MTG │ 大会レポート │ 井川良彦【MCⅥ】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川(@WanderingOnes)です。
今回は先週末にアメリカ・リッチモンドで開催されたミシックチャンピオンシップⅥのレポートをお届けしたいと思います。
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■ドラフトについて
従来の環境と大きく異なり、単色が推奨されているエルドレインの王権ドラフト。ドラキチ合宿、GPバンコク、友人たちとドラフト、そして直前の曲者合宿と環境初期から定期的にリアルでドラフトを行い、各アーキタイプの習熟に努めました。
余談ですが、MTGアリーナのドラフトはリアルのドラフトと全く異なるため「MCを目標にするなら、感覚が狂うだけなのでやらない方が良い」と個人的に考えており、発売直後=カードを覚える程度のみに抑えることにしています。
僕が一番手応えが良かったのは、赤。
《焼尽の連射/Searing Barrage》《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》といった優秀な火力があるだけでなく、《リムロックの騎士/Rimrock Knight》《レッドキャップの略奪者/Redcap Raiders》《オーガの放浪騎士/Ogre Errant》などコモンの質が高く、アンコモン・レアの出が悪くても単色で組めるとかなりのデッキパワーを誇ります。
単色ドラフトだとカードがギリギリの枚数しか取れないことも多いのですが、これらのような安く取れるアグレッシブなカードで穴埋めができるのも加点要素です。
また単色にならずとも赤緑、赤黒などのアーキタイプはどれも個人的に好きで、なるべく殴れるアーキタイプを組みたいなと考えていました。
一方、あまりやりたくないのが白。
《アーデンベイルの戦術家/Ardenvale Tactician》こそセット内でも上位のカードパワーを誇るクリーチャーなのですが、それ以外の入り口が狭く、またこのカード自体の色拘束も厳しいため決め打ち気味になりがち。
白は《アーデンベイルの戦術家/Ardenvale Tactician》・《羽ばたき狐/Flutterfox》・《フェアリーの導母/Faerie Guidemother》・《尊きグリフィン/Prized Griffin》と航空戦力がありますが、コモン/アンコモンの質が他の色に比べると低く、ポジションが良くてもそこまでデッキが強くならない印象が最後まで拭えませんでした。5-6手目で《アーデンベイルの戦術家/Ardenvale Tactician》が流れてくるなら渋々やるかな、ぐらいの気持ちでした。
1stドラフト
迎えたMC当日。1stドラフトは初手が《殺戮の火/Slaying Fire》ぐらいしかないパック、2手目で《リムロックの騎士/Rimrock Knight》、3手目がなんと嬉しい《紋章旗/Heraldic Banner》!そして2パック目にはなんと《日和見ドラゴン/Opportunistic Dragon》《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》そして《朱地洞の族長、トーブラン/Torbran, Thane of Red Fell》がすべて流れてくる(!!)という最高のポジションを確立しており、理想的な赤単が完成しました。
2-2ドラゴン、2-3巨人、2-4トーブランって流れてきて神赤単。後手のタッチ白も強かった。2-1。 pic.twitter.com/GgJihGphMZ
— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) November 8, 2019
1-5の《赦免のアルコン/Archon of Absolution》、2-1の《王国まといの巨人/Realm-Cloaked Giant》があったので、アグロ相手の後手時は山10平地6にしてタッチ白プラン。G1赤単で殴りきったあと、G2に飛んでくる《神の怒り/Wrath of God》の威力は凄まじいものでした。
喫した1敗は、MPL/Rivalsレースで上位を走るChris Kvartek。ライブラリーアウト寄りの赤青で、不幸にも強力カード群が墓地に落ちてしまい屈することになりました。
2ndドラフト
そしてこちらはmtgjp公式のカバレージとして取材してもらいました。
2ndドラフト:井川 良彦のドラフトピック ~流れが良すぎて気分良彦~|イベントカバレージ|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
ミシックチャンピオンシップにおいてかかっているものは賞金だけではなく、人によってはそれ以上のものがかかっている場合もある。 2019年のプロイベントは、今回のイベントが終わればあとは12月に開催されるMTGアリーナのイベントである2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)を残すのみだが、3か月前に公開された 「マジックのeスポーツの未来」という記事によれば、 …
記事をご覧いただければ分かる通り、1-3、1-4でトップアンコモンの1枚である《フェアリーの荒らし屋/Faerie Vandal》が連続で流れてきた上に、2パック目では確定除去である《魔法の眠り/Charmed Sleep》が2-6で取れるお祭りっぷり。
試合結果はというと、24枚目で入れた《よろめく鎧/Shambling Suit》が大活躍して赤黒に勝ち、同卓のThomas Enevoldsen(ヨーロッパのプラチナプレイヤー)の青黒にはサイド後に対コントロールシフトしてタッチ黒して2ゲームを取り返し、3-0も目前。しかし最終戦で赤緑相手で事故ってしまい2-1。
2ndドラフト、ポジション良くて青単。3-0デッキだったけど最後に事故って2-1。悔しい。ピック譜が公式カバレージに載る予定です。 pic.twitter.com/eUSizTr5UA
— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) November 9, 2019
