MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【禁止改訂の所感とパイオニア環境デッキ紹介】
先日禁止改定が行われて、レガシー、ヴィンテージ、パウパーにおいて《___ Goblin》を含むステッカーとアトラクションカード全てが禁止に。パウパーで《きらきらするすべて》が禁止に。
公式の説明にもありましたが、《___ Goblin》は製作者側が想定していたよりも強いマナ加速で、なおかつ《ファイレクシアの変形者》などでコピーするときの為に、ゴブリンを使わない側もステッカーを用意する面倒さがありました。《___ Goblin》のマナ加速から《上流階級のゴブリン、マクサス》を出しやすく、レガシーでゴブリンデッキが一大勢力になった時期もあったのですが、今後は元々の《ゴブリンの従僕》を使うような形に戻るかも知れません。
最近パウパーを触っていなかったので《きらきらするすべて》についてはあまり語れないのですが、平気で+5/+5以上するカードなので、「相手に対処手段がなければ4ターン目でライフを削り切る」ようなゲーム展開も多そう。《僧院の速槍》禁止のときもそうでしたが、あまりにも早すぎるゲーム展開は公式が望んでいないという事が伝わってきます。
話は変わって、今週はパイオニア記事です。
直近の大会結果から、パイオニア環境を考察して行きます。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
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■参考情報
マジックオンラインで開催された、パイオニアショーケースチャレンジの結果を参考にしています。
ショーケースチャレンジは競技プレイヤーが集まる大会なので、情報としての信頼度は高いです。
PIONEER CHALLENGE 32
PIONEER CHALLENGE 64
他にもデッキリストを見たい方は、パイオニアチャレンジの結果も参照して下さい。
■イゼットフェニックス
イゼットフェニックス 使用者:azatoyellow | |
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デッキリスト | |
3:《島/Island》 4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway》 4:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》 4:《蒸気孔/Steam Vents》 1:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast》 2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》 1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》 19 lands 4:《帳簿裂き/Ledger Shredder》 |
4:《考慮/Consider》 4:《手練/Sleight of Hand》 4:《選択/Opt》 2:《呪文貫き/Spell Pierce》 4:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》 4:《稲妻の斧/Lightning Axe》 1:《感電の反復/Galvanic Iteration》 1:《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》 4:《宝船の巡航/Treasure Cruise》 1:《時間への侵入/Temporal Trespass》 29 other spells 2:《霊気の疾風/Aether Gust》 |
手札から捨てる効果や切削で墓地に《弧光のフェニックス》を落としつつ、クリーチャー除去やドロー呪文を3回唱えて《弧光のフェニックス》で攻めていく、コンボ要素を持ったコントロールデッキです。
《帳簿裂き》は1マナ呪文が多く入ったこのデッキでは謀議の誘発が容易で、手札を整えながら《弧光のフェニックス》を墓地に送ります。
《錠前破りのいたずら屋》の出来事《フェイの解放》は、切削により《弧光のフェニックス》を落としながら、墓地を3枚増やしてくれるので探査呪文のコストとして役立ちます。本体の1/3飛行警戒も意外と優秀で、複数並ぶとダブルブロックで相手の3/2を止めてくれますし、除去されても損しないのが良いです。
ドロー呪文を多用する構成上、相手の《黙示録、シェオルドレッド》は絶対に除去しなければいけないので、1マナで対処できて手札を捨てれる《稲妻の斧》は4枚フル採用。この《稲妻の斧》4枚と《焦熱の衝動》4枚によりクリーチャー除去を得意としており、除去連打から《宝船の巡航》でアドバンテージ差を広げるのが、良くある勝ちパターンです。
コントロールデッキと表現したのは、この除去連打からドローの動きを示しています。
イゼットフェニックスはパイオニアで長い期間使用されているデッキであり、メインはほぼ完成されています。フリースロットが1-2枚あるのですが、そこに何を採用するかはメタゲームや、個人の好みになります。人によっては《呪文貫き》の3枚目、《厚かましい借り手》、《塔の点火》などなど。
このリストではフリースロットに《夢を引き裂く者、アショク》が1枚採用。自分を4枚切削する事で、フェニックスを落としたり探査呪文を使いやすい。そしてメインからアショクでの墓地対策があれば同系対決で優位になり、サーチ禁止効果によりロータスコンボにも戦えるようになります。
《宝船の巡航》は他のフォーマットでは禁止されている超強力なドロー呪文で、これを上手く使えるからこそイゼットフェニックスが高い勝率を出せていると言えるほど、デッキの中心となるカードです。《感電の反復》からコピーすれば6枚ドロー!
