MTG │ デッキ紹介│ 高橋優太【パウパーのススメ】
今回紹介するのは、コモンだけでデッキを構築する特殊フォーマット、パウパー!
マジックの歴史上、レアリティ「コモン」で収録されたすべてのカードを使用する事が出来て、コモンとして収録されたことのあるカードは全てのバージョンが使用可能です。強すぎて禁止されているカードも一部存在します。
パウパーの詳しいルールはコチラ→【公式サイト】
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■パウパーの特徴
①レガシーに匹敵するカードプール
レガシーでも活躍している1マナ呪文たちも、パウパーで使用可能です。
《定業》はデッキの安定性を上げてくれて、様々なデッキに4枚採用されています。
その反面《渦まく知識》《思案》はあまり採用枚数が多くなく、これはデッキをシャッフルする手段が少ない事が理由です。フェッチランドがない環境では《定業》の方が強い!
《紅蓮破》《水流破》といった強力な色対策カードもあり、さらには《赤霊破》《青霊破》もコモンで使えます。
②マナベースは2色が基準
モダンやレガシーでは、フェッチランドが多色デッキの主流ですが、パウパーにはそんな便利な土地はありません!
デッキを2色以上にするなら、タップインの土地を採用することになります。良く使われるのは《鉱滓造の橋》などの2色アーティファクト土地、氷雪カウントでもある《移り変わるフィヨルド》、1枚分アドバンテージを稼げる《アゾリウスの大法官庁》などのお帰りランドです。
《渦まく知識》を上手く使いたいデッキなら、シャッフル手段として《灰のやせ地》や《進化する未開地》を使う事もあります。
モダンで禁止の単色アーティファクト土地も、パウパーなら5色とも使用可能です。
アーティファクトとして生贄にしやすいメリットと、相手から破壊されやすいデメリットがあります。
③アドバンテージを稼ぐカードが少ない
プレインズウォーカーのように、毎ターン継続してアドバンテージを生み出すようなカードはパウパーに少ないです。除去とクリーチャーの交換が発生する事が多く、カード1枚1枚を大事に扱うゲームです。
上記3つのように1枚で複数のカードに変わるものは重宝されます。
■大会結果
6/19にマジックオンライン上で開催された、パウパーの大会結果を参考にデッキを解説していきます。
参考:PAUPER SHOWCASE CHALLENGE2022-06-19
■赤黒マッドネスバーン
赤黒マッドネスバーン | |
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デッキリスト | |
4 :《鉱滓造の橋/Drossforge Bridge》 4 :《大焼炉/Great Furnace》 5 :《山/Mountain》 2 :《ラクドスの肉儀場/Rakdos Carnarium》 1 :《沼/Swamp》 4 :《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》 20 Lands 4 :《台所のインプ/Kitchen Imp》 |
4 :《血管の施し/Alms of the Vein》 1 :《夜の衝突/Bump in the Night》 3 :《稲妻の連鎖/Chain Lightning》 4 :《信仰無き物あさり/Faithless Looting》 4 :《吸血鬼の口づけ/Vampire’s Kiss》 2 :《命取りの論争/Deadly Dispute》 4 :《癇しゃく/Fiery Temper》 4 :《感電破/Galvanic Blast》 4 :《稲妻/Lightning Bolt》 1 :《焼尽の猛火/Searing Blaze》 1 :《餌投げ/Fodder Tosser》 32 other spells 1 :《焼尽の猛火/Searing Blaze》 |
赤黒の本体火力とマッドネスを組み合わせた、ライフを削る事に特化したデッキです。
まずは血トークンや《信仰無き物あさり》で、手札から捨てる手段を確保。《餌投げ》は少し重いものの、余った土地を捨てて毎ターンライフを削って行けます。
そしてマッドネスを持つカード達を手札から捨てて、1マナ3点火力を連打して行きます。《台所のインプ》はマッドネス出来れば1マナ2/2飛行速攻という高スペック!
《感電破》は金属術を達成すれば、1マナ4点という高性能になります。血トークンもアーティファクトなので、条件達成は簡単。
この《感電破》の条件と、《命取りの論争》のために、アーティファクト土地が12枚採用されています。土地を《命取りの論争》でドローに変えられるのが強い!
