MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【第28回マジック世界選手権】

 

先週末は アメリカ合衆国・ネバダ州ラスベガスで開催された「第28回マジック世界選手権」に参加しました。
最後に海外に行ったのが「エルドレインの王権」だったので、実に3年ぶりの海外旅行!

世界最高のプレイヤーたちが集まる大舞台なので、出来るだけの準備をしようと決めており、10月から本格的な練習を開始。
同じく世界選手権の参加者である赤池 庸さん、市川 ユウキさん、熊谷 陸さん、小泉 祐真さん、斉藤 徹さんの5人に加えて、助っ人として井川良彦さん、中村修平さんの2人に協力していただき、8人で大会の練習を行いました。

以下その大会レポートです。

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■「団結のドミナリア」ドラフト

MTGアリーナのドラフトはBO1でサイドボードが無かったり、自分の使わない強力なカードをカットする概念が無かったりで実際のドラフトと感覚がずれる問題がありました。
そのため今回はマジックオンラインのドラフトリーグを優先して、サイドボードを使うゲームやカットもするように練習していました。

「団結のドミナリア」ドラフトの事前練習で、自分の勝率が最も良かったのは白黒トークンです。一周以上するような《ベナリアの潜伏工作員》《メサの騎兵》《激しい闘いの祝福》といった安いカードで攻撃を続ける構成にしやすく、再現性の高い戦略でした。
次点で青赤のインスタント・ソーサリーデッキ。ドラフトを練習するうちに、版図を中心とした多色デッキに対する印象は下がって行き、8人ドラフトでは2色土地がカットされやすく、土地を取る分ピックの要求数が多い事で再現性が低くなることが理由です。

1パック目初手。候補はこの3つ。
エイヴィーゾアの空士、ナエル》は強いですが、初手はなるべく単色のカードを取ってその後の流れでピックしたいので、1-1では評価が下がります。
尾の強打》はコモンの《噛み締め》と同じくらいの評価。ここは、単体で機能してその後のクリーチャーを生贄にするカードが取りやすくなる《アルガイヴの騎兵》をピック。

1パック目2手目は《属地のマロー》。

1パック目3手目は《市民の拘束》。コモンで最上級の除去です。
その後白をやる事を確定させて、《アルガイヴの騎兵》《庇護のグリフィン》等をピック。

1パック目7手目で《ベナリアの堕落者、アロン》!この強力なアンコモンが流れてくるという事は白黒が空いているサインです。
そのまま白黒ピックをして、最終的には《ガリ骨のボータック》《属地のマロー》をタッチで使用しました。

骨の粉砕》は最後まで入れるか悩んだのですが、《アルガイヴの騎兵》が3枚取れている事で生贄には困らないので、《ジョダーの写本》を抜いてメインに採用すべきでした。
僕は他の人より《ジョダーの写本》の評価が高すぎましたが、白黒でガンガン攻撃するデッキに《ジョダーの写本》は合っていなかった!

 

スタンダード:エスパーミッドレンジ

インポートデータ

スタンダードはエスパーミッドレンジを使用。
他の有力デッキとしてグリクシスミッドレンジ、ジャンドミッドレンジ、ジャンドリアニメイト、青単などを想定していました。

全てのデッキを入念に試しましたが、エスパーミッドレンジが《邪悪を打ち砕く》《放浪皇》などで相手に対応する力が最も高く、また2マナクリーチャーからの《策謀の予見者、ラフィーン》というブン回りも併せ持っており、どんなデッキに対しても極端な不利がないため選択しました。
ただここは世界選手権で、相手は世界最高峰のプレイヤーたち。他の参加者たちも同様にエスパーが最強だと考えたため、なんと32名中22名、実に68%のプレイヤーがエスパーミッドレンジを使用!!!

エスパーを選んだことは間違いではなかったですが、正直ここまでエスパーに集中すると予想できておらず、またエスパーのミラーマッチに強い構成を作る事が難しかったため、他の参加者より優れたデッキ選択であるとは言えませんでした。

デッキの特徴は、《不笑のソリン》をメインから採用した事です。
黒ミッドレンジ対決で相手の構えている《邪悪を打ち砕く》《冥府の掌握》が効きにくく、「-2」で2/3吸血鬼→「+1」でアドバンテージ→「-2」で2/3吸血鬼という動きが、黒ミッドレンジ対決で強いです。
ただ場が押されているときは、攻撃で落とされやすい短所もあります。

