MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【ヴィンテージメタゲームと4cラガバン】
今回は少し趣向を変えて、ヴィンテージについての特集記事です。
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■ヴィンテージとは
マジックは長い歴史の中で、強すぎて禁止になってしまったカードも多く存在します。
最初のセットである「アルファ」には《暗黒の儀式》《稲妻》《巨大化》など、各色に1マナで3つ分の何かを発生させる効果のカードがあります。しかし青だけはなぜか3ドローと4マナ相当の効果で、パワー9の中でも《Ancestral Recall》は最強です。
2マナで追加ターンを得る《Time Walk》。同じ効果の《時間のねじれ》が5マナであるにも関わらずヒストリックで禁止されており、いかに追加ターン効果が強いかがわかります。
そしてマジックを象徴する存在で、高額カードの代名詞である《Black Lotus》。生贄にすると好きなマナが3つ出せます。
これらの禁止になるほどの強力カードも「制限カード」という名目で各1枚ずつなら使えて、ド派手なカードパワーを楽しめるフォーマット。それがヴィンテージです!
以前にパワー9など再録禁止カードを解説した記事も書きました。興味のある方はそちらもどうぞ!
■ヴィンテージメタゲーム
①青単ウルザ
サンプルリスト : 青単ウルザ | |
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デッキリスト | |
3 《島》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 4 《教議会の座席》 1 《トレイリアのアカデミー》 4 《ウルザの物語》 14 lands 3 《湖に潜む者、エムリー》 1 《ギタクシア派の調査》 |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Emerald》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Sapphire》 3 《オパールのモックス》 3 《ウルザのガラクタ》 1 《多用途の鍵》 1 《真髄の針》 1 《師範の占い独楽》 1 《太陽の指輪》 1 《魂標ランタン》 1 《Time Vault》 1 《ボーラスの城塞》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 36 other spells 2 《四肢切断》 |
軽量アーティファクトのシナジーを重視したデッキです。
0-1マナのアーティファクトを並べて親和(アーティファクト)のコストを軽減してから《物読み》《思考の監視者》によってドローを進めて、《最高工匠卿、ウルザ》で盤面形成&さらなるアドバンテージを得ていきます。
レガシーで禁止されている《トレイリアのアカデミー》もヴィンテージなら1枚使用可能で、溢れるほどの青マナを生み出します。
ストーリー上ではウルザがアカデミーを設立したので、ウルザとウルザの物語とアカデミー、そしてアカデミー内で作られたカーンが一緒に使われているのはエモい!
既にモダンやレガシーでも活躍している《ウルザの物語》ですが、各種《Mox》や《Black Lotus》を使えるヴィンテージでこそ真価を発揮します。構築物トークンはすぐに巨大なサイズになりますし、サーチ先も《Mox》《Black Lotus》と超優秀!
《Time Vault》は通常のアンタップステップに起きない代わりに、タップすると追加ターンを得る極悪アーティファクトで、当然制限カードです。
この《Time Vault》を引いている場合、《ウルザの物語》のサーチ能力で《多用途の鍵》を持ってきて《Time Vault》をアンタップ、お手軽に無限ターンが始まります。
《ウルザの物語》が出たことで《Time Vault》はより一層強くなりましたね。
《修繕》もまたレガシーでは禁止されている超強力サーチ呪文。《Mox》を生贄にして《ボーラスの城塞》をサーチ、あとはライフが続く限りライブラリートップから呪文を唱え続けます。
《Time Vault》《多用途の鍵》の片方を引いている場合は、もう片方を《修繕》でサーチして無限ターンを決めることも出来ます。
②ピッチヴァイン
サンプルリスト : ピッチヴァイン | |
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デッキリスト | |
4 《Bazaar of Baghdad》 2 《ガイアの揺籃の地》 1 《石化した原野》 1 《露天鉱床》 4 《不毛の大地》 12 lands 4 《日を浴びるルートワラ》 |
1 《精神的つまづき》 3 《有毒の蘇生》 4 《血清の粉末》 4 《否定の力》 3 《精神壊しの罠》 4 《活性の力》 4 《意志の力》 1 《虚空の杯》 24 other spells 2 《幽霊街》 |
まずはデッキの中心である《Bazaar of Baghdad》が初手に来るまでマリガンします。
《Bazaar of Baghdad》が無いと全く回らないデッキなので、初手に来る確率を上げるために《血清の粉末》もフル採用されています。
初手に確保することに成功したら、早速《Bazaar of Baghdad》を起動します。カードを2枚引いて3枚捨てて、捨てた時に《日を浴びるルートワラ》《猛火のルートワラ》のマッドネスが誘発。
ルートワラ2体を唱えたことで墓地の《復讐蔦》が誘発して速攻アタック。このターン手札を3枚捨てているので《虚ろな者》を0マナで唱えます。
つまり《Bazaar of Baghdad》を起動する→パワー10点ぶんのクリーチャーを出すということです。これが1ターン目に起きるなんて、ヴィンテージは恐ろしい!
