MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【レガシーの注目デッキ紹介】
こんにちは。
今回はレガシーの注目デッキを紹介していく記事です!
明日は晴れる屋さんにてレガシー神挑戦者決定も行われますし、5月にはBIG MAGICさん主催のエタパ!今、紙のレガシーが熱い!
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■『神河:輝ける世界』によるレガシーへの影響
最も影響があったのは《耐え抜くもの、母聖樹》でしょう!
「打ち消されない」ことは《意志の力》が使われるフォーマットであるレガシーでは最重要で、打ち消しに怯えずに厄介なパーマネントに対処できます。
土地なので呪文スロットを圧迫することなく使用可能で、《壌土からの生命》で回収できるのも良い!緑が主体のデッキなら悩まず1-2枚入れて良いでしょう。
特に《虚空の杯》を苦手とするデッキが、メインから専用カードを採用することなく割れるようになった影響は大きいです。
レガシーは低コストに集中したデッキが多いので、1コスト以下でも全体除去として機能します。2章の墓地追放もデッキによっては刺さります。《濁浪の執政》や《ドラゴンの怒りの媒介者》にも影響があるため、決して狭い範囲ではありません。
《碑出告が全てを貪る》の登場によって、これを4枚投入したグリクシスコントロールも台頭してきました。
デス&タックスが《皇国の地、永岩城》を2枚採用するようになっています。
《スレイベンの守護者、サリア》で起動コストが減って、なおかつ魂力は呪文では無いので、サリアの「非クリーチャー呪文が1マナ重くなる」影響を受けません。
『神河:輝ける世界』の魂力土地はどれも強いので、レガシーでも使われる機会があると思います。
ここらへんはデッキ紹介で述べて行きます。
■イゼットデルバー
イゼットデルバー | |
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デッキリスト | |
1:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 1:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》 1:《島/Island》 2:《霧深い雨林/Misty Rainforest》 1:《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》 2:《汚染された三角州/Polluted Delta》 2:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 1:《蒸気孔/Steam Vents》 4:《Volcanic Island》 4:《不毛の大地/Wasteland》 19 Lands 1:《厚かましい借り手/Brazen Borrower》 |
4:《渦まく知識/Brainstorm》 4:《表現の反復/Expressive Iteration》 4:《目くらまし/Daze》 4:《意志の力/Force of Will》 4:《稲妻/Lightning Bolt》 4:《思案/Ponder》 1:《紅蓮破/Pyroblast》 2:《ミシュラのガラクタ/Mishra’s Bauble》 1:《邪悪な熱気/Unholy Heat》 28 other spells 2:《祭典壊し/End the Festivities》 |
レガシーは《敏捷なこそ泥、ラガバン》こそ禁止になりましたが、その他の構成パーツは健在なので、イゼットデルバーは依然としてメタゲームのトップに居ます。
《秘密を掘り下げる者》《ドラゴンの怒りの媒介者》による序盤の攻め、《表現の反復》による中盤のリソース回復、諜報や呪文の連打で墓地を肥やしてからの巨大な《濁浪の執政》と、デッキの安定性と再現性が非常に高いのが、勝ち続けている理由。
これらのクロックを《目くらまし》《意志の力》で守り、ライフを削り切ります。
最近のアップデートとして、メインに1枚《神秘の聖域》が入るようになりました。
《神秘の聖域》は島タイプを持っているのでフェッチランドからサーチ可能で、中盤は《表現の反復》を回収してアドバンテージを稼ぎます。デッキのトップに置くので《秘密を掘り下げる者》が確定で変身するのもメリット。
ミラーマッチで相手の《濁浪の執政》を触るカードが必要なので、《厚かましい借り手》《紅蓮破》が少量採用されています。
《稲妻》に次ぐ5枚目の除去は意見が分かれる部分ですが、《濁浪の執政》やプラス起動したプレインズウォーカーを6点で除去できる可能性を考えると、《邪悪な熱気》が良いかなと思います。
本体火力を増やしたいなら《稲妻の連鎖》、タフネス1のデッキを見たいのなら《二股の稲妻》と、ここは使う人の好みです。
《祭典壊し》はタフネス1を並べるデッキに効き、《発展の代価》はときどき8-10点ダメージを叩き出し、《水没》は緑に強い。しかしそれぞれ効かない相手も多いカードなので、枚数をあまり取れない。
その欠点を解消するのが《神秘の聖域》。上記の「相手によって刺さるサイドボードだけど枚数を多く取れないカード」の水増しが出来るようになります。《渦まく知識》《思案》で1枚差しを探し出して、《神秘の聖域》で2回使う動きが美しい!
