MTG │ デッキ紹介│ 高橋優太【スタンダードの流行デッキ紹介】

今回はスタンダード記事です。

これまでのスタンダードの流れをまとめると、

1.グリクシスがトップメタ。同型で《喉首狙い》されやすい《黙示録、シェオルドレッド》はメインからサイドに移行。
2.ミッドレンジ対決用に《勢団の銀行破り》のメイン採用が増加。ライフ回復系カードが減ったこともあり、赤単や青白兵士などアグロデッキの増加。
3.アグロデッキや、グリクシスに対して強い、白系ミッドレンジの増加。

以上の流れをふまえ、大会結果を参考にし、最近のスタンダードをチェックしていきます。

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■参考情報

スタンダードチャレンジ

12/11にマジックオンラインで開催された、スタンダードチャレンジの結果を参考にしています。

■ボロスミッドレンジ

スタンダードチャレンジ:準優勝 By PETER780108
デッキリスト
3:《ジェトミアの庭/Jetmir’s Garden
4:《山/Mountain
8:《平地/Plains
4:《日没の道/Sundown Pass
2:《道路脇の聖遺/Roadside Reliquary
2:《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge
1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire
24 Lands


4:《野心的な農場労働者/Ambitious Farmhand
2:《聖戦士の奇襲兵/Cathar Commando
4:《第三の道のロラン/Loran of the Third Path
2:《鋼の熾天使/Steel Seraph
2:《セラの模範/Serra Paragon
2:《聖域の番人/Sanctuary Warden
16 creatures

4:《軍備放棄/Lay Down Arms
4:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
2:《邪悪を打ち砕く/Destroy Evil
3:《婚礼の発表/Wedding Announcement
4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker
3:《放浪皇/The Wandering Emperor
20 other spells


1:《一時的封鎖/Temporary Lockdown
2:《告別/Farewell
1:《セラの模範/Serra Paragon
2:《炎恵みの稲妻/Flame-Blessed Bolt
2:《ウルザの酒杯/Urza’s Sylex
2:《華やいだエルズペス/Elspeth Resplendent
1:《聖域の番人/Sanctuary Warden
2:《集団失踪/Depopulate
2:《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse
15 sideboard cards

直近の大会で好成績を残しているのが、白を軸にしたミッドレンジです。

軍備放棄》はデッキ内に《平地を多く採用する必要がありますが、1マナ追放除去で序盤から後半までずっと強く、白単に近くする理由になっています。
第三の道のロラン》は、現在多くのデッキが採用している《鏡割りの寓話》《婚礼の発表》《勢団の銀行破り》に対して強く、なんとメインから4枚採用で、さらに追加で《聖戦士の奇襲兵まで入っています。エンチャント・アーティファクトが多い今のメタゲームに合致しています。

最近の流行は白単でしたが、このデッキは《鏡割りの寓話のために赤をタッチしています。たしかに白単は後半マナフラッドしやすいデッキなので2章の手札入れ替えが強く、3章の《キキジキの鏡像でコピーして嬉しいクリーチャーも多いです。

白単系統のデッキが好成績を残している理由として、白のトークン展開がグリクシスに対して強い事が挙げられます。

グリクシスは《削剥》《喉首狙いでクリーチャーの単体除去は得意なのですが、単体除去に強い性質を持つ《婚礼の発表》《放浪皇でのトークン展開を苦手としており、これらが出ていると《絶望招来》の威力も半減します。

それに加えて《聖域の番人》は盾カウンターにより《喉首狙い1枚で倒すことが出来ず、ドローにも繋がってアドバンテージを稼いでいきます。《聖域の番人》や《夜明けの空、猗旺といった除去耐性のあるクリーチャーが居るからこそ、それらを追放除去できる《軍備放棄》の価値も高いです。

セラの模範》は、《削剥》された《勢団の銀行破りを回収したり、使い終わった《聖戦士の奇襲兵を回収したりと後半戦で便利。今はエンチャント・アーティファクト破壊がメインから入る環境なので、お互いが除去しあった長期戦を見据えています。

