MTG │ 大会レポート │ 井川良彦【アリーナチャンピオンシップ3と禁止改定】

皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。

世界32人しか出場できないトップレベルの大会である「アリーナ・チャンピオンシップ3」(以下アリーナCS)に参加しました!

世界選手権が懸かった大会ということもあり気合を入れて臨みましたが、結果は惨敗。1-6でドロップという残念な成績で終わってしまいました。

ということで今回の記事ではアリーナCSのレポートは最低限にして(負けたときこそ緻密に書くことが大事ですが、負けたときは筆が乗らないことが多いよね)、禁止改定の感想、今後注目のカードについてなど徒然と書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

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■アリーナCS簡易レポート

「アリーナ・チャンピオンシップ3」とは?(公式ページ:観戦ガイド)

★ドラフトについて

周りが強者だらけ=強気に(決め打ち気味に)ピックすることが肯定される状況であるにも関わらず弱気なピックをしてしまい後悔。

ここで《ラルの援軍》を取って青赤に突っ走るのが一番手応えが良かった&得意だったはずなのに、練習の成果を活かせず、青黒という環境最強色の誘惑に負けて《完成化した猟匠》をピック。何のための練習なのか。

さらには2パック目以降のパック運にも恵まれず、危機を感じて他の色に逃げようにもパックが弱いためそれも叶わず。結果見るも無惨なゴミ青黒が爆誕しました。

サイドには《衝撃的な啓示》のようなプレイアブルなカード、そして土地はないものの《インガとエシカ》&《這い回る偵察機》パッケージがありますが、弱いデッキでこれらを半端に入れても勝てないと判断し、しっかりとクリーチャーを展開してなるべくプレッシャーをかけられる構成を選びました。除去が少ない時こそ殴れ!

・本戦の結果

R1 青赤白タッチ黒 ×○×
R2 青黒 ×○×
R3 青赤タッチ緑 ×○×

しかし思惑通りにはいかず。全マッチ後手でスタートし、なんとか1ゲームをもぎ取るもののすべて1-2で敗北しドラフト0-3を喫してしまいました。せめてどこかに偏ってくれれば…無念。

★スタンダード編

同じ権利獲得者である熊谷陸・原根健太、そして権利はないものの調整パートナーを市川ユウキに依頼して(ありがとう!!)4人で調整。
まずはプロツアー『ファイレクシア』との差分である『機械兵団の進軍:決戦の後に』のカードをテスト。

Untapped.ggで見れる最新メタゲームによると、当時のBo3最高勝率はなんと新カードの《銅纏いの先兵》を採用した白単人間!
アゾリウス兵士を少し回して断念していたので、こちらはどうかなーと回してみたところ……これも断念。メインこそ横並び戦略がハマり有利に戦えますが、サイドに採用された《ぎらつく氾濫》があまりにも致命的でした。


ラクドスを克服しようとサイドプランを0から組み直してある程度戦えるようになったものの、ラクドスと並びトップメタと目されていたランプにも(特にサイド後は)相性が良い訳ではなく、使う理由がなくなってしまい消滅。これはかなり早い段階で見切りを付けました。

話題沸騰、しかもプロツアーでもセレズニアエンチャントレスが好成績を残していたということで着手。ですがこのカードは一瞬で没に。運命に導かれし者、ケイリクス》を採用するとトップメタのラクドスミッドレンジに弱くなるという致命的な欠点が発覚したためです。

しかし《運命に導かれし者、ケイリクス》無しの=従来型の《神聖なる憑依》型のセレズニアエンチャントレスは中々強力で、特にラクドスミッドレンジには比較的有利といえます。そのため、くまぴーを中心にかなりの時間をかけることとなりました。

