MTG │ デッキ紹介│ 井川良彦【『エルドレインの森』で強化されたモダンのデッキ達】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
9月上旬から始まっているシーズン2サイクル1の店舗予選は、競技レベルでは久しぶりの採用となるモダン!!
そこで今回の記事では、『エルドレインの森』の新戦力を採用している注目のデッキを順に紹介していきたいと思います!
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★デッキ紹介
◎ヨーグモス
《スランの医師、ヨーグモス》+「不死」クリーチャーの組み合わせによりアドバンテージ&盤面の対処を行い、さらには《ズーラポートの殺し屋》がいれば無限ドレインで一瞬にして相手のライフを0にできるこのデッキ。
『モダンホライゾン2』で《飢餓の潮流、グリスト》が登場して以来モダンにおいて一定のシェアを保っており、『指輪物語:中つ国の伝承』で《オークの弓使い》を得てさらに強力なデッキに仕上がりました。
そして今回『エルドレインの森』で手に入れた新戦力!それがこの《アガサの魂の大釜》です!!
デッキ名に冠している通りこのデッキは《スランの医師、ヨーグモス》に大きく依存したデッキです。そのヨーグモスの起動型能力を《アガサの魂の大釜》で再利用できるようになったため、継戦能力が大幅に上昇しました。
《スランの医師、ヨーグモス》だけでなく《飢餓の潮流、グリスト》とも噛み合いますし、見た目以上にデッキに合った、非常に強力なカードといえるでしょう。
サイドボードに目を向けると、《アガサの魂の大釜》を最大限活かせるよう強力な起動型能力を持ったクリーチャーが新たに採用されています。
特に《大爆発の魔道士》は苦手なトロンへの対抗策としては最上級で、《アガサの魂の大釜》と組み合わされば相手の土地を次々と潰していくことができます!
◎鱗親和
LordEgg (18TH PLACE) MODERN CHALLENGE 09/23/2023 | |
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デッキリスト | |
4:《森/Forest》 4:《ウルザの物語/Urza’s Saga》 1:《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》 4:《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》 1:《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》 2:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》 3:《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》 4:《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》 23 lands 4:《微光蜂、ザーバス/Zabaz, the Glimmerwasp》 |
3:《溶接の壺/Welding Jar》 1:《影槍/Shadowspear》 1:《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》 2:《古きものの活性/Ancient Stirrings》 2:《オゾリス/The Ozolith》 4:《硬化した鱗/Hardened Scales》 2:《打ち砕かれた尖塔、オゾリス/Ozolith, the Shattered Spire》 3:《アガサの魂の大釜/Agatha’s Soul Cauldron》 18 other spells 2:《虚空の杯/Chalice of the Void》 |
+1/+1カウンターといえば鱗親和。《アガサの魂の大釜》はヨーグモスだけでなく、この鱗親和も大幅に強化してくれています!
特に鱗親和の場合はこの2種類のクリーチャーの起動型能力が強い上に相性が良いので、《アガサの魂の大釜》の脅威はとてつもないことになります。《墨蛾の生息地》が絡んだ日には予想外の角度からリーサルが決まることも。
比較的マイナーなアーキタイプではありますが、ここ1年で《継ぎ接ぎ自動機械》《機能不全ダニ》《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》そして今回の《アガサの魂の大釜》と順調に強化されてきています。
モダン屈指のパワーカードである《ウルザの物語》を活用できるデッキでもあり、デッキパワーは十分。今後トップメタに食い込む可能性もある、要注目のデッキといえるでしょう。
◎4色オムナス
《レンと六番》《時を解す者、テフェリー》《創造の座、オムナス》などパワーカードがこれでも詰め込まれているミッドレンジ。
元々イゼットマークタイドやラクドス想起に強いデッキでしたが、『指輪物語:中つ国の伝承』で《一つの指輪》を手に入れたことによりその相性を盤石にした感があります。
そして今回『エルドレインの森』からの新戦力として《豆の木をのぼれ》を手に入れています。パッと見は2マナ1ドロー+αと地味に見えますが、デッキの性質上長期戦をするので、追加ドローでできる枚数も馬鹿にできません。
《力線の束縛》にドローが付いてくるのも嬉しいですが、《孤独》《激情》といったピッチコストで手札を消費するカードたちに1ドローが付いてくるのがとにかく嬉しい!
