MTG │ GPレポート │ 細川侑也【GPラスベガス】
皆様初めまして。
僕の名前は細川 侑也、またはゆうやん。
現在シルバーレベルプロプレイヤーで、主な実績はGP名古屋2018準優勝、GP横浜2019・GP千葉2019でのトップ8などです。
本日より、縁あってラッシュメディアに記事を寄稿していくこととなりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
初回は、つい先日行われたGPラスベガス(モダン)の参加レポートになります。
※ラッシュメディア記事内紹介のカードは
カード名のリンク、記事末尾のバナーを
クリックで通販サイトへアクセスできます
通販サイト(https://www.cardrush-mtg.jp/)
■使用デッキ:エスパーコントロール
4:《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》
3:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
1:《湿った墓/Watery Grave》
2:《天界の列柱/Celestial Colonnade》
2:《氷河の城砦/Glacial Fortress》
3:《島/Island》
1:《平地/Plains》
1:《沼/Swamp》
3:《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
2:《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
4:《選択/Opt》
4:《流刑への道/Path to Exile》
2:《致命的な一押し/Fatal Push》
2:《論理の結び目/Logic Knot》
2:《マナ漏出/Mana Leak》
4:《ケイヤの手管/Kaya’s Guile》
3:《エスパーの魔除け/Esper Charm》
4:《謎めいた命令/Cryptic Command》
1:《残骸の漂着/Settle the Wreckage》
サイドボード
3:《疫病を仕組むもの/Plague Engineer》
3:《天界の粛清/Celestial Purge》
2:《思考囲い/Thoughtseize》
2:《漂流自我/Unmoored Ego》
1:《変遷の龍、クロミウム/Chromium, the Mutable》
1:《儀礼的拒否/Ceremonious Rejection》
1:《致命的な一押し/Fatal Push》
1:《外科的摘出/Surgical Extraction》
1:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》
ベースとなったのは、ミシックチャンピオンシップ・バルセロナで殿堂プレイヤー・Guillaume Wafo-Tapaが使用していたエスパーコントロール。
従来の青白コントロールと異なる点は下記のとおり。
・《ケイヤの手管/Kaya’s Guile》
モダンホライゾンドラフトで「やたらテキストが長い割には大したことをしないなぁ」と思っていたカード、それが《ケイヤの手管/Kaya’s Guile》。
ですが、それはあくまでリミテッドのお話。モダンに目を向ければ、環境に存在するホガークヴァインをはじめとした墓地デッキに対して、《ケイヤの手管/Kaya’s Guile》は非常に有効です。
青白系のコントロールは《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》に対して《流刑への道/Path to Exile》と《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》があり、ゲームを長引かせることが可能です。
しかし従来の青白コントロールはゲームを長引かせたところで、無限に戻ってくる《恐血鬼/Bloodghast》や《墓所這い/Gravecrawler》、《復讐蔦/Vengevine》などが止まらずに敗北してしまいます。それらに対処する手段は、メインボードでは1~2枚の《外科的摘出/Surgical Extraction》しかありません。
そこで《ケイヤの手管/Kaya’s Guile》です。
メインから墓地を追放する手段を無理なく4枚積むことで、ホガークヴァインの初速さえさばいてしまえば、後続を潰すことが容易となったのです。
更に《外科的摘出/Surgical Extraction》と違い、《ケイヤの手管/Kaya’s Guile》は墓地掃除と除去を兼ね備えており、多くのマッチアップで活躍します。《外科的摘出/Surgical Extraction》が死に札となりがちな対バーンや人間にも効果的ですし、イゼットフェニックスに対しては《氷の中の存在/Thing in the Ice》を除去しつつ、墓地の《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》を追放するという他のカードにはできないことを平然とやってのけます。
この《ケイヤの手管/Kaya’s Guile》こそが、エスパーコントロールを使用した最大の理由です。
・《エスパーの魔除け/Esper Charm》