1dtドラフト、2ndドラフトともに3-0寄りのデッキだったのでどちらも2-1で終わってしまったのは悔しかったですが、こればかりはどうしようもありません。ピック/構築/プレイ/サイドボードといった4要素の中で、ベストを尽くせたと思います。
■スタンダードについて
WanderingOnes ゴルガリアドベンチャー アリーナMCQ
2週間前のアリーナMCQ、そして1週間前のGP名古屋とゴルガリアドベンチャーを使用しましたが、スゥルタイフードの《虐殺少女/Massacre Girl》がやはり厳しく(シミックフードには相性良いと思っています)、その他のフード系を倒しにくるデッキ(ティムール再生やジェスカイファイアなど)にもそこまで分が良いと思えなかったため調整を打ち切り。
チームメイト達が主に調整していたスゥルタイフードとシミックフード、という環境トップメタの2択から選ぶこととなりました。
チーム内でテストプレイを重ねるも、直接対決は五分程度な印象。スゥルタイ側のギルドランドの痛さやタップインが少し目立つものの、シミック側も少し捌かれたりドローゴーしあった後にX=4以上の《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》に苦労することも多々。メインは《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》が入ってないので《虐殺少女/Massacre Girl》1枚で負けるゲームも多かったです。
そんなこんなでスゥルタイvsシミックの相性にはそこまで大きな差を感じなかったので、最終的には「その他のデッキとの相性」で選ぶことにしました。
僕個人の感想では
スゥルタイフード
有利:アドベンチャー系(ゴルガリ、セレズニア)
不利:ティムール再生やジェスカイファイアなどのコンボコントロール、赤系アグロ
シミックフード
有利:ティムール再生やジェスカイファイアなどのコンボコントロール、赤系アグロ
不利:アドベンチャー系(ゴルガリ、セレズニア)
といった真逆なもの。これは「非フードデッキには《害悪な掌握/Noxious Grasp》が腐りやすいが、《霊気の疾風/Aether Gust》は意外と腐らない(青白系コントロールのみ)」「ランドダメージの有無」「エンチャントに触れるかどうか」といった要素によるものです。
アドベンチャーの方が上位にはいそう(デッキの地力が高い)と思うものの、絶対数でいうと「アドベンチャー以外の非フードデッキ>アドベンチャー」であり、《霊気の疾風/Aether Gust》を使えるシミックフードのほうが相性差で負けづらいデッキだと考え、最終的にシミックフードを手に取ることにしました。
その他のデッキ構築については、GP名古屋優勝者であり(おめでとう!)名実ともにチーム曲者内での「シミックフード・マスター」だったくまぴー(熊谷陸)のデッキテクをご覧ください。
デッキテク:熊谷 陸の「曲者揃いのシミックフード」|イベントカバレージ|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
マジックのデッキにおいて 「1枚挿し」 というのは、サーチカードでもない限り基本的には避けられる傾向にある。 なぜなら5ゲームや10ゲームをプレイしたとしても同じ動きを再現できるようにするにあたって、1枚挿しのカードは再現の邪魔となるからだ。 だが今回、ミシックチャンピオンシップというこれ以上なく重要かつ長丁場の舞台において、 1枚挿しを多用する構築 をあえて持ち込んだ者がいた。 …
井川 良彦 シミックフード ミシックチャンピオンシップⅥ
ちなみに記事内で触れられてないおまけ話としては、サイドの《裏切りの工作員/Agent of Treachery》をデッキ提出1時間前に、一切テストプレイをせず入れたぐらいですね。スゥルタイ/ゴルガリに《戦慄衆の将軍、リリアナ/Liliana, Dreadhorde General》1枚で負けるのがストレスフルだったので、直前で急遽採用しました。半分ノリとも言えます。
他のチームメンバーの使用感がどうだったかはヒアリングしていませんが、僕個人としてはスゥルタイの《呪われた狩人、ガラク/Garruk, Cursed Huntsman》を取って勝った試合が1ゲーム、ゴルガリの《探索する獣/Questing Beast》を取って勝った試合が1ゲームで、それ以外は引かなかった=勝利貢献度100%だったので入れて良かったなーと。大事なのは過程ではなく結果。
しかしスタンダードの成績は振るわず、5-5。後手が多かったりスクリュー/フラッドが多かったりと不運な点があったことは事実ですが、自分のプレイも完璧からは程遠かったです。様々なマッチアップに少し時間を使いすぎて、シミックミラーのサイドインアウトが完全に確立できておらず(MC中に少しずつ微調整していました)、その部分で落としたゲームもあったでしょう。情けない限りです。
■まとめ
総合成績、9-7。ミシックポイント5点。大目標だったMPLの加入どころか、ライバルズリーグの加入すらも範囲外となってしまいました。
( https://www.magic.gg/standings のChallengerを参照)
トップ8勢に捲られた所で確認するのやめたけど、改めて見たら全然無理で逆に笑った。みんな強すぎ。応援ありがとうございました! pic.twitter.com/3m1ihQjjel
— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) November 11, 2019
この1年を振り返ると、ミシックチャンピオンシップⅠ(エスパーコントロール)こそ上振れで準優勝できましたが、その後は7-8ドロップ(Ⅱ・トロン)、9-7(Ⅳ・ホガーク)、9-7(Ⅵ・シミックフード)とどれも冴えない成績。残念ですが、このアベレージの低さが今の実力といえるでしょう。
来年以降の制度がどうなるかはわかりませんが(PT権利は?GPのByeは?など不明点だらけですね)、とりあえず2020年最初のPT名古屋の権利はもらえたようなので、PT名古屋に向けて少しずつパイオニアを走り込もうと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!