MTG │ パイオニアオススメ三選 │ 細川侑也【デッキ紹介】
皆様、こんにちは。
細川 侑也です。
名古屋で開催されたプレイヤーズツアーとグランプリが終わりましたが、パイオニアは3月からのプレイヤーズツアー予選のフォーマットでもあるため、多くのプレイヤーがパイオニアの情報を求めていることでしょう。
そこで今回は、今使うべきパイオニアのデッキを3つ、最もオススメのリストと共に、簡単な解説を交えてご紹介いたします。
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■最強のデッキ、ディミーアインバーター
パイオニア環境で最強の名を欲しいままにしているデッキ、それがディミーアインバーター。
手札破壊、除去、そして一撃必殺のコンボ。最速5ターンキルのコンボでありながら、青黒コントロールのように立ち回れるこのデッキは、プレイヤーズツアーで大流行し、その後のトーナメントでは常に上位に残り続けています。
デッキがとても軽くて事故りづらく、様々なプランを取れるがゆえに、コンボデッキでありながらサイドボードが効きにくい。それがディミーアインバーターの強さです。
サンプルデッキリスト:ディミーアインバーター
4:《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4:《湿った墓/Watery Grave》
4:《寓話の小道/Fabled Passage》
2:《詰まった河口/Choked Estuary》
2:《異臭の池/Fetid Pools》
1:《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》
5:《島/Island》
3:《沼/Swamp》
4:《真実を覆すもの/Inverter of Truth》
3:《タッサの神託者/Thassa’s Oracle》
4:《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》
2:《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4:《選択/Opt》
4:《致命的な一押し/Fatal Push》
4:《思考囲い/Thoughtseize》
4:《時を越えた探索/Dig Through Time》
2:《思考消去/Thought Erasure》
2:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
1:《神秘の論争/Mystical Dispute》
1:《湖での水難/Drown in the Loch》
サイドボード
2:《減衰球/Damping Sphere》
2:《軍団の最期/Legion’s End》
1:《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1:《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》
2:《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
1:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
1:《神秘の論争/Mystical Dispute》
1:《害悪な掌握/Noxious Grasp》
1:《喪心/Cast Down》
1:《食らいつくし/Eat to Extinction》
2:《衰滅/Languish》
このリストは、ミラーマッチを強く意識した構成です。《タッサの神託者》はアグロデッキ全般に強く、一方でミラーマッチではその価値を落とします。
《神秘を操る者、ジェイス》は正反対の性能です。
大量の除去と手札破壊が入っているディミーアインバーターは《神秘を操る者、ジェイス》を守りやすく、そもそも相性が良いので、現在のメタゲームを加味しても、《タッサの神託者》3・《神秘を操る者、ジェイス》4が良いと思われます。
《英雄の破滅》もまたミラーを意識した1枚で、《神秘を操る者、ジェイス》を1枚で対処できます。
結局、ミラーマッチは《神秘を操る者、ジェイス》が生き残るかどうかなのです。それは、《神秘を操る者、ジェイス》がいない状態で《真実を覆すもの》を唱えるのは、かなりのリスクを伴うためです。
《タッサの神託者》では手札破壊で勝つ前に抜かれてしまうかもしれないし、《致命的な一押し》で信心を失うと、ライブラリーが0枚の状態以外では勝てなくなります。ミラーマッチでは《神秘を操る者、ジェイス》と《タッサの神託者》など、二段構えでコンボを決めるか、手札破壊を絡めるのがほとんどなのです。というわけで、デッキの主要パーツ以外のスロットは、《神秘を操る者、ジェイス》を巡る戦いに有利に立ち回れるカードで固めています。
サイドボード後に同型用に《群れネズミ》を入れているリストも多いですが、個人的にはその強さには懐疑的です。
2ターン目に生き残ってしまえば強いですが、《思考囲い》で抜かれることもありますし、最近では《致命的な一押し》が残っている場合がほとんどです。そのため、《群れネズミ》でのイージーウィンは難しくなっています。
2ターン目に確実に出すには枚数が必要となり、スロットを圧迫します。元々メインデッキとのゲームプランに合わないこのカードを複数枚サイドに取ることに強い違和感を持ち、数回のプレイで抜いてしまいました。
《群れネズミ》のために相手が《致命的な一押し》を抜いてこないことを見越して、ミラーで強い《ヴリンの神童、ジェイス》は抜くことにしました。
サイド後はクリーチャー以外で勝つことを意識しています。それが《悪夢の織り手、アショク》と《悪夢の詩神、アショク》というわけです。