3マナのドローカードと言えば、近頃は《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》が一般的ですが、《エスパーの魔除け/Esper Charm》も強力なカードです。
特に今は環境の高速化が進んだことで、《マナ漏出/Mana Leak》・《論理の結び目/Logic Knot》といった2マナの不確定カウンターが非常に強い状況です。土地を並べ合うマッチアップが少ないため、後半でもこれらのカウンターが実質《対抗呪文》として機能するためです。
そしてカウンターをデッキに入れるのであれば、メインで動くカードは極力減らしたいと思うのは当然でしょう。《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》と《マナ漏出/Mana Leak》を持っていて、打ち消しを構えた結果、相手がターンをパスしてきたら、損をしてしまいます。
4ターン目以降は《謎めいた命令/Cryptic Command》を構えますから、更に3マナをメインで使うターンは訪れなくなります。
このような事情から、インスタントでカードを引ける《エスパーの魔除け/Esper Charm》に軍配が上がりました。
・《疫病を仕組むもの/Plague Engineer》
サイドボードのスーパーエース。
コントロールデッキ相手にはほとんどの除去を抜いてくるでしょうが、そこに《疫病を仕組むもの》は良く刺さります。
主にホガークヴァイン・人間・鱗親和・ドルイドコンボにサイドインする他、トークンを生成するカードを見たら真っ先に投入します。
不利マッチアップを1枚で捲るカードで、黒いコントロールを使う理由になる1枚です。
■本戦
・初日
Bye
Bye
タイタンシフト○×○
バーン○○
鱗親和○○
ウルザソプター○○
ホガークヴァイン×○○
ホガークヴァイン××
ホガークヴァイン○×○
8-1で2日目へ。
ホガークヴァインに対しては2ターン目のホガークを打ち消せるかどうかでだいぶ変わってくるので、特にメイン戦では先手を取れるかどうかが重要です。
本日はすべて後手だったためになすすべなく2敗しました。
最後のホガークには初手に《流刑への道/Path to Exile》が2枚あり、事なきを得ました。
ところでこの日、少し不思議な出来事がありました。
6回戦目の対ホガークヴァイン戦、デッキチェックが試合前にあり、メイン戦をおよそ1分ほどで落とした後のサイドボーディング中。
対戦相手が唐突にジャッジを呼び、こう言いました。
「俺のサイドボーディングが書いてある紙がなくなった!」
マジックの大会では、サイドボーディング中にメモなどを見る行為が許可されているのですが、なんとそのメモをデッキケースに入れたままジャッジにデッキを預けたところ、デッキチェック中にジャッジが紛失してしまったそうです(笑)
そしてジャッジによる大捜索が始まり、その間もちろん試合は進まず。挙句の果てにヘッドジャッジが対戦相手と今後について相談するために僕の席に座り、その様子を僕は遠くから眺めることとなりました。
結局、20分の捜索の末に無事にメモは見つかりました。一件落着。
…もし見つかっていなかったらどうなっていたのでしょうか。
・2日目
赤単フェニックス○○
イゼットフェニックス○×○
感染○○
バーン××
ホガークヴァイン××
鱗親和××
トータル11勝4敗で48位。300ドル獲得。
トップ8が見えてきた11勝1敗からまさかの3連敗。しかも1ゲームも取れず。
最後の3戦はマリガントラブルと事故によってほとんどゲームをさせてもらえなかったので、仕方がありません。事故はコントロールデッキの抱える問題です。
ホガークであれば2枚の土地で相手を蹂躙できますが、コントロールは少なくとも4枚の土地が必要で、更に初速をさばくカードも引いていなければなりません。
コントロールを使う時は特に土地事故には寛容になりましょう。
許そうじゃないかっ…寛容な精神でっ…!
■衝撃の禁止改訂を受けて
さて、本来ならばここから今回のデッキの反省点とフィードバックを踏まえた最新リスト、対ホガークヴァインのゲームプランについて簡単に書いていくところなのですが…
必要なくなってしまいましたね。
・《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》 禁止
・《信仰無き物あさり/Faithless Looting》 禁止
・《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》 禁止解除
はっきり言って《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》については、おおむね今回の禁止改訂で禁止になるだろうと思っていました。MCバルセロナに向けて調整をしていた時から、近い将来こうなるとわかっていました。
トリプルマリガンしたデッキが2ターン目に8/8を出しながら4/3速攻2体で攻撃するのは反則です。
一方、《信仰無き物あさり/Faithless Looting》が禁止になったのは意外で、とても思い切った決断だと思いました。
そして
なんと《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》が禁止解除!
