MTG │ プレイヤーズツアーレポート │ 井川良彦【ティムール再生】
皆さんこんにちは。Rush Prosの井川(@WanderingOnes)です。
初めてオンラインで開催された、プレイヤーズツアー・オンライン2020(#1~#4)が終了しました。僕が所属しているチーム曲者としてはPT#2でリュウジこと村栄 龍司が優勝、#3ではあんちゃんこと高橋 優太が11-4で9位と好成績を残すことができました!
悲しいことに、僕自身はPT#3に出場して2-5ドロップという不甲斐ない成績。日本勢としても多くのプレイヤーが選択したティムール再生というデッキを語るには情けない結果ではあります。
成績こそ振るいませんでしたが、調整過程や思考過程も重要だと考えていますので、自身が使用したティムール再生について各カードの採用理由などを簡単に記していきたいと思います。
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■自身が使用したデッキについて
チーム曲者が第1週目=PT#1・#2で練り上げたのが、《選択/Opt》なし・除去/カウンター多めの全方位型ティムール再生。リュウジがPT#2で優勝したのは本当に嬉しかったです!
ですが想定以上にティムール再生のミラーマッチが多かった=メイン《霊気の疾風/Aether Gust》の少なさが響いたのか、リュウジ以外はPT#1・#2で好成績を残すことができなかったのもまた事実です。勝者の影に敗者あり。
村栄 龍司 ティムール再生
2020プレイヤーズツアー・オンライン#3
2 《島/Island》
2 《森/Forest》
1 《山/Mountain》
4 《寓話の小道/Fabled Passage》
4 《繁殖池/Breeding Pool》
4 《蒸気孔/Steam Vents》
3 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
1 《神秘の神殿/Temple of Mystery》
2 《ヴァントレス城/Castle Vantress》
2 《爆発域/Blast Zone》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》
1 《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
4 《成長のらせん/Growth Spiral》
3 《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
1 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《否認/Negate》
3 《神秘の論争/Mystical Dispute》
2 《中和/Neutralize》
1 《炎の一掃/Flame Sweep》
4 《発展+発破/Expansion+Explosion》
4 《荒野の再生/Wilderness Reclamation》
3 《サメ台風/Shark Typhoon》
3 《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》
2 《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
2 《否認/Negate》
2 《炎の一掃/Flame Sweep》
2 《終局の始まり/Commence the Endgame》
1 《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
1 《萎れ/Wilt》
1 《神秘の論争/Mystical Dispute》
1 《サメ台風/Shark Typhoon》
そしてPT#1・#2が終わった後に改めて調整を開始。ティムール再生に強いということでポジションが良くなっていたバントランプやラクドスナイトも順々に試しましたが、どちらもティムール再生の絶対的な強さには劣ると感じ断念。いくら意識されたとしても勝ち上がれるだけのデッキパワーをティムール再生から感じたのです。
そこでリュウジおよび他のメンバーが使った第1週のデッキ(こちらのデッキの調整には僕も携わっています)をベースに、ティムール再生・バントランプ・ラクドスナイトを意識した以下のリストでPT#3に出場しました。
井川 良彦 ティムール再生
2020プレイヤーズツアー・オンライン#3
2 《島/Island》
2 《森/Forest》
1 《山/Mountain》
4 《寓話の小道/Fabled Passage》
4 《繁殖池/Breeding Pool》
3 《蒸気孔/Steam Vents》
3 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
1 《神秘の神殿/Temple of Mystery》
3 《ヴァントレス城/Castle Vantress》
2 《爆発域/Blast Zone》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》
1 《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
4 《成長のらせん/Growth Spiral》
3 《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
2 《霊気の疾風/Aether Gust》
2 《否認/Negate》
3 《神秘の論争/Mystical Dispute》
1 《中和/Neutralize》
1 《旋風のごとき否定/Whirlwind Denial》
4 《発展+発破/Expansion+Explosion》
4 《荒野の再生/Wilderness Reclamation》
3 《サメ台風/Shark Typhoon》
3 《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》
2 《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
2 《否認/Negate》
2 《溶岩コイル/Lava Coil》
2 《炎の一掃/Flame Sweep》
2 《終局の始まり/Commence the Endgame》
1 《神秘の論争/Mystical Dispute》
1 《サメ台風/Shark Typhoon》
冒頭に書いた通り成績は振るいませんでしたが、このリストには調整過程で学んだ・感じた思考が詰まっているため、簡単に解説していきます。
《選択/Opt》の有無については諸説ありますが、0枚から4まで様々なリストが結果を出しているため、どちらが絶対に良いと断言することは難しいです。
