MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【マジック上達のための考え方】

今回は、デッキやメタゲーム紹介ではなく、考え方の記事です。

この1年リーグ戦を戦って得た知見をもとに、上達するための思考法について述べて行きます。

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■レベルアップ

例えば店舗大会優勝がレベル30、アリーナオープン2日目進出がレベル40、アリーナオープン賞金獲得がレベル50、ライバルズリーグがレベル70、マジックプロリーグがレベル90といった具合に、マジックにも強さに応じたレベルがあります。このレベルは体感的なものなので、個々で異なると思います。

RPGと同様に序盤は簡単に成長できますが、レベルが上がるほど次までに必要な経験値がどんどん増えていきます。レベル1からレベル30までの経験値よりも、レベル40からレベル41に上げる経験値の方が高いのです。

僕の経験から言うと、一人だけでの練習では、中級者(レベル50くらい)で頭打ちになることが多いです。

あなたがある程度上達したと感じているなら、自分と同程度か上のレベルのプレイヤーと対戦する機会を作るべきです。自分より上手いプレイヤーはあなたより多くの情報を持っていることが多く、その情報を得る手段、吸収できる機会を作るべき。

Discordなど、感想戦を交えながら練習できるような環境が理想的です。

そのためには大会に頻繁に参加して、有名になるための機会を増やしましょう。自分よりも上位のプレイヤーに名前を覚えてもらうというのは、次のステップに進むチャンスに繋がります。

もし周りにプレイヤーが少なかったとしても、今の時代は配信などで他の上手いプレイヤーのプレイから学べる機会が多いです。自分のプレイとどう違うか比較して、考え方や意見を取り入れた上で、次の練習に進みましょう。

■思考→仮説立て→検証

僕もよく陥るのですが、「理由はわからないのに勝率は下がっている」という状態は黄色信号です。がむしゃらに数をやるだけの練習は、あまり効率的であるとは言えません。

こんな時は、思考→仮説立て→検証→思考の順で進めていくと、不足している個所を認識しやすいです。

1.思考→仮説立て

例1:相手のデッキには《黄金架のドラゴン》しかクリーチャーが入っていないから、ドラゴンを除去できない《パワー・ワード・キル》は除去として機能しない。
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例2:相手のデッキは赤の1マナと2マナのカードが中心に構成されており、《神秘の論争》はマナ交換で損をしやすい。1マナのカードを3マナで打ち消していては2マナ損することになる。

負けたゲームを振り返って、手札に余っているカードはありませんでしたか?もしゲーム開始時からゲーム終了時まで手札にあってプレイできないカードがあったら、それが敗因かも知れません。

除去や打ち消し呪文など、対戦相手のデッキ構成によってカードの強さは上下します。マジックのカードに完璧なものはほとんど存在せず、どのカードにも長所と短所の両方があります。

2.仮説立て→検証

例1:相手の《黄金架のドラゴン》に除去呪文を合わせようとすると、どうしても宝物トークンでマナを増やされてしまう。除去よりも《軽蔑的な一撃》の方が、ドラゴンに対応しやすいのではないだろうか。
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例2:相手のデッキは赤の1マナと2マナのカードが中心なので、速度に対応できるようにこちらも1マナのカードを増やそう。

サイドインが多い/サイドインが少ないなども、仮説を立てる基準になります。10回対戦して9回サイドインするようなカードだったら、それはそもそもメインに入れた方が良い可能性あり。

これはサイドボードに限った話ではなく、あなたのデッキが環境に合っているかどうかの指標にもなります。もし流行のデッキAに対して10枚サイドアウトしているとしたら、あなたのデッキは環境に対してメインが最適化できていないかもしれません。

3.検証→思考

マッチアップごとに強いカード/弱いカードがわかれば、少しずつ流行のデッキに合わせてデッキを変えていきます。この経験を積むことで初手に必要なカードもわかっていき、マリガン判断などに繋がります。

