遊戯王 │ 解説記事 │ しの【2021年1月~2月メタゲーム解説】

Card Rush Prosとして活動しているしの(@Shino_NextPlay)です。

今回は今期のメタゲーム考察記事となります。

まずは全体の動きとして“今期はどんな環境なのか?”という点を新リミットレギュレーション適用時点から現在に至るまでを振り返りながら解説していきます。

その後、現在大会環境に多く分布する各デッキをピックアップし、それらのデッキの特徴や長所・短所などを解説していきます。

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■今期はどんな環境なのか?

コロナウィルスの影響もあり、大会環境の変化も起こりづらい中ですが、それでも今期の始まりから現在までに環境は緩やかに変化しました。

今期の始まり(新リミットレギュレーション適用)は制限改訂の影響も少なかった事から、分布に殆ど変化は無く【ドラゴンメイド】【電脳堺】【幻影騎士団】【コードトーカー】【サンダードラゴン】【エルドリッチ】【プランキッズ】等多種多用なデッキタイプが入り乱れ、地域次第・大会次第で低速、中速、高速と、どの環境にも様変わりするような印象を受けました。

そこから徐々に環境は動いていき、個人的には展開型デッキ(主に【電脳堺】)が若干優位性を示し始め、全体的な環境としては中高速環境となったように感じます。

そして、1月16日に発売された《LIGHTNING OVERDRIVE》の影響によって更に環境が動きました。

竜輝巧-ファフμβ’》の登場により、元々注目が集まりつつあった【ドライトロン】が一気に強化されたという事で、大きな反響がありました。

その反響というのは実際に大会環境に直に響き、新弾発売後すぐに【ドライトロン】は結果を残し、次の週には大会分布の上位シェアを誇る存在となります。

その結果を皮切りに展開型デッキが多く分布する環境となり、展開型デッキの多くは手札誘発を採用するスロットが他中速デッキなどより少なく後攻時の不安が残る為、”展開型デッキであればどのタイプでもワンチャンある状態”となり、一時は展開型が展開型を呼ぶ高速環境へと様変わりしました。

しかし、そういった流れも長くは続かず、一気にメタられ始めた【ドライトロン】の天下は2週間程で終了し、次の週にはシェアが大きく減少。

更に”【ドライトロン】メタ”の影響は他展開型デッキにも響き、相対的に他展開型デッキもシェアが減少。

結局のところギミック自体が強力であり、クリーンヒットする手札誘発が少ない【電脳堺】や、他の追随を許さない最終盤面の圧倒的なパワーと優秀な妥協点を持つ【幻影騎士団】のみが生き残るカタチとなりました。

そして現在、その展開型へのメタを行うにあたる最適解は“手札誘発を積むスロットの多さ”と“安定感”であり、その2点を兼ね備えた【ドラゴンメイド】と【十二獣】のシェアが一気に上昇。

展開型のシェア増加に伴い罠型のシェアが減少したことから、不利対面となるデッキが環境内に殆ど存在しなくなった【十二獣】のパワーは圧倒的です。

また、手札誘発を多く採用するデッキが増えた事に対し、【十二獣】はそもそも手札誘発に対して耐性があり、多くの手札誘発は十二獣に対してクリーンヒットさせる事ができません。

よって様々な観点から見て個人的には現状【十二獣】が最も大会環境で活躍しやすい状態になっていると推測しています。

ただ、如何に“【十二獣】が活躍しやすい状態にある“と言っても、やはりメタの集中砲火をくらってしまっては勿論活躍はしづらいですし、現状そのシェアがかなり落ち着いている【エルドリッチ】や罠型【コードトーカー】などの罠を主体としたデッキがまたシェアを取り戻してきても厳しい状態になります

また、シェアを回復させた【ドラゴンメイド】に関しても、そもそものギミック対決で言えば【十二獣】側が不利となりますが、現状【ドラゴンメイド】側がスロットの多くを手札誘発に寄せている事から、【十二獣】はそれら手札誘発に対して強く出られる点で今はまだ相性的にはトントンと言ったところです。

しかし、ここから【ドラゴンメイド】側が罠の採用枚数を増やすようシフトしてくると【十二獣】側は一気に不利となってしまう為、【十二獣】が戦いやすい環境というのは簡単に変化すると言えるでしょう。

ここから変化がおき、どんな環境となるのか非常に楽しみです。

■各環境デッキ考察

【電脳堺】

個人的に今期最もギミックが強いと思うデッキ。

しかし、全勝できるデッキだとは考えていません。

なので、主にはチーム戦向きなデッキという印象を持っています。

《長所》

・クリーンヒットする手札誘発が少ない
・先攻時のパワーが他展開型の中でも2番目に強く展開が通れば90%は返されないと考えても良い
・後攻からでも捲る事が容易であり、手数及び手段が多く、召喚権に依存しない
・《電脳堺門-青龍》の存在によってギミック内にシステムモンスターへの回答が用意されている

