MTG │ 大会レポート │ 井川良彦【プロツアー・ファイレクシアレポート】

皆さんこんにちは。Rush Prosの井川です。

先々週に開催されたプロツアーファイレクシアに参加しました。

先に結果だけお伝えするとドラフト0-3、パイオニア1-2で1-5初日落ちでした。

ということで、今回の記事ではプロツアーに向けたパイオニアの調整過程、そしてプロツアーの簡易レポートをお届けします。

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★今回の調整メンバー

今回のプロツアーも従来のメンバーを中心にチームを結成。多くの仲間たちがプロツアーの権利を獲得しているのは嬉しいことこの上ないですね。

井川・高橋・熊谷・中村・市川・加茂・村栄・小泉・河野・矢田・森山の計11名での調整スタートとなりました。

構築だけでなくドラフトの情報なども随時共有し、発売直後にはドラフト練習会も開催。これも「昔のプロツアーが帰ってきたな」感があって楽しかったですね。

PTの現地ではメンバーのうち9人でAirbnbの大きな家をシェア。みんなで楽しく過ごしました。「曲者」時代にはいつもこんな感じで泊まってたので、ノスタルジックな気持ちになれました。プロツアー、良い。

https://twitter.com/kamo_potato/status/1626077251723821056?s=20

★パイオニア環境について

『ファイレクシア:完全なる統一』が発売されたとはいえ、禁止改定が出なかった以上はパイオニアのメタゲームは大きく変わらないだろうと当初から予想されていました。

新セットのカードで使われるカードは《黒割れの崖》《銅線の地溝》《剃刀境の茂み》といったファストランドと、《離反ダニ、スクレルヴ》《迷宮壊し、ミグロズ》といったごく一部のカードたち。どれも既存デッキを強化する程度で、新しいアーキタイプを作るようなものではありません。

特に今回のPTは過半数がパイオニアの地域予選を抜けてきた、いわば「特定のデッキに自信アリ」なプレイヤーたち。「メタがそれほど変わっていない」「ドラフトの練習もしなければならない」ということも鑑みると、慣れているデッキから変更するより、メタゲームに合わせて調整する方を選ぶ人が多いのも自然な流れといえるでしょう。

かくいう僕自身も、メタゲームが大きく変わらないのであれば「良いチームデッキができなければ青白コントロールを使おう」と思いつつ、様々なデッキをテスト。

チームデッキとしてグルール機体やセレズニア天使が浮上する中、それらに良い手応えを感じなかったので、比較的早い段階で今回も青白コントロールを使おうと決意しました。

★青白コントロールの微調整

前回のチャンピオンズカップファイナル サイクル1の記事でデッキの詳細については書いているので、今回はそれからの追加の調整となります。

今回青白コントロールの調整の中で最も時間をかけたのがこのカードの評価についてです。前回は感覚で=一度も使わずに不採用としましたが、今回はこのカードについてテストし、チーム内で検討を重ねました。

結論から言うと、僕らはこのカードを《運命的不在》よりも強いとは思えませんでした。

「《エシカの戦車》を追放してから《至高の評決》」「落ちそうな自分の《放浪皇》を再利用」など強いケースもありましたが、それよりも欠点が目立ちました。何よりも良くなかった点は青白コントロールがゲームのレンジが非常に長く、そのカードへの対処を絶対に迫られる点です。

ラクドスミッドレンジとのマッチアップでは特にそれが顕著で、必ずロングゲームになるこのマッチアップにおいては完全なるバッドカード。採用すればするほど勝率が下がることは明白でした。《運命的不在》と違い、ミシュラランドに触れないのも致命的です。

ミラーマッチやイゼット独創力のサイド後に出てくる《船砕きの怪物》は、一度《魂の仕切り》で戻してもいつかは9マナで出されて敗北します。これも《運命的不在》に大きく劣る点と言えるでしょう。

