MTG │ デッキ紹介 │ 高橋優太【禁止改訂後のスタンダードとレガシー】

先日、禁止改訂およびアルケミーでの能力調整が発表されました。(記事はコチラ

スタンダード:
アールンドの天啓》禁止
ゼロ除算》禁止
不詳の安息地》禁止

レガシー:
敏捷なこそ泥、ラガバン》禁止

ヒストリック:
記憶の欠落》:使用停止→禁止
時を解す者、テフェリー》:バランス調整されて解禁

今回の記事では、スタンダードとレガシーの環境が禁止改訂によりどう変化するかを分析し、サンプルリストを紹介していきます。

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■スタンダード

呪文とパーマネント両方を戻せる汎用性の高さと、履修によってマナカーブを埋めてくれる点から、《ゼロ除算はいつ引いても嬉しいカードです。

序盤は《環境科学》を持ってきて土地事故を防ぎ、中盤は《アルカイックの教え》でドロー、終盤は《マスコット展示会でフィニッシャーと、マナカーブが可変で、完全に無駄になるターンがほぼありません。

アールンドの天啓はコストが重いので序盤の事故原因になりますが、《ゼロ除算はそれがありません。正直な話、僕は《ゼロ除算はスタンダードを支配しているカードだと感じていました。

「手札に戻す」というテキストも重要で、「打ち消されない呪文」も《ゼロ除算》が対処していました。

上記のクリーチャー4種類は、どれも打ち消されないクリーチャーで見た目は青に強そうなのですが、《ゼロ除算》が彼らを環境から締め出していました。

逆に言うと《ゼロ除算》が禁止されたことで、「打ち消されない呪文」の価値が上がるかも知れません。《星界の大蛇、コーマ》は僕も大好きなので、フィニッシャーとして是非使いたい!

溺神の信奉者、リーアは戦場に出ると全ての呪文が打ち消されなくなりますが、《ゼロ除算》が「手札に戻す」というテキストであるため、実質打ち消し呪文として機能しており、ソフトロックが簡単に完成していました。

ゲーム終盤のリーアが支配的な強さを持っていたのは《ゼロ除算のおかげとも言えます。相対的にリーアも弱体化しますね。ただリーア自体は強いので、今後も使われると思います。

アールンドの天啓》の登場は『カルドハイム』と比較的古いカードではありますが、『イニストラード:真夜中の狩り』でコンボパーツの《感電の反復》が出たことで一気にトップメタへと躍り出ました。

予顕の6マナと《感電の反復の合計8マナで追加2ターンを獲得しながら鳥トークンを4体生成。追加ターン中にドローしたり、もう一回《アールンドの天啓を撃てればほぼ勝利です。

追加2ターンコンボは打ち消し呪文以外では対処が難しく、青以外の中速デッキを環境から締め出していました。こういった中速のコンボデッキに対して本来効果的であるはずの手札破壊からも予顕によって避けることができ、青いデッキ以外ではこの《アールンドの天啓》《感電の反復》コンボを止める手段は、「成立前に殴りきる」以外にはありませんでした。

今後は青でないミッドレンジにもチャンスがあると思います。

イゼット系のデッキは、《船砕きの怪物をフィニッシャーに据える形で生き残るかなと考えています。

■サンプルデッキ:天啓レスイゼット

天啓レスイゼット【インポート
デッキリスト
3:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
5:《山/Mountain
5:《島/Island
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
4:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast
21 Lands


1:《溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned
2:《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror
2:《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon
5 creatures

4:《予想外の授かり物/Unexpected Windfall
3:《消えゆく希望/Fading Hope
4:《棘平原の危険/Spikefield Hazard
4:《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption
2:《プリズマリの命令/Prismari Command
4:《削剥/Abrade
4:《表現の反復/Expressive Iteration
1:《否認/Negate
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
2:《悪魔の稲妻/Demon Bolt
3:《襲来の予測/Saw It Coming
1:《家の焼き払い/Burn Down the House
1:《記憶の氾濫/Memory Deluge
34 other spells


1:《否認/Negate
2:《才能の試験/Test of Talents
4:《くすぶる卵/Smoldering Egg
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
3:《バーニング・ハンズ/Burning Hands
1:《溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned
2:《燃えがら地獄/Cinderclasm
1:《記憶の氾濫/Memory Deluge
15 sideboard cards

そして青系よりも大きな影響がありそうなのが《不詳の安息地》の禁止!