《短所》

・構築の自由度が無い
・事故る。1枚初動が存在しない関係上動けない手札が来る確率が他デッキに比べ非常に高く、ギミックのカードを複数枚引いていても動けない組み合わせが多々ある(電脳堺門被りや上級被りなど)
・事故を起こした際の手札があまりも弱すぎる。他デッキであれば事故を起こした場合、ギミック外のカードを引いて事故を起こしている事が基本である為、それらが妨害となりますが、電脳堺はギミックのカードを引いていてもかみ合わない事で起きる事故がある為、そういった状況下では動けもしないし、妨害も無いといった最悪の状況が出来上がります。

【ドラゴンメイド】

非常に安定の選択です。

ミッドレンジ型のデッキなので、勿論先攻を取って動きが通ったからと言って勝ちとまではいきませんが、その分対応力も高く、メタを受けづらいデッキ。

《長所》

・1枚1枚のカードから生まれるアドバンテージが非常に大きく、ターンが伸びる毎に倍々にカード総数の差が生まれる
・デッキスロット(自由枠)が広く、多種多様なカードの採用を検討できる。現状は展開型の勢力が強くその枠を手札誘発に割いているが、その枠を罠に寄せる事で【十二獣】などをメタる事も容易
・ギミックの性質上ミッドレンジ型のデッキに対して非常に強力。バトルフェイズを重ねれば重ねるだけアドバンテージが膨れていくギミックである為、展開型のような1ターンでライフを飛ばせるようなデッキ以外に対して非常に有利に出られる。
・妨害手段の多くがバウンスであることから破壊耐性や墓地リソースへの懸念が無い
※しかし、この点は短所にもなり得る

《短所》

・上級、下級の組み合わせを採用する関係上、素引きの上級が弱くギミック自体が事故の原因を抱えている
・初動が細く、下級に対する無効系カードが非常に重い。最初動以外であればケアは簡単ですが、何も準備がされていない状態では1ターン大きな隙が生まれてしまいます。
・妨害手段の多くがバウンスであることから通用しない相手も多い。例えば【ドライトロン】等の手札に戻されてもコストとして活用されてしまう事や、召喚成功時の効果などに対しては無力である為、召喚成功時の効果をと多用してくるデッキや、その他領域から効果を発動してくる相手に対してギミックだけで見ると不利となる。しかし、《ドラゴンメイド・シュトラール》を出す事もできる為、大きな短所にはならない

【幻影騎士団】

環境デッキ内で最も強力な先攻盤面を形成できてかつ妥協点も強力であり、展開後も墓地リソースが残るのでミッドレンジ型のデッキに対して強く出られる性質を持つデッキ。

《長所》

・環境内に存在するデッキの中で最も強力な先攻盤面として99%返されない5素材以上の《No.86 H-C ロンゴミアント》を成立させる事ができる。
・展開の妥協点を作りやすい。展開型を止める最も効果的な手札誘発である《増殖するG》を発動されてしまい止められない時、すぐに展開を中止し、最低限の妨害である《幻影霧剣》を構える事ができる。
・【電脳堺】より事故が少ない。最大展開を行うには少し要求値が高く、【電脳堺】と同じく1枚初動はありませんが、《幻影騎士団ラスティ・バルディッシュ》+《幻影霧剣》+《FNo.0 未来龍皇ホープ》くらいは容易に並べる事ができ、そこに更に+して墓地に《幻影霧剣》+《幻影騎士団ブレイクソード》を揃えて妨害を増やす事も可能

《短所》

・メタられやすい。様々な手札誘発が刺さってしまう事から、手札誘発の採用総数が増えてくると非常に戦いづらくなる
・後攻時の妨害を越える能力に不安がある。ギミック外の【未界域】等を持っていないと相手の先攻盤面2妨害程で詰んでしまうケースが多々見受けられる
・妥協点となる《幻影霧剣》が効かない相手に使われる《増殖するG》《ロンギヌス》が致命的な弱点