緑単に強いという触れ込みでしたが、コレもかなり懐疑的でした。最序盤の《老樹林のトロール》に対しては、そもそもカウンターを構え続ける方が優先度高いので12点ぐらいは食らっていい(というか食らうしかない)ですし、むしろ《運命的不在》じゃない分、中盤以降の《大いなる創造者、カーン》や《茨の騎兵》への根本的な対処にならない方が気になりました。

グルール機体や《創案の火》デッキのような有利マッチにだけ強く、他のマッチアップでは弱いカードという評価になったので、今回は採用を見送りました。

また、同じ調整チームであるあんちゃんが採用した《軍備放棄》についても、僕は感触が悪かったので採用を見送りました。(詳細&利点については彼の記事を御覧ください

このカードも《魂の仕切り》に近く、「有利なマッチにより強く、不利なマッチにより不利になるカード」という印象を受けたからです。

比較対象は《ポータブル・ホール》。確かにグルール機体の《迷宮壊し、ミグロズ》のようなクリーチャーに軽く触れるようになるのは嬉しいのですが、あくまで有利マッチがより有利になるなという感想。例えば《ポータブル・ホール》型がグルール機体に6:4あるとすれば、《軍備放棄》型であれば6.5:3.5ぐらいまで上がるでしょう(これは数字の例として上げただけで、実際の勝率がこの数字かどうかは置いておきます)

ただし、ラクドスミッドレンジに対しては逆になります。《ポータブル・ホール》型がラクドスミッドレンジに4:6だとすれば、《軍備放棄》型であれば3.5:6.5ぐらいまで落ちるでしょう。ラクドスミッドレンジの最近の流行りが「メイン2、サイドに2、計4枚の《勢団の銀行破り》」なのに対して、こちらが《ポータブル・ホール》を廃するのは良くない方向の調整だと感じました。

そして《ポータブル・ホール》との比較だけならば一長一短なので悩めるのですが、マナベースが弱くなる点が明確なマイナス点です。過剰に入れる平地、多くなるタップイン。さらに《天上都市、大田原》や《アーデンベイル城》といったバリュー土地が減るのでマナフラッドもしやすくなります。

こういった点から、僕は《軍備放棄》型を諦め、普通の形を選択しました。

★使用したデッキについて

最終的に使用したのはこちら。

アゾリウスコントロール
デッキリスト
2:《島/Island
2:《平地/Plains
4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain
2:《氷河の城砦/Glacial Fortress
2:《さびれた浜/Deserted Beach
2:《連門の小道/Hengegate Pathway
4:《灌漑農地/Irrigated Farmland
2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
2:《廃墟の地/Field of Ruin
1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
1:《ヴァントレス城/Castle Vantress
1:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale
26 Lands


0 creatures

3:《検閲/Censor
3:《ポータブル・ホール/Portable Hole
2:《かき消し/Make Disappear
3:《記憶の氾濫/Memory Deluge
2:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto
4:《吸収/Absorb
3:《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria
3:《放浪皇/The Wandering Emperor
3:《サメ台風/Shark Typhoon
3:《至高の評決/Supreme Verdict
2:《運命的不在/Fateful Absence
2:《冥途灯りの行進/March of Otherworldly Light
1:《告別/Farewell
34 other spells


1:《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror
1:《安らかなる眠り/Rest in Peace
1:《悪斬の天使/Baneslayer Angel
1:《神秘の論争/Mystical Dispute
2:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto
2:《才能の試験/Test of Talents
1:《ナーセットの逆転/Narset’s Reversal
1:《ポータブル・ホール/Portable Hole
1:《至高の評決/Supreme Verdict
1:《夢さらい/Dream Trawler
1:《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer
2:《霊気の疾風/Aether Gust
15 sideboard cards

カウンターと除去のバランス、マナベース、様々なパターンを試しましたが、最終的に常滑で行われたチャンピオンズカップファイナル サイクル1のときと同じメイン60枚に戻りました。手抜きではなく、この形、この枚数が一番良いと判断してのことです。

