MTG │ デッキ解説 │ 井川良彦【ティムールランプ】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
4月に開催されるプロツアー『サンダー・ジャンクションの無法者』のフォーマットがスタンダードなので、少しずつスタンダードの勉強を始めました。新セット発売後とはいえスタンダードは陸続きなので、今の強デッキを学んでおいて損はないですからね。
その一環として出場した第26期スタンダード神挑戦者決定戦でトップ8に入ることができましたので、今回の記事では使用した「ティムールランプ」のリストや思想について簡単に述べていきたいと思います。
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■ティムールランプとは?
基本地形を大量に並べて、《強靭の徳目》からの極大《世界魂の憤怒》で勝つランプ・コンボデッキです。
基本的な動きについては、あんちゃんの前回の記事に説明がありますのでそちらをご覧ください。
《斡旋屋一家の潜伏先》《舞台座一家の中庭》といったフェッチに1点ゲインが付いており、またそれを《事件現場の分析者》《世界魂の憤怒》で複数回誘発させるためライフ水準が極めて高く、《間の悪い爆発》というデッキにマッチした全体除去も搭載されているため見た目よりもアグロに対して耐性が高く、そして版図ランプやゴルガリミッドレンジのような盤面を意識したデッキにはそのスケールだけで倒すことができます。
サイドボード後こそ墓地対策・単体除去・カウンターとあらゆる妨害が刺さるので当然勝率が下がりますが、メインボードだけであれば今のスタンダードで最も強いデッキだと個人的に思っています。
僕の調整スタイルでは環境のデッキを広く浅く全部回していくのが基本なのですが、今回はスタン神まで時間がなかったこと、そして何よりティムールランプがめちゃくちゃ楽しかったので、ほぼ決め打ちで練習。《荒野の再生》から《発展+発破》を撃っていたあの日々を思い出しながらコレだけ回し続けました。楽しいのは大事!!!
■使用したリスト、カード採択についての解説
僕が使ったのは以下のリスト。
第26期スタンダード神挑戦者決定戦 ティムールランプ
一般的なテンプレリストと異なる点について、次以降の項で解説していきます。
★採用したカード
最初期は採用されていたものの、最近は0枚のリストが増えている《見事な再生》。
カウンターにも墓地対策にも弱いのでサイドアウト率は非常に高いですが、ことメインにおいては勝率の向上に寄与してくれるため1枚だけ採用しました。
《事件現場の分析者》は「プレイ+起動」で6マナかかるので、4ターン目の「《復活した精霊信者、ニッサ》+フェッチ=5マナ」からは単独で繋がりませんが(《世界魂の憤怒》X=3からフェッチ3枚→6マナの動きが必要)、《見事な再生》であれば《復活した精霊信者、ニッサ》からすぐにプレイできますし(フリースペルどころかマナが増えます)、《復活した精霊信者、ニッサ》ナシでも4ターン目に2-3枚土地を伸ばしてくれれば十分です。
マナ加速カードが初手に1枚あると安心してキープできるので、《事件現場の分析者》《復活した精霊信者、ニッサ》《世界魂の憤怒》各4枚に加えて《見事な再生》1枚で、計13枚。
通常であれば《ファラジの考古学者》が入っているスロットですが、僕は単体除去を選択。
今のスタンダードにおいて強いデッキがディミーア・ゴルガリの黒系ミッドレンジ、そしてこのティムールランプだと考えているので、最序盤の単体除去の価値を重く見た格好です
《ヨーグモスの法務官、ギックス》《分派の説教者》《名もなき都市の歩哨》といった殴りながらアドバンテージ取れるクリーチャーに即対処できるかはそのゲームの勝率に直結しますし、ミラーマッチにおいては先手3ターン目の《復活した精霊信者、ニッサ》に触ることができなければ即ゲームエンドです。ミラーの後手で勝ちたいのであれば単体除去は必須!!
当日のMVP。
ミッドレンジとのサイドボード後に「《世界魂の憤怒》は手札にあるけどリーサルには届かず、微妙に勝ちきれない/守りきれない」といった場面が頻発したので、単体で盤面を制圧してくれるフィニッシャー相当のカードが欲しいなーとデッキリストを漁ったところ、このカードを採用していた人がいたので真似してみました。
クリーチャータイプがエレメンタル=《復活した精霊信者、ニッサ》から探すことができるため、高確率でプレイできます。墓地に依存せず、盤面が強く、ライフも戻してくれる。必要な要素を兼ね備えています。文句なし!!
