MTG │ 新弾レビュー │ 井川良彦【団結のドミナリア】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
ということで毎度おなじみ、最新エキスパンションである『団結のドミナリア』のレビューをお届けします。
今回はローテーション直後=これからの環境を占うということもあり、実際に使われそう/強そうなカードを順に紹介していきたいと思います。
それでは、スタート!
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★PV、お前PVじゃないのか?
世界選手権2019を制したプロプレイヤー、Paulo Vitor Damo da Rosaのプレイヤー・スポットライト・カードとして『ストリクスヘイヴン』に収録された《精鋭呪文縛り》。ミッドレンジ~コントロールキラーの性能が非常に強力で、白単アグロを始めとして多くのデッキに採用されたのは記憶に新しいところ。
そんな《精鋭呪文縛り》が新しいカタチで帰ってきました!
飛行こそ失いましたが、3/3とスタッツが上昇したのは《鏡割りの寓話》のトークンへのブロックを考えると嬉しいところ。そして手札への干渉する能力も基本的には《精鋭呪文縛り》よりも強くなっていると考えて良いでしょう。
《精鋭呪文縛り》で弱かったのが「手札に複数枚持っていると効果が薄い」(《絶滅の契機》2枚持ってるから抜いても意味ないじゃーん)、そして「トップデッキに弱い」(さっき見た時なかったのに…)という2点。このどちらも《選定された平和の番人》は克服できています。
「手札を見る→カードの名前を指定→そのカードが2マナ重くなる」なので、2枚持っている場合2枚とも唱えることが難しくなります。この点だけでも《精鋭呪文縛り》と比べるとかなり嬉しい強化ですね。
さらに「手札にないカードを指定することも可能」なのが《精鋭呪文縛り》との大きな違いです。
手札を見た後に、仮に手札になくてもトップデッキされたら厳しいカードを指定することで「《食肉鉤虐殺事件》をトップデッキされて負け!」みたいな悲しい事件を防ぐことができますし、パイオニアやモダンでしたら《空を放浪するもの、ヨーリオン》を指定して「回収→プレイ」の流れをあらかじめ防ぐなんてことも可能です。これは凄い!!
唯一気をつけたいのが、《鏡割りの寓話》でのルーティング。相手は指定されたカードを捨てて次のカードに繋げることができてしまうので、そこは《精鋭呪文縛り》よりは弱い点でしょうか。
ということで《精鋭呪文縛り》と比較して長所短所を書きましたが、基本的には強化版だと思います。スタッツ的にも《精鋭呪文縛り》と違いミッドレンジ以降のデッキでも使いやすくなっていますので、今後様々なデッキで見かけること間違いなし!
★「血」トークンを最大活用!新しいラクドスサクリファイスに最適な一枚!
現代マジックに求められているのが、「出たターンにどんな仕事をしてくれるか」。余程のスペックを持っているか除去耐性がない限り、出して何もせずゴーするのは避けたいですよね。
そういった要請に応えつつ、継続的にも機能しそうなクリーチャーがこちら!
3マナ3/3と標準スタッツながら、「あなたの終了ステップ」の誘発型能力なのでほぼすぐに能力を誘発させることができるのがGood!
相方にはココらへんのカードが最適ですね。
血トークンは軽く出せてサクるのに最適。1-2マナで適当にばらまきながら3ターン目に着地させるだけで相手に2点&1ドロー!さらに生き残れば継続的に能力を誘発させることができますので、かなりのアドバンテージが期待できます。
長らくサクリファイス系を支えてくれたドローソース《命取りの論争》は残念ながらローテーション落ちしてしまいましたが、その代わりにこの《甦りし悪夢、ブレイズ》でアドバンテージを稼ぎつつ相手を圧倒していきましょう!
★《風番いのロック》を超える存在なるか?成功すれば圧倒的なスタッツ!!
かつてアブザンアグロで最強の5マナ域として君臨した《風番いのロック》。《包囲サイ》からの《風番いのロック》は当に王者に相応しい風格でした。
最大値だけで言えばそんな《風番いのロック》をすら圧倒的に上回るのが、生まれ変わったリース!
2008年にアラーラが出るまで、ナヤカラーはリースカラーと呼ばれていたんじゃ(おじ懐古話)
今回のリースはエンド時にドラゴンを召喚!その誘発条件は少し分かりづらいですが、基本的には「相手のクリーチャーを倒す(ダメージ>タフネス)」もしくは「相手のプレインズウォーカーを倒す(ダメージ>忠誠度)」を満たす必要があります。
戦闘はかなり相手依存になってしまうので、3-4マナのプレインズウォーカー、《漆月魁渡》《放浪皇》《ヴェールのリリアナ》といったあたりを殴って条件達成が基本的な目標になるでしょうか。少し条件は厳しいですが、最大値は5マナで5/5飛行+4/4飛行(しかも次のターン以降も可能性あり)と超強力!もし誘発型能力の条件が達成できなくても、護法持ちの5/5/5飛行とスタッツが優秀なのでギリギリ許せそうです。
仮にこれが流行ると「相手の3/3がアタックしてきた→3/2ではなく3/3でブロックorスルー」のようにセオリーと反する、ケアしたプレイをする必要が出てくるので、そういった意味でも興味深い一枚です。
★今回のマナクリーチャーは超攻撃的!
マナクリーチャーはその性質によって使われるデッキが変わる傾向にありますが、今回のマナクリーチャーは攻撃的な性能を有しています!
