MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【スタンダードデッキ紹介】

今回はスタンダード記事です。

『イニストラード 真紅の契り』によってどうメタゲームが変化したか、さっそく見ていきましょう。

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■大会結果

先週末に行われた、日本選手権2021 SEASON3本戦の結果を参考にしています。

大会結果はこちら

■イゼット天啓

日本選手権2021シーズン3:優勝 By 小林 遼平【インポート
デッキリスト
6:《山/Mountain
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
4:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast
4:《島/Island
2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
2:《廃墟の地/Field of Ruin
22 Lands


1:《溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned
1 creatures

1:《セレスタス/The Celestus
4:《アールンドの天啓/Alrund’s Epiphany
3:《表現の反復/Expressive Iteration
2:《轟く叱責/Thundering Rebuke
1:《家の焼き払い/Burn Down the House
4:《棘平原の危険/Spikefield Hazard
4:《ゼロ除算/Divide by Zero
3:《感電の反復/Galvanic Iteration
3:《消えゆく希望/Fading Hope
3:《予想外の授かり物/Unexpected Windfall
2:《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption
2:《記憶の氾濫/Memory Deluge
2:《削剥/Abrade
1:《否認/Negate
1:《燃えがら地獄/Cinderclasm
1:《プリズマリの命令/Prismari Command
37 other spells


4:《くすぶる卵/Smoldering Egg
2:《才能の試験/Test of Talents
2:《燃えがら地獄/Cinderclasm
2:《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon
1:《環境科学/Environmental Sciences
1:《マスコット展示会/Mascot Exhibition
1:《アルカイックの教え/Teachings of the Archaics
1:《溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned
1:《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror
15 sideboard cards

アールンドの天啓》を予顕して、《感電の反復から合計8マナで追加2ターンを得るコンボを搭載。8マナまでは除去や打ち消し呪文でターンを稼ぐので、コンボとコントロールの中間のデッキです。
合計8マナと必要なマナが多いため、マナ加速兼ドローとして《予想外の授かり物》が採用されています。《予想外の授かり物》は《感電の反復》とも相性抜群で、コピーすると宝物トークンと手札が一気に増えます。

新セットで《スレイベンの守護者、サリア》が収録された影響で、イゼット系のデッキはサリアを除去するために《棘平原の危険を4枚搭載するのが標準となりました。

優勝リストも、白単を意識して全体的に軽めの除去を選択しています。その関係で《輝かしい聖戦士、エーデリン》などタフネス4に苦労するので、《轟く叱責》もメインから採用されています。

スタンダードの青いデッキは《ゼロ除算4枚が標準になりました。序盤は《環境科学》で事故を防止、中盤は《アルカイックの教え》で手札補充、終盤はフィニッシャーである《マスコット展示会》をサーチと、いつ引いても嬉しいカードです。

打ち消されない呪文に対しても「手札に戻す」効果なので機能して、相手の《船砕きの怪物を1ターン遅らせる事が出来ます。この後紹介する《溺神の信奉者、リーア》がいても手札に戻せます。

このリストの特徴的な部分は、メインのクリーチャーを《溺神の信奉者、リーア》1枚に絞っている所です。

スタンダードはほとんどのデッキがメインにクリーチャー除去を多く搭載しているので、その除去を腐らせることが狙いです。《溺神の信奉者、リーア》であれば墓地に《消えゆく希望があれば自身をバウンスすることで除去から守れますし、生き残れば莫大なアドバンテージを獲得できます。

特にイゼット系のミラーマッチはどちらが先に《アールンドの天啓》《感電の反復コンボを決められるかに集約するので、相手の除去と交換になるクリーチャーを少なくして、よりスムーズにコンボを目指しているのがこのリストです。

ただサイド後はお互い打ち消し呪文が増えて除去が少し減るので、クリーチャーの価値もまた変わっていきます。

主にイゼット系のミラーマッチでのサイド後に活躍する2種類。

お互いが《才能の試験》《否認を構える展開になるので、そこで仕掛けられるクリーチャー呪文もサイド後には必要です。

黄金架のドラゴン》はマナ差をつけることで、追加ターンコンボを巡る打ち消し合戦に強くなり、《予想外の授かり物》があれば一気にマナが増えます。

船砕きの怪物》はお互いが打ち消しを構えてエンドする、ドローゴーの展開でエンドに仕掛けやすいです。《ゼロ除算には弱いですが、逆に相手の《ゼロ除算さえ乗り越えれば一気にゲームを支配してくれます。

優勝者インタビューで印象的だったのが、「白単はイゼットの《くすぶる卵》《燃えがら地獄》コンビに苦労する」という箇所でした。

たしかに《くすぶる卵を乗り越えるためにはクリーチャーを複数展開する必要があり、そこに《燃えがら地獄》が刺さりやすい。

くすぶる卵》を倒すには《勇敢な姿勢》などの除去を増量、《燃えがら地獄》を回避するには《ガーディアン・オヴ・フェイスなどの対策を取る必要がありますが、多くサイドインし過ぎるのも考えものです。白単本来の形を崩してしまうと、ちぐはぐな手札が来て、上手くデッキが回らなくなる場合があるためです。

表現の反復》は序盤の事故を防ぎ、後半もトップ3枚から好きな2枚をドローできる素晴らしい呪文です。

僕はスタンダードで最強の呪文だと考えているので、これだけは4枚がいい!