メイン《至高の評決》4枚だけで練習しましたが、グルール機体やラクドスミッドレンジへのゴールとして、またサイドの《安らかなる眠り》を減らしたイゼットフェニックスやアブザンパルヘリオンへのメインの勝率担保としてなど、複数の理由から《告別》が回帰。6マナと重いですが、それに見合う強さです。

サイドボードだけ少し変更。

日韓開催のチャンピオンズカップファイナルよりはラクドスのシェアが多少下がることを考えて(それでもトップメタですが)《シュタルンハイムの解放》をカット。ロータスのシェアが上がることを考えて《才能の試験》や《ナーセットの逆転》を採用。イゼットフェニックスやアブザンパルヘリオンはそこまで多くない&地力が低いのでガードを下げてもある程度勝率を見込めるということで《安らかなる眠り》を減量、といった流れです。

シュタルンハイムの解放》を排したので、《黎明をもたらす者ライラ》2から《悪斬の天使》1《黎明をもたらす者ライラ》1に変更。

僕はこの5マナ天使を誰よりも評価しているので、まずサイドから抜くことはありません。

ラクドス、グルール、白単、スピリット、イゼットフェニックス、パルヘリオン…そしてミラーマッチにもサイドインできる万能カードです。もちろん《戦慄掘り》《丸焼き》など2マナで除去されてテンポを取られるリスクはありますが、それを差し引いてもお釣りが来るぐらいの優秀クリーチャーだと考えています。

・本戦の結果

R4 エスパーパルヘリオン×○○
R5 ディミーアコントロール ××
R6 イゼットフェニックス ×○×

最終戦は熱戦の末残り時間がわずかというタイミングで(引き分けでも初日落ち)、焦ってしまい凡ミスして敗北。情けない限りです。

★プロツアー・ドラフトの思い出

1-1《免れ得ぬ破滅、ルーカ》!

2-1《永遠の放浪者》!!

うおおおおお!!!!!俺の時代だ!!!!!!!!!!

R1 白青 ○××(G1はルーカでwin)
R2 白黒 ○×× (G1はルーカでwin)
R3 赤緑 ○×× (G1は放浪者でwin)

0-3……。

2枚入ったプレインズウォーカーは9ゲームやって3ゲーム(合計3枚)しか引かず。1マッチに2枚以上引いた試合は0。下ブレってやつですね。

上家が赤緑だったためフラフラして少しまとまりがない=プレインズウォーカーに依存したデッキになっているのも事実ですが、まさかS級PWとA級PWを擁しながら0-3するとは。さすがにショックでした。

実は2012年のPT『ラヴニカの回帰』2ndドラフト以降、「10年以上プロツアーのドラフトで一度も0-3していなかった」というのが密かな自慢だったのですが、これにて終了。またゼロから這い上がります。

■終わりに

バカ正直に申し上げますと、僕も人なので勝ったときはすぐに記事をお届けしたいですし、負けたときは筆が重くなります。

そして次回プロツアー権利がない=スタンダードの練習時間の比重が上がっているタイミングということもあり、結果として記事を書くのが遅くなってしまいました。鮮度の高い記事をお届けできず、楽しみにしてくれている方には申し訳ないです。

マジックは勝つこともあれば負けることもあるゲームというのは人一倍体験していますし、「こういう日もあるさ」と割り切り半分、悲しみ半分です。ですが何度経験しても悔しいものは悔しい。悔しくなくなったら終わりなので、この悔しさをいつまでも忘れないようにしたいですね。

今回は負けに負けましたが、それでも「プロツアー」というイベント=仲間たちとの日々の練習&談笑、海外旅行、そして世界から集まった強豪たちとの試合は最高に楽しかったです!これぞ僕たちの待ち望んでいたプロツアー!

権利が途絶えてしまったので、今週の横浜、そしてシーズン3の次からは店舗予選などに出場して権利を狙うことになります。

突破するハードルが高いので毎回とは行かないでしょうが、今後もある程度コンスタントにプロツアーに出れるよう、引き続き頑張っていきたいと思います!

それでは今回の記事はここまで。また次回の記事でお会いしましょう!


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