MTG │ 考察記事 │ 高橋優太【パイオニアメタゲーム考察】
Hi,
名古屋以降のパイオニアのメタゲームの動きが面白く、僕も”ロータスコンボ”や”スゥルタイ昂揚”を回しています。
先週末にはアメリカでもプレイヤーズツアーが開催されました。
結果をもとに、この1週間で起きたパイオニアの変化を考察していきましょう。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
■メタゲームの変化
メタゲーム表画像(PTフェニックス)
“青黒インバーター”が最多勢力なのは変わらず、依然としてメタゲームの中心になっています。
“ロータスコンボ”は有名プレイヤーがこぞって使用しており、使用率が急上昇。これらのコンボ流行を見越してか、”バントスピリット”が2番手に。その”バントスピリット”と”ロータスコンボ”に強い赤単が3番手に。
コンボデッキの増加に伴い、コンボに相性の悪い”5色二ヴミゼット”、”青白コントロール”は激減しました。
わずか一週間でここまでメタゲームが動くのは面白い変化ですね。
PTフェニックスTOP8デッキリスト
Players Tour Phoenix Top 8 Decklists
青黒インバーター x2
ロータスコンボ x2
赤単アグロ
スゥルタイ昂揚
バントスピリット
青白コントロール
概ねメタゲーム通りのトップ8。
上位デッキを解説して行きます。
■青黒インバーター
4《真実を覆すもの/Inverter of Truth》
4《タッサの神託者/Thassa’s Oracle》
4《選択/Opt》
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
2《思考消去/Thought Erasure》
2《検閲/Censor》
2《湖での水難/Drown in the Loch》
1《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
1《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
4《時を越えた探索/Dig Through Time》
3《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》
4《湿った墓/Watery Grave》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
2《詰まった河口/Choked Estuary》
2《異臭の池/Fetid Pools》
1《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
5《島/Island》
2《沼/Swamp》
サイドボード
1《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
3《群れネズミ/Pack Rat》
1《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
1《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1《軍団の最期/Legion’s End》
1《否認/Negate》
1《魔女の復讐/Witch’s Vengeance》
1《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》
1《衰滅/Languish》
2《減衰球/Damping Sphere》
先週の記事でも青黒インバーターを紹介していますので、そちらもご参照ください。
現在のパイオニアを考える上で、このデッキに勝てるかどうかがデッキ選択の基準になっています。
しかし対策しても手札破壊されていまうため、明確に有利を付けられるデッキがないのが青黒インバーターの強み。6マナでゲームに勝つコンボと最高級の1マナ妨害呪文で構成されており、後半は《時を越えた探索/Dig Through Time》によるアドバンテージと隙が無いです。
ミラーマッチ用に1枚採用されています。相手が《真実を覆すもの/Inverter of Truth》→エンドとなったら、返しでライブラリーアウトが狙えます。今は青黒インバーターがメタゲームの中心なので、うっかり勝利を狙えるこの土地は青いデッキなら採用の余地があります。
サイド後は《漂流自我/Unmoored Ego》《殺戮遊戯/Slaughter Games》などで《真実を覆すもの/Inverter of Truth》を抜かれることの多いデッキなので、追加の勝ち手段は何かしら取るべきです。
《群れネズミ/Pack Rat》は2マナと軽く、マナを立ててターンを返しやすいカードで、サイド後の打ち消し呪文を構えるゲームで活躍しやすいです。
《思考囲い/Thoughtseize》→《群れネズミ/Pack Rat》という往年の黒単信心を思い出す動きも可能。5マナあるときなら単体除去も苦にしないので、サイド後の戦略の幅を広げてくれます。
青黒インバーターのミラーマッチは《致命的な一押し/Fatal Push》を抜くのが定番になっているので、その裏をかいて2ターンキルのような状況も発生します。
今回のロータスコンボ復権を見越したサイドボード。
単純に2ターン目に出すのではなく、相手が《睡蓮の原野/Lotus Field》を置いたあとにプレイする方がマナを減らせるので、後に出した方が効果が大きいです。
ロータスコンボ側からすると一番苦手なカード。アーティファクトでどのデッキでも使えるので、今後は良く見かけるサイドボードになりそう。
■ロータスコンボ
4《樹上の草食獣/Arboreal Grazer》
4《願いのフェイ/Fae of Wishes》
2《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
4《砂時計の侍臣/Vizier of Tumbling Sands》
4《見えざる糸/Hidden Strings》
4《熟読/Pore Over the Pages》
4《巧みな軍略/Strategic Planning》
4《森の占術/Sylvan Scrying》
1《時を越えた探索/Dig Through Time》
1《発展+発破/Expansion+Explosion》
1《神秘の論争/Mystical Dispute》
3《死の国からの脱出/Underworld Breach》
1《爆発域/Blast Zone》
4《植物の聖域/Botanical Sanctum》
2《繁殖池/Breeding Pool》
1《森/Forest》
4《睡蓮の原野/Lotus Field》
1《隠れた茂み/Sheltered Thicket》
4《神秘の神殿/Temple of Mystery》
4《演劇の舞台/Thespian’s Stage》
3《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
サイドボード
1《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1《失われた遺産/Lost Legacy》
2《至高の評決/Supreme Verdict》
1《秘本掃き/Tome Scour》
2《霊気のほころび/Unravel the AEther》
1《死の国からの脱出/Underworld Breach》
1《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》
2《自然のままに/Natural State》
1《思考のひずみ/Thought Distortion》
1《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
まずは《睡蓮の原野/Lotus Field》を《演劇の舞台/Thespian’s Stage》でコピー。
これにより6マナ出るようになるので《見えざる糸/Hidden Strings》《熟読/Pore Over the Pages》でマナ加速。
コンボの過程でドロー呪文をプレイして墓地が貯まるので、その墓地の呪文を《死の国からの脱出/Underworld Breach》によって再利用。《睡蓮の原野/Lotus Field》を置く際に2つ土地を生贄にするため、自然と墓地が貯まるのもメリットです。