マナベースに関して、これも意見が分かれる箇所です。
《蒸気孔》は、レアケースではありますが《Volcanic Island》が破壊されて《外科的摘出》で赤マナが枯渇するのを防ぎますし、青赤ランドの5枚目として多く採用されています。
このデッキは《ドラゴンの怒りの媒介者》からの《稲妻》など赤赤で動きたいケースが多いので、《島》は弱い場面も多いです。それでも相手の《血染めの月》《不毛の大地》を考えると、1枚あった方が良さそう。
■8cast
8cast | |
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デッキリスト | |
2:《島/Island》 4:《古えの墳墓/Ancient Tomb》 2:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》 4:《教議会の座席/Seat of the Synod》 4:《ウルザの物語/Urza’s Saga》 16 Lands 3:《河童の砲手/Kappa Cannoneer》 |
1:《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》 4:《虚空の杯/Chalice of the Void》 4:《意志の力/Force of Will》 4:《水蓮の花びら/Lotus Petal》 4:《ミシュラのガラクタ/Mishra’s Bauble》 4:《オパールのモックス/Mox Opal》 4:《物読み/Thoughtcast》 4:《ウルザのガラクタ/Urza’s Bauble》 1:《改良式鋳造所/Retrofitter Foundry》 1:《影槍/Shadowspear》 31 other spells 2:《厚かましい借り手/Brazen Borrower》 |
「8cast」というデッキ名は、《物読み》の英語名「Thoughtcast」から来ています。
《教議会の座席》《オパールのモックス》と0マナアーティファクト達でコストを軽減しながら、《物読み》《思考の監視者》の「8cast」たちでどんどんデッキを回していきます。
レガシーでは挨拶とも言える《古えの墳墓》からの《虚空の杯》X=1。「8cast」には1マナのカードがほとんど入っていないので、自分は影響されずに相手の1マナを妨害します。
《湖に潜む者、エムリー》は破壊された《虚空の杯》を回収したり、《ミシュラのガラクタ》《ウルザのガラクタ》回収でドローに繋げていきます。
「8cast」はガンガン攻撃しながら妨害するデッキです。その中心となるのが《練達飛行機械職人、サイ》。各種0マナアーティファクトでトークンをバラまき、それらをドローにも変換可能。
そして、このデッキはレガシーで最も《ウルザの物語》を有効活用するデッキです。構築物トークンは簡単に5/5以上になりますし、3章のサーチ先も豊富。主なサーチは《改良式鋳造所》で、余ったマナをトークンに変換して攻めて行きます。
《改良式鋳造所》は《練達飛行機械職人、サイ》とも相性が良く、出てきた1/1の飛行機械を4/4の構築物に出来ます。
「神河:輝ける世界」での加入はこの2つ。
《河童の砲手》は2種のガラクタや《虚空の杯》を即席でタップして、2マナや1マナまでコストを軽減出来ます。護法(4)が付いているので単体除去で倒すのは困難で、一度出てしまえばブロック不可能力で止まりにくい!
《天上都市、大田原》は、《湖に潜む者、エムリー》《練達飛行機械職人、サイ》が伝説のクリーチャーなので、起動コストが軽くなりやすいです。相手の《濁浪の執政》を戻しても良し、自分の伝説のクリーチャーを除去から守っても良し。
《河童の砲手》の登場によってかなり強化されたデッキで、「8cast」はメタゲームの上位になると予想しています。
■ANT
ANT | |
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デッキリスト | |
1:《沼/Swamp》 2:《島/Island》 1:《Badlands》 2:《Underground Sea》 1:《Volcanic Island》 2:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 2:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》 4:《汚染された三角州/Polluted Delta》 15 Lands 0 creatures |
1:《むかつき/Ad Nauseam》 4:《渦まく知識/Brainstorm》 2:《燃え立つ願い/Burning Wish》 4:《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》 4:《暗黒の儀式/Dark Ritual》 3:《強迫/Duress》 4:《冥府の教示者/Infernal Tutor》 4:《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》 4:《水蓮の花びら/Lotus Petal》 1:《炎の中の過去/Past in Flames》 4:《思案/Ponder》 4:《定業/Preordain》 1:《汚物の雨/Rain of Filth》 1:《苦悶の触手/Tendrils of Agony》 4:《思考囲い/Thoughtseize》 45 other spells 2:《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》 |
《むかつき》の英語名「Ad Nauseam」と《苦悶の触手》の英語名「Tendrils of Agony」の英語名それぞれの頭文字を取って「ANT」。
《思考囲い》《強迫》で手札破壊した後、《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》でマナ加速、《冥府の教示者》でのサーチから《むかつき》で大量ドロー。コストが1-2に集中したデッキなので、ライフがあれば10枚以上は引けます。
引いたカードで再度マナ加速したり、《炎の中の過去》で墓地の儀式を再利用して、最後は巨大なストーム数の《苦悶の触手》で20点以上ドレイン!