鋼の熾天使》は特にアグロデッキに対して絆魂付与が強いです。自身がアーティファクトクリーチャーなので《喉首狙いは当たらないものの、最近は《削剥》《第三の道のロランが増えているので除去耐性が低いのが難点なので、今後は減っていくかも。

■エスパーミッドレンジ

スタンダードチャレンジ:優勝 By DAZAI
デッキリスト
2:《アダーカー荒原/Adarkar Wastes
3:《難破船の湿地/Shipwreck Marsh
4:《さびれた浜/Deserted Beach
2:《地底の大河/Underground River
2:《英雄の公有地/Plaza of Heroes
4:《ラフィーンの塔/Raffine’s Tower
4:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos
1:《島/Island
1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire
1:《砕かれた聖域/Shattered Sanctum
1:《見捨てられたぬかるみ、竹沼/Takenuma, Abandoned Mire
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
26 Lands


4:《敬虔な新米、デニック/Dennick, Pious Apprentice
2:《先兵の飛行士、ハービン/Harbin, Vanguard Aviator
4:《策謀の予見者、ラフィーン/Raffine, Scheming Seer
3:《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse
3:《夜明けの空、猗旺/Ao, the Dawn Sky
16 creatures

2:《邪悪を打ち砕く/Destroy Evil
1:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
3:《喉首狙い/Go for the Throat
4:《かき消し/Make Disappear
4:《婚礼の発表/Wedding Announcement
4:《放浪皇/The Wandering Emperor
18 other spells


2:《否認/Negate
4:《切り崩し/Cut Down
1:《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil
2:《強迫/Duress
2:《眼識の収集/Siphon Insight
2:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
1:《ローナの渦/Rona’s Vortex
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
15 sideboard cards

僕自身がエスパーを使用して、マジックオンラインで入賞しました。

エスパーを使用した理由は、アグロデッキへの耐性の高さです。《敬虔な新米、デニック》は絆魂持ちで、《策謀の予見者、ラフィーン》はブロッカー性能も高く、《黙示録、シェオルドレッドはサイズとライフゲインと、攻めても守ってもアグロデッキに対して強いです。

最近は青白兵士や赤単といったアグロデッキが増えており、特に青白兵士の先攻2ターン目《スレイベンの守護者、サリアにハマらないためにはクリーチャー展開の方が良いと考えて、エスパーを使用しました。グリクシスだと《鏡割りの寓話と除去でキープして《スレイベンの守護者、サリアハマりが頻繁に起きました。

黙示録、シェオルドレッド》は《喉首狙いに弱いのは確かですが、エスパーの場合は他にも除去しなければいけないクリーチャーが多く、《夜明けの空、猗旺》の7枚サーチ先として最も良いので、変わらず3枚採用しました。

敬虔な新米、デニック》は伝説のクリーチャーですが、除去されても裏面が良い性能で、《策謀の予見者、ラフィーンの謀議で強化する先と、謀議で捨てるカードとしても優秀なので4枚採用。相手の《死体鑑定士》の誘発を防ぐのも、グリクシスが多いメタゲームに合っています。

先兵の飛行士、ハービンは試しに入れたものの相討ちや除去で1対1交換になりやすく、あまり良い活躍はしませんでした。ここは《聖戦士の奇襲兵》や《第三の道のロラン》など、エンチャント・アーティファクト破壊に変えた方が良さそうです。

最近は白単ミッドレンジ系統のデッキが増えているので、トークン展開に対抗するのには自分もトークン展開をすべきと考えたことも、エスパーを使った理由です。

夜明けの空、猗旺はグリクシスの除去に対して強い性質がありますが、ただ白単ミッドレンジが増えると《軍備放棄で追放除去されてしまうので、今後は減っていくかも知れません。