スタンダードは《婚礼の発表》《鏡割りの寓話》の2種類が特に強く、後攻でこれらのエンチャントを対処するには打ち消し呪文が必要です。ただデッキリスト公開の大会では《かき消し》だけだとケアされやすいため、《否認》と分けて採用。
特に後攻時は打ち消し呪文を構える展開が多く、青マナを十分な枚数採用したかったため《英雄の公有地》は2枚に。
もちろん《英雄の公有地》にも長所はあり、後半の《黙示録、シェオルドレッド》を除去から守って勝つ展開もありますが、序盤に2枚引いて色マナが不足する展開を避けたかったので枚数を抑えました。

敬虔な新米、デニック》は《策謀の予見者、ラフィーン》の謀議する先として最適で、謀議で捨てて裏面で出す事も多かったため4枚フル採用。ダメージランドを8枚フル採用なので、そこのダメージを緩和する狙いもあります。
しつこい負け犬》は後攻時の弱さが目立ち、《しつこい負け犬》を出すよりも、除去や打ち消し呪文を構える方が相手の3マナ域と交換出来て、その後の展開が良くなる事が多いです。先行用カードという印象なので、他の人よりも採用枚数は少な目。

今回テストする事が出来なかったのですが、《屍術の俊英、ルーデヴィック》は後半《黙示録、シェオルドレッド》《夜明けの空、猗旺》のコピーになれる可能性があるので、2マナ生物の第三の選択肢として良いかも知れません。

エクスプローラー:アブザンパルへリオン


インポートデータ

・エクスプローラーとは

エクスプローラーはパイオニアで使用可能なカードのうちMTGアリーナに実装されているものをすべて使用できるフォーマットです。
ニクスの祭殿、ニクソス》が未実装で緑単が居なかったり、《戦慄掘り》が未実装だったりしますが、基本的にはパイオニアに近いです。

エクスプローラーのデッキは、チーム内でも早い段階から決まっていました。環境で最も強い爆発力のあるデッキである、アブザンパルへリオンを使用。
縫い師への供給者》《ウィザーブルームの命令》《忌まわしい回収》といった自身のデッキを切削するカードで《パルヘリオンⅡ》を墓地に落として、《大牙勢団の総長、脂牙》で戦場に直接出して勝利するデッキです。
1ターン目《思考囲い》→2ターン目《忌まわしい回収》→3ターン目《大牙勢団の総長、脂牙》という動きは全てのデッキを粉砕する力があり、ブン回りが最も強いデッキでありながら《エシカの戦車》《ヴェールのリリアナ》で粘り強く戦う器用さも併せ持っています。

アブザンパルへリオンはサイド後に墓地対策される事が多く、対策されたサイド後のゲームを支えてくれているのが、この3種類です。
エシカの戦車》と《領事の旗艦、スカイソブリン》は《大牙勢団の総長、脂牙》で戦場に戻して速攻で攻撃しても良いのは勿論、どちらも4マナと5マナでプレイ可能なマナ域であり、強力な盤面を作ってくれます。

サイド後に単体除去や手札破壊を増やすことで、《ヴェールのリリアナ》を中心にしたミッドレンジプランも取る事が出来るので、メインが不利な青単スピリットなどにも少し相性が改善します。

■大会結果

・ドラフト
〇版図
×版図
〇青赤

・スタンダード
〇エスパー
×エスパー
×エスパー
×エスパー
〇エスパー

・エクスプローラー
〇ラクドスサクリファイス
〇アブザンパルへリオン
〇ラクドスサクリファイス
〇アブザンパルへリオン
〇青単スピリット
×ティムール《異形化》

ドラフト2-1、スタンダード2-3、エクスプローラー5-1。最後勝てばTop4のチャンスでしたが残念!
最終成績9勝5敗で、6位。

■おわりに

入賞は逃しましたが、世界選手権は強い相手だらけで最高に楽しかったです!来年も絶対に出る気概なので、今後も全力で競技マジックを楽しんで行きます。
まずは11月末に名古屋で開催される、チャンピオンズカップファイナルの1位と2位に世界選手権権利が付与されているので、上位入賞目指してパイオニアを練習!

そして、続々と兄弟戦争のカードが発表されていますね。《喉首狙い》はナイス再録!スタンダードでもパイオニアでも影響を与えそうな、高品質2マナ除去です。
今回はコストが軽くて強いカードが多いので、全体的に強いセットと言う印象!今後も記事で取り扱っていきます。

それではまた。


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