MTG │ デッキ紹介 │ 井川良彦【ヒストリックデッキ紹介】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
世界選手権も終わり新シーズンがついにスタート!ということで来週末にはイニストラード・チャンピオンシップが開催されます。
MPL・MRLに所属する72名を筆頭に、各チャンピオンシップ予選ウィークエンドやMagic Online予選、SCGでのQualifierなど厳しい戦いを勝ち抜いてきた猛者たちが集まる大舞台。フォーマットは毎度おなじみのスタンダード&ヒストリック!
スタンダードはRedbull Untappedや日本選手権などイベントが多くあるので皆さんある程度デッキなどについてはご存知かもしれません。一方のヒストリックは予選ウィークエンドが10月末に終了して以降は大型イベントが全くなく、どういうメタゲームなのか、何が流行っているのかを把握するのが困難な状態です。
ということで今回の記事では、チャンピオンシップでの観戦に向けて、ヒストリックの「今」をご紹介します!
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■これまでの簡単なまとめ
10月に開催された2回のチャンピオンシップ予選では、第1週がセレズニア人間、そして第2週ではゴルガリフードが勝ち組となっていました。
セレズニア人間
10月ウィークエンド予選1(権利獲得)/By 小泉 祐真 | |
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デッキリスト | |
2:《森/Forest》 9:《平地/Plains》 2:《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》 4:《寺院の庭/Temple Garden》 2:《ハイドラの巣/Lair of the Hydra》 4:《枝重なる小道/Branchloft Pathway》 23 lands 4:《サリアの副官/Thalia’s Lieutenant》 |
4:《集合した中隊/Collected Company》 4 other spells 2:《安らかなる眠り/Rest in Peace》 |
《エスパーの歩哨》《輝かしい聖戦士、エーデリン》《粗暴な聖戦士》と、最近のセットから強力な人間クリーチャーを手に入れたセレズニア人間。
並べて殴るだけのデッキではありますが、そのラインナップが極めて強力で、ヘイトベアーたちによりコントロール耐性が高いだけでなく、《集合した中隊》による暴力的な打点も魅力です。
ゴルガリフード
10月ウィークエンド予選2(権利獲得)/By 瀧村 和幸 | |
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デッキリスト | |
1:《森/Forest》 2:《沼/Swamp》 2:《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》 2:《目玉の暴君の住処/Hive of the Eye Tyrant》 3:《カルニの庭/Khalni Garden》 4:《草むした墓/Overgrown Tomb》 4:《花盛りの湿地/Blooming Marsh》 4:《闇孔の小道/Darkbore Pathway》 22 lands 4:《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》 |
4:《致命的な一押し/Fatal Push》 4:《パンくずの道標/Trail of Crumbs》 4:《魔女のかまど/Witch’s Oven》 4:《命取りの論争/Deadly Dispute》 4:《食肉鉤虐殺事件/The Meathook Massacre》 2:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》 22 other spells 3:《思考囲い/Thoughtseize》 |
ジャンドフードからもっさりとした重いカードを抜き、シェイプアップして生まれ変わったのがゴルガリフード。
《貪欲なるリス》を最も上手く使っているデッキで、序盤に複数枚出たときの打点の高さには本当に驚かされました。また《パンくずの道標》から探せる全体除去である《食肉鉤虐殺事件》が非常に強力で、相手の盤面を更地にするだけでなく、猫かまどコンボの打点も増やしてくれます。
そしてこの2つの勝ち組デッキの裏側で負け組となってしまったのはイゼットフェニックス。《エスパーの歩哨》《スレイベンの守護者、サリア》擁するセレズニア人間に相性が悪く、飛行軍団で押しきれそうなゴルガリフードにも《食肉鉤虐殺事件》やメイン《魂標ランタン》で星を落とすようになった模様。
ただし《ドラゴンの怒りの媒介者》《邪悪な熱気》を得て超強化されているため、デッキの地力は高く、ラダーでもいまだ人気デッキの一つです。
その他にもジェスカイ《不屈の独創力》やイゼットターン、ゴブリンや緑単アグロなど様々なデッキが予選を突破しており、ヒストリックというフォーマットの幅の広さを実感できます。
■最近頭角を現しているデッキたち
ヘリオッドカンパニー
11月度ミシックランク1位到達/By Altheriax | |
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デッキリスト | |
8:《平地/Plains》 1:《森/Forest》 4:《枝重なる小道/Branchloft Pathway》 4:《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》 4:《寺院の庭/Temple Garden》 3:《草茂る農地/Overgrown Farmland》 24 lands 4:《月皇の古参兵/Lunarch Veteran》 |
4:《集合した中隊/Collected Company》 4 other spells 2:《安らかなる眠り/Rest in Peace》 |
『Jumpstart: Historic Horizons』で《小走り樫》が再録されたことにより実現した無限ライフコンボデッキ。《太陽冠のヘリオッド》《小走り樫》に加えて《魂の管理人》系のクリーチャーという3種類が戦場に揃うと、一気に無限ライフ&無限トークンが完成します!