■白単アグロ

日本選手権2021シーズン3:3位 By 永瀬 裕貴【インポート
デッキリスト
19 《冠雪の平地/Snow-Covered Plains
4 《不詳の安息地/Faceless Haven
23 lands


4:《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant
4:《有望な信徒/Hopeful Initiate
4:《束の間の霊魂/Fleeting Spirit
4:《堕ちたる者の案内者/Usher of the Fallen
4:《剛胆な敵対者/Intrepid Adversary
4:《精鋭呪文縛り/Elite Spellbinder
4:《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben
3:《輝かしい聖戦士、エーデリン/Adeline, Resplendent Cathar
2:《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition
2:《傑士の神、レーデイン/Reidane, God of the Worthy
35 creatures

2:《勇敢な姿勢/Valorous Stance
2 other spells


4:《粗暴な聖戦士/Brutal Cathar
2:《ポータブル・ホール/Portable Hole
2:《パラディン・クラス/Paladin Class
2:《ガーディアン・オヴ・フェイス/Guardian of Faith
2:《静寂の呪い/Curse of Silence
2:《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition
1:《勇敢な姿勢/Valorous Stance
15 sideboard cards

『イニストラード 真紅の契り』の恩恵を大きく受けたのが白単アグロです。

スレイベンの守護者、サリア》はイゼット系に対して強く、除去されなければ相手のマナを大きく制限していきます。

勇敢な姿勢》は自分のクリーチャーを破壊不能で守り、なおかつ相手のタフネス4を除去と、攻めても守っても強い呪文です。

スタンダードに存在する強いクリーチャーは《くすぶる卵》《黄金架のドラゴン》《溺神の信奉者、リーア》《船砕きの怪物》《輝かしい聖戦士、エーデリン》《エシカの戦車とタフネス4以上に集中しており、それをわずか2マナで除去できるのが素晴らしい!

有望な信徒》は白単待望の1マナ域で、2回訓練出来れば3マナ相当のサイズになります。

輝かしい聖戦士、エーデリンは除去されなければ1枚で勝つほどのカードパワーがあります。最近はタフネス4除去も限られた枚数しか入っておらず、1枚を除去するのが精一杯です。そのため、伝説ではありますが、生き残ったら勝ち理論で4枚でも良いかも知れません。

最近はイゼット系がメタゲームの中心であるため、3マナの追放クリーチャー2種類がサイドボードにあることが多いです。

除去に弱い点、追放するクリーチャーが少ない点からイゼット系にはあまり効きませんが、クリーチャーデッキ対決では《粗暴な聖戦士》《スカイクレイブの亡霊》の合計枚数がとても重要です。

■オルゾフミッドレンジ

日本選手権2021シーズン3:4位 By 森山 真秀【インポート
デッキリスト
4:《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway
4:《砕かれた聖域/Shattered Sanctum
4:《陽光昇りの小道/Brightclimb Pathway
4:《針縁の小道/Needleverge Pathway
3:《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant
2:《フロスト・ドラゴンの洞窟/Cave of the Frost Dragon
2:《沼/Swamp
1:《平地/Plains
24 lands


4:《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant
4:《シルバークイルの口封じ/Silverquill Silencer
3:《ヘンリカ・ダムナティ/Henrika Domnathi
3:《魅せられた花婿、エドガー/Edgar, Charmed Groom
2:《剛胆な敵対者/Intrepid Adversary
2:《嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Lies
18 creatures

2:《不笑のソリン/Sorin the Mirthless
1:《蜘蛛の女王、ロルス/Lolth, Spider Queen
4:《婚礼の発表/Wedding Announcement
3:《食肉鉤虐殺事件/The Meathook Massacre
2:《エメリアの呼び声/Emeria’s Call
4:《消失の詩句/Vanishing Verse
2:《ハグラの噛み殺し/Hagra Mauling
18 other spells


4:《真っ白/Go Blank
4:《エメリアのアルコン/Archon of Emeria
2:《危難の道/Path of Peril
2:《レイ・オヴ・エンフィーブルメント/Ray of Enfeeblement
1:《蜘蛛の女王、ロルス/Lolth, Spider Queen
1:《悪意の熟達/Baleful Mastery
1:《真髄の針/Pithing Needle
15 sideboard cards

イゼット、白単と言うメタゲームにオリジナルデッキで風穴を開けてきたのが、森山さんのオルゾフミッドレンジ。

シルバークイルの口封じは的確にカード名を指定すればかなりライフを削ってくれて、デッキリスト公開制の大会ではなお使いやすくなります。

婚礼の発表》は1/1が3体+全体強化と考えるとかなりの高性能。オルゾフだけではなく白単でも採用候補にしていいと感じるほど、大活躍していました。リミテッド初手級レアは構築級!