最近台頭してきたスゥルタイ昂揚が《漂流自我》を2枚ほど搭載しているため、サイド後の勝ち手段はもう少しあっても良いかもしれません。2枚目の《悪夢の詩神、アショク》か《スカラベの神》あたりが候補となります。
《衰滅》は《浄光の使徒》対策として採用。《肉儀場の叫び》は《きらきらするすべて》が付くと効かなくなってしまうので、タフネス4までまとめて飛ばせる《衰滅》をオススメします。
■インバーターキラー、バントスピリット
プレイヤーズツアー名古屋を制し、その後人気を博しているバントカンパニー。特にディミーアインバーターに相性の良いデッキとして、その地位を確立しています。
赤単を極端に苦手としたデッキのため、以前まではさほど活躍していませんでしたが、環境から赤単が締め出され、ディミーアインバーターが大流行している現環境では、非常に立ち位置の良いデッキだと言えます。
サンプルリスト:バントスピリット
4:《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4:《繁殖池/Breeding Pool》
4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4:《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4:《寺院の庭/Temple Garden》
2:《平地/Plains》
2:《島/Island》
4:《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》
4:《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
4:《鎖鳴らし/Rattlechains》
4:《無私の霊魂/Selfless Spirit》
4:《至高の幻影/Supreme Phantom》
4:《天穹の鷲/Empyrean Eagle》
4:《呪文捕らえ/Spell Queller》
4:《ネベルガストの伝令/Nebelgast Herald》
サイドボード
4:《拘留代理人/Deputy of Detention》
2:《神秘の論争/Mystical Dispute》
2:《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2:《残骸の漂着/Settle the Wreckage》
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2:《悔恨する僧侶/Remorseful Cleric》
1:《否認/Negate》
バントスピリットは、特にメインボードはほぼ固定化されています。メタゲームによって増減するカードがほとんどないためです。デッキが目指す方向性はまっすぐであり、それがデッキの強みですね。
攻めるカードと少しの妨害というデッキ構成上、どんな初手をキープしてもほぼ裏目がありません。ディミーアインバーターを使っていて、「《思考囲い》ばかりあるのに相手はビートダウンだった」という経験はありませんか?バントスピリットには、そういった憂いがほとんどないのです。《霊廟の放浪者》と《至高の幻影》、《呪文捕らえ》があればどんな相手に対してもブン回りですから。
サイドボードには苦手なクリーチャーデッキに《拘留代理人》と《残骸の漂着》、青いデッキに《神秘の論争》など、こちらもシンプル。
スゥルタイ昂揚がいるので墓地対策は少し厚くしています。ロータスブリーチに対してもサイドインできるため、決して専用サイドというわけではありません。
《神秘の論争》を4枚サイドボードに入れているリストが多いですが、個人的にはオススメしません。サイド後に非クリーチャー呪文を入れすぎることで《集合した中隊》の威力は下がりますし、何よりスピリットはビートダウンデッキです。
打ち消しを引きすぎてクロックを引かずに負ける展開もあり、その上で更に後半役に立たない《神秘の論争》を4枚入れるのはとてもリスクです。
《神秘の論争》の枚数を押さえ、カウンターを散らすことをオススメします。
バントスピリットは、いかにメタゲーム上位のデッキにきちんと当たれるかがカギです。赤単に連続で当たって0-2することもありますが、決勝ラウンドでディミーアインバーターの波を泳ぎ切る可能性が高いのがバントスピリット。
細かい構築の1枚2枚の差というよりは、その日のメタゲーム次第で勝敗が決するデッキです。
■どんな相手とも対等に戦えるミッドレンジ、スゥルタイ昂揚
そして最後に紹介するのがスゥルタイ昂揚。
こちらはプレイヤーズツアーブリュッセルで隆盛のごとく登場し、見事優勝を収めたデッキ。ミッドレンジ好きのミッドレンジ好きによるミッドレンジ好きのためのデッキです。
昂揚というシステムは、その達成をいかに行うかがカギ。従来は《残忍な剥ぎ取り》が使われていましたが、このカードでダメージを通すことが困難な環境であると判断したJoel Larsson選手は、思い切って墓地を肥やす手段を《サテュロスの道探し》と《忌まわしい回収》に絞りました。
《致命的な一押し》、《思考囲い》という軽い能動的なアクションと、少しの墓地肥やし。これでも十分に昂揚を達成することができ、肥やした墓地は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で無駄になりません。
除去でアグロ耐性がありながら、コンボに対しては《思考囲い》と《ウルヴェンワルド横断》からの《約束された終末、エムラクール》があるなど、スゥルタイ昂揚は特定の相手に強いというよりは、どんな相手とも対等以上に戦えるデッキです。メタゲームに左右されにくい、非常に安定したデッキと言えるでしょう。
サンプルリスト:スゥルタイ昂揚
4:《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
4:《草むした墓/Overgrown Tomb》
