MTG │ デッキ紹介 │ 井川良彦【スタンダード/ ヒストリック】

– 編注 : この記事は8月20日(木)に執筆されました-

皆さんこんにちは。Rush Prosの井川(@WanderingOnes)です。

禁止改定による《荒野の再生/Wilderness Reclamation》《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》の退場(一時停止)、そしてアモンケットリマスターのリリースにより、ヒストリックの環境は大幅に動きました!

トッププレイヤーが一堂に会する「ミシックインビテーショナル」、そして次なる大型大会への登竜門となる「ゼンディカーの夜明けチャンピオンシップ・予選ウィークエンド」がどちらも9月上旬に開催されるため、競技プレイヤーであれば注目必至のヒストリック。

今回の記事では現在のメタ上位デッキを紹介していきたいと思います。

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■スゥルタイ原野

Joao Luis 「スゥルタイ原野」
MTG Arena Zone Historic Open: MtGHistoric Subreddit Tournament #13 優勝

3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath
1 《ムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Daya
2 《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis
4 《思考囲い/Thoughtseize
4 《探検/Explore
4 《成長のらせん/Growth Spiral
2 《無情な行動/Heartless Act
2 《耕作/Cultivate
2 《衰滅/Languish
4 《約束の刻/Hour of Promise
1 《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon
2 《島/Island
2 《森/Forest
2 《沼/Swamp
2 《寓話の小道/Fabled Passage
2 《繁殖池/Breeding Pool
2 《草むした墓/Overgrown Tomb
2 《湿った墓/Watery Grave
1 《ゼイゴスのトライオーム/Zagoth Triome
1 《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome
1 《インダサのトライオーム/Indatha Triome
1 《内陸の湾港/Hinterland Harbor
1 《森林の墓地/Woodland Cemetery
1 《水没した地下墓地/Drowned Catacomb
1 《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow
1 《茨森の滝/Thornwood Falls
1 《異臭の池/Fetid Pools
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog
1 《ロークスワイン城/Castle Locthwain
4 《死者の原野/Field of the Dead
1 《爆発域/Blast Zone
1 《オラーズカの拱門/Arch of Orazca

3 《見栄え損ない/Disfigure
3 《霊気の疾風/Aether Gust
2 《戦争の犠牲/Casualties of War
1 《長老ガーガロス/Elder Gargaroth
1 《虐殺のワーム/Massacre Wurm
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger
1 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage
1 《無情な行動/Heartless Act
1 《衰滅/Languish
1 《伝承の収集者、タミヨウ/Tamiyo, Collector of Tales


旧環境でも大暴れしていた《死者の原野/Field of the Dead》。その《死者の原野/Field of the Dead》が複数の新戦力を得てさらにパワーアップし、トップメタとして君臨しています。

この躍進の一番の理由が、《約束の刻/Hour of Promise》の採用です。

従来ですと《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》だったこのスロット。1枚サーチが2枚サーチになったことにより、盤面の強固さ/ブン回りの強さが劇的に進化しています。

4ターン目に土地5種類から《約束の刻/Hour of Promise》であればゾンビ2体、6種類あればなんとゾンビが一挙に4体も生成されることになるのです!

不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》=1枚サーチであれば「《死者の原野/Field of the Dead》を持ってくるか、それとも《爆発域/Blast Zone》や《ボジューカの沼/Bojuka Bog》といった対処札を持ってくるか」と悩むことがありましたが、《約束の刻/Hour of Promise》は2枚サーチなので悩む必要はありません。

その両方を盤面に出しつつゾンビトークンを生成し、圧倒的盤面を一気に築きます。

また相手への干渉手段として歴代最強クラスの手札破壊である《思考囲い/Thoughtseize》を得たのことも非常に大きいです。

探検/Explore》《成長のらせん/Growth Spiral》に加えてこのカードを採用することで最序盤の動きを担保すると同時に、中盤では相手の強力なカードを捨てさせて憂いを断つという万能カード。

2点ルーズが重くのしかかるビートダウン相手には効果的ではありませんが、それでもタップインだけでターンを終えることも多かった序盤の動きが増えたことは原野デッキにとって嬉しいトピックです。さらにはこのカードのおかげで白単/青白オーラのような不利だった相手への相性も改善されています。

衰滅/Languish》、そしてこのリストには採用されていませんがよく使用されている《絶滅の契機/Extinction Event》という4マナの全体除去は、白の《神の怒り/Wrath of God》と異なりそれぞれ裏目がありますが、どちらも「破壊」ではないため白単/青白オーラの《無私の救助犬/Selfless Savior》《ケイラメトラの恩恵/Karametra’s Blessing》といったカードを無視して相手を対処できるようになりました。