【十二獣】

絶対の安心感、事故らない&手札誘発に対して強いデッキNo.1と言っても過言ではありません。

復帰したい方、初めて大会環境で使うデッキを検討されている方にぜひオススメしたいデッキでもあります。

《長所》

・事故らない。大きな大会であれば7~8回戦行う事になりますが、ほぼ全てのラウンドにおいて1回も事故が起きず、お互いのギミック対決の土俵に立てます
・デッキのスロットが【ドラゴンメイド】以上に広い。同じくその多くを手札誘発に割く事ができ、環境次第では罠に寄せる事もできる為、非常に柔軟に立ち回る事が可能
・1枚のモンスター(しかも十二獣モンスターなら何でも)から出すバリューが現制限下でいうなら最も高い。1枚から6素材の《天霆號アーゼウス》を出すことができ、1回フィールド全てを墓地へ送りつつ、2妨害分も残るというのはあまりにも破格の性能と言えます
・《強欲で貪欲な壺》を最も強く使える

《短所》

・召喚権に依存し過ぎている。【十二獣】には召喚権をつぶされてしまった際の第2の攻め手が基本的に2枚~3枚程となっていて、召喚権を使って出したモンスターを何かしらの手段で除去されてしまった時のリカバリーが非常に難しく、更にもう1妨害でも用意されていれる場合、突破する事は不可能でしょう
・破壊、墓地送りの2手段が基本的な妨害となるので、召喚成功時効果やフィールド外で効果を発動するタイプのギミックに対して若干不利。しかし《FNo.0 未来龍皇ホープ》を出す事もできる為、大きな短所にはならない
・罠に弱く、罠型のデッキが分布する環境では使うこと自体が難しい

【コードトーカー】

展開型、罠型、スイッチ型(罠も手札誘発もバランス良く採用されている型)など多種多様なタイプを作る事ができ、流行りに合わせてデッキタイプを更新する事で柔軟に戦う事ができるデッキ

《長所》

・どの型を使うにしてもコードトーカー特有の《アクセスコード・トーカー》に繋げる動きは強力であり、一瞬で出せるライフを削る量は環境デッキNo.1(その為、罠型デッキ全てに共通して言える“ライフの取りづらさ”を克服している優位性を持つ)
・1枚初動が充実していて《デコード・トーカー・ヒートソウル》に繋がれば基本的にはOKなので、プレイ次第で手札誘発も受けづらい
・《サイバネット・コンフリクト》の存在によって罠型の宿命である《ライトニング・ストーム》や《ハーピィの羽根箒》への耐性があり、更に《神の宣告》とは異なりサーチできるうえに《ライトニング・ストーム》の複数枚持ちにも対抗できている点は非常に優秀

《短所》

・召喚権依存が強く【十二獣】と同じくらい召喚権を潰されるアクションに対して弱い
・事故る確率は低いが相手の手札誘発によって動きが止められてしまった際の後続の確保が難しい
・ミッドレンジ型のデッキに位置はするが《増殖するG》が重いケースが多い

【エルドリッチ】

最も永続罠を上手く活用できるデッキであり、その殆どがメインから回答を用意できない、もしくは用意していてもそれらを止める手段がギミック内に備わっており、一瞬で詰みの状況を作り得るデッキ。

《長所》

・ギミックの殆どがリソースであり、基本的にそのリソースが1試合中に枯れる事は無い為、中低速のデッキに対して強く出る事ができる
・永続罠との相性が最強であり、本来であれば自分自身も拘束されてしまいがちな《スキルドレイン》《手違い》《サモン・リミッター》等を自分にほぼデメリット無しでフル活用できる
・ギミック全てが次のギミックに繋がるリソースである為、完全に何もできない事故が殆ど起きない

《短所》

・ギミックの性質上手札誘発との相性が悪く、展開型相手は後攻の場合、展開を見守る事が多くなってしまう
・ギミックだけでは弱く永続罠ありきのデッキ。このデッキはギミックばかりを引いてしまうケースが最も弱く、ギミックだけで揃えられる妨害数は多くて2枚分程である為頼りなく、その盤面を崩された際のリカバリーが難しい
・ライフを詰めるスピードが遅い。ギミックの性質上攻めるモンスターが単騎である為、なかなか勝負を決められず、試合が長引く事が多い。その為ET.EDに弱い他、引き分けありの大会では3本目に突入しづらい

【ドライトロン】

新進気鋭の展開型デッキ。
一気にメタの中心となった為、その勢力を落としましたが、ポテンシャルは非常に高くメタが少しでも薄くなれば一気に勝つチャンスが訪れると考えられる。

《長所》

・手数の多さ。召喚権に依存しないギミックの動きでかつフィールド外から効果を発動するので妨害されづらい
・先攻盤面の強固さ。《崇光なる宣告者》+手札に天使族4枚の状態を基本盤面とし、そこに更に《I:Pマスカレーナ》や残る手札の天使族や手札誘発等が武器となり、非常に突破が困難(フィールドの妨害を攻略したとしても手札に残る《朱光の宣告者》×2+天使族×2を越える必要があり、そこも合わせて突破する事は現実的ではない)
・展開型にも関わらずメインから多くの手札誘発を備える事ができる。