ただし、《豆の木をのぼれ》を採用したことにより元々相性が良かったマッチアップに対してさらに強くなりましたが、元々苦手なマッチアップ=土地コンボなどへの相性が改善された訳ではないので注意してください。
ちなみにこのデッキの枚数は69枚!!リストによっては75枚の人もいたりします。
ミラーマッチは《豆の木をのぼれ》で引きすぎてライブラリーアウトが現実的なラインになる試合も多いので、そういう意味でもライブラリーを60枚以上にするのは理にかなっているかもしれません。《空を放浪するもの、ヨーリオン》が禁止されていて良かった~。
◎ラクドス想起
MODERN CHALLENGE 7/23/2023(4位) claudioh | |
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デッキリスト | |
3:《沼/Swamp》 3:《汚染された三角州/Polluted Delta》 4:《血の墓所/Blood Crypt》 3:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》 4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》 1:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》 1:《ロークスワイン城/Castle Locthwain》 1:《見捨てられたぬかるみ、竹沼/Takenuma, Abandoned Mire》 20 lands 4:《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》 |
2:《稲妻/Lightning Bolt》 4:《まだ死んでいない/Not Dead After All》 2:《死せざる邪悪/Undying Evil》 4:《思考囲い/Thoughtseize》 3:《終止/Terminate》 4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》 19 other spells 2:《血染めの月/Blood Moon》 |
現在のモダンにおいて堂々たるトップメタであるラクドス想起。相性の悪いマッチアップであっても、デッキ特有のブン回りで制することができるのも、このデッキの強さの証左といえるでしょう。
『エルドレインの森』からの新戦力は《まだ死んでいない》。《フェイン・デス》系の中で最も使いやすいカードとして4枚採用されているリストがほとんどです。
ただ、このカードにも弱点があるので書いておきます。
ティムール/4C続唱とのサイドボード後は《仕組まれた爆薬》で相手のサイ・トークンを流すのが基本戦略となりますが、その際に「ひねくれ者・役割・トークン」がコスト0なので一緒に流れてしまいます!
4/3だった《悲嘆》が3/2に、4/4二段攻撃だった《激情》が3/3二段攻撃に戻ってしまうことにより、相手の次弾の《衝撃の足音》に対して殴りづらい、弱い盤面になってしまうことに注意しましょう。+1/+1カウンターじゃないことがマイナスに機能する、数少ないケースです。
基本的には《まだ死んでいない》がコレ系で一番強いカードではありますが、このマッチアップを重要視するのであれば、従来のように《フェイン・デス》を多めに採用することも視野に入るかもしれませんね。
■おまけ。店舗予選抜けました。
僕自身の話になり恐縮ですが、シーズン2サイクル1、無事店舗予選を抜けました!