そしてまた最初に戻り、これを繰り返して思考をアップデートしていきます。

僕の場合思考に時間を使うことが多いですが、自分一人でまとまらなかったときは、他の人の配信を見たり友人に相談することで、自分の思考を整理します。

■仲間を求めて

上の項目でも述べましたが、1人では上達するのに限界があります。上達に必要なのは、同じ志を持った、異なるタイプのいるチームを作ること。これが大切です。

タイプ1:練習量を大量にこなす人
タイプ2:データ分析をする人
タイプ3:人間関係を円滑にしてくれる人

タイプ1
→最も人数が必要で、チームの50%はここ。基盤となるデータを、同程度の実力を持った人同士で出します。実力が近いもの同士で練習する事で、正確なデータを出します。

タイプ2
→タイプ1が出したデータから、練習の指針を決めます。数をこなして練習するのではなく、志向や分析に時間を割く人です。

タイプ3
→チーム人数が増えるほど、時には意見が衝突して、感情的になる事もあります。お互いに不満を持ったままだと練習効率にも悪影響が出るので、人間関係を円滑にする明るい人/穏やかな人が必要です。

■大会に向けた体調管理

大会当日に向けて、自分をベストな状態に持っていくのも勝つために必要な要素の一つです。

特にマジックのオンライン大会は長時間に及ぶこともあり、合計6-7時間試合をすることもあります。

疲労によりプレイ精度は落ちますし、極度の緊張下では、普段では絶対やらないようなプレイミスも起こります。本番は練習の80%の力が出せれば良い方です。

大会当日は、緊張によっていつも通りのプレイが出来ないことは当然だと思ってください。その上で、自分が最大の力を出せるように準備します。

睡眠/糖分補給

睡眠は8時間が理想で、最低でも6時間は必要です。脳が休まったどうかは、プレイに明確に反映されます。

起きたばかりだと、体が活性化するのに時間がかかるので、大会開始の3時間前に起きて食事を取るのが良いです。

長時間試合を続けると脳は疲労します。脳がエネルギー源とするのはブドウ糖だけで、ブドウ糖は糖質とタンパク質から作られます。

長時間に及ぶ試合の場合は、ある程度糖質をとって脳にエネルギーを与える必要があります。

■敗北と向き合う

当然ですが、大会で負けたら悔しいです。

しかし実際のところ、敗北から学べることは、勝って学べることよりも多いです。以前書いた内容を再掲します。

1.思考整理

敗北して、悔しさのあまり大会後にゲームをプレイし続けても、こういう時はティルト状態(※)に陥っていることが多く、練習しても冷静な判断や経験が得られません。僕も数えきれないほどティルトで失敗してきました。

(※ティルト:プレイヤーが合理的な判断ができなくなり、感情にかられた行動をとるようになってしまった状態)

心身の状態は練習効率にも大きく影響するので、一度ゲームを休んで自分の試合履歴などを振り返る時間が必要です。

こういったとき、ランニングや筋トレなどの運動が思考を整理するのに特に向いています。

自分の思考を文章にしてまとめることで、自分に不足している箇所を認識できるのです。

言語化して自分の不足している部分をはっきり認識できると、自分が何に対してストレスを感じているのかも理解できます。僕にとってこのカードラッシュ週刊連載がまさにそうです。

2.運以外の部分を減らす努力

カードゲームである以上、絶対に不運で負けることは発生しますし、逆に自分が幸運で勝つことも発生します。

重要なのは運以外の部分を減らすよう、ベストを尽くせたかどうかということ。

・マリガンして負けた→ダブルマリガンすべき初手ではなかったか。
・色事故して負けた→そもそもマナベースはきちんと構築されていたか。
・相性が悪いマッチで負けた→相性を改善できるようなサイドボードを見つけよう。

ティルト状態に陥っていると、何でも運のせいにしがちですが、不運で負けたと感じたゲームでも、あなたの認識次第で実力を上げるチャンスに変わります。

3.継続

1回優勝するより、複数回に渡って上位入賞することの方が難しいです。

そして複数回に渡って上位入賞するための方法は、負けても敗因を分析し練習を継続すること。

■おわりに/動画

今回の記事は、先日八十岡翔太さんの誕生日を祝う会で話した内容を記事にまとめたものです。
これで興味を持った方は、ぜひ動画の方も見てください。

それではまた。


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