こちらは僕自身がミシック帯のラダーで23-2という好成績を残し、さらにはコピーした海外の方がミシック1位まで上り詰めた個人的にベストだと思っているスゥルタイ原野のリストです。

特徴的なのが「土地が止まらなければ勝てる」という強い意志のもと土地が32枚と多めに採用されている点と、それに合わせて《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》も4枚採用している点です。

特に土地に関しては枚数はもちろんのこと、マナベースも「緑17:青15:黒15」と色マナを他のリストよりも多めに確保することにより安定感を上げているため、事故りづらいリストになっています。

ミラーマッチでの最強カードはこの《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》だと感じています。

大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》からの《アクローマの記念碑/Akroma’s Memorial》、《虐殺のワーム/Massacre Wurm》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger》などミラーマッチで強いカードは多々ありますが、どれも《死者の原野/Field of the Dead》の枚数で負けていたら効果が薄かったり、即死ではない(相手にターンを返すことになる)パターンが多いです。

しかしこの《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》であれば、仮に相手の《死者の原野/Field of the Dead》3枚に対してこちらが《死者の原野/Field of the Dead》1枚の状況だとしても、ギリギリのブロックでトークン数を担保することにより一瞬で相手のライフを0にすることが可能です。

今後ミラーマッチが増えるようであればメインでの採用を強くオススメします。

■赤単バーン

YOJIRO FUTAMATA 「赤単バーン」
Hama Challenge #8 BO3 Historic Tournament 優勝

[相棒] 1 《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring

4 《損魂魔道士/Soul-Scar Mage
4 《ギトゥの溶岩走り/Ghitu Lavarunner
2 《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer
4 《ヴィーアシーノの紅蓮術師/Viashino Pyromancer
4 《熱錬金術師/Thermo-Alchemist
2 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant
4 《ショック/Shock
4 《稲妻の一撃/Lightning Strike
4 《魔術師の稲妻/Wizard’s Lightning
4 《批判家刺殺/Skewer the Critics
4 《舞台照らし/Light Up the Stage
16 《山/Mountain
4 《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins

3 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage
3 《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee
3 《実験の狂乱/Experimental Frenzy
3 《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon
2 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant
1 《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring

中長期戦最強のスゥルタイ原野への対抗馬として人気を集めているのが、本体火力を大量に搭載した赤単バーンです。

最序盤はクリーチャーでビートダウンし、残ったライフをありったけの火力を投げつけて0にするという、分かりやすく強力なコンセプトが武器となっています。

アモンケットリマスターでの新戦力、《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》はモダンでもバリバリ活躍中のエース格。もちろんこの赤単にも4枚採用されています。

果敢を生かしてダメージを稼げるのはもちろん、緑系の大型クリーチャーやオーラデッキといった、サイズが厳しい相手に対して活躍します。

この《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》と《ギトゥの溶岩走り/Ghitu Lavarunner》、《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》、《ヴィーアシーノの紅蓮術師/Viashino Pyromancer》と軽いウィザードが計14枚も採用されているため、《魔術師の稲妻/Wizard’s Lightning》は《稲妻/Lightning Bolt》のようにほぼ1マナ3点でプレイできます!3点火力が計12枚搭載されているため、ある程度トップデッキを期待しながらゲームを進められるのもこのデッキの強みと言えます。

スタンダードではその強さから禁止カードにまで制定されていた《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》が帰ってきました!

早いターンに赤マナでの複数行動を要求するために《陽焼けした砂漠/Sunscorched Desert》こそ採用されていませんが、その強さは折り紙付き。

とくにこのデッキのようにとにかくライフを詰めていくデッキにとっては、土地でありながら最後の数点を押し込んでくれる、貴重な存在として今後も使用され続けるでしょう。

ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》と同様、スタンダードで禁止だった《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》もサイドボードに用意されています。

ライフゲインを防ぐとともに相手がクリーチャーを出したらダメージと、原野デッキの《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》とゾンビトークンの両方を止めつつ効率良いダメージソースとして活躍します。

ただしクリーチャーを並べると《衰滅/Languish》のようなカードで一掃されるリスクもありますので、《無頼な扇動者、ティボルト/Tibalt, Rakish Instigator》とどちらが良いかは要検討ですね。