白単ミッドレンジ対決だと後半の4-6マナのカードの出し合いになるので、そういったミッドレンジ対決では打ち消し呪文が活躍します。

スタンダードは《鏡割りの寓話》《婚礼の発表》《放浪皇が強い環境で、クリーチャーやエンチャント除去だと、何かしらトークンが残って損しやすいです。そのため、後攻で最も信頼できるのは《かき消し》です。
もちろん《かき消し》は万能カードではなく、相手に《勢団の銀行破りスタートされると2マナを構えてターン終了されやすく、腐る展開にもなりやすいです。しかしそのデメリットを踏まえても《かき消しでしか対処できない場面があるので、どんどん《かき消しが好きになってきました。

かき消し》だけだと相手にケアされやすいので、サイド後は《否認》《軽蔑的な一撃と打ち消し呪文を散らすことで選択肢を増やしましょう。メインは強い《かき消し》も、サイド後には減らす場合が多いです。

グリクシスの方がメインに《勢団の銀行破りが多く入っている分、打ち消しのマナを構えてターン終了する戦略を取りやすく、エスパー対グリクシスではメインはグリクシスの方が有利です。

そのため、サイド後は相手のゲームレンジに合わせる狙いで、《勢団の銀行破り》《眼識の収集》を追加して、打ち消しを構えながら相手のターン終了時という動きを取りやすくなります。これによりサイド後は相性が改善されます。

切り崩し》はアグロデッキに対して信頼できる除去で、これを1ターン目にプレイするためにもダメージランドは黒マナを優先した方が良いです。
ローナの渦》は、アグロデッキに対して1マナで時間稼ぎしつつ、《夜明けの空、猗旺》《聖域の番人といった除去耐性のあるクリーチャーに対してキッカーでデッキボトムに送れます。

■グリクシスミッドレンジ

スタンダードチャレンジ:3位 By JABERWOCKI
デッキリスト
4:《ザンダーの居室/Xander’s Lounge
1:《見捨てられたぬかるみ、竹沼/Takenuma, Abandoned Mire
4:《シヴの浅瀬/Shivan Reef
5:《沼/Swamp
4:《憑依された峰/Haunted Ridge
4:《難破船の湿地/Shipwreck Marsh
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
4:《硫黄泉/Sulfurous Springs
27 Lands


4:《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester
4:《死体鑑定士/Corpse Appraiser
3:《さまよう心/Wandering Mind
11 creatures

3:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
1:《切り崩し/Cut Down
3:《削剥/Abrade
3:《喉首狙い/Go for the Throat
1:《否認/Negate
3:《かき消し/Make Disappear
4:《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker
4:《絶望招来/Invoke Despair
22 other spells


3:《切り崩し/Cut Down
1:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
3:《眼識の収集/Siphon Insight
2:《寄生性掌握/Parasitic Grasp
1:《ローナの渦/Rona’s Vortex
1:《墓地の侵入者/Graveyard Trespasser
2:《否認/Negate
2:《強迫/Duress
15 sideboard cards

現在のスタンダードで、最も使用率が高いのがグリクシス。

税血の収穫者》は、もはや赤黒の定番になりました。パワー3と殴り値が高く、除去も出来て、血トークンで手札入れ替え、《キキジキの鏡像のコピー先にも優秀と、文句なしの性能。
死体鑑定士》は、墓地利用を防ぎながら《キキジキの鏡像のコピー先として最適。《死体鑑定士》が環境に多いことから、墓地追放されやすい《しつこい負け犬はほとんど見かけなくなりました。

最近はミッドレンジ対決を見据えてか、《勢団の銀行破り》を3-4枚採用したリストが多いです。2ターン目に《勢団の銀行破りを設置して、《かき消しを構えながら相手のターン終了時にドローというのが、ミッドレンジ対決の理想的な動きです。
勢団の銀行破り》は盤面に影響を与えるターンは遅いので、序盤から攻めてくる青白兵士や赤単に対しては弱く、サイドアウト候補にもなります。
絶望招来》は、相手の《鏡割りの寓話とクリーチャー1体を除去しながら1ドローするのが赤黒ミッドレンジ対決で特に強いです!
その反面、クリーチャーを多く展開するアグロデッキに対してはただの1体除去にしかならず、5マナという重さに見合ってないこともあります。白系ミッドレンジに対しても、《婚礼の発表を置かれると効果が半減します。
ジャンドやグリクシスなど赤黒ミッドレンジが多いメタゲームが多いなら《絶望招来》は素晴らしいカードなのですが、アグロデッキや白系ミッドレンジが多い現状では、《絶望招来はあまり強くない展開が多く感じます。

