MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【続・指輪物語後のモダン考察】
モダンが今、最高に面白い!
「指輪物語」の加入で大きく変化するモダン環境を、引き続き追って行きます
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■ここ最近のモダンまとめ
今のモダンを簡単に分類すると、以下の3種類のデッキの使用率が高いです。
①《敏捷なこそ泥、ラガバン》+αで展開するデッキ(ラクドススキャム、URマークタイド、死の影、ドメインズー)
②クリーチャー除去に比重を置いたデッキ(オムナス、不屈の独創力、ヨーグモス)
③土地コンボ系(ウルザトロン、アミュレットタイタン、黒単コントロール)
序盤から展開しながら、手札破壊や打ち消し呪文でバックアップする構成の①は、③に対して少し有利です。
《虹色の終焉》《稲妻》《力線の束縛》で除去を得意とする構成の②は、①に対して少し有利です。
相手の除去が効きにくく、土地によるマナ加速から《大いなる創造者、カーン》《一つの指輪》でアドバンテージを取る構成の③は、②に対して少し有利です。
その他、《死せる生》が上位入賞数が多いです。
メインは最強のブン回りを持つデッキですが、サイドボード後に墓地対策や《虚空の杯》の影響を受けやすいので、相手のサイド次第。
《死せる生》はサイドボードで意識されないとかなり強いデッキなので、墓地対策や、X=0で 《死せる生》を打ち消す《虚空の杯》は欠かせません。
新セットの中で、《オークの弓使い》《一つの指輪》の2つが特に強く、この2つのどちらか、あるいは両方を使う方向でデッキが研究されて来ています。
《オークの弓使い》《一つの指輪》に関しては、過去の記事も参照して下さい。
・指輪オムナスの紹介記事
・ウルザトロン、黒緑ヨーグモス、死せる生の紹介記事
■参考情報
・Grand Open Qualifier Bologna
・MODERN SHOWCASE QUALIFIER(7/8開催)
・MODERN CHALLENGE(7/8開催)
・MODERN CHALLENGE(7/9開催)
直近の大会結果の上位デッキを紹介して行きます。
イタリアのボローニャで開催された、参加者676人のモダン大型イベントGrand Open Qualifierと、マジックオンライン上の大会結果を参考にしています。
■ラクドス・スキャム(ボローニャ優勝)
Grand Open Qualifier Bologna優勝 By Albybale93 | |
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デッキリスト | |
3:《沼/Swamp》 1:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》 4:《汚染された三角州/Polluted Delta》 4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》 4:《血の墓所/Blood Crypt》 1:《見捨てられたぬかるみ、竹沼/Takenuma, Abandoned Mire》 3:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》 20 Lands 4:《悲嘆/Grief》 |
4:《思考囲い/Thoughtseize》 3:《終止/Terminate》 4:《フェイン・デス/Feign Death》 2:《不死なる悪意/Undying Malice》 2:《致命的な一押し/Fatal Push》 2:《血染めの月/Blood Moon》 17 other spells 1:《月の大魔術師/Magus of the Moon》 |
手札破壊と軽量クリーチャーにより、妨害しながら攻撃して行くデッキです。
《オークの弓使い》はタフネス1を除去すると共に、除去に強い展開をします。相手のドロー呪文や《ミシュラのガラクタ》の誘発型能力にスタックで出せば追加で1点入ります!
《一つの指輪》のドロー能力に対して《オークの弓使い》はライフを詰めていく事が出来て、今やモダンの主力クリーチャーとなりました。相手の《オークの弓使い》に対抗するには自分も《オークの弓使い》を使うのが一番で、入れるなら4枚のカードだと言えます。
メインから《血染めの月》が入っており、冒頭で述べた②と③に該当するデッキが《血染めの月》で機能不全を起こしやすいからです。(オムナス、独創力、土地コンボなど)
自身は《沼》をフェッチランドで探せば問題なく動けます。
デッキの中核になっているのが、《悲嘆》《激情》の2種類の想起クリーチャー。
1ターン目に《悲嘆》を想起でプレイして、手札破壊してから《フェイン・デス》や《不死なる悪意》で戦場に戻す事により、相手の手札の強いカードを2枚捨てながら4/3威迫が爆誕します!
同様に《激情》想起で《フェイン・デス》《不死なる悪意》すれば、8点振り分けながら4/4二段攻撃が爆誕します!
ここに《思考囲い》などが絡むとさらに手札がボロボロになり、序盤から相手に何もさせずに勝つこともあるほど、押し付けの強いデッキです。
デッキ名になっているスキャム(Scam)には「詐欺」という意味があり、これは《フェイン・デス》や《不死なる悪意》で想起クリーチャーが戻ってくる様子を表しているのだと思われます。
サイドボードの《虚空の杯》は、主に《衝撃の足音》《死せる生》の続唱デッキ対策で、X=0で置く事で続唱呪文に牽制をかけます。無色で0マナなのであらゆるデッキでサイドボードに取れる良いカードで、だんだん需要も上がって来ていますね。
《月の大魔術師》は主に③の土地コンボ対策で、《耐え抜くもの、母聖樹》で破壊されないメリットがあるので、《血染めの月》と併用する事で相手に異なる除去を要求します。
《黙示録、シェオルドレッド》は、《激情》で焼かれないサイズなのでラクドス・スキャム同系で特に強く、《フェイン・デス》や《不死なる悪意》を構えながら出したい!