■赤単スライ
赤単スライ | |
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デッキリスト | |
19 :《山/Mountain》 19 Lands 4 :《祭り壊し/Festival Crasher》 |
4 :《祖先の怒り/Ancestral Anger》 1 :《信仰無き物あさり/Faithless Looting》 4 :《無謀なる衝動/Reckless Impulse》 2 :《使徒の祝福/Apostle’s Blessing》 1 :《火炎破/Fireblast》 4 :《溶岩の投げ矢/Lava Dart》 4 :《稲妻/Lightning Bolt》 4 :《変異原性の成長/Mutagenic Growth》 1 :《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》 25 other spells 2 :《使徒の祝福/Apostle’s Blessing》 |
インスタントやソーサリーを唱えるたびに誘発する、4種類のクリーチャー達。
《火付け射手》《ケッシグの炎吹き》は相手のライフを直接削り、《祭り壊し》《窯の悪鬼》は1回の攻撃で大ダメージを与えて行きます。
2マナクリーチャーが中心のデッキなので、それらを守るためにファイレクシア呪文を複数採用。
《稲妻》をはじめとして、パウパーの除去は火力が使われることが多いので、《変異原性の成長》が火力からクリーチャーを守る使い方が出来ます。《使徒の祝福》はプロテクションで黒の除去を避けたり、相手のブロッカーを無視する役割があります。
《溶岩の投げ矢》はタフネス1が多いパウパー環境なら除去しても良く、フラッシュバック込みでクリーチャー達を複数回誘発させます。《無謀なる衝動》は中盤のリソース回復手段です。
■親和(コントロール型)
親和(コントロール型) | |
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デッキリスト | |
2 :《鉱滓造の橋/Drossforge Bridge》 1 :《島/Island》 4 :《霧霊堂の橋/Mistvault Bridge》 4 :《教議会の座席/Seat of the Synod》 4 :《銀色険の橋/Silverbluff Bridge》 4 :《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》 19 Lands 2 :《歯車襲いの海蛇/Gearseeker Serpent》 |
2 :《定業/Preordain》 3 :《物読み/Thoughtcast》 1 :《喪心/Cast Down》 4 :《対抗呪文/Counterspell》 4 :《命取りの論争/Deadly Dispute》 4 :《感電破/Galvanic Blast》 2 :《勢団の取り引き/Reckoner’s Bargain》 3 :《血の泉/Blood Fountain》 4 :《彩色の星/Chromatic Star》 4 :《胆液の水源/Ichor Wellspring》 1 :《間に合わせの砲弾/Makeshift Munitions》 32 other spells 1 :《クラーク族のシャーマン/Krark-Clan Shaman》 |
アーティファクトの数だけコストの下がる親和能力、《物読み》《マイアの処罰者》《歯車襲いの海蛇》を中心にしたデッキです。
モダンホライゾン2で2色のアーティファクト土地が収録されたことで大幅に強化され、一時期は親和が最強の時代が続いていました。そのため《エイトグ》や《大霊堂の信奉者》《滞留者の相棒》といったカードが禁止されましたが、それでもデッキとしては健在。
クリーチャーのサイズがコモンの中で突出しており、《稲妻》1枚では対処しにくいです。豊富なドローでデッキを回して行く力もあり、禁止を受けてもなおメタゲームのトップに居ます。
親和の強みはクリーチャーのサイズに加え、豊富なドローによる安定性の高さです。
《命取りの論争》《勢団の取り引き》というドローを、《彩色の星》《胆液の水源》など生贄にしたときにドローするアーティファクトで補助しています。
並んだアーティファクトは後半《間に合わせの砲弾》で1点火力に変わります。
除去も1マナ4点の《感電破》を使いつつ、地上クリーチャーを複数展開するデッキに対しては《クラーク族のシャーマン》が全体除去として使えます。
このデッキリストでは《金属カエル》といった攻めるカードが削減されて、《対抗呪文》《喪心》が増えて、より相手に干渉できる内容になっていたのでコントロール型として分類しました。
《金属カエル》はデッキのブン回り速度が上がり、《勢団の取り引き》で生贄に捧げた時にライフゲインが増えるメリットがあります。他の入賞者では《金属カエル》4枚も居ました。
メインが強い親和ですが、「致命的なサイドカードがある」という弱点があります。
《塵は塵に》は追放なので破壊不能の土地も除去されますし、《ゴリラのシャーマン》は1マナで《教議会の座席》を破壊してきます。
《塵は塵に》が致命的なデッキなので、それを打ち消すためにサイドに《取り繕い》を採用する事が多いです。
■サイクリングストーム
サイクリングストーム | |
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デッキリスト | |
4 :《灰のやせ地/Ash Barrens》 4 :《やせた原野/Barren Moor》 1 :《島/Island》 3 :《沼/Swamp》 12 Lands 3 :《意思切る者/Architects of Will》 |
4 :《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》 4 :《暗黒の儀式/Dark Ritual》 2 :《ディハーダの策謀/Dihada’s Ploy》 1 :《神秘の指導/Mystical Teachings》 4 :《墓の刈り取り/Reaping the Graves》 4 :《忌むべき者の歌/Songs of the Damned》 4 :《水蓮の花びら/Lotus Petal》 23 other spells 3 :《暗黒/Darkness》 |
まずはクリーチャーを1マナでサイクリングして、墓地を貯めて行きます。手札次第では《暗黒の儀式》からサイクリングを3回して、墓地を貯めつつドローを進めて行きます。
サイクリングする過程で墓地が溜まるので、《陰謀団の儀式》のスレッショルドも容易で、さらに黒マナを生み出してサイクリングを進めます。
墓地に十分な量のクリーチャーが溜まったら、《忌むべき者の歌》をプレイしてさらに大量のマナを生成!