除去やカウンターの絶対枚数を多く取れるため、捌いて勝つことを主軸に置いた比較的コントロール思考のプレイヤーは《選択/Opt》を抜いたり減らしたりしていて、逆に《荒野の再生/Wilderness Reclamation》という強力なコンボプランをしっかりと完遂したい比較的コンボ思考のプレイヤーが《選択/Opt》を多めに採用しているといった印象です。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》の兼ね合いがあるので、《選択/Opt》を不採用にした僕たちはその分《寓話の小道/Fabled Passage》を4枚採用し、墓地を肥やせるようにしています。
メイン・サイド合わせて3枚に増量。ティムール再生を使うにあたってひたすらミラーマッチの練習をしましたが、サイドボード後は《サメ台風/Shark Typhoon》《終局の始まり/Commence the Endgame》を引いた枚数がゲームの勝敗を大きく左右すると実感。《否認/Negate》や《霊気の疾風/Aether Gust》のようなカードをお互いが構えあうなか、無慈悲にもサイクリング/プレイされるこれらの瞬速クリーチャーが非常に強力です。
そこでサメやゾンビをインスタントタイミングで処理しつつ自身もクロックとなる《厚かましい借り手/Brazen Borrower》の価値も相対的に高まるため、サイドボードにしっかりと枚数を採用し、”サメゲー”で負けないようにしました。増えるであろうバントに対しても強力であるため、3枚が適正枚数だと思います。
《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》3枚・《霊気の疾風/Aether Gust》2枚のバランスにしました。《霊気の疾風/Aether Gust》の枚数を3-4枚に増やしているリストが増えていましたが、個人的にティムール再生が先週より数を減らすだろうと考えたこと、台頭してきたラクドスナイトには《霊気の疾風/Aether Gust》が当たりにくいことから《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》を優先しました。
バント相手も負けパターンの多くが《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》が触れないケースなので、《否認/Negate》が少ないメインでは《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》の方が《霊気の疾風/Aether Gust》より活躍するというのが僕の結論でした。
《サメ台風/Shark Typhoon》《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》キラー。
ティムール再生とバントランプが2トップである想定だったので、差が出るカードとして新たに採用しました。《厚かましい借り手/Brazen Borrower》もそうですが、ミラー・バント相手に《サメ台風/Shark Typhoon》を制することを意識しました。
元々《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》だったスロット。
《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》はアグロの中でも主に緑系を意識した選択でしたが、台頭してきたラクドスナイトには3/4/3というサイズの価値が下がるため、《騒乱の落とし子/Spawn of Mayhem》を対処できるこちらに変更。
実際PT中も狙い通りにラクドスナイト相手にこの《溶岩コイル/Lava Coil》が活躍して勝利できたため、採用して良かった1枚といえます。
前回の記事において注目カードに挙げた1枚。ティムール再生のサイドボードの中でも最も重要なカードだと個人的には考えています。
多くのマッチにおいてサイドインするカードであり、このカードの存在により《強迫/Duress》や《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》、《燃えがら蔦/Cindervines》や《朽ちゆくレギサウルス/Rotting Regisaur》といった相手がサイドボードから軸をずらし、時には単体でゲームに勝利することもあるのです。
《荒野の再生/Wilderness Reclamation》+《発展+発破/Expansion+Explosion》という強力な軸がありつつも、《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》に《サメ台風/Shark Typhoon》、そしてサイドの《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》という様々な角度の攻めパターンがあるという強みが、ティムール再生を王者たらしめているといっても過言ではないでしょう。
■主要マッチアップのポイントについて
今のスタンダードの大型イベントはすべて終了し、次は基本セット2021が入ってしまいます。なので主に月末のMTGAラダーを走る人向けに、各マッチアップのポイントを書いて終わりたいと思います。
サイドボーディング例も一応記載しますが、これは自身/相手のサイドボードだったりプレイ指針によって異なるため、あくまで参考程度でお願いします。特に《荒野の再生/Wilderness Reclamation》をどの相手にどれだけ減らすかは人によって差がありそうです。
ティムール再生ミラーマッチ
メインボードではお互いのカウンターの枚数がある程度限られるため《荒野の再生/Wilderness Reclamation》が比較的着地しやすく、したがって《サメ台風/Shark Typhoon》でのダメージレースで決まるようなゲーム展開になりづらいです。早いターンであればあるほどリスクが低いので、大胆に動くことも大事です。
サイドボード後はお互いインスタントタイミングのカードが増え、構え合うゲームが基本となります。
《荒野の再生/Wilderness Reclamation》は4マナのソーサリーアクションということでプレイするタイミングがシビアですがその分通ったときのバリューは高く、片方だけコントロールしている状態になると一気にゲームの天秤が傾きます。一方、《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》は瞬速があるためプレイしやすく盤面も制圧してくれますが、中盤から後半にかけて引くと手遅れになることも多いです。
狼ゲー、サメ・終局ゲー、そして再生ゲー。様々な局面が訪れますのでたくさん練習して自身が勝率のいいプランを確立するのが大事です。
個人的にはカウンターを追加せず、3《荒野の再生/Wilderness Reclamation》・2《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》のバランスで戦うのが最も手応えが良かったです。