《鏡割りの寓話》がサイドボードに入っているのは良くわかりませんでした。カード自体はとても強く、《歴戦の紅蓮術士》が相手の《オークの弓使い》に弱い事を考えると、《歴戦の紅蓮術士》より《鏡割りの寓話》がメインでも良い気がします。
■黒単コントロール
モダンチャレンジ5位:By RAEST | |
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デッキリスト | |
4:《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》 4:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》 10:《沼/Swamp》 4:《廃墟の地/Field of Ruin》 4:《解体爆破場/Demolition Field》 26 Lands 3:《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》 |
4:《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》 3:《一つの指輪/The One Ring》 4:《不憫な悲哀の行進/March of Wretched Sorrow》 4:《致命的な一押し/Fatal Push》 3:《血の長の渇き/Bloodchief’s Thirst》 2:《滅び/Damnation》 4:《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》 3:《絶望招来/Invoke Despair》 4:《夜の囁き/Night’s Whisper》 31 other spells 1:《一つの指輪/The One Ring》 |
デッキの分類としては、コントロール要素のある土地コンボです。ウルザトロンほど速攻でマナが溜まるわけではないですが、そのぶん除去や手札破壊などが出来るようになっています。
序盤を《致命的な一押し》《血の長の渇き》といった軽量除去で捌きながら、《夜の囁き》でドロー。
除去で時間を稼ぎ、その間に《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》《陰謀団の貴重品室》のセットを揃えます。
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の効果により全ての土地が《沼》になるので、《陰謀団の貴重品室》自身も《沼》となって大量マナを生み出します。
例えば《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》《陰謀団の貴重品室》を含む土地4枚なら5マナ、土地5枚なら7マナといったように、5枚目以降からマナがどんどん増えて行きます。
増えたマナから、最速4ターン目に《絶望招来》!スタンダードで禁止された《絶望招来》はモダンでも通用する強さ!
そして増えたマナから《一つの指輪》で手札を増やし、《大いなる創造者、カーン》から《隔離するタイタン》や《街並みの地ならし屋》でフィニッシュ!
《大いなる創造者、カーン》は相手の《一つの指輪》の起動を防ぎつつ、自分は《一つの指輪》をサーチできるので、指輪対決で最も輝くカードです。
《大祖始の遺産》は相手の《レンと六番》《濁浪の執政》《フェイン・デス》《死せる生》を牽制しつつドローできるので、メインに採用しやすい便利な対策カード。ウルザトロンでも良く見かけます。
《廃墟の地》《解体爆破場》と8枚体制で相手の特殊地形は許さない!モダンは基本地形が多く入ったデッキが少ないので、連打していれば基本地形が枯れる事もあります。
《不憫な悲哀の行進》は、土地が揃った後にXの値を大きく打つ事で大量回復します。
■《サムワイズ・ギャムジー》コンボ
モダンチャレンジ4位:By ALEXANDERROSDAHL | |
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デッキリスト | |
4:《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》 2:《草むした墓/Overgrown Tomb》 2:《寺院の庭/Temple Garden》 1:《神無き祭殿/Godless Shrine》 4:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》 2:《剃刀境の茂み/Razorverge Thicket》 2:《花盛りの湿地/Blooming Marsh》 1:《地平線の梢/Horizon Canopy》 1:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》 1:《平地/Plains》 1:《沼/Swamp》 1:《森/Forest》 22 Lands 1:《臓物の予見者/Viscera Seer》 |
4:《飢餓の潮流、グリスト/Grist, the Hunger Tide》 4:《召喚の調べ/Chord of Calling》 4:《集合した中隊/Collected Company》 12 other spells 2:《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》 |
新カード《サムワイズ・ギャムジー》を中心にした、クリーチャー・コンボデッキです。
①《サムワイズ・ギャムジー》、《大釜の使い魔》、《臓物の予見者》を戦場に揃える。
②《大釜の使い魔》が戦場に出て食物トークン生成、その後《臓物の予見者》で《大釜の使い魔》を生贄。
③食物トークンを生贄にして《大釜の使い魔》を戦場に戻して、1点ドレイン。②に戻る。
②と③を繰り返す事により無限ドレインのコンボが成立します!《大釜の使い魔》のライフを失わせる効果は対象を取っていないので、相手の《一つの指輪》のプロテクション(すべて)が貼られている状況下でも勝つことが出来ます!
ただ、単体で見た時《大釜の使い魔》《臓物の予見者》はカードとして力不足なので、《召喚の調べ》や《イーオスのレインジャー長》からのサーチ用に1枚に抑えれれており、コンボだけでなく普通に攻撃して勝つことも多いデッキです。
《喜ぶハーフリング》からの2ターン目《飢餓の潮流、グリスト》は盤面展開、除去能力ともに強力!
もちろんこのデッキでも《オークの弓使い》がフル採用されています。召集元としても除去としても便利!
これらのパーツを《集合した中隊》で探して行きます。《集合した中隊》から《飢餓の潮流、グリスト》が出た時に能力起動したいので、構えずにメインで《集合した中隊》を撃つことも多いです。
■おわりに
《一つの指輪》環境かと思われましたが、《オークの弓使い》も負けず劣らず存在感を示しており、最近では《オークの弓使い》の方が流行って来た印象を受けています。
相手の火力除去で落ちにくい《黙示録、シェオルドレッド》が、モダンでも使われ始めているのが面白いですね!黒ミラーは《黙示録、シェオルドレッド》がカギになりそう。
《黙示録、シェオルドレッド》が流行ったら、除去の選定基準もまた変わって来そうです。
それではまた。