MTG │ デッキ紹介 │ 井川良彦【日本選手権2020冬の一風変わったオリジナルデッキ紹介】

皆さんこんにちは。Rush Prosの井川(@WanderingOnes)です。

ヒストリックで開催された日本選手権2020冬が閉幕しました。古豪であり、ここ一年間勝ちに勝ちまくっている黒田 正城選手が、トップメタのスゥルタイを駆り勢いそのままに優勝!

スゥルタイが58/125=46.4%という偏ったメタゲームでしたが、トップ8にはわずか2人。スゥルタイがミラーマッチを意識したところを他のデッキが倒す、という構図になっていました。

正直に言うと、近い将来《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が禁止になるだろうと予想していました。しかしメタ分布はともかく上位を見る限りはスゥルタイ一強というわけではなく、ヒストリックは思ったよりバランスの取れたフォーマットなのかもしれませんね。

今回の記事では、2日目に進出したデッキの中から一風変わったオリジナルデッキを紹介していきたいと思います。デッキビルダーたちに敬意を!!

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■黒単タッチ緑

日本選手権2020冬:トップ4 By藤井 昴
デッキリスト
11 《沼/Swamp
4 《草むした墓/Overgrown Tomb
4 《森林の墓地/Woodland Cemetery
3 《ロークスワイン城/Castle Locthwain
2 《花盛りの湿地/Blooming Marsh
24 lands


4 《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion
4 《どぶ骨/Gutterbones
3 《スカイクレイブの影/Skyclave Shade
3 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger
2 《死より選ばれしティマレット/Tymaret, Chosen from Death
2 《夜鷲のあさり屋/Nighthawk Scavenger
2 《残忍な騎士/Murderous Rider
4 《騒乱の落とし子/Spawn of Mayhem
4 《ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliterator
28 creatures

4 《思考囲い/Thoughtseize
4 《原初の力/Primal Might
8 other spells


4 《再利用の賢者/Reclamation Sage
4 《魔女の復讐/Witch’s Vengeance
4 《虚空の力線/Leyline of the Void
3 《狩り立てられた悪夢/Hunted Nightmare
15 sideboard cards

黒単アグロというアーキタイプはこれまでも細々と存在していましたが、藤井選手はその黒単に新たなエッセンスを加えて見事トップ4に入賞しています。

ダメージが与えられると相手に損害を与える《ファイレクシアの抹消者》と一緒に採用されているのは、色を足してまで使用に至った格闘スペル、《原初の力》!!!これを決めれば相手の盤面は一気に崩壊間違いなし!決まればゲーム勝率ほぼ100%の夢のコンボです!

ファイレクシアの抹消者》自体が《初子さらい》《致命的な一押し》《取り除き》《肉儀場の叫び》《衰滅》などへの除去耐性があるため見た目以上に対処しづらく、スゥルタイやサクリファイス系には単体でも優秀なクロックとして機能したことでしょう。

除去耐性という単語を具現化しているのがこの2種類のクリーチャー。追放除去には弱いですが通常の除去スペルには強く、特にブロッカーがあまり出てこないスゥルタイに対して非常に強力です。赤単やグルールのような純粋なビートダウンが環境に少ないのも追い風ですね。

マイナーアーキタイプにオリジナルのスパイスを加えて上位入賞するのは本当にお見事です!個人的に今回のベストデッキ賞をあげたいですね!

■ティムールアグロ

日本選手権2020冬:7勝2敗 By行弘 賢
デッキリスト
2 《森/Forest
2 《島/Island
1 《山/Mountain
4 《寓話の小道/Fabled Passage
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground
4 《繁殖池/Breeding Pool
4 《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome
2 《植物の聖域/Botanical Sanctum
2 《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway
25 lands


4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves
4 《山火事の精霊/Brushfire Elemental
4 《グルールの呪文砕き/Gruul Spellbreaker
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath
2 《探索する獣/Questing Beast
4 《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis
22 creatures

1 《原初の力/Primal Might
4 《成長のらせん/Growth Spiral
1 《削剥/Abrade
3 《髑髏砕きの一撃/Shatterskull Smashing
4 《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World
13 other spells


4 《霊気の疾風/Aether Gust
3 《削剥/Abrade
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze
2 《否認/Negate
1 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
1 《長老ガーガロス/Elder Gargaroth
1 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage
1 《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern
15 sideboard cards

MPL・行弘選手が日本選手権で披露したのは、なんとティムールアグロ!見たことのないような構成のデッキでありながら7-2で12位と好成績を残しており、デッキビルダー行弘の本領発揮といったところでしょうか。

自然の怒りのタイタン、ウーロ》・《世界を揺るがす者、ニッサ》・《ハイドロイド混成体》の軸だけみるとスゥルタイと似たデッキに見えますが、実際は《世界を揺るがす者、ニッサ》の速攻・攻撃力に目を向けて速攻クリーチャーに重きを置いた、純粋なビートダウンとなっています。