喉首狙い》という確定除去が増えたことにより、最近は《喉首狙い》でマナ損の交換になりやすい《黙示録、シェオルドレッド》はメイン採用が減り、対アグロデッキ用にサイドボードに置かれることが増えてきました。
今回紹介するリストでは、なんと《黙示録、シェオルドレッドが0枚で、戦場に出た時カード1枚を得る《さまよう心が採用されており、よりグリクシスの同系対決を重視したデッキ構築になっています。

グリクシスで他に使用候補になるのは《刃とぐろの蛇》で、相手2枚ディスカード、自分1ドローで使うことが多いです。
ただアグロデッキに対しては遅く、ミッドレンジ対決では《かき消し》の的になりやすいので、少し目的が定まらないカードという評価をしています。

■赤単アグロ

スタンダードチャレンジ:4位 By SLASHER21
デッキリスト
19:《山/Mountain
1:《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance
4:《ミシュラの鋳造所/Mishra’s Foundry
24 Lands


4:《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
4:《血に飢えた敵対者/Bloodthirsty Adversary
3:《ロノムの発掘家、フェルドン/Feldon, Ronom Excavator
2:《燃え立つ空、軋賜/Atsushi, the Blazing Sky
13 creatures

4:《火遊び/Play with Fire
4:《熊野と渇苛斬の対峙/Kumano Faces Kakkazan
2:《削剥/Abrade
4:《稲妻の一撃/Lightning Strike
4:《無謀なる衝動/Reckless Impulse
1:《引き裂く炎/Rending Flame
4:《焦熱の交渉人、ヤヤ/Jaya, Fiery Negotiator
23 other spells


3:《抹消する稲妻/Obliterating Bolt
3:《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster
2:《引き裂く炎/Rending Flame
2:《兄弟仲の終焉/Brotherhood’s End
1:《炎恵みの稲妻/Flame-Blessed Bolt
2:《巨竜戦争/The Elder Dragon War
2:《勝負服纏い、チャンドラ/Chandra, Dressed to Kill
15 sideboard cards

僧院の速槍》《ロノムの発掘家、フェルドンという2種類の速攻クリーチャーを得て、ついに赤単がスタンダードに帰ってきた!

今主流のデッキであるグリクシスから《黙示録、シェオルドレッド》が抜けてきており、なおかつライフ回復も減っており、グリクシスに対して良いポジションのデッキです。半面、ライフ回復する白単は苦手。

速攻と火力でライフを詰めるデッキですが、《無謀なる衝動》《焦熱の交渉人、ヤヤ》により、後半に粘り強く戦うことも可能です。
どれだけミシュラランドが強力かは、単色アグロが成立するか否かの一つの基準としてあります。

例えば『フォーゴトン・レルム探訪』の《バグベアの居住地》や、禁止カードになった『カルドハイム』の《不詳の安息地》だったりと、過去に単色アグロが強かった時代には必ずミシュラランドがありました。
ミシュラの鋳造所は過去のミシュラランドと比較してもかなり良い能力で、アグロデッキが求めている性能!


4/5というサイズと継続的なライフ回復により《黙示録、シェオルドレッド》は赤単の天敵です。5点火力の《引き裂く炎はサイドにおすすめ。

地味に《敬虔な新米、デニック》の降霊後の《敬虔な心霊、デニック》と《夜明けの空、猗旺》がスピリットなので、エスパーミッドレンジ相手にはおまけで2点入ったりします。

■おわりに

黙示録、シェオルドレッド》は除去には弱いものの、生き残るとすぐにゲームに勝つ性能があります。
既にレガシーやヴィンテージでも《黙示録、シェオルドレッドは使われており、その性能の高さは結果が証明しています。
黙示録、シェオルドレッド》を上手く使う方向で、引き続きデッキを考えていきたいです。

それではまた。


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