は《不屈の菌類》でした。パイオニアなら《ケイヤ式幽体化》がありますね。
よくある《苦しめる声》シリーズですが、今回は「計画」により0マナでプレイするターンを自分で調整できるので見た目の3倍強力になっています。
最もお手軽で強力なのが《犯行現場の再現》とのコンボです。
これまではスタンダードであれば《蒐集家の保管庫》《漆月魁渡》、モダンであれば《地獄料理書》といったカードと一緒に使われていましたが、《街道筋の強奪》もその系譜に名を連ねそうです。
そしてパイオニアであれば《弧光のフェニックス》一択でしょう!元々捨てるカードが不足していたイゼットフェニックス。2ターン目《街道筋の強奪》「計画」スタートであれば3ターン目に高確率で《弧光のフェニックス》を返すことができます!!
このように、強力なアクションターンを自分で選べる「計画」は今後要注目です。特にスタンダードやパイオニアではよく見るようになるのではないでしょうか。
ここまで紹介したように、《熊野と渇苛斬の対峙》に依存していた《擬態する歓楽者、ゴドリック》の3ターン目「祝祭」を各種「計画」で達成できるようになったので、赤単アグロはかなり強化されたように思います。活躍に期待!!!
★よくある「キッカー」の亜種。状況に合わせて「放題」しまくろう!
『インベイジョン』の「キッカー」以来、様々な形で登場してきたキッカーの亜種。今回の「放題」は複数の効果を付与できるので、過去にあった「分割カード」「融合」に近い使用感になると考えています。
普通にプレイしても3マナ確定カウンターな上に、《目録》モード、コピーモードもありつつ後半戦ではそのどれもを選ぶことができます。
最近のコントロールデッキはクリーチャーやアーティファクトがあまり入っていないのでコピーモードは使いづらそうですが、それでも《取り消し》のほぼ完全上位互換として使われそうです。
最近は《一時的封鎖》の影響で下火ですが、《ガラスの棺》のようなアーティファクトを上手く使えると一気に価値が上がりそうです。
基本的には6マナのインスタント《審判の日》ですが、「放題」を駆使することによって様々な状況に対応することができます。
「すべての能力を失う」モードを選べば「破壊不能」のクリーチャーや《最深の裏切り、アクロゾズ》のような除去耐性を憂いなく破壊できますし、《血の芸術家》のような死亡時誘発もすべて無効化できます。
「あなたのクリーチャー1体破壊不能」を使えば、7マナ=《砂塵破》としてプレイ可能です。
今のスタンダードには《太陽降下》や《死人に口無し》といった超強力な全体除去がいくつもあるのですぐには活躍できないかもしれませんが、インスタントで打てる=ミシュラランドに対処できるのは他にない長所です。頭の片隅に入れておくといいでしょう。
基本的には「犠牲」できない《かき消し》ですが、2/2飛行トークン出すモードが結構魅力的。憎き《大洞窟のコウモリ》を撃ち落とした日には、成功体験で二度とデッキから抜けなくなりそう。
ちなみに、上で紹介した《三歩先》《最後の決戦》《幻影の干渉》はすべてマナ総量1のカードなので、《微小術師》でサーチ可能です。
少し悠長ですが、こういうパッケージのデッキは好きなのでいつか試してみたいです。
★その他、気になったカードたちをザックリ紹介します
《呪文捕らえ》と違ってマナ・コストの制限はありませんが、次のターンには唱えられてしまうので他のカードのバックアップが必要です。
パイオニアやモダンなら《ドラニスの判事》とセットで完全ロックできますね。
《暴力的な突発》こそ禁止になりましたが、それでも複数アクションするデッキは多数あるのでサイドボードに使われる可能性はありそうです。
こういう系統のヘイトカードと違って、嵩張ったときに押し込み要素として使えるのは◎
「計画」シリーズの最終兵器。青白コントロールのようなデッキで対アグロ用サイドとしての活躍が一番でしょうか。最序盤の壁としても使えますし、5T目にカウンターを構えながら出せる《悪斬の天使》は凄い!!