元々は《吸血鬼の復讐》が2枚だったのですが、少しボロス召集に過剰だと感じた&ディミーアやゴルガリの《黙示録、シェオルドレッド》《ヴェールのリリアナ》《漆月魁渡》あたりを綺麗に捌きたいなと思い、大会直前に1:1にスプリットしました。
ちなみに一度も引いてないので使用感は不明。山2枚を揃えるタイミングが難しい。でも強いはず。
《石の脳》《死人に口無し》への対策として採用。また、コントロールにも追加のフィニッシャーとしてサイドインできます。
★採用を見送ったカード
墓地を肥やしてくれるのは嬉しいですが、余りにもヒット率が低く(テンプレリストだとスペル17枚。ヒット率は74.7%「しか」ありません)、序盤のブロッカーが欲しい赤単・ボロス召集以外のほぼすべてのマッチでサイドアウトしました。
《抹消する稲妻》に枠を譲る形で解雇。
Mr.オーバーキル。気持ちよさは認めますが、青白コントロールにはパーマネントをコピーしてもほぼ意味ないため追加のフィニッシャーとしては機能せず、適当なミッドレンジに対してもメインは《世界魂の憤怒》だけで勝てます。
少なくともメインは不要で、《否認》も《軽蔑的な一撃》もあたるのでディミーア系にも微妙、ということでゴルガリをメタるならサイドに1枚取っても良いかも程度だと考えています。僕はより軽く、探すこともできる《産業のタイタン》を採用しているので不要派。
基本的に《記憶の氾濫》以外は構えずに動くデッキなので、3マナを構える動きが重い&ちぐはぐになりがちだなと感じて解雇。ミラーマッチもコレを構えることができるのはかなり余裕があるときか、よほど手札が弱いときだけ。
相手の《ティシャーナの潮縛り》や《クチルの側衛》を止めたい気持ちもありますが、それを止めるために自分も3マナ構えるのは現実的ではありません。次使うなら《本質の散乱》のような軽いカウンターを試してみたいなと考えています。
最初に《平地》と一緒に採用しているのを見た&試したときは「凄い!これは革命的だ!!」と思いましたが、試せば試すほど「あれ?これ要る?」となり、最終的には全部抜かれることに。
理由としては主に以下の3つです。
1. ミラーマッチは《機械の母、エリシュ・ノーン》を巡るゲームではない。最序盤の《復活した精霊信者、ニッサ》《事件現場の分析者》を巡る攻防がほぼ全てであり、ココで負けると一気にマナ差が付いてしまうし、そうなると《機械の母、エリシュ・ノーン》は手遅れ。ミラー対策としては《削剥》《抹消する稲妻》《掘り返し》の方が圧倒的に価値が高い。
2. 版図ランプには無くても勝てる。メインは《太陽降下》を食らうだけ。
3. ティムールランプは土地30枚デッキだが、2色以上出る土地が1枚も入っていないので見た目以上に事故る。4ターン目までに「島・森・山の3枚+島(《記憶の氾濫》)orフェッチ(《復活した精霊信者、ニッサ》)」を揃えることが大事で、途中で引いた平地はただのノイズ。13枚目のフェッチor《残響する深淵》を抜いてまで入れる価値はないと判断。
★大会結果
R1 ゴルガリ ◯×◯
R2 ゴルガリ ◯◯
R3 ゴルガリ八百長試合 ◯×◯
R4 青白コン ×◯×
R5 ドメイン ◯◯
R6 青白コン ◯◯
R7 エスパー ◯×△(本来は時間切れでしたが、有利盤面だったので譲っていただきました。感謝。)
QF ゴルガリ ××
比較的有利なマッチアップが続いたこともあり、6-1(実質5-1-1)でトップ8に残るも、最後は引きショボショボになって2タテで敗北。
スタンダードはどのデッキも完成度が高いので、多少相性が良くても簡単に負けれますね。
デッキリストにはかなり満足していて、短期間ではありますがやり込んだ結果が好成績として出て嬉しかったです。
■終わりに
ということで、今回は今が旬のティムールランプの記事をお届けしました。
もうすぐ新エキスパンション発売ではありますが、今後も活躍しるうポテンシャルのあるデッキですし(メインは完成度高いので、サイドボードが強くなれば!)、何より4月のアリーナ予選は今のスタンダード環境なので知見をシェアすることに価値ありそうだなと思って筆を取った次第です。少しでも参考になれば幸いです!
それでは今回の記事はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!