■城塞カンパニー

Oliver Tiu 「アブザン城塞カンパニー」
2020/08/18 ミシック1位到達

4 《金のガチョウ/Gilded Goose
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves
4 《血の芸術家/Blood Artist
4 《忘れられた神々の僧侶/Priest of Forgotten Gods
3 《残酷な祝賀者/Cruel Celebrant
2 《楽園のドルイド/Paradise Druid
4 《悲哀の徘徊者/Woe Strider
4 《ラノワールの幻想家/Llanowar Visionary
2 《真夜中の死神/Midnight Reaper
4 《集合した中隊/Collected Company
4 《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel
4 《森/Forest
4 《草むした墓/Overgrown Tomb
4 《寺院の庭/Temple Garden
4 《神無き祭殿/Godless Shrine
2 《森林の墓地/Woodland Cemetery
1 《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel
2 《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower

4 《思考囲い/Thoughtseize
4 《秋の騎士/Knight of Autumn
3 《残忍な騎士/Murderous Rider
2 《長老ガーガロス/Elder Gargaroth
2 《大渦の脈動/Maelstrom Pulse

パイオニアやモダンでも活躍している《集合した中隊/Collected Company》。その能力を生かして3マナ以下のクリーチャーだけでまとめつつ、スタンダードのジャンドサクリファイスで活躍している《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》とのハイブリッドデッキとして完成しているのがこのデッキです。

集合した中隊/Collected Company》で出すクリーチャーが「サクリファイスシナジーのカード」と「マナクリーチャー」のみで構成されているのが特徴。

ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》を最速3ターン目に着地させて瞬殺することもあれば、じっくりとクリーチャーを並べつつ気付いたら複数枚の《血の芸術家/Blood Artist》《残酷な祝賀者/Cruel Celebrant》で致死ダメージが入っている、なんてことも多々あります。

このリストでは3色目を白にしてメインの《残酷な祝賀者/Cruel Celebrant》/サイドの《秋の騎士/Knight of Autumn》にしていますが、元々はジャンドカラー(赤)で《波乱の悪魔/Mayhem Devil》が入っていましたし、最近では黒緑2色にまとめて《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》や《想起の拠点/Bastion of Remembrance》を使用した形も見られます。

とにかくマナクリーチャー+《集合した中隊/Collected Company》+《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》というパッケージが強力で、特にメインボードでは高い勝率を誇るデッキです。

城塞カンパニーデッキの最大の難敵は、サイドボード後にあらゆるデッキから出てくる《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》です。

墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》を出されてしまうと《集合した中隊/Collected Company》《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》という2大巨頭がどちらも機能停止しまうだけでなく、長期戦で頼りにしている《悲哀の徘徊者/Woe Strider》の「脱出」すら止まってしまうため、破壊せずにゲームに勝利することは非常に困難となります。

秋の騎士/Knight of Autumn》《再利用の賢者/Reclamation Sage》のようなカードは必須となりますし、可能であれば《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》《フェイに呪われた王、コルヴォルド/Korvold, Fae-Cursed King》のような《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》を苦にしないフィニッシャーをサイドボードに用意しておくと、2ゲーム目以降の勝率の改善につながるでしょう。

■その他、アモンケットリマスターでの新戦力紹介

「ゼウスサイクリング」という、スタンダード時代に話題になったコンボデッキのキーカード。

原野デッキにはその構造上有利が付きそうなものの、赤単のように極端に早いデッキには敗北必至。良い形で組めればイノベーションとなるが。。。

スタンダードで一時代を築いた最強の神も、このヒストリックにおいてはスピード不足。

手札を使い切って殴る頃には相手の盤面にゾンビ軍団が立ちはだかっており、ダメージを通すことは困難です。死者の原野/Field of the Dead》の禁止を待ち望んでいるカードその1。

こちらもスタンダードで一時代を築いたカードたちですが、《死者の原野/Field of the Dead》によりコントロール/ミッドレンジの存在がほぼ否定されている状態にあります。

これらの強カードがあまり活躍していないのは悲しい限り。《死者の原野/Field of the Dead》の禁止を待ち望んでいるカードその2&3。

■まとめ

ということで、今回の記事ではアモンケットリマスターが出てからの一週間で特に活躍している上位デッキを紹介していきました。

ラダーを走っている/大会結果を確認している限りでは、スゥルタイ原野がとにかく強いため一強状態に近く、そのスゥルタイ原野を倒そうと赤単や城塞、はたまたオーラや青単などが奮闘しています。

他のコントロールやミッドレンジもいるにはいますが、原野には相性が悪く、原野以外に勝つことでポジションを獲得しているという状態ですね。

このままスゥルタイ原野一強の状態でミシックインビテーショナルまで進むのか、倒すデッキが現れるのか、ひょっとしたら追加の禁止があるのか??などと考えつつ、今回は筆を置きたいと思います。

また次回の記事でお会いしましょう!

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