パワー10点ぶんのクリーチャーを出したら、あとは0マナで相手の呪文を打ち消して行きます。
ピッチヴァインはデッキにマナを出す目的の土地が《ガイアの揺籃の地》くらいしかなく、《Bazaar of Baghdad》を中心に0マナをとことん追求した、機能美とも言えるデッキ構成になっています。
0マナでクリーチャー展開から0マナで呪文を妨害と、通常のマジックでは考えられないような動きをしてきます。
モダンホライゾン2で《猛火のルートワラ》が出たことにより、《復讐蔦》の誘発条件達成が容易になりました。
また、《日を浴びるルートワラ》《猛火のルートワラ》は墓地対策の影響を受けないので、以前よりも《虚空の力線》などに耐性が出来ています。
《忍耐》という強力な墓地対策が出たことも、従来の発掘(ドレッジ)よりピッチヴァインの方が増えた理由だと思います。
③《最後の審判/Doomsday》コンボ
サンプルリスト : 最後の審判コンボ | |
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デッキリスト | |
1 《冠雪の島》 4 《Underground Sea》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《霧深い雨林》 2 《汚染された三角州》 3 《沸騰する小湖》 14 lands 4 《通りの悪霊》 1 《ギタクシア派の調査》 |
2 《目くらまし》 1 《Time Walk》 1 《悪魔の教示者》 1 《神秘の論争》 1 《否定の力》 4 《最後の審判》 1 《噴出》 4 《意志の力》 1 《時を越えた探索》 1 《ネクロポーテンス》 1 《Black Lotus》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Sapphire》 40 other spells 1 《冠雪の島》 |
ライブラリーを自分の望む5枚にする《最後の審判》を撃ってから、《タッサの神託者》で特殊勝利するコンボデッキです。
レガシーでも存在するデッキタイプですが、ヴィンテージでの《最後の審判》の強さは別格で、1ターンキル率も約50%ほどあります。
その理由は制限カードの強さにあり!
《噴出》は0マナで2ドローするので、《Black Lotus》から《タッサの神託者》につなげられますし、《最後の審判》から《通りの悪霊》サイクリングで《Ancestral Recall》を引いたら、これまた《Black Lotus》から《タッサの神託者》に繋がります。
《噴出》《Black Lotus》《Ancestral Recall》を必ず引けるという点が、《最後の審判》の強さを押し上げています。
ライフを支払ってアドバンテージを得るというのは黒の持つ性質であり、それの最高峰が《ネクロポーテンス》!