2:《湿った墓/Watery Grave》
4:《繁殖池/Breeding Pool》
4:《寓話の小道/Fabled Passage》
2:《森/Forest》
1:《沼/Swamp》
2:《島/Island》
4:《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
4:《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》
3:《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
2:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
1:《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1:《歩行バリスタ/Walking Ballista》
1:《残忍な騎士/Murderous Rider》
1:《墓後家蜘蛛、イシュカナ/Ishkanah, Grafwidow》
1:《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》
1:《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1:《スカラベの神/The Scarab God》
4:《致命的な一押し/Fatal Push》
4:《思考囲い/Thoughtseize》
3:《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》
2:《突然の衰微/Abrupt Decay》
1:《食らいつくし/Eat to Extinction》
1:《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
1:《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》
1:《伝承の収集者、タミヨウ/Tamiyo, Collector of Tales》
サイドボード
2:《神秘の論争/Mystical Dispute》
2:《減衰球/Damping Sphere》
2:《突然の衰微/Abrupt Decay》
2:《漂流自我/Unmoored Ego》
1:《人質取り/Hostage Taker》
1:《食らいつくし/Eat to Extinction》
1:《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》
1:《ファリカの献杯/Pharika’s Libation》
1:《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1:《否認/Negate》
メインボードの細かい部分、《食らいつくし》や《伝承の収集者、タミヨウ》はディミーアインバーターを意識してのチョイスです。
《食らいつくし》は《神秘を操る者、ジェイス》を一撃で落とせますし、《伝承の収集者、タミヨウ》は相手の《思考囲い》を防ぐことで、プレインズウォーカー除去などを手札に持っておくことができます。単体で昂揚を大きく助けつつ、1枚差しのカードを再利用できるため、見た目以上に活躍します。
スゥルタイ昂揚は、昂揚の達成のため、各種カードのバランスを考えながらいじる必要があります。
例えば《食らいつくし》を2枚目の《残忍な騎士》にすると、《ウルヴェンワルド横断》から複数回にわたって除去をサーチできるようになる一方で、墓地が足りない事案が発生するかもしれません。1枚差しが多いため、フリースロットが大量にあるように見えますが、実のところいじれる部分はあまりありません。
さらに例えをあげれば《クルフィックスの狩猟者》を減らせばエンチャントカウントが減りますから、何かエンチャントか、墓地を肥やすカードを追加した方が良いでしょう。
サイドボードもディミーアインバーターを意識しています。手札破壊から《漂流自我》というのが目指している勝ちパターンです。
仮に《漂流自我》が手札破壊か打ち消しで防がれてしまった場合は、速やかに《約束された終末、エムラクール》プランへ切り替えましょう。
また、《群れネズミ》がサイドに入っていることを念頭に置きましょう。《致命的な一押し》と《突然の衰微》、どちらかを減らすことになりますが、《突然の衰微》の方が少し優秀だと考えています。《致命的な一押し》は紛争を達成することで《真実を覆すもの》を倒せますが、《突然の衰微》は《覆いを割く者、ナーセット》にも当たる除去です。《ヴリンの神童、ジェイス》か《群れネズミ》は入っているでしょうし、ほぼその対象には困ることはありません。
白単ヘリオッドが流行の兆しを見せているので、《ファリカの献杯》の2枚目は検討して良いかもしれません。《太陽冠のヘリオッド》を確実に落とせるカードは何枚デッキに入っていても困りません。
最初にも言いましたが、スゥルタイ昂揚は極端に不利なマッチアップがほとんどありません。強いて言うならロータスブリーチですが、《思考囲い》連打から《約束された終末、エムラクール》の勝ち筋もあります。
マッチアップで有利不利がはっきりしたデッキを嫌う傾向にある方に、スゥルタイ昂揚はオススメです。もちろん、ミッドレンジが好きな方はぜひ使うべきです。
■終わりに
今回は、パイオニアで今使うべき3つのデッキを紹介いたしました。
環境最強のデッキを使いたい方はディミーアインバーターを。
ディミーアインバーターを倒したい方はバントスピリットを。
メタゲーム上の様々なデッキに勝ちたいならスゥルタイ昂揚を。
これからパイオニアを始める方も、名古屋からパイオニアに触れていなかった方も、この記事を参考に、今週末に使用するデッキを決めてみてください。
それではまた。