1ターン目《ラノワールのエルフ》から繰り出される最速3ターン目《世界を揺るがす者、ニッサ》は、それ1枚だけで相手を倒すほどのパワーがありますし、グルールのように234と速攻クリーチャーを連打するだけでも相手は非常に苦しくなるでしょう。

7ゲーム中ダブマリ2回事故2回(それぞれ別ゲーム)と不運に見舞われてトップ8入賞こそ逃したものの、この好成績は妥当といえます。

グルールではなくティムールとなっている利点としては《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《ハイドロイド混成体》は勿論ですが、個人的にはサイドボードの《霊気の疾風》《否認》が大きいのではないかと思います。

特に《霊気の疾風》は基本的に一時凌ぎのカードでしかないのですが、このデッキであればしっかりと盤面を形成できているため、スゥルタイや青白コントロールが使うよりも一段階強い使い方ができています!攻めている状態の《霊気の疾風》は《対抗呪文》、《恐怖》、そして《Time Walk》でもありますからね。

■イゼットコントロール

日本選手権2020冬:5勝3敗 By熊谷 陸
デッキリスト
6 《島/Island
2 《山/Mountain
4 《蒸気孔/Steam Vents
4 《尖塔断の運河/Spirebluff Canal
4 《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
3 《睡蓮の原野/Lotus Field
23 lands


4 《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun
4 creatures

2 《否定の契約/Pact of Negation
2 《選択/Opt
4 《物語の終わり/Tale’s End
3 《削剥/Abrade
2 《霊気の疾風/Aether Gust
4 《ヴァラクートの覚醒/Valakut Awakening
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods
2 《焼けつく双陽/Sweltering Suns
1 《海門修復/Sea Gate Restoration
2 《髑髏砕きの一撃/Shatterskull Smashing
2 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage
2 《アズカンタの探索/Search for Azcanta
2 《サメ台風/Shark Typhoon
3 《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils
33 other spells


3 《厚かましい借り手/Brazen Borrower
3 《否認/Negate
2 《サメ台風/Shark Typhoon
2 《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods
1 《削剥/Abrade
1 《本質の散乱/Essence Scatter
1 《血染めの太陽/Blood Sun
15 sideboard cards


MRL・熊谷選手はヒストリックでは珍しいイゼットコントロールで2日目に進出!残念ながら2日目で失速してしまいましたが、初日を5-1の好成績で突破しており、間違いなく注目のデッキと言えるでしょう。

ヒストリックの《パルン、ニヴ=ミゼット》はこれまでティムールカラーで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《成長のらせん》と共に使われることが多かったのですが、こちらのデッキでは2色にまとめることでメインから《墓掘りの檻》の採用を可能としています。

サイドボードには《サメ台風》と《厚かましい借り手》が大量に搭載されており、特にスゥルタイを意識してデッキが組まれているのが分かります。

大胆にも4枚採用されている《物語の終わり》は、スゥルタイとゴブリンには特に有効な打ち消し呪文ではあるものの、サクリファイスなどのビートダウンに弱いという欠点があります。

しかし、このイゼットコントロールではその点を補っています。《睡蓮の原野》の戦場に出た時の誘発型能力を《物語の終わり》で打ち消すことで、一挙に3マナブーストを行えるのです。このコンボで最速4ターン目に《パルン、ニヴ=ミゼット》を着地させることができ、特に対アグロでは有効な戦略と言えるでしょう。

さらにはクリーチャーデッキ全般に有効な全体火力も計4枚採用。《物語の終わり》と全体火力は、相手や展開によって効く/効かないがはっきりしているカードなので裏目が発生しやすいのですが、これらのカードを《ヴァラクートの覚醒》によってうまくルーティングして手札を整えて戦うという構成が素晴らしいですね。

この「《物語の終わり》+全体火力+《ヴァラクートの覚醒》」というパッケージは中山選手が使用したジェスカイコントロールにも採用されており、現環境のヒストリックにおいてコントロールプレイヤーが見つけたオアシスだったようです。

■終わりに

コロナ禍の影響で海外遠征を一度もすることがありませんでしたが(ここ10年で初めてです)、ライバルズリーグの始動などもあり、よりマジックに集中して取り組んだ一年でした。

しかしその割にはRedbull Untappedでの優勝以外はパッとしない成績が続いてしまったのが悔しい限りです。プロとして生活している以上、結果が全て。来年こそは好成績が残せるよう、引き続き全力で頑張っていきます!2021年の目標は「世界選手権出場」「MPL昇格」の2つです!!

今年1年、僕らRush Prosおよびラッシュメディアの記事をご覧いただきありがとうございました。2021年も変わらず記事や配信をお届けしていきますので、今後ともよろしくお願いします!

それでは、良いお年を!


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