10年前から存在して今なお人気のある、ストームコンボデッキです。
今回ANTを取り上げたのは、直近のマジックオンラインの大会でこの《燃え立つ願い》型の入賞率が高かったからです。
《燃え立つ願い》の利点として、メインのスロットを圧迫することなく、相手の《虚空の杯》《スレイベンの守護者、サリア》などのヘイトカードに対処できる点が挙げられます。
《燃え立つ願い》からのサーチ対象です。
《虐殺》は相手が平地をコントロールしていると0マナでプレイ可能で、デス&タックスのような妨害して攻撃してくる白アグロに良く効きます。
《深淵への覗き込み》はデッキの半分をドロー。ライフ10以下だと死の危険がある《むかつき》と異なり、ライフが1桁でもプレイしやすいのが良い。
《溶融》は先ほど紹介した「8cast」に良く効くサイドボードで、ANTに限らず様々なデッキのサイドボードで採用されています。赤を使うデッキなら是非採用したいですね。
《巣穴からの総出》はストーム数が9までいかないときに、ゴブリントークンで2回にわけて攻撃するプランを取れます。《夏の帳》を構えている相手にも打ちます。
《徙家+忘妻》は最初理解できなかったのですが、《忘妻》の方がソーサリーなので《燃え立つ願い》からサーチ可能で、なおかつ《虚空の杯》に引っかからないバウンス呪文です。
そしてサイドボードに3枚投入されて一際目を引くのが《心悪しき隠遁者》。
ANTはコンボ時に《冥府の教示者》で暴勇する必要があるので、《狼狽の嵐》をサイドインしても手札に溜まって暴勇できず、《ライオンの瞳のダイアモンド》からコンボを決めにいこうとすると、相手の打ち消しに対して《狼狽の嵐》を合わせられませんでした。
《心悪しき隠遁者》なら先に置いておける打ち消し呪文なので、上記のような心配はありません。ANT相手にはサイド後クリーチャー除去を抜くことが多いのも大きい。
それに加えて裏面が強い!《心優しき霊》は自分の非クリーチャー呪文が打ち消されなくなるので、場に出せばコンボスタートの手助けになってくれます。
メタゲームがフェアデッキ寄りになったときこそ、ANTが活躍するチャンス!
■《行き詰まり》コントロール
《行き詰まり》コントロール | |
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デッキリスト | |
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 2:《Tundra》 1:《Volcanic Island》 1:《Plateau》 4:《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 5:《冠雪の島/Snow-Covered Island》 3:《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》 20 Lands 3:《永久のドラゴン/Timeless Dragon》 |
4:《思案/Ponder》 4:《渦まく知識/Brainstorm》 4:《意志の力/Force of Will》 4:《サメ台風/Shark Typhoon》 4:《行き詰まり/Standstill》 4:《剣を鍬に/Swords to Plowshares》 4:《虹色の終焉/Prismatic Ending》 2:《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》 2:《否定の力/Force of Negation》 2:《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》 1:《放浪皇/The Wandering Emperor》 2:《激しい叱責/Dress Down》 37 other spells 1:《赤霊破/Red Elemental Blast》 |
最後に、僕自身が配信で使用して感触の良かったデッキを紹介します。
デッキのメインコンセプトは「《行き詰まり》を上手く使う」です。相手のクリーチャーを《剣を鍬に》《虹色の終焉》で除去してから《行き詰まり》。いずれかのプレイヤーが呪文をプレイしたとき、呪文をプレイしなかった側が3ドローするエンチャントです。
《サメ台風》のサイクリングや《永久のドラゴン》の永遠能力は呪文ではないため、《行き詰まり》の条件に引っかかることなくクリーチャーを展開できます。そして相手が動いたら《行き詰まり》で3ドローしてアドバンテージ差を広げていきます。
除去で盤面を捌きながら、プレインズウォーカーのアドバンテージで勝利する事もあります。
既にスタンダードで大活躍中の《放浪皇》ですが、レガシーでも十分通用する強さです。【-2】でタップ状態のクリーチャーを追放できるので、《濁浪の執政》は勿論、《暗黒の深部》から出るマリットレイジトークンですら除去出来ます。
2/2トークンによる盤面形成も強く、メインに2枚目を追加したいと思える性能でした。
《行き詰まり》デッキの欠点として、相手の《ウルザの物語》に弱いことが挙げられます。《ウルザの物語》は呪文をプレイせずにトークンを生成して、3章で《改良式鋳造所》をサーチするので《行き詰まり》を苦にしません。
こういったコントロールデッキに共通して言えることですが、相手の《ウルザの物語》が苦手なので、構築物トークンをまとめて対処できる《激しい叱責》はメインに入れるべきです。
メインの《虹色の終焉》の3色目と、サイドカードの為に赤をタッチしています。
《紅蓮破》《赤霊破》の青対策、《溶融》によるアーティファクト対策、《血染めの月》で《ウルザの物語》などの土地対策と、赤だけでカバーできる範囲が広い!
今のレガシーは、赤が最もサイドボードが強い色なのでおすすめです。
■おわりに
発売から1カ月経った今改めて見ると、『神河:輝ける世界』が各フォーマットに与えた影響は大きく、かなりの良セットですね。
特にこの2つは使うフォーマットが多いので、どちらも4枚ずつ揃えておくことを強くおすすめします!
レガシーも禁止改定や新セットの影響で変化しており、ラガバン一強時代と違ってかなり楽しさが増したと思います。
『ニューカペナの街角』までしばらく競技イベントが無いので、それまで僕自身もレガシーやモダンで配信していくつもりです。
それではまた。