ヘンリカ・ダムナティ》は《婚礼の発表》で生み出したトークンをそのまま生け贄にできるので良相性。アドバンテージを得やすい中堅クリーチャーです。

消失の詩句》は今のスタンダードにかなり合った除去です。単色アグロデッキに効くのは勿論、イゼット系の《くすぶる卵》《黄金架のドラゴン》《溺神の信奉者、リーア》《船砕きの怪物》も対処できます。

食肉鉤虐殺事件》は白単を意識しての選択で、タフネスの低いクリーチャーたちを一掃します。《婚礼の発表で守りながら《食肉鉤虐殺事件》という動きが強いですね。

イゼット系には《剛胆な敵対者》《食肉鉤虐殺事件といったカードが効きにくいので、それと入れ替わる形でサイドボードに対イゼットが8枚用意されています。

真っ白》は手札破壊しながら《感電の反復》《記憶の氾濫》を墓地から追放でき、相手のアドバンテージ源をシャットダウン。《溺神の信奉者、リーア》の強さも半減させます。

エメリアのアルコン》は特殊地形がタップインになり、1ターンに1つしか呪文を唱えられないので《アールンドの天啓感電の反復》コンボが出来なくなります。

なるべくなら《婚礼の発表》でサイズを上げて、《削剥されない3/4サイズで《エメリアのアルコンを出したいですね。

■緑単アグロ

日本選手権2021シーズン3:13位 By 井上 徹【インポート
デッキリスト
20:《冠雪の森/Snow-Covered Forest
4:《不詳の安息地/Faceless Haven
24 lands


4:《冬を彫る者/Sculptor of Winter
4:《群れ率いの人狼/Werewolf Pack Leader
4:《カザンドゥのマンモス/Kazandu Mammoth
4:《老樹林のトロール/Old-Growth Troll
3:《ウルヴェンワルドの奇異/Ulvenwald Oddity
1:《絡みつく花面晶体/Tangled Florahedron
20 creatures

4:《吹雪の乱闘/Blizzard Brawl
2:《蛇皮のヴェール/Snakeskin Veil
4:《レンジャー・クラス/Ranger Class
2:《豊穣の碑文/Inscription of Abundance
4:《エシカの戦車/Esika’s Chariot
16 other spells


4:《タジュールの荒廃刃/Tajuru Blightblade
1:《豊穣の碑文/Inscription of Abundance
1:《ウルヴェンワルドの奇異/Ulvenwald Oddity
1:《不自然な成長/Unnatural Growth
2:《トヴォラーの猟匠/Tovolar’s Huntmaster
2:《辺境地の罠外し/Outland Liberator
2:《蛇皮のヴェール/Snakeskin Veil
2:《貪る触手/Devouring Tendrils
15 sideboard cards

緑単の立ち位置についても少し説明します。

最近は緑単は数を減らしてきており、理由としては白単の新カード《スレイベンの守護者、サリア》《勇敢な姿勢》2種類がどちらも緑単に効果的だからです。

エシカの戦車》《吹雪の乱闘はどちらも1マナ増えると使いにくく、《勇敢な姿勢は緑単側からしたらいつでも嫌な除去です。

新戦力の《ウルヴェンワルドの奇異はイゼット系に強い良いカードではあるのですが、白単への弱さから、今は少し立ち位置が悪いです。

ただ、メタゲームが動くことで緑単の立ち位置が良くなる可能性はあります

もともと《蛇皮のヴェールはイゼット系の除去を1マナで返せる素晴らしいカード。

更にはアグロ対策が《燃えがら地獄》など白単用に寄り、《バーニング・ハンズ》の枚数は減少傾向にあります。

緑単が苦手だった《竜巻の召喚士》も殆ど見なくなりました。白単用にタフネスの低いクリーチャー対策が進むようなら、《燃えがら地獄を苦にしない緑単がトップメタに返り咲く可能性は十分あると思います。

■おわりに

大会結果をもとに新スタンダードを分析しました。

新セットで最も得たものが多いのは白単ですが、イゼット系が白単に適応した結果、イゼットが勝つという結果になった印象を受けています。

表現の反復》はスタンダードで明らかに突出したカードパワーを持っています。既にレガシーでも4枚採用されるほどで、性能としては《渦まく知識》《思案》に匹敵します。

「デッキの安定性」はマジックでとても重要な要素であり、《表現の反復はかなり「土地事故」「マナフラッド」を防いでくれるカードなので、僕も大好きです。

表現の反復》4枚、まずはそこから試して、《表現の反復》デッキをどう倒すかも考えていきましょう。

それではまた。

 


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