その後はドローとマナ加速を繰り返して、《発展+発破/Expansion+Explosion》でフィニッシュ。フィニッシュ手段を《タッサの神託者/Thassa’s Oracle》にしているバージョンもあります。しかし《発展+発破/Expansion+Explosion》の方が手札に来た時にも単体で役に立ち、相手の打ち消し呪文をコピーすることもあるのでこちらの方がおすすめです。
今大会でロータスコンボが躍進する原因になったのが、《願いのフェイ/Fae of Wishes》からの《秘本掃き/Tome Scour》サーチ。
通常は《死の国からの脱出/Underworld Breach》のために繰り返し墓地を増やしていくコンボパーツの役割ですが、実は《秘本掃き/Tome Scour》は相手にも撃てるのがポイント。
4ターン目に出てきた《真実を覆すもの/Inverter of Truth》に対して、返しに《秘本掃き/Tome Scour》でライブラリーを5枚削ればライブラリーアウトが狙えます。こういったライブラリーを意識したデッキ構築は面白いですね。《願いのフェイ/Fae of Wishes》は他にも多様な役割があります。
《減衰球/Damping Sphere》《虚空の力線/Leyline of the Void》《安らかなる眠り/Rest in Peace》への対策。
1回盤面をリセットして時間稼ぎ。これらは2枚ずつ入っているので、サイド後は1枚ずつインしてコントロールのように振る舞うことも出来ます。
自分のライブラリーを《秘本掃き/Tome Scour》で削りきった後に《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》で勝つルートもあります。
また、相手が単色アグロの場合はマナ加速から最速《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》を目指して、半分コントロールのような動きも出来ます。
■スゥルタイ昂揚
4《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
2《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
1《脳蛆/Brain Maggot》
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》
2《残忍な騎士/Murderous Rider》
2《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
1《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1《墓後家蜘蛛、イシュカナ/Ishkanah, Grafwidow》
1《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》
1《歩行バリスタ/Walking Ballista》
4《思考囲い/Thoughtseize》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
4《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
1《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
1《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》
1《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》
4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
1《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
4《繁殖池/Breeding Pool》
2《湿った墓/Watery Grave》
3《寓話の小道/Fabled Passage》
1《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》
1《島/Island》
1《沼/Swamp》
2《森/Forest》
サイドボード
3《神秘の論争/Mystical Dispute》
1《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1《見栄え損ない/Disfigure》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
1《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1《虚空の力線/Leyline of the Void》
2《不屈の追跡者/Tireless Tracker》
1《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1《人質取り/Hostage Taker》
3《漂流自我/Unmoored Ego》
《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》《忌まわしい回収/Grisly Salvage》によって墓地を増やし、その過程で落ちた《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》でアドバンテージを取っていきます。
墓地が貯まりやすいデッキなので《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》は3ターン目に変身することも多く、《思考囲い/Thoughtseize》《致命的な一押し/Fatal Push》を再利用して序盤をサポートしてくれます。
デッキの核となっているのが、《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》による状況に応じたサーチ。この昂揚条件を満たすために、エンチャント・アーティファクト・プレインズウォーカーなど異なるタイプが1枚ずつ採用されています。
出ただけでアドバンテージを稼ぐ、ミッドレンジ定番のクリーチャー。
《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》はアグロに対するブロッカー性能が強く、エンチャントで昂揚条件を満たすためにも2枚採用がおすすめ。《不屈の追跡者/Tireless Tracker》は墓地対策されるサイド後のゲームに強いため、サイドボードに追加で2枚取られています。
それぞれ墓地対策、手札破壊、プレインズウォーカー除去。
昂揚達成後のフィニッシャー。
《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》は相手のターンをコントロールする誘発型能力なので、《不許可/Disallow》《即時却下/Summary Dismissal》のような特殊なカードでないと防ぐことが出来ません。コンボデッキが流行している今なら、ターンを奪って相手のコンボによる自爆を狙えます。
モダンのジャンドやBGといったミッドレンジに近い動きをするデッキなので、その手のミッドレンジ好きには人気がありそうなデッキですね。《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》が本当に強力で、スタンダード、パイオニア問わず活躍しているので早めに4枚揃えておきたいです。
■おわりに
わずか2週間でデッキが丸ごと入れ替わったりと、パイオニアのメタゲームの変化は早いですが面白いです。
対策カードは《安らかなる眠り/Rest in Peace》《虚空の力線/Leyline of the Void》《減衰球/Damping Sphere》などモダン級の物が揃っているので、来週にはまた新しい変化が起きているかも知れません。
もしかしたら何かしらの禁止が出る可能性はありますが、それまではスゥルタイ昂揚で遊んでみようかなと。
それではまた。