緑単や白単といった単色アグロデッキの全体除去対策やマナフラッド受けなど、様々な役割を担っていたので、単色アグロデッキ全般は弱体化を余儀なくされました。

今後は《フロスト・ドラゴンの洞窟》《ハイドラの巣が代わりに採用されていくと思いますが、それでも確定アンタップインかつ打点の高い《不詳の安息地には及びません。
かつて《不詳の安息地よりも強い《変わり谷》がスタンダードにあった頃は、あらゆるデッキが《変わり谷》を採用し、《変わり谷》同士が相討ちするのが当たり前の環境でした。しかも初出と再録時、どちらの時代でもその光景がよく見られていたのです。それでも禁止されることなく、スタンダードを完走していました。

不詳の安息地》は氷雪デッキかつ単色を推奨する能力であり、それによってアグロデッキのバリエーションが少なくなってしまう点が問題だったのかなと考えています。

■レガシー

レガシーの《敏捷なこそ泥、ラガバン》は圧倒的な強さでした。

その理由は0マナの妨害呪文にあります。例えば先攻1ターン目にラガバン→《目くらまし》《意志の力》でバックアップとなると、これに対抗できるデッキはほとんどありません。

ラガバンで1回攻撃した上で《不毛の大地》で相手の土地を破壊すれば、もう1回攻撃が通ることが多いです。こちらは宝物を手に入れているので、《不毛の大地》で相手の動きを制限しながら一方的に展開を進められます。更にレガシーはどのデッキも1マナのカードを多く採用しているので、ラガバンで奪った呪文を唱えやすく、マナと手札両方の面でアドバンテージを広げて行きます。正直レガシーでは強すぎた!

一方、モダンのラガバンは健全だと思えています。クリーチャーデッキが多いため2/1をブロックしやすく、《目くらまし》《意志の力》《不毛の大地》が無いため、いわゆる「ハメパターン」になることは少ないです。

モダンはバランスの取れた環境に見えるので、今後もモダンでラガバンを見かけるでしょう。

■サンプルデッキ:イゼットデルバー

イゼットデルバー
デッキリスト
1:《蒸気孔/Steam Vents
2:《沸騰する小湖/Scalding Tarn
2:《汚染された三角州/Polluted Delta
4:《Volcanic Island
2:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand
2:《霧深い雨林/Misty Rainforest
4:《不毛の大地/Wasteland
1:《冠雪の島/Snow-Covered Island
18 Lands


4:《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets
4:《ドラゴンの怒りの媒介者/Dragon’s Rage Channeler
2:《真の名の宿敵/True-Name Nemesis
4:《濁浪の執政/Murktide Regent
14 creatures

4:《稲妻/Lightning Bolt
1:《はらわた撃ち/Gut Shot》
4:《思案/Ponder
4:《表現の反復/Expressive Iteration
2:《邪悪な熱気/Unholy Heat
4:《目くらまし/Daze
4:《渦まく知識/Brainstorm
1:《紅蓮破/Pyroblast
4:《意志の力/Force of Will
28 other spells


1:《水流破/Hydroblast
3:《溶融/Meltdown
1:《血染めの月/Blood Moon
3:《紅蓮破/Pyroblast
2:《狼狽の嵐/Flusterstorm
1:《はらわた撃ち/Gut Shot
2:《外科的摘出/Surgical Extraction
2:《否定の力/Force of Negation
15 sideboard cards

ラガバン抜きイゼットデルバーを考えてみました。見た目は強そうです!

ドラゴンの怒りの媒介者》で諜報しながら《濁浪の執政に繋げる動きは強力なので、ラガバン抜きでもデッキとして十分成立しています。

ラガバンが禁止されたことで、《はらわた撃ちの価値は少し下がるかも知れません。

逆に《紅蓮破》は青の多いレガシーで強く、8/8の《濁浪の執政》も除去できるので、メインに少しは入れたいです。

ラガバンが禁止されて、フェアなコントロールデッキが増えたりするなら《真の名の宿敵の出番です。

逆にコンボデッキが増えるようなら《否定の力》の出番ですが、ここらへんは今後のメタゲーム次第。最初はフェアデッキ意識で良いと思います。

ウルザの物語》系のデッキもレガシーで人気があるので、アーティファクト対策の《溶融》も今後は最低2枚、できれば3枚目もサイドに取りたいです。

■おわりに

カードが禁止されることに不満を持つ方がいるのも良くわかります。しかし、僕は禁止改定をローテーションの変化が早まったと捉えています。

近年はMTGアリーナによる環境の解明がおそろしく早いです。強いデッキは一瞬で広まりますし、イゼット天啓のように最強のデッキがあると環境が停滞する理由にもなります。

ゲームを楽しく遊ぶためには、一強環境よりも変化があった方が良いですからね。レガシーのイゼットラガバンも一強に近い状態だったので、フォーマットを活性化させるためには必要な措置に思えています。

アルケミーの能力調整については、もう少しアルケミーを経験してから記事にするつもりです!

それではまた。


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