《感電の反復》から《時間への侵入》をコピーすれば追加2ターン!それぞれデッキに1枚ずつですが、ドロー呪文や切削によりデッキの半分以上を引く事が多いデッキなので、想像よりも追加ターンコンボは決まりやすいです。
イゼットフェニックスは長い期間トップメタであり、今後の禁止改定で《宝船の巡航》が禁止されても不思議ではないと感じています。
それくらい《宝船の巡航》は強い!!!
サイド後に墓地対策をされやすいデッキなので、墓地対策をくぐり抜けて行けるカードが複数採用されています。
《鏡割りの寓話》と《弾けるドレイク》はどちらも墓地対策が効かず、単体でアドバンテージを取れるカードなのでサイド後の消耗戦向き。
《兄弟仲の終焉》はクリーチャーを並べてくるデッキに強く、《未認可霊柩車》への除去を兼ねているのが嬉しい。
《標の稲妻》は再活で墓地からも使えるので、1枚入れておくと消耗戦になった時でも5/5や6/6といった巨大クリーチャーを倒せて便利です。
■アマリアコンボ
クリーチャーを複数展開し、攻撃しながら無限コンボを狙って行くデッキです。
1.戦場に《月皇の古参兵》や《裕福な亭主》といった、戦場に出た時にライフを回復するクリーチャーを用意。(回復をすればいいだけなので、マナさえあれば食物トークンでもOK)
2.次に《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《野茂み歩き》を揃えて、《月皇の古参兵》《裕福な亭主》によるライフ回復が誘発。
3.ライフ回復により《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》の探検が誘発、探検を行うことで《野茂み歩き》の3点回復が誘発、これにより3.がループして、《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》のパワーが20になって他のクリーチャーを全て破壊。
4.パワー20を超えた《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》で攻撃して勝利。アマリアが召喚酔いだった場合は、探検を繰り返して行く過程で墓地を増やしていき、探検で《戦列への復帰》か《霊気貯蔵器》をデッキトップに積む。
次のターン、《戦列への復帰》をプレイして墓地のクリーチャーを戦場に戻して、再びコンボで探検と回復を繰り返します。その際に《魂浸し、ダイナ》がいれば、アマリアで攻撃せずにライフルーズ効果で勝利することが出来ます。
一旦アマリアコンボが決まればライフは80を超えるので、《霊気貯蔵器》の50点砲を撃って勝利!
最近のリストは《獣相のシャーマン》採用が主流になっています。墓地に送る効果が《戦列への復帰》や《救出専門家》の効果と相性が良く、状況に合わせて1枚差しのクリーチャーもサーチ可能。
アマリアの効果は、パワーがちょうど20であるなら他の全てのクリーチャーを破壊します。
他のカードの効果で《野茂み歩き》に破壊不能を付与された場合、アマリアと《野茂み歩き》により終わらない無限ループが発生し、ゲームが強制的に引き分けになってしまうことに注意して下さい。実際過去のプロツアーでは、《ロランの脱出》により何度も引き分けが発生していました。
新しく採用されている《エイヴンの阻む者》は、打ち消されない呪文に対しても1ターン計画状態に出来るので、《至高の評決》も1ターンだけ回避できます。苦手な青白コントロール相手に《エイヴンの阻む者》が相性改善なるか。
《怪物の代言者、ビビアン》は、除去の多いミッドレンジ相手に、デッキトップからクリーチャーを唱える効果がアドバンテージ源として強そうです。
■ラクドス吸血鬼
ラクドス吸血鬼 使用者:_Tutenji_ | |
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デッキリスト | |
3:《沼/Swamp》 1:《山/Mountain》 4:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》 3:《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway》 4:《血の墓所/Blood Crypt》 3:《硫黄泉/Sulfurous Springs》 1:《見捨てられたぬかるみ、竹沼/Takenuma, Abandoned Mire》 2:《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant》 4:《変わり谷/Mutavault》 25 lands 4:《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》 |
4:《思考囲い/Thoughtseize》 1:《強迫/Duress》 4:《致命的な一押し/Fatal Push》 2:《苦々しい勝利/Bitter Triumph》 4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》 4:《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》 19 other spells 1:《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》 |
ラクドスミッドレンジにコンボ要素を合わせた、相手を妨害しながら攻撃して行くデッキです。
デッキの根幹はラクドスミッドレンジと変わらず、《思考囲い》や《致命的な一押し》で序盤から相手を妨害してからの《鏡割りの寓話》で、盤面のリードを広げて行きます。
そしてデッキの必殺技と言えるのが、3ターン目《傲慢な血王、ソリン》の【-3】から《血管切り裂き魔》を直接戦場に!
