MTG │ 大会レポート │ 井川良彦【MRL#7 -サイクリングとバントエンジェル-】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。
2020年10月に始まったリーグもついに最終週。スタンダード3-3、ヒストリック5-1でトータル8-4という個人ベストを記録した上に、大きく勝ったおかげでMPLガントレットの出場権を獲得!
さらにはチームメイトのあんちゃんがMPL昇格&世界選手権出場が確定したということで、最高の週末となりました!
最後のリーグはスタンダード3-3、ヒストリック5-1で8-4!個人最高成績で優秀の美を飾りました!
これでMPLガントレットに進出(のはず)です。ガントレットでの逆転ホームラン目指して頑張ります!
あんちゃんはMPL&ワールドおめでとう!#MTGLeagueWeekend pic.twitter.com/RkPcgNcCug— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) July 4, 2021
今回の記事では、リーグで使用したデッキそれぞれの調整過程や理由などをお届けします。
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■スタンダード
前リーグと同様に友人たち「斉藤・増田・小泉・宇都宮」の4人に調整を手伝ってもらい、リーグメンバー5人を合わせた9名で調整をスタート。
スタンダードは原根・熊谷・斉藤・小泉・宇都宮の5人が担当しました。
調整を経たあと、「メタ的に不利な相手が少ない」「デッキパワーが高い」など複数の理由から、環境的に最も強いデッキとして最終的に提示してもらったのは、サイクリングでした。
個人的には前回のリーグでも使用しており、特に苦手意識はありません。
肩慣らしにリーグを数戦した後、個人的に不安だったマッチアップ(ジェスカイ変容・イゼット)だけ集中的にチーム内練習を行い当日を迎えました。
ジェスカイサイクリング【インポートデータ】 | |
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4《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》 1《サヴァイのトライオーム/Savai Triome》 4《河川滑りの小道/Riverglide Pathway》 4《連門の小道/Hengegate Pathway》 4《針縁の小道/Needleverge Pathway》 1《陽光昇りの小道/Brightclimb Pathway》 1《清水の小道/Clearwater Pathway》 1《荒廃踏みの小道/Blightstep Pathway》 20 lands 4《繁栄の狐/Flourishing Fox》 |
2《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》 4《型破りな協力/Improbable Alliance》 3《驚くべき発育/Startling Development》 2《血の希求/Go for Blood》 2《切り裂かれた帆/Shredded Sails》 4《記憶漏出/Memory Leak》 4《天頂の閃光/Zenith Flare》 4《願い与えの加護/Boon of the Wish-Giver》 25 other spells 2《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》 |
メイン・サイドともに最終調整によって数枚変わりましたので、その点だけ簡単に解説。
最初は「メイン1・サイド1」だったのですが、サイドボードに《魂標ランタン》を取るためにメインに昇格。代わりに1マナサイクリングである《驚くべき発育》が1枚カットされています。
1マナサイクリングの枚数が減ったことにより爆発力は下がったものの、《切り裂かれた帆》自体はサイクリング持ちであることからもメインに複数枚入っていても問題なく、《エンバレスの宝剣》デッキやジェスカイ変容などに対して耐性が上がっています。
スゥルタイ根本原理の《長老ガーガロス》《星界の大蛇、コーマ》を見据えた1枚。僕自身はスゥルタイ根本原理に一度も当たりませんでしたが、ティムールアドベンチャー(ルーカ含む)に複数回マッチングしたので、今回のリーグでは大活躍でした。
「自分たちがサイクリングがベストデッキだと思っている以上、ミラーマッチも多い可能性がある」という深淵理論により最後に採用。想定通りミラーマッチでトップデッキし、相手の《天頂の閃光》を防いで勝利。
■本戦の結果
R1 サイクリング ○○
R2 ジェスカイ変容 ○○
R3 ティムールルーカ ○×○
R7 ティムールルーカ ×○×
R8 ティムールアドベンチャー ○××
R9 スゥルタイローグ ×○×
3-3。噛み合いがよく初日は3-0したものの、2日目は体調の悪さからかプレイ精度が低く、接戦を連続で落として0-3してしまいました。
サイクリング自体はチーム5名全員が使用し、5-1(熊谷)、4-2(高橋)、3-3(井川)、3-3(佐藤)、2-4(原根)。ライバルズの最上位ポッドで戦っていたくまぴー・あんちゃんが共に好成績を残すことができ、今回の好成績の原動力となりました。
■ヒストリック
一方のヒストリックは、高橋・佐藤・井川・増田の4人で調整を担当。
禁止改定で《時間のねじれ》が退場したことによって、イゼットフェニックスがトップメタであることは揺るがないという状態です。
そしてチャンピオンシップで活躍した青白オーラ、5色ニヴといったデッキたちが、その対抗馬として立ち上がっています。
アゾリウスオーラは《アダントの先兵》+《圧倒的洞察》という火力で対処できないパッケージを駆使してダメージレースで勝つことを目指し、5色ニヴは豊富な除去からの《ニヴ=ミゼット再誕》という圧倒的バリューカードで長期戦を制します。
《マグマ・オパス》型、《サメ台風》型と2パターンあったジェスカイコントロールですが、この2種類のデッキの台頭によって厳しいポジションに追いやられました。
特にオーラの《アダントの先兵》が非常に厳しく、メインはほぼ対処できない上にサイドボードに《不可解な終焉》のような専用サイドが必要になる(だが相手は《呪文貫き》《ドビンの拒否権》がある)という絶望っぷり。
1-2マッチやっただけで「この戦いにはついて行けない」と悟り、純正ジェスカイは早々に脱落しました。
「純正ジェスカイでオーラに勝てないなら、黒を使えばいいじゃない」と考えて、エスパーコントロールや4色コントロール(ダークジェスカイ)を組んでみましたが、オーラには勝てるようになった反面、これまでタイトなマッチを制していたイゼットフェニックスには全然勝てなくなり、これにて終了。
強いコントロールデッキを組むことを諦め、他のアプローチを模索することに。
《アダントの先兵》《エメリアのアルコン》が使えるセレズニアカンパニー、手札破壊からの《朽ちゆくレギサウルス》《騒乱の落とし子》という黄金パターンがある黒単アグロなども勿論試しましたが、どれもイゼットフェニックスの前に完膚なきまでに叩きのめされる始末。
フェアデッキを井川佐藤高橋の3人で順々に試している間、増田くんには環境のあらゆるアンフェアなデッキを試してもらいました。
が、どれもダメ…!!!全然勝てず…!!!