1ターン目《暗黒の儀式》から《ネクロポーテンス》、そして大量ドローから《意志の力》を構えるという、実質1ターンキルに近いパターンも持っています。
制限カードを多く採用したデッキなので、《吸血の教示者》《悪魔の教示者》のサーチでコンボを補助。
《Demonic Consultation》は統率者でもおなじみのカードで、自分のライブラリーを0枚にする事が出来るので《タッサの神託者》とのコンボで特殊勝利します。
■4cラガバン
7/26 Magic Online Vintage Challenge/by 高橋優太 | |
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デッキリスト | |
3 《Tropical Island》 2 《Volcanic Island》 1 《Badlands》 3 《汚染された三角州》 3 《沸騰する小湖》 2 《樹木茂る山麓》 1 《露天鉱床》 3 《不毛の大地》 18 lands 4 《敏捷なこそ泥、ラガバン》 1 《ギタクシア派の調査》 |
2 《目くらまし》 1 《Time Walk》 2 《否定の力》 1 《噴出》 4 《意志の力》 1 《宝船の巡航》 1 《Mox Emerald》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Sapphire》 2 《レンと六番》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 2 《ダク・フェイデン》 3 《王冠泥棒、オーコ》 30 other spells 1 《溜め込み屋のアウフ》 |
歴代の各フォーマットで禁止されてきたカード達を集めた、MTGオールスターと言えるデッキです。
新顔の《敏捷なこそ泥、ラガバン》はカードパワーの高いヴィンテージでこそ相手のライブラリートップを奪う能力が強く、実際に《Ancestral Recall》《Black Lotus》を何度も奪いました。
《死儀礼のシャーマン》はレガシーで禁止されている、墓地対策とマナ加速を兼ねそろえた超優秀クリーチャー。能力が多すぎて「漁る渋面の極楽鳥」と呼ばれることもあります。
《溜め込み屋のアウフ》は《ウルザの物語》が流行していることへの対策カードで、アーティファクト中心のデッキに対してクリティカルな能力を持っています。
《タルモゴイフ》は《Bazaar of Baghdad》デッキに対して特に強く、4/5のサイズが《復讐蔦》《虚ろな者》を止めてくれます。その半面、バニラなのでコンボデッキに対して弱い性質も持っています。
《ウルザの物語》や《Bazaar of Baghdad》など、超強力な土地が使われるヴィンテージ環境では特殊地形対策は必須。
《露天鉱床》は《不毛の大地》の元祖であり、なんと基本地形も破壊できます。当然制限カードです。
この《露天鉱床》《不毛の大地》を回収するのが《レンと六番》。長期戦になれば相手の土地を破壊し続けて、【-7】能力の紋章により《Time Walk》を墓地からプレイして無限ターンに近い動きが出来るようになります。
《王冠泥棒、オーコ》は各種《Mox》を鹿に変えて3点クロックを生み出しますし、厄介なアーティファクトも鹿にして無力化します。
《ダク・フェイデン/Dack Fayden》は各種《Mox》が奪えることで、ヴィンテージ環境で相対的に強くなっています。相手の《虚ろな者》を奪う事も良く起こります。
僕は最初にスゥルタイミッドレンジを回していましたが、途中から《暗殺者の戦利品》のデメリットが大きくあまり強くないと感じていました。
青いコンボデッキ相手に《紅蓮破》が欲しいこと、お互いに土地破壊するゲームでは《レンと六番》が強いこと、そして何より新顔の《敏捷なこそ泥、ラガバン》を試したいという事からこの4cラガバンを組み、オンライン上の大会に参加しました。
■大会結果 + 4cラガバンプレイ動画
・7/26 Magic Online Vintage Challenge
×《最後の審判》コンボ
〇ジェスカイコントロール
〇青白《行き詰まり》コントロール
〇青黒《セッジムーアの魔女》コントロール
〇スゥルタイミッドレンジ
〇《ドルイドの誓い》コントロール
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〇青単ウルザ
〇青単ウルザ
〇《最後の審判》コンボ
なんと優勝!
4cラガバンのプレイ動画はこちら↓
■おわりに
ヴィンテージは自分のやりたいことを目指すコンボデッキが多いため、クリーチャー除去の採用数が少なく、《敏捷なこそ泥、ラガバン》は大活躍しました。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》《死儀礼のシャーマン》の両方が初手にあるときにラガバンを優先して出すことが多かったので、実際は死儀礼よりラガバンの方が強いかも知れません。
他の環境がそうであるように、既にヴィンテージも《敏捷なこそ泥、ラガバン》vs《ウルザの物語》になりつつあります。
死儀礼より強いと感じたので、ラガバンは強く作り過ぎたかも知れません。ただカードパワーが高い方がエキサイティングな経験を得やすいので、しばらくはこの環境を楽しんでいきます。
それではまた。