アリーナの仕様上、実際は100ライフ&100トークンぐらいが限界です。涙。
《小走り樫》が出た当初はデッキの完成度も低くファンデッキ扱いでしたが、『イニストラード:真夜中の狩り』で2種類目の1マナクリーチャーである《月皇の古参兵》、そして『イニストラード:真紅の契り』では強化版《アジャニの群れ仲間》である《祝福されし者の声》を獲得して一気に強化されました。
《アジャニの群れ仲間》もここまで強くなったか!!と過去にソウルシスターズ(モダン)でプロツアーに出たことのある僕は感無量です。ああ、あのときにコレがあれば。。。
《祝福されし者の声》のココが強い!
1. 第1段階の「飛行・警戒」が強い!
無限コンボを搭載しているとはいえ、基本的にはビートダウンデッキ。そこで輝くのが飛行・警戒です。相手の《魔女のかまど》&《大釜の使い魔》を無視しながら飛行生物で殴りかかったり、相手の《ドラゴンの怒りの媒介者》《弧光のフェニックス》を止めたりと獅子奮迅の活躍。
2. 第2段階の「破壊不能」が強い!
無限コンボを揃えても、返しに《神の怒り》食らうと《太陽冠のヘリオッド》しか残らず悲しい盤面になりがちです。そんなときも《祝福されし者の声》がいれば大丈夫!破壊不能のおかげで場に残り、返しに圧倒的なサイズでワンパンKOを決めてくれます!除去が薄い相手には、普通に10個乗せることも可能です。
3. シンボルの(白)(白)が強い!
そしてシンボルがダブルシンボルなのが偉い!《太陽冠のヘリオッド》の顕現に大きく貢献し、打点として計算しやすくなっています。これもコンボ以外で「普通に殴る」プランを強くしてくれています。
ミシック1位として取り上げられてから、ラダーでもよく当たる上位デッキの仲間入りをした印象のあるこのヘリオッドカンパニー。チャンピオンシップのフィーチャーマッチでもきっと見ることになるでしょう。
アゾリウスオーラ
ミシック2桁/By Gabriel Nassif | |
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デッキリスト | |
6:《平地/Plains》 6:《島/Island》 4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》 2:《氷河の城砦/Glacial Fortress》 4:《連門の小道/Hengegate Pathway》 22 lands 4:《エスパーの歩哨/Esper Sentinel》 |
2:《呪文貫き/Spell Pierce》 2:《秘儀での飛行/Arcane Flight》 4:《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity》 1:《知識のカルトーシュ/Cartouche of Knowledge》 2:《執着的探訪/Curious Obsession》 1:《きらきらするすべて/All That Glitters》 1:《ヘリオッドの神罰/Heliod’s Punishment》 2:《ケイラメトラの恩恵/Karametra’s Blessing》 4:《歩哨の目/Sentinel’s Eyes》 1:《圧倒的洞察/Staggering Insight》 20 other spells 2:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》 |
昨年の『Jumpstart』で《コーの精霊の踊り手》を手に入れて以来、根強い人気を持つオーラ系デッキ。カウンターを使えることによるコントロール系への耐性、そして《圧倒的洞察》でアグロ耐性がついたことにより、アゾリウス型が主流となって久しいですが、新セットでさらに追加戦力が登場しました。
3種類目のキークリーチャーとして採用されているのがこの《嵐追いのドレイク》!2枚目が腐って敗着になることも多かった《上級建設官、スラム》の枚数をカットしてこれを4枚採用することにより、初手のキープ率を上げると同時にゲーム途中の事故率を下げています。
《嵐追いのドレイク》は《コーの精霊の踊り手》《上級建設官、スラム》と違って最初から飛行を持っているため、育てる手間が1クッション少なくてよく、《執着的探訪》とも相性が良いですね。そしてキークリーチャーを守る《ケイラメトラの恩恵》でもドローでき、非常に理にかなった構成となっています。
サイドボードで初めて見たのは《静寂の呪い》。《不屈の独創力》や《ニヴ=ミゼット再誕》など、相手の軸となっているカードを事前に止めたり、《神の怒り》のようなカードを遅らせて時間を稼ぎつつカウンターを構える時間を作れる、いぶし銀な働きを見せてくれそうです。
「オーラ・呪い」であるため相手の妨害をしつつ《上級建設官、スラム》《コーの精霊の踊り手》でドローが進む珍しいカード。この「ドローが進む」というのは重要で、《呪文貫き》のようなカードを構えてマナ損をするより、自分から積極的にマナを使いつつ妨害とドローを兼ねてくれるのは、オーラデッキにとって貴重な存在です。
「オーラ」というタイプは基本的に毎エキスパンション収録されるので、こういった地味なカードでも少しずつ強化されていくのは嬉しいところ。この調子で強化されていくと、いつかトップメタに登りつめるかも!?