最終的にはランプとの相性の悪さを改善し切れず使用候補から脱落しましたが、最も使用に近かったデッキです。

その他、もちろん上位メタを一通り当てたり触ったりはしたもののラクドスはランプが厳しく、ランプはミラーがかなり不毛な上にチーム内で有力候補だったグリクシスアトラクサに不利。ということで専門家である原根くんがチーム内にいることもあり、最終的にはグリクシスアトラクサを選択することになりました。

使用デッキ:グリクシスアトラクサ(井川 良彦 アリーナチャンピオンシップ3)

【インポートデータ】

デッキの地力が高いため大幅な変更はせず、メタに合わせた最低限の変更に留めています。
その分、マナベースや対ラクドスのサイドプランなどの思考・微調整にはかなりの時間をかけています。詳しくは原根くんの記事をご覧ください。

・本戦の結果

R4 版図ランプ ××
R5 版図ランプ ××
R6 ラクドスブリーチ ○○
R7 オルゾフミッドレンジ ×○×

調整でもしっかりと有利を確認していたランプ相手にまさかの0-2

全く《ギックスの残虐》も妨害も引けずに先攻7ターン目の《原初の征服者、エターリ》→《群れの渡り》+《ギックスの残虐》だけで負けたり、《強迫》打った次ターンに宝物3つ使っての手出し《偉大なる統一者、アトラクサ》がトップデッキ《軽蔑的な一撃》で弾かれたり、盤面を止めるはずの《偉大なる統一者、アトラクサ》が毎ターン除去をトップされたせいでライフ押され続けて負けたりと、100点のプレイはできていないかもしれないにせよ、かなり不運が続いたなというのが率直な感想です。

ラクドスブリーチにはその分の反動が来たのか2ゲームでこちらだけ《鏡割りの寓話》5枚 vs 相手0枚で圧勝。

オルゾフミッドレンジには熱戦を繰り広げた末、最終的に10秒ほど足りず時間切れで負けてしまいました。これは自分のスキル不足によるもので、思考時間の短縮/プレイスピードの向上/投了の判断のどれもができなかった故の敗北でした。このマッチが2日通して一番悔しかったですね。

賞金の上乗せがなくなったのでここでドロップ。プレミアイベントで最下位に名を刻んだのは多分人生で初めてです。このリベンジはいつの日にか。

ちなみに余談というか完全に愚痴ですが、今回のアリーナCSは『決戦の後に』がドラフトに入るのかどうか問い合わせても全然返信がなかったり(メールしても返信来ず、専用Discordで改めて質問して数日後にリマインドまでしてやっと回答が来た)、当日のスケジュールが直前になるまで教えてもらえなかったり、大会の露出があまりに少なかったりと、大会の格(出場することの難しさ・賞金の高さ)から考えるとガッカリすることが多かったです。もっとプレイヤーをリスペクトして欲しい。

■禁止改定についての個人的感想

皆さんご存知の通り、ついにスタンダードに禁止改定が出ました。

2023年5月29日 禁止制限告知

環境を完全に支配していた《鏡割りの寓話》と《勢団の銀行破り》はスタンダードを一定以上プレイしていた方ならまず納得でしょう。《絶望招来》は少し意外でしたが、黒を弱体化させたい&プレインズウォーカーやエンチャントといったカードタイプを活躍させたいという意図を考えると理解できます。

ただ、個人的にはもう1-2種類出るのかな、出てほしいなと思っていました。

ティムール再生がスタンダードを圧倒的に支配した2020年夏の禁止改定では、ティムール再生だけでなく、ティムール再生を禁止したあとの環境バランスの改善や望ましくないプレイパターンの削除などを理由に他のカードも合わせて禁止しました。

これをリアルタイムで見ていたため、「赤黒系以外にもいくつか禁止を出して環境をコントロールするだろう、してくれるに違いない」と少し楽観的に考えていた節があります。

しかし実際はそうはならなかったので、今後は「禁止されなかった中で何が強いか」「どういったカード/デッキが再評価されるか」を考えていく必要がありますね。それもまたマジック。どのデッキが強いか弱いかはともかく、禁止を出したからには今より楽しい環境になることを願います。

■禁止改定後の個人的注目カード

「禁止改定後はエスパーレジェンドが強い!」「相手が《勢団の銀行破り》使えないなら、版図ランプや白単ミッドレンジから《勢団の銀行破り》がなくなっても大丈夫だろう」といった、ある種当たり前というか誰でも考えそうなことを書いても面白くないため、今回は割愛。

その代わり、禁止後に再評価されそう・されてほしい個人的注目カードたちをピックアップしたいと思います!