好きな色を出せる2マナのマナクリーチャーとしては十分な1/3のボディ、そしてマナクリーチャーの役割が終わったら今度は急遽アタッカーとして活躍!!特に《バグベアの居住地》といったミシュラランドを失った今、マナフラッドとどう戦うかは重要なので、こういうマナフラッド受けになるカードは重要ですよね。
能力の性質上できれば攻めるデッキで使いたところ。1マナクリーチャーを出すタイプではなく、2→4のジャンプアップで《轟く雷獣》《ウルヴェンワルドの奇異》といった強力な速攻クリーチャーに繋ぎつつ、途中からは自身の起動型能力でさらに攻め立てる形のアグロデッキでの活躍を期待!!
★今後のマナベースを左右する、絶対的存在
こういった記事で絶対使う(というかあるものを使うだけ)土地を紹介するのは嫌いなのですが、今回は「収録されていない色の組み合わせがある」ことが重要なのでココでご紹介。
今回再録された2色土地(以下ダメラン)は以下の6種類。
今回再録されていないのが《戦場の鍛冶場/》(白赤)、《地底の大河》(青黒)、《ラノワールの荒原》(黒緑)、《低木林地》(白緑)の4種類です。これら4種類を間違えてデッキに入れないように気をつけましょう!!
なので少なくとも次以降まではダメランが収録されていない2色のデッキは少し組みづらいですし、同様に3種類のうち2種類以上のダメランが使えないスゥルタイ(青黒緑)、ナヤ(白赤緑)、アブザン(白黒緑)の3色デッキを組む際はマナベースに苦労しそうです。
★その他、気になったカードたちをザックリ紹介します
ビートダウンプレイヤー待望の1枚。まさかこんな高性能なカードがコモンとは、『団結のドミナリア』恐るべし。
2マナ3/1と十分なスタッツな上に、キッカーでお互いエディクトは本当に凄い。《長老ガーガロス》《夢さらい》をメインから無理せず対処できる《リムロックの騎士》って考えてみてください。
シングルシンボルで2マナ2/3絆魂はマジックの歴史上コイツが初。非常にオーバースペックなカードで、地味ながら今後間違いなく活躍する優秀な2マナ域です。
《コイロスの洞窟》《地底の大河》といったダメージを絆魂で取り返す、《策謀の予見者、ラフィーン》との組み合わせが強烈!エスパーやオルゾフといったカラーリングでは2年間標準搭載になりそう。
環境が広ければ広いほどサーチできる幅が広いので、スタンダードよりもモダン以下での活躍が主流になりそうです。
特にモダンの4Cヨーリオンだとラインナップが非常に強力で、ほぼ万能サーチとして機能します。5マナでプレイ→《儚い存在》をサーチしつつ構えるのは最高に気持ち良さそうですね。
《砂漠滅ぼし、イムリス》の後継種。ドロー能力が少し不安定にはなってますが、タップ状態でも護法がなくならないのは《砂漠滅ぼし、イムリス》に比べると大きな加点と言えます。《放浪皇》を気にせず殴れるかどうかは重要。
《ゴブリンの熟練扇動者》《軍勢の戦親分》に続く、第3のラブルマスター。なんと「脱出」とほぼ同等の能力を持っています!!
本体が殴らないとトークンが出せない点、レジェンドである点などが少し気になりますが、その性能は最上級。赤いアグロ~ミッドレンジデッキでの対コントロールカードとしての活躍が期待できそうです。
装いも新たに登場した《火打ち蹄の猪》。グルールカラーのデッキが存在できるのならば、間違いなく4枚使うことは間違いないでしょう。1T《熊野と渇苛斬の対峙》→2Tコレ→3Tコレwithキッカーって動いて相手を瞬殺するグルールアグロ、あると思います。組みます。
《悪魔の契約》のような、少し変わった誘発型能力を持った大型クリーチャー。出したエンドから誘発するので最低でも1アドバンテージを稼ぎつつ、相手に渡す(4回目の誘発)までに「1ドロー+本体2点ドレイン+3点除去」をしながら「パワー5で3回殴る」ので、ほぼデメリットを気にせず使えそうに見えます。
もし4回目の誘発までにゲームに勝つなり相手に処理されるならノーデメリットのハイスペック生物ですし、最悪自分で除去するなり、2枚目をプレイして墓地に送ることも可能。コイツを主軸にしたグリクシスカラーのミッドレンジはきっと登場するでしょう。強い!!
5マナで5マナブーストもできるのは多分史上最高効率かな?2除去→3《セレスタス》→4《永久の水蓮》って感じで動けば5ターン目にはなんと11マナ!!!
「《日没を遅らせる者、テフェリー》でアンタップしたいカード」スタンダード枠ナンバーワン。このカードを使ったデッキが出てくるのを楽しみにしています。
おまけ。3回目の再録です。
★おわりに
ということでお届けしました『団結のドミナリア』レビュー。コモン・アンコモンのカードパワーが高い反面、レア以上は比較的おとなしめなカードが多く、主役というよりは中堅級のカードが多く感じました。
ローテーション後のスタンダードは、まずは《放浪皇》擁する白ベースのミッドレンジ。
そして《鏡割りの寓話》擁するラクドスベースのミッドレンジ。
この2つが主役となりつつ、これらのデッキにどう対抗するかがスタートラインになりそうですね。今回紹介したカードたちをうまく活用しつつ、新スタンダードを楽しんでいただければ幸いです!!
それでは今回はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!