ジェスカイコントロール
1年前のチャンピオンシップでは青白コントロールが『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップを制しましたが、『ストリクスヘイヴン』で《表現の反復》《稲妻のらせん》が登場して以来、ジェスカイコントロールが環境のコントロールデッキとして定着しています。
『Jumpstart:Historic Horizons』では《大魔導師の魔除け》というモダン級のカードを得て青系コントロールは強化されたのですが、一方で《エスパーの歩哨》という天敵も同時に再録されたことにより、セレズニア人間が強化。そのセレズニア人間に不利であることが致命的なのか、最近はあまり勝ってなかったように見受けられます。
そんなジェスカイコントロールが得た新戦力、それが《船砕きの怪物》です!
ジェスカイコントロールで悩ましいのがミラーマッチ対策。
《ドビンの拒否権》《神秘の論争》を乗り越えるために《サメ台風》に加えて《終局の始まり》のようなカードが採用されていましたが、《大魔導師の魔除け》が入ってからはコントロール奪取という裏目ができてパワーダウン。《目覚めた猛火、チャンドラ》《パルン、ニヴ=ミゼット》《原初の潮流、ネザール》といったカードも強力ですが、メインに大きなアクションをするのはリスクが生じます。
そんな悩みを解決してくれるのが今回登場した《船砕きの怪物》!「カウンターされない」「瞬速」という重要なキーワードを持ちつつ、一度戦場に出ればゲームを掌握するほどの力を秘めています。スタンダードで大暴れしているこのカード、ヒストリックで使ってももちろん強い!!
《邪悪な熱気》をはじめとした火力除去は当然として、確定除去としてよく採用される《裁きの一撃》でも死なないので、除去するのは困難。しかもスタンダードと異なり《ゼロ除算》はほとんど採用していないので、何も気にすることなく戦場に降臨し、ゲームを支配してくれるでしょう。
《船砕きの怪物》対策になる運用できる汎用除去として評価が上がっているのがこのカード。もちろん相手に1ドローを与えるのは厳しいですが、相手のサイズを気にせず除去できるというのは、コントロールにとって嬉しいです。
特に最近は上述したヘリオッドカンパニーやセレズニア人間カンパニーが簡単にタフネス4以上のクリーチャーを作ってくるので、アグロとコントロールの両方を見ることができる除去として、重宝することでしょう。
■おわりに
これまでチャンピオンシップの前にはSCGのPTQやその他大型大会が開催されていることが多かったので、今回のように新エキスパンション発売後に情報がない状態で臨むのは久しぶりとなります。
魔境ヒストリックの勝ち組になるのは何か?各国の強豪チームはオリジナルデッキを作って持ってくるのか?そういったところにも注目しながら楽しんでもらえればと思います!
ヒストリックは非常に多彩です。このメタゲーム、読み切ることができるか?
僕も従来通りチームで調整しているので、今の段階では全くデッキは決まっていませんがベストなデッキを持ち込めるよう、残り数日頑張ります!
それでは今回はここまで。次回はチャンピオンシップのレポートを予定しています。お楽しみに!