ラダーですら良くて五分。チーム内調整(イゼフェニやオーラとかと対戦してみる)レベルにすら到達できず、可能性がありそうに見えたデッキたちはすべて塵と消えました。ありがとう、増田くん。
「今日は◎◎と××と△△を試しました。イゼフェニに勝てませんでした。」
とチームミーティングで報告する毎日。
オーラも結局イゼットフェニックスに不利。5色ニヴもイゼットフェニックスにそこまで有利ではない上に、オーラには全然勝てないということで没になり、「やはりイゼットフェニックスを使うしかないか」と諦めかけていました。
そんなデッキ提出まで残り数日と迫ったタイミングで、イゼットフェニックスでラダーをやっていたレイくんがボコボコにされたことにより、急遽調整をすることになったのが、今回使ったバントエンジェルです。
バントエンジェル【インポートデータ】 | |
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デッキリスト | |
4:《枝重なる小道/Branchloft Pathway》 4:《連門の小道/Hengegate Pathway》 4:《寺院の庭/Temple Garden》 4:《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》 4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》 1:《氷河の城砦/Glacial Fortress》 4:《平地/Plains》 25 lands 4:《若年の戦乙女/Youthful Valkyrie》
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3:《石の宣告/Declaration in Stone》 4:《集合した中隊/Collected Company》 7 other spells 4:《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》 |
高いタフネスを持つ飛行クリーチャーを中心とした構成であり、《火柱》のような軽い火力除去がほとんど当たらないこと、盤面で勝負できる上にライフを高く保てること、そして《集合した中隊》《輝かしい天使》での爆発力があることから、イゼットフェニックスに対して有利に戦うことが可能です。
実際チーム内でも対イゼットフェニックスでは高い勝率(といっても6-7割程度ですが)を出すことに成功。今回の調整でほぼ唯一といっていい、イゼットフェニックスに対して強いデッキが、このバントエンジェルでした。
元々入っていた《魂の管理人》があまりに弱かったので、そのスロットを《無私の救助犬》にチェンジ。《海門の擁護者、リンヴァーラ》と合わせてキーカードである《翼の司教》《正義の戦乙女》の2種類を盤面に残しやすくなり、イゼットフェニックスへの勝率向上に貢献してくれました。
イゼットフェニックスだけでなく、オーラや黒単といった環境のアグロデッキにも強いのがこのデッキの長所。ただしその反面、除去を主体としたコントロールデッキに対しては非常に脆弱な構成になっています。
1スロット(4枚)を使うことで唯一相性を克服できたのが対5色ニヴです。このマッチアップにおいてはほぼ無敵のアタッカー/ブロッカーとして六面八臂の活躍を見せる《石とぐろの海蛇》をフル投入することにより、サイドボード後の勝率を担保することに成功しました。
■本戦の結果
R4 セレズニアカンパニー ○××
R5 アゾリウスオーラ ○○
R6 イゼットフェニックス ○○
R10 黒単アグロ ○○
R11 セレズニアカンパニー ○○
R12 ディミーアコントロール ○○
5-1!
プレイ・デッキともにマスターレベルで自信を持っていたあんちゃんのみがイゼットフェニックスを選択し、他のチームメンバー4名がこのデッキを使用しました。それぞれの成績は5-1(井川)、3-3(熊谷)、3-3(原根)、2-4(佐藤)といった感じで、平均+αといったところでした。
僕たちが想定したより上位層はコントロールが多く(チャネル勢が全員コントロールだったため)、特に熊谷・佐藤の両名は苦戦を強いられましたが、ライバルズでも下位卓側だった僕はマッチアップ・ドローともにツイていて、好成績を残すことができました。イゼットフェニックスではこの成績を残せなかったと思うので、個人的にはバクチに成功したと言えるでしょう。
■終わりに
約9ヶ月のリーグ戦全84試合が終わり、最終成績は16/46位と、降格も見えていた4月からは考えられない、望外の好成績を残すことができました。これも一緒に調整してくれたリーグメンバーや仲間たちのおかげです。本当に感謝しています。ありがとう!
しかしまだ戦いは終わりません。最後の大一番、MPLガントレットが9月上旬に開催されます。
選ばれし24人だけが参加できるこの大会。僕がこれまで参加してきた大会の中でも屈指のハイバリューとなっており、
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1-3位:MPL昇格&世界選手権出場=最低でも+800万円
4-8位:MPL昇格=最低でも+300万円
9-24位:ライバルズ残留=現状維持、+0円
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という凄まじい格差が待っています。
お金のためにマジックをやっているわけではありませんが(お金が欲しいだけなら普通に働きます)、当然ながら賞金は高ければ高いほど嬉しいですし、燃えるのがプレイヤーというもの。それを世界屈指のプレイヤーと争えるのですから、こんなに嬉しいことはないですね。
MPL昇格、そして世界選手権出場目指して全力で頑張ります!!
それでは今回はここまで。次回は『フォーゴトン・レルム探訪』のレビュー記事をお届けする予定です。お楽しみに!