★書いてあることは強いのに環境にまったく合っていなかったヤツ

まず紹介するのがこちら。「-3/-0してもゴブリントークンに宝物出されるよね」「というか《勢団の銀行破り》ggなんだけど」といった悩みともついにお別れです!

3マナで盤面に触れる&アドバンテージを稼げるプレインズウォーカーは強い、という過去の通例に則れば、このカードもついに日の目を見る日が来たと思います。青いデッキで真っ先に使ってみたい1枚!!

★重くて強力なプレインズウォーカー

絶望招来》のせいで居場所を失っていた、4-5マナ域のプレインズウォーカーから代表してこちらを紹介。カード自体は非常に強力なので、そろそろ出番が来るんじゃないでしょうか。

「先攻2ターン目に《勢団の銀行破り》通って負け」みたいなパターンがなくなるので、コントロールの復権も考えられます。勢団の銀行破り》がなくなって稼げなくなったアドバンテージを、こういったプレインズウォーカーや《記憶の氾濫》で稼いでいく古き良きコントロールに期待したいですね。

★《切り崩し》で泣いていたアイツラ

切り崩し》されたときのテンポ損が酷すぎて最近はあまり見ませんでしたが、《鏡割りの寓話》《勢団の銀行破り》がなくなったことにより環境が白に寄るのであれば、必然的に黒や赤のインスタント除去も減るのでコイツラの威力が上がりそうです。

アゾリウス兵士は禁止前でもアーキタイプの一角として十分なデッキパワーを持っていたので、メタに合わせて最適なリストに変わっていくでしょう。

★デッキのキーカードなのに《絶望招来》されてたあんなカード

スタンダードにもコンボデッキの核になるカードは存在します。ただそれらは基本的に重いエンチャントであることが多いため、メインから搭載された《絶望招来》の前に為す術もありませんでした。

そんな暗黒時代もついに終わり、今こそローグデッキが輝くはず!やりたいことやったもん勝ち!

★パワーストーンを相手に悪用されなくなったのって幸せだよね

勢団の銀行破り》環境ではパワーストーンを相手にうまく利用されてしまい、その引いたカードからカウンター/除去/手札破壊を繰り出されるという最悪の展開が待ち受けていました。

勢団の銀行破り》なき今ではその心配もありませんし、《勢団の銀行破り》と《鏡割りの寓話》がなくなったことにより《削剥》の採用率も著しく下がることが予想されます。今こそこういったカードを使ったランプデッキの活躍のときが来るのか?来ないのか?

■終わりに

アリーナCSも大敗。プロツアーファイレクシアから続いて負けっぱなしで、正直かなり堪えてます。
ただし「負けて悔しくなくなったら終わり」と考えているのでまだまだやれます。井川、戦います。

どちらもこれまで得意だったはずのドラフトでの不振が大きな要因になっているので、コロナ禍で構築のみに注力していた分のツケが来ているのかな。しっかりと立て直していきたいところです。

さて次回の大型イベントは6月のチャンピオンズカップファイナル千葉。それまでコツコツとパイオニアの腕を磨いていこうと思います。

店舗予選で使用して(抜けました)ラクドスミッドレンジについては大分理解を深められたので、機会があれば「僕が《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を使わない理由」みたいなちょっとしたTipsもいつか書くつもりです。何も考えずに完コピしてませんか?

それでは今回の記事はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!


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