かつては同じくモダン禁止解除組である《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》と一緒にCaw-Bladeで一世を風靡した《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》。結局スタンダードでこの2枚は禁止になりましたが、8年の時を経てモダンで邂逅することになるとは、誰が想像できたでしょうか。
伝説のロックバンドが30年ぶりに再結成した時と似てますね(?)
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》は、間違いなくモダンのメタゲームを牽引していく存在となることでしょう。
2ターン目にプレイして除去できなければ次のターンに《殴打頭蓋/Batterskull》が現れ、ビートダウンはおおむねゲームセット。コントロールやコンボには《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》をサーチすることで毎ターン手札破壊を行いながら《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を出しつつ、打ち消しを構えることができます。
改めて説明するとめちゃくちゃなカードですね。
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》環境では、《稲妻/Lightning Bolt》や《致命的な一押し/Fatal Push》などといった軽除去が重要となってくるでしょう。
かつて《欠片の双子》がモダンにあった頃は、このコンボに対抗するためにあらゆるデッキがメインから除去を搭載していましたが、同じ状況になると個人的には思います。
墓地デッキは《信仰無き物あさり/Faithless Looting》の禁止によって弱体化し、《否定の力》がコンボデッキを抑制。そして2ターン目に出てくるのは除去がマストの《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》。世はまさに大フェアデッキ時代に突入したと言って良いでしょう。
最後に、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》を使ったデッキを2つほど紹介し、本記事の締めくくりといたします。
■《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》デッキ
・青白石鍛冶
6:《島/Island》
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《変わり谷/Mutavault》
3:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2:《天界の列柱/Celestial Colonnade》
2:《平地/Plains》
2:《汚染された三角州/Polluted Delta》
1:《氷河の城砦/Glacial Fortress》
1:《虹色の眺望/Prismatic Vista》
4:《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4:《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
3:《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》
1:《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
4:《選択/Opt》
4:《流刑への道/Path to Exile》
1:《呪文嵌め/Spell Snare》
2:《マナ漏出/Mana Leak》
3:《否定の力/Force of Negation》
3:《謎めいた命令/Cryptic Command》
1:《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》
1:《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
1:《殴打頭蓋/Batterskull》
3:《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
サイドボード
1:《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1:《激変の機械巨人/Cataclysmic Gearhulk》
2:《儀礼的拒否/Ceremonious Rejection》
2:《外科的摘出/Surgical Extraction》
2:《天界の粛清/Celestial Purge》
1:《四肢切断/Dismember》
1:《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
2:《至高の評決/Supreme Verdict》
1:《光と影の剣/Sword of Light and Shadow》
2:《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
・ウルザストーンブレード
6:《冠雪の島/Snow-Covered Island》
3:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
3:《汚染された三角州/Polluted Delta》
3:《虹色の眺望/Prismatic Vista》
1:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
1:《発明博覧会/Inventors’ Fair》
1:《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》
1:《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》
1:《湿った墓/Watery Grave》
4:《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
4:《最高工匠卿、ウルザ/Urza, Lord High Artificer》
2:《致命的な一押し/Fatal Push》
3:《発明品の唸り/Whir of Invention》
4:《ミシュラのガラクタ/Mishra’s Bauble》
4:《オパールのモックス/Mox Opal》
4:《アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》
2:《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》
1:《真髄の針/Pithing Needle》
4:《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》
2:《胆液の水源/Ichor Wellspring》
2:《精神石/Mind Stone》
1:《迫撃鞘/Mortarpod》
1:《弱者の剣/Sword of the Meek》
1:《罠の橋/Ensnaring Bridge》
1:《殴打頭蓋/Batterskull》
サイドボード
2:《致命的な一押し/Fatal Push》
2:《解呪/Disenchant》
4:《思考囲い/Thoughtseize》
2:《真冬/Dead of Winter》
1:《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》
2:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
2:《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》
ご意見などは僕のツイッターアカウント(@yuyan_mtg)まで!
それではまた。