《血管切り裂き魔》の護法コストを序盤から支払うのは難しく、もし除去に成功したとしてもライフやリソースを大きく失う事になります。
《傲慢な血王、ソリン》を引かなかったとしても、《鏡割りの寓話》での宝物トークンがあれば6マナでプレイするのも難しくありません。
吸血鬼クリーチャーたち。
《税血の収穫者》は赤黒デッキの定番であり、《キキジキの鏡像》のコピー先としても優秀。《分派の説教者》は攻守を兼ねた単体で強い性能です。攻撃時に出るトークンも吸血鬼なので、ソリンの【+1】で生贄にするのにも最適。
《薄暮軍団の盲信者》は現代スペックとは思えない弱いクリーチャーですが、ソリンの【+1】を上手く使ったり、《キキジキの鏡像》のコピー先としてデッキを安定させるためには必要な枠です。
《ゲトの裏切り者、カリタス》は、死亡時に追放する効果が《弧光のフェニックス》やアマリアコンボに対して有効。
《変わり谷》も吸血鬼なので、ソリンの【+1】で+1/+1カウンターを乗せたり、生贄にして3点ダメージに使ったりと器用に動けます。絆魂・接死も付与するので、3/3、4/4と育っていくと頼もしい!
直近のチャレンジではイゼットフェニックス、ラクドス吸血鬼の使用率が高く、現在はこの2つがメタゲームの中心です。
この2つのデッキを倒すべく、最近流行の兆しを見せているのが次のデッキです。
■黒単無駄省き
ラクドス吸血鬼 使用者:_Tutenji_ | |
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デッキリスト | |
9:《沼/Swamp》 4:《ロークスワイン城/Castle Locthwain》 2:《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant》 1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》 1:《解体爆破場/Demolition Field》 4:《廃墟の地/Field of Ruin》 3:《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》 2:《沈んだ城塞/Sunken Citadel》 26 lands 2:《敵意ある調査員/Hostile Investigator》 |
4:《思考囲い/Thoughtseize》 2:《強迫/Duress》 1:《塵へのしがみつき/Cling to Dust》 4:《致命的な一押し/Fatal Push》 1:《喉首狙い/Go for the Throat》 1:《無情な行動/Heartless Act》 3:《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred’s Edict》 4:《無駄省き/Waste Not》 1:《精神迷わせの秘本/Mazemind Tome》 3:《真っ白/Go Blank》 3:《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》 1:《絶滅の契機/Extinction Event》 28 other spells 1:《夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render》 |
相手が手札を捨てた時に誘発する《無駄省き》を中心に据えた、手札破壊と除去で相手を妨害して行く、コントロールデッキです。
2ターン目《無駄省き》から3ターン目《真っ白》と繋げて、ドローやマナ加速やゾンビを生成。メインから《真っ白》なので墓地を使うイゼットフェニックスを対策できており、その上相手の《帳簿裂き》や《稲妻の斧》で手札を捨てた際にも《無駄省き》が誘発します!
護法を持った《血管切り裂き魔》に対しては、《ヴェールのリリアナ》の【-2】と、《シェオルドレッドの勅令》により、護法を気にせずに生贄効果で除去。《ヴェールのリリアナ》は《無駄省き》との相性が抜群!
ただ、相手のデッキによってクリティカルなカードはあるものの、どれも強い状況が限定される効果である事には注意。
《薄暮軍団の盲信者》がいたら《ヴェールのリリアナ》《シェオルドレッドの勅令》は弱く、《真っ白》もタイミングを選びます。
新セットからは《敵意ある調査員》が採用され、手札破壊を連打するデッキ構成にピッタリの能力です。手掛かりトークン生成が後半に強い!
能力持ちの土地が多く採用されており、特に《ガイアー岬の療養所》は強制的に1枚捨てるので、《無駄省き》を誘発させられます。
最近は基本地形が少ないデッキが多いので、《廃墟の地》でマナベースも崩し、自分は《ロークスワイン城》で手札を補充。
土地が強く、後半でもマナフラッドしにくい構成なのが好印象です。
■おわりに
パイオニアのデッキを紹介して行きました。パイオニアには「モダンホライゾン3」は加入しないので、しばらくはこの4つが強いメタゲームが続くと予想しています。特に《無駄省き》は新しいデッキなので、今後リストがどう洗練されていくのかが楽しみです!
それではまた。