ご存知ネイサン君。最近スタンダードやパイオニアで《プロフトの映像記憶》が使われているので、それ系統のデッキだと大活躍しそうですね。
普通に使うとそこまで打点が出ないので、結構尖ったデッキ構築が求められる気がします。
よくある2マナ手札破壊ですが、今回のセットの目玉である「計画」されたカードも落とせるのは面白い!
「計画」だけでなく、たとえばモダンで《睡蓮の花》や《大いなるガルガドン》などを落とすことも可能です。《裂け目掃き》ね。
モダンやレガシーなど、コンボデッキでめちゃくちゃ悪さしそうな1枚。マナを浮かしつつパーマネント全部サクって大量ドローするだけで勝てるデッキがあれば。
《最後の審判》デッキが一番フィットすると思うのですが、果たしてこのカードを採用する余地があるのかどうか。
『イクサラン』のときの《板歩きの刑》がソーサリーかつダブルシンボルと使いづらかったことを考えると、かなり使いやすくなりました。
今のスタンでトップメタであるディミーアミッドレンジには《遠眼鏡のセイレーン》《フェアリーの黒幕》と無法者が採用されているので《喉首狙い》より劣るかもしれませんが、アーティファクト・クリーチャーが使われる環境になればこちらを使うケースもありそうです。
《下生えの勇者》が2マナになった!!!
ゴルガリミッドレンジのような普通のクリーチャーデッキで採用しても3/3→4/4と順当に成長しますが、その真骨頂はティムールランプのサイドボードでしょうか。
コイツに除去を使われれば《復活した精霊信者、ニッサ》の生存率が上がりますし、生存するのであれば一瞬でデカくなって相手を殴り倒すことができますね。こういう優秀な2マナクリーチャーは連打したいので、レジェンドなのが惜しい。
どういうデッキで使うかイマイチ思いついていませんが、出たターン&相手のターンで悪事を働ければ次のターンには6マナ!!
スタンでいうなら《未認可霊柩車》、下のフォーマットであれば《大祖始の遺産》のような0マナで悪事を働けるカードと組み合わせれば、デッキの核になりうる逸材です!期待してます!!
3ターン目に《貪欲な乗りもの、ギトラグ》アタック!You Win!!!かどうかはともかく、流石に強力な2枚コンボ。
《貪欲な乗りもの、ギトラグ》を引いていなくても、3ターン目に《黙示録、シェオルドレッド》や《ドロスの魔神》、今回の新カード《逆棘芽の農家》などを出すだけでも十分強力なので、ゴルガリの新しいパッケージとして使われる可能性がありそうです。
今回の可愛い枠。こういうキャラクターを前面に出すことで人気を出そうというウィザーズの魂胆が透けて見えます。でも可愛いから許す。
★おわりに
ということでお届けしました『サンダー・ジャンクションの無法者』レビュー。
ビッグスコアのカードもあるためレアの種類は多かったのですが、3年ローテーションの弊害かデッキ構築/採用のハードルは非常に高く、僕の琴線に触れるカードは正直少なかったです。どれもこれも絶妙に惜しい!
ただしこれはあくまでファーストインプレッションですので、「実際に使ってみたら/使われてみたらめちゃくちゃ強い!」というカードが出てくるのがカードゲームの常。凝り固まった頭をもっと柔らかくして、様々な角度からカードを評価できるようになりたいですね。
面白いカード自体はたくさんあるので、スタンダードローテーション後に再評価するのも楽しみです。
今回の僕のオススメはこの3枚。
各種フォーマットで期待できる赤のエース、全ての《取り消し》を過去にした新時代のカウンター、そしてポテンシャルは抜群の期待の新人です。
これらがどれぐらい使われるか、楽しみです!!
それでは今回はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!