MTG │ 大会レポート │ 高橋優太【The Arena Open】
Hi,
先週末はMTGアリーナ上のイベント「The Arena Open」に参加しました。
今回の記事では使用したデッキ2つについて解説して行きます。
ヒストリック環境についての解説は、先週の僕の記事と井川さんの記事もご参照ください。
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■ヒストリックメタゲーム
まずはどんなデッキが環境を席巻しているかを考えます。
アリーナのBO1とBO3のランクマッチを通して、当たる数の多かったデッキを挙げて行くと、
白単オーラ、白青オーラ
BO1でアリーナ上位層が好んで使っていたのがこの白単オーラ、もしくは白青オーラ。
2ターン目の《コーの精霊の踊り手》はドロー能力と爆発的なサイズでゲームを支配する強さがあり、除去出来なければ即ゲームエンド。
除去しようとしても《無私の救助犬》《ケイラメトラの恩恵》といった補助カードで除去から守る事も出来るため隙が無く、マリガンしても《コーの精霊の踊り手》さえ来れば勝てる良いデッキです。
ゴブリン
モダン並みにカードが揃っている部族デッキ、ゴブリン。
ライブラリーからゴブリンを唱えられる《人目を引く詮索者》、速攻付与の《ゴブリンの戦長》、大量トークン生成の《群衆の親分、クレンコ》、フィニッシャーの《上流階級のゴブリン、マクサス》とそれぞれの役割が揃っており、序盤中盤終盤隙が無い!
全体除去1回程度なら軽々と乗り越える粘り強さもあり、実際に《空の粉砕》1回《霊気の疾風》2回を撃ったにも関わらず6ターン目に550点食らった時はデッキの底力を感じました。
※ライフ-550点
Historic 2 pic.twitter.com/CHoXh4d71a
— Yuta Takahashi (@Vendilion) July 31, 2020
ティムール再生
スタンダードをそのまま流用した形のティムール再生も十分通用して、《溶岩震》でプレインズウォーカーもまとめて対処できます。
しかし《コーの精霊の踊り手》の対処が難しいデッキなため、少し評価ダウン。
青単テンポ
1ターン目に出したクリーチャーに《執着的探訪》を付けて打ち消し呪文でバックアップする青単テンポも健在。ハマったときはドローしながら全部打ち消す圧倒的なパターンもあります。
《海駆けダコ》《厚かましい借り手》の2つの瞬速クリーチャーによって以前より出来る事が増えています。
■環境に最も合致しているカードは何か
ヒストリックで対戦して特に強いと感じたデッキは白単オーラ、ゴブリン、ティムール再生、青単テンポ。
→オーラのついた《コーの精霊の踊り手》を対処出来て
→《ゴブリンの戦長》を一時しのぎ出来て
→ティムール再生にも役立ち
→青単テンポのインスタントでの行動を防ぐ。
これらに共通して役割を持てるカードと言えば?
そう、《時を解す者、テフェリー》です。
ヒストリック環境を考えたとき、テフェリーは弱いマッチが少ない上に、ティムール再生や青単テンポには出せば勝ちに繋がるほどの強さがあります。
どんなデッキにしろ《時を解す者、テフェリー》は使う事が決定。
僕が大会に出る準備段階でまず考えることは、「今のメタゲームで最もサイドアウトが少なく、どのデッキにも平均的な強さを保てるカードは何か」です。
これはどのフォーマットでも共通して言える事なのですが、相手によって強弱の差が少なくサイドアウト回数の少ないカードは環境を定義する強さがある事が多いです。
(ただ、環境を定義しすぎたのか8月4日付けでテフェリーはヒストリックでは使用停止カードになりました)
■初日BO1
4《縫い師への供給者》
4《万面相、ラザーヴ》
4《精励する発掘者》
4《隠された手、ケシス》
4《湖に潜む者、エムリー》
3《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
4《モックス・アンバー》
4《時を解す者、テフェリー》
3《伝承の収集者、タミヨウ》
1《神秘を操る者、ジェイス》
4《ゼイゴスのトライオーム》
4《インダサのトライオーム》
4《湿った墓》
2《神聖なる泉》
2《草むした墓》
4《氷河の城砦》
2《内陸の湾港》
2《陽花弁の木立ち》
1《ファイレクシアの塔》
1本勝負でありサイドボードがないため、墓地対策されない状態での墓地コンボは通常よりも有利だと考えて、「The Arena Open」初日のBO1ではケシスコンボを使用しました。
まずは墓地を貯めるのが基本的な動き。
墓地に《湖に潜む者、エムリー》《モックス・アンバー》が2枚ずつある状態で《隠された手、ケシス》の能力を起動。
その後墓地から《モックス・アンバー》を出して1マナで《湖に潜む者、エムリー》をプレイ、《モックス・アンバー》の2枚目で青マナを出してから《湖に潜む者、エムリー》の2枚目でエムリーを入れ替え。
これにより、ケシス1回の起動で墓地が8枚貯まります。墓地にレジェンドがあればこれを繰り返す事が出来るので、自分のライブラリーを削り続けます。
削る途中で3枚目の《モックス・アンバー》が落ちればケシス起動でマナが増えるようになるのでエムリーループを繰り返し、最後に《神秘を操る者、ジェイス》を出して勝ちます。
墓地を貯める補助として採用したのが《縫い師への供給者》。ヒストリックはアグロデッキが多いため、1/1のブロッカーとして役立ち墓地を6枚貯める役割があります。