この過程で儀式や《水蓮の花びら》によりストームカウントが増えているので、《墓の刈り取り》でサイクリングクリーチャー達を回収してさらにドロー。
これによりドローとマナ加速の連鎖が起きて、《陰謀団の儀式》《忌むべき者の歌》を複数回唱える事で20マナ以上を生み出します。
最終的には、《血の執行司祭》により黒マナを赤マナに変換。墓地から回収した《ドラニスの刺突者》を2マナでプレイして、サイクリングを大量に行って、相手のライフを削り切ります。《ドラニスの刺突者》のサイクリングしたときの誘発型能力で、カードを引く前に1点ダメージが入るので自分がライブラリーアウトする前に20点ダメージを与える事が出来ます。
コンボ中の挙動がかなり面白いので、ANTや《最後の審判》などが好きな方にはピッタリのデッキです。
サイドボードに入っている《骨までの齧りつき》は、特にバーン系のデッキに対してよく効き、1枚で10点以上回復!
打ち消し呪文に対しては《紅蓮破》。メインは青黒2色ですが、これらのためにサイドボードに《山》《森》が入っており、《灰のやせ地》でこれを探して来ます。
このデッキは墓地に依存するコンボなので、《大祖始の遺産》《虚無の呪文爆弾》をかなり苦手としています。サイドボードでアーティファクトに対処できるカードが少しはあった方が良さそう。
■呪禁オーラ
呪禁オーラ | |
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デッキリスト | |
2 :《灰のやせ地/Ash Barrens》 12 :《森/Forest》 3 :《平地/Plains》 17 Lands 4 :《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》 |
3 :《精霊との融和/Commune with Spirits》 4 :《豊かな成長/Abundant Growth》 4 :《祖先の仮面/Ancestral Mask》 4 :《アルマジロの外套/Armadillo Cloak》 3 :《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity》 4 :《天上の鎧/Ethereal Armor》 3 :《怨恨/Rancor》 4 :《楽園の拡散/Utopia Sprawl》 29 other spells 4 :《塵は塵に/Dust to Dust》 |
かつてはモダンでも存在した、呪禁クリーチャーをひたすら強化していくデッキです。
パウパーで呪禁クリーチャーを除去する手段は限られており、やることはシンプルですが強いです。
新加入の《神憑く相棒》は自身がエンチャントなので他のオーラの修正値を上げつつ、《悪魔の布告》避けになってくれます。
強化オーラたち。《天上の鎧》《祖先の仮面》は共にエンチャントの数を参照しており、複数付ける事で10/10を超えるサイズで攻撃して行きます。
ただこの2つはトランプルが無いので、攻撃を貫通させるために《怨恨》《アルマジロの外套》でトランプル付与。《アルマジロの外套》のライフゲインは特に赤に強く、一気にダメージレースをひっくり返します。
呪禁に対処する手段は少なく、対策するためには専用のカードが必要になってきます。
対象を取らないバウンスの《消灯/Curfew》だったり、《オーラの変転》だったりですが、サイドインできる範囲が狭いのが難点。
パウパーを最初に始めるなら、呪禁オーラはデッキが強くおすすめ出来るデッキです。
■おわりに
今回紹介しきれなかった中にも、《呪文づまりのスプライト》から忍術するフェアリー系統や、《金切るときの声》を使うボロスなど多くのデッキが存在します。
カードプールが広くてデッキの種類も多く、細かい呪文のやり取りが楽しいフォーマットです。この記事をきっかけに、パウパーにも興味を持ってもらえると嬉しいです。
それではまた。