《短所》

・事故る。【電脳堺】と同じく1枚初動が無いうえに、ギミックを引いていてもかみ合わずに動けない組み合わせが多々ある為、動けない=妨害無しという最悪のケースが起こりやすい
・手札誘発全般に弱い。【幻影騎士団】と同じく様々な手札誘発がクリーンヒットしてしまい手札誘発の総数が増えてくる環境では戦いづらい
・妥協点を作るハードルが高い。一応《イーバ》から《朱光の宣告者》+天使族を持ってきて1妨害とする妥協点はあるが、そこに至るまでの特殊召喚回数が多い為、初動に対して《増殖するG》を発動された際の妥協点を作る動きが【電脳堺】【幻影騎士団】と比べると劣る

【サンダードラゴン】

長らく環境に居座り続ける安定感。どの環境でも一定のパフォーマンスを発揮し続けられ、デッキの象徴とも言える《超雷龍-サンダー・ドラゴン》は唯一最強の強みとして他デッキとの差別化を図れる

《長所》

・《超雷龍-サンダー・ドラゴン》によるロック
・破壊耐性+高打点+次のリソースという突破が困難な状況を一瞬で形成できる
・明確なメタカードが《アーティファクト-ロンギヌス》くらいしかなく、基本的に使う側は損する発動の仕方しかできない為、使えるデッキも限られる

《短所》

・デッキタイプがカオス型でない場合、事故があまりも起きやすい。
・ギミック内の妨害手段が破壊である為、破壊耐性持ちや墓地リソースとして活用されてしまうデッキ、動きに弱い
・展開型デッキが苦手。《超雷龍-サンダー・ドラゴン》は強力だが、そこをすり抜けられる場合、次の妨害手段が《雷神龍-サンダー・ドラゴン》となりますが、ここの妨害手段はフリーチェーンで発動できるカードがあるだけで回避されてしまうので、手数が多く超雷雷神を突破され、ワンキルや完全な蓋を行う事ができる展開型は苦手と言えます

【シャドール】

シェアは地域によって大きく異なりますが、ポテンシャルは高く、展開型が多い環境では容易に相手をロックできる優位性はある為、常に使用するチャンスがあるデッキ。

《長所》

・対展開型最強のモンスター《エルシャドール・ミドラーシュ》の存在。このモンスターを着地させただけでメイン戦であれば多くの展開型デッキを詰みまで持っていけるでしょう
・《影依の偽典》による圧倒的なアドバンテージの創造+妨害。個人的には【シャドール】の強みは実質このカードと《エルシャドール・ミドラーシュ》のみと言っても過言では無いと思っています
・《影依融合》の存在。このカードの存在によって、相手がEXデッキからのモンスターを残すことを抑止できる点は【シャドール】の大きな利点と言えます。※上記2枚には遠く及びませんが

《短所》

・事故る。融合というギミックを主軸とする宿命です。基本的には融合+融合素材となるモンスター×2枚の合計3枚を必要としてるわけなので、そりゃあ事故ります。更にその事故というのもモンスター被り、融合被り等、ギミックを引いていても起こる事故である為、やはり0妨害となるケースが多々あります
・《影依の偽典》をフリーチェーンで除去されてしまう事。サイクロン系(主に《コズミック・サイクロン》)のカードに対して滅法弱く、妨害もリソースも全て《影依の偽典》便りである為、ここが効果を発揮する前に除去されてしまっては勝負になりません
・《影依融合》をケアできてしまうデッキ対面。主にEXモンスターを使わなくても戦えるデッキが苦手であり、そういったデッキの多くは特殊召喚も繰り返さない場合が多い為、《エルシャドール・ミドラーシュ》にも拘束力がなく非常に不利対面となります。

■最後に

最後までご覧いただきありがとうございます。

短所において何度も「事故る」という事をお伝えしてしまいましたが、まさにその通りではあるのです。

パワーの高いデッキは“高いパワーを得る代わりに事故のリスクも抱えている”状態である為、現環境が成り立っていると考えます。

もし仮に“事故らずにパワーの高いデッキ”が生まれてしまったら…

それは全盛期の【SPYRAL】【植物リンク】【剛鬼】【ドラゴンリンク】などが支配する超高速環境となる事間違い無しなので、丁度良いバランスの上に現環境は成り立っていると言えます。

なので、完全無欠のデッキが無い事をもどかしく感じる方も少なくは無いと思いますが、どのデッキも一長一短であるこの環境をぜひ楽しんでください‼

それではまた次回の記事でお会いしましょう!


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