ラクドス想起が一番強いデッキだとは思っているし理解はしているのですが、ミラーマッチにおいて何のエッジも出せなかったので自分で使うのに抵抗があり、使用を断念。
自分が使わない以上はラクドスに負けたくない=有利なデッキを使おうということで、トロン系には不利なもののラクドスやイゼットといったフェアデッキ(この2つが最も当たる確率が高い&上位に来るデッキだと思っていました)に有利に戦えるウルザソプターを選択しました。
ウルザソプターはメジャーなデッキではありませんが、《一つの指輪》が入って以降はコンスタントに成績を残しているデッキの一つです。
幸い記事等も豊富にあったので情報収集をしつつ練習。手応えが良かったので、自分好みに微調整を施して実戦投入することになりました。
ウルザソプターに関する細かい解説等は、第一人者によるこちらの記事を御覧ください。
当日使用したリストはこちら。
■ウルザソプター
モダンチャレンジで好成績を残していたリストをベースに、以下の点を主に変更しました。
まずデッキを回して感じたのが、《一つの指輪》の強さ。
《飛行機械の鋳造所》+《弱者の剣》+《最高工匠卿、ウルザ》の「無限コンボ」への時間稼ぎ&リソース稼ぎができるだけでなく、引いてきた《飛行機械の鋳造所》でサクることにより負債を抱えずに済む&ライフを回復しつつ盤面を作れるという構造が非常に優秀です。
冒頭にも書いた通り、このウルザソプターを予選で使う上で「ラクドスやイゼットにしっかり勝ちたい」という意識があったので、まずは《一つの指輪》を増量することに決定。
《一つの指輪》を増やすので、それに伴ってマナ加速の重要性も上がりました。2ターン目に《発展のタリスマン》+《ポータブル・ホール》と動きつつ3ターン目の《最高工匠卿、ウルザ》/《一つの指輪》に繋げる動きが強く、デッキにもかなり合っているカードだなという感触。
元リストで採用されていた2マナ域=《巧妙な鍛冶》は余り手に馴染まなかったので不採用にし、その分《発展のタリスマン》を増量して2マナ域の枚数を担保しました。
《一つの指輪》を貼っても、返しに圧倒的な盤面を作られて勝てないケースも散見されました。キレイに回ってきているラクドスは盤面かつ打点が高いですし、カウンターのあるイゼットマークタイドやティムール/4c続唱は《一つの指輪》の返しのターンに高打点の盤面を作りつつ《対抗呪文》や《否定の力》を構えてきます。
そこで僕がサイドボードに採用したのは《至高の評決》。《一つの指輪》からの《至高の評決》という動き非常にイージーかつ強力で、実際にサイドボード後はこの流れだけで勝つゲームも多かったです。
モダン店舗予選、6-1で抜け💪
使ったのはウルザソプター。クォーツさん( @gyyby_mtg297 )のリストをベースに、自分好みに微調整しました。トロンに当たらずフェアデッキに当たりまくってツイてた😄Mirror ○○
Omnath ××
Rakdos ○○
Domain Zoo ○×○
Izzet ○×○
Rakdos ○○Rakdos ○○ pic.twitter.com/alP1wEpv7A
— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) September 17, 2023
当日は天敵のトロンに当たらず、仮想的だったラクドスやイゼットに複数回当たるという幸運はありましたが、調整した意図通りにデッキが機能して勝てたと思います。
普段は上位メタのデッキを使うことが多い僕ですが、今回はメタゲームを考え、マイナーデッキも臆さず使用し、そして調整した上で勝つことができました。自分の成長も感じることができて、素直に嬉しかったです。
ウルザソプターは勝ち筋が多く、回していて楽しいデッキでした。もし興味のある方がいれば、是非使ってみてください!
■終わりに
ということで今回は店舗予選に向けて、モダン特集の記事をお送りしました。パイオニアに負けず劣らず様々なデッキがあるフォーマットですので、ぜひ自分のお気に入りのデッキを見つけて使い込んでみてください!
さて、今週末は一年の総決算・世界選手権です!全110名の参加者のうち、日本人選手は14人。我らがRush Pros、あんちゃんこと高橋優太選手も参加しますので、みんなで応援しましょう!!!
【お知らせ】9月22~24日、選ばれしプレイヤーたちによる「第29回マジック世界選手権」がアメリカ・ラスベガスにて遂に開催!
本年度の種目はスタンダード&ドラフト。競技マジックの”頂点”を決する激闘を、豪華実況解説陣と共にぜひご観戦ください!https://t.co/DsW29toGTU#mtgjp #MTGWorlds pic.twitter.com/sItuPt2nog
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) September 15, 2023
僕は前回に引き続き今回も解説を担当させていただきます。夜遅い時間からの配信にはなりますが、是非見ていただけると嬉しいです!
それでは今回はここまで。
また次回の記事でお会いしましょう!