MTG │ 解説記事 │ 高橋優太【禁止改訂考察】
Hi,
5月18日付で禁止改訂が発表されました。
それぞれのフォーマットについて考えて行きましょう。
禁止制限告知:レガシーにて《夢の巣のルールス》、《黎明起こし、ザーダ》が禁止、ヴィンテージにて《夢の巣のルールス》が禁止に
(※イゼ速より引用)
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■レガシー
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》 禁止
《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》 禁止
軽い呪文が強いレガシー環境では「パーマネントが2マナ以下」という条件達成が容易で、オンライン大会のTop8の半数が《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》相棒という事態も珍しくありませんでした。
また《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》は《厳かなモノリス/Grim Monolith》《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》との組み合わせで無限マナを生み出し、《歩行バリスタ/Walking Ballista》でフィニッシュするデッキでした。
《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》という強力なサーチ手段があることもあり、もしルールスだけを禁止するとザーダだらけになる事を懸念しての禁止に思えます。
ルールスの流行により需要の高まっていた《ミシュラのガラクタ/Mishra’s Bauble》も少し値段が落ち着くと思います。
そしてルールス禁止後のレガシーは、《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》で青緑ベースのミッドレンジデッキが増えて行くのかなと予想しています。
サンプルデッキ「氷雪オーコ:ヨーリオン」
4《悪意の大梟/Baleful Strix》
4《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》
1《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》
4《アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》
4《豊かな成長/Abundant Growth》
4《思案/Ponder》
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
4《突然の衰微/Abrupt Decay》
3《否定の力/Force of Negation》
4《意志の力/Force of Will》
4《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
2《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
4《虹色の眺望/Prismatic Vista》
6《冠雪の島/Snow-Covered Island》
4《冠雪の森/Snow-Covered Forest》
1《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》
1《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》
1《Tropical Island》
1《Tundra》
1《Underground Sea》
1《カラカス/Karakas》
サイドボード
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
3《真冬/Dead of Winter》
2《花の絨毯/Carpet of Flowers》
3《夏の帳/Veil of Summer》
2《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》
2《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
1《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》(相棒)
ドローの付いたクリーチャーと《豊かな成長/Abundant Growth》《アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》でアドバンテージを稼ぐコントロールデッキです。
早いコンボデッキへのサイドを多く取ると良さそう。
サンプルデッキ「ターボ・ジャイルーダコンボ」
3《幻影の像/Phantasmal Image》
4《修復の天使/Restoration Angel》
4《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》
4《灯の分身/Spark Double》
4《ダクの複製/Dack’s Duplicate》
3《たなびき織りの天使/Wispweaver Angel》
3《深海の破滅、ジャイルーダ/Gyruda, Doom of Depths》
1《龍王コラガン/Dragonlord Kolaghan》
1《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》
4《金属モックス/Chrome Mox》
4《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
4《厳かなモノリス/Grim Monolith》
4《古えの墳墓/Ancient Tomb》
4《魂の洞窟/Cavern of Souls》
3《裏切り者の都/City of Traitors》
1《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》
1《島/Island》
3《Tundra》
サイドボード
1《残響する真実/Echoing Truth》
2《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
2《難題の予見者/Thought-Knot Seer》
4《防御の光網/Defense Grid》
3《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
2《虚空の杯/Chalice of the Void》
1《深海の破滅、ジャイルーダ/Gyruda, Doom of Depths》(相棒)
《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》のマナ加速を用いてサイドボードから《深海の破滅、ジャイルーダ/Gyruda, Doom of Depths》を召喚。
大量に入ったコピークリーチャーと《たなびき織りの天使/Wispweaver Angel》によりジャイルーダの効果を何度も使い、最終的には