6枚なら丁度《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が脱出できる枚数なので、これによりアグロデッキへの耐性がかなり上がりました。
《縫い師への供給者》を生贄に捧げるのと、墓地にある伝説カウントを増やすために《ファイレクシアの塔》を入れましたが、4色デッキでマナベースが不安定なためここは《陽花弁の木立ち》にした方が良かった。
序盤の時間稼ぎになり、相手からの打ち消しやインスタント除去を防ぐ《時を解す者、テフェリー》はケシスコンボとも相性抜群。ケシスの材料にもなります。
コンボが繋がらない状態でも、単純にケシス起動から墓地の《時を解す者、テフェリー》を唱えるだけで十分強いです。
7勝1敗で初日を突破。
Twitterにデッキを掲載したところ、他にも多数の方から7勝報告を頂きました。BO1に向いた、良いデッキ選択だったと思います。
■2日目BO3
3《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
3《ムル・ダヤの巫女》
4《不屈の巡礼者、ゴロス》
4《成長のらせん》
4《探検》
2《霊気の疾風》
3《時を解す者、テフェリー》
3《空の粉砕》
3《精霊龍、ウギン》
4《死者の原野》
1《ケトリアのトライオーム》
1《ゼイゴスのトライオーム》
1《インダサのトライオーム》
1《ラウグリンのトライオーム》
4《寓話の小道》
2《繁殖池》
2《寺院の庭》
1《神聖なる泉》
1《ボジューカの沼》
2《爆発域》
1《内陸の湾港》
1《陽花弁の木立ち》
1《氷河の城砦》
1《啓蒙の神殿》
1《神秘の神殿》
1《豊潤の神殿》
1《平地》
1《島》
1《山》
1《森》
サイドボード
4《不可解な終焉》
2《サメ台風》
4《神秘の論争》
2《霊気の疾風》
1《時を解す者、テフェリー》
2《ボジューカの沼》
2日目は引き続きケシスコンボを使うかも考えました。
しかしBO1と違いBO3では墓地対策される可能性が高く、そしてケシスはメインで完成されているため抜くカードが難しくて各1枚ずつアウトのようなサイドボーディングになりそう、かつサイド後もメインと大きく差が無く取れる戦略が狭い。
ケシスに不安要素が多かったので、BO3でしばらく回していたバントゴロスを使用しました。
土地を伸ばして効果を発揮する《死者の原野》を最大限活用する事を目指したコントロールデッキです。毎ターン必ず土地を出したいデッキなので、なんと31枚土地が入っています。
《成長のらせん》に加えて、ヒストリックでは《探検》が使えるため序盤の安定性がアップ。2ターン目マナ加速からの3ターン目《ムル・ダヤの巫女》はライブラリーから土地を供給してくれて、最速5ターン目に《精霊龍、ウギン》も可能です。
マナ加速呪文にドローが付いているため、《ムル・ダヤの巫女》でライブラリートップを確認してからマナ加速でドロー、要らないトップだったら《寓話の小道》でシャッフルと非常にデッキに噛み合っています。
《死者の原野》をキーカードにしたデッキなので、それをサーチする役割で《不屈の巡礼者、ゴロス》。
白単オーラに対しては《爆発域》、ケシスコンボに対しては《ボジューカの沼》など、相手によってサーチの応用が効きやすいのも良し。
自分が強いと感じたデッキを自分だけが知っていると思うのは傲慢。強いプレイヤーはオーラやケシスを使ってくるだろうと考えていたため、それらに対応できる土地を選びました。
《不屈の巡礼者、ゴロス》の起動型能力は5色マナなので、メインカラーのバントに加えて赤黒マナが必要。
《ボジューカの沼》《ゼイゴスのトライオーム》《インダサのトライオーム》で黒マナをサーチする事が多く、黒マナを揃えた後は《寓話の小道》から《山》で5色コンプリートします。
既に無色マナの土地が多く《ボジューカの沼》も入っていることから色マナ事故が不安だったため、《沼》は抜きました。
白単オーラは破壊不能やプロテクションでクリーチャーを守って来ますが、無色かつ追放除去である《精霊龍、ウギン》は相手の破壊不能もプロテクションも無視して一掃出来ます。
また、ゴブリンやケシスの場も一掃できるので、マナブースト後のゴールとして《精霊龍、ウギン》は最適でした。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》も候補ではあったのですが、やはり8マナと10マナには大きな差があり、相手の《ケイラメトラの恩恵》の呪禁で弾かれるためウギン優先。
本戦では《精霊龍、ウギン》がオーラ相手に大活躍し、7勝1敗で2000ドル獲得。仮説立てと検証が実って良かった。
僕は昔からモダンやレガシー、ヴィンテージなどのカードプールが広いフォーマットが得意なので、ヒストリックも好きです。
■おわりに
さて先日、禁止改定で大きな発表がありました。
禁止制限告知:スタンダードで《荒野の再生》など4種、パイオニアで《真実を覆すもの》など4種が禁止、ヒストリックも2種が使用停止
ヒストリックは《荒野の再生》《時を解す者、テフェリー》の2つが使用停止。
バントゴロスにとって《時を解す者、テフェリー》使用停止は手痛いですが、1スロットなので《エルフの開墾者》と入れ替わる形で生き残りそう。もしくはスゥルタイに色を変えて組んでも良いかも知れません。
特にスタンダードが激変しますね、現環境はティムール再生1強で停滞しつつあったので、残りの期間を飽きずに遊ぶためにも良い施策だと思います。
それではまた。