サイドボーディング例
Out:3《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》、1《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》、1《中和/Neutralize》、1《荒野の再生/Wilderness Reclamation》、1《発展+発破/Expansion+Explosion》
In:2《厚かましい借り手/Brazen Borrower》、2《終局の始まり/Commence the Endgame》、2《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》、1《サメ台風/Shark Typhoon》
バントランプ
《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》が通ってしまっても諦めないこと、これが一番大事です。
特にメインはカウンターが少ないことも多いので、相手のクロックが低ければ(《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》さえなければ)、《成長のらせん/Growth Spiral》《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》で土地を伸ばし、大きな《発展+発破/Expansion+Explosion》を打って逆転できることもあります。
《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》や《爆発域/Blast Zone》も《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》を対処できる貴重なカードですので、カウンター枚数の少ないメインボードでは特に重宝することとなります。
サイドボード後はティムール再生ミラーと似たようなゲーム感にはなりますが、相手だけ《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》という「通すだけで圧倒的に有利になる」カードが存在しています。ブラフも含めてマナをしっかりと構えて、相手に楽させないようにしましょう。《荒野の再生/Wilderness Reclamation》を何枚残すかは、相手の《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》の枚数と相談で。
サイドボーディング例
Out:3《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》、1《霊気の疾風/Aether Gust》、1《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》、4《荒野の再生/Wilderness Reclamation》、2《発展+発破/Expansion+Explosion》
In:2《厚かましい借り手/Brazen Borrower》、2《終局の始まり/Commence the Endgame》、3《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》、2《否認/Negate》、1《神秘の論争/Mystical Dispute》、1《サメ台風/Shark Typhoon》
ジャンドサクリファイス
メインは《荒野の再生/Wilderness Reclamation》+《発展+発破/Expansion+Explosion》が揃うまでにライフが持つかどうか、そして相手の《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》をカウンターできるかが肝となります。大きな《発展+発破/Expansion+Explosion》を打てるときもXの値に気を配りつつ、可能な限りカウンターのマナを残すようにしましょう。
単純な例を上げると、X=10で本体に打つよりも、X=7で相手のクリーチャーを除去しながらカウンターを構える方が勝率が高いです。《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》の脱出は、《初子さらい/Claim the Firstborn》を《否認/Negate》《霊気の疾風/Aether Gust》などでケアできるタイミングまで我慢するのが理想。
サイドボード後は相手のプランにいかにアジャストするかが大事です。
《朽ちゆくレギサウルス/Rotting Regisaur》でのアグロプランであれば《厚かましい借り手/Brazen Borrower》《サメ台風/Shark Typhoon》《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》のようなカードが重要となりますし、逆に《パンくずの道標/Trail of Crumbs》でゆっくりしてから《フェイに呪われた王、コルヴォルド/Korvold, Fae-Cursed King》《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》プランであれば《中和/Neutralize》のようなカウンターや《終局の始まり/Commence the Endgame》のようなドローも有効です。
サイドボーディング例
(《朽ちゆくレギサウルス/Rotting Regisaur》プラン)
Out:2《否認/Negate》、3《神秘の論争/Mystical Dispute》
In:2《厚かましい借り手/Brazen Borrower》、3《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》
(ゆっくり重いカードプラン)
Out:1《厚かましい借り手/Brazen Borrower》、2《神秘の論争/Mystical Dispute》、2《サメ台風/Shark Typhoon》
In:3《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》、1《否認/Negate》、1《終局の始まり/Commence the Endgame》
■最後に
今回のPTで敗北したことにより、目標だったPTFinalsの権利を取ることはできませんでした。無念。
これにより次の大きな目標は8月下旬に開催されるミシックインビテーショナルとなります。
2ヶ月近く時間がありますので、自分の実力の無さとしっかりと向き合いながら、ヒストリックという新フォーマットを楽しんでコツコツ練習していきたいと思います。楽しい=やり甲斐=成長!
明日には基本セット2021のプレビュー記事も掲載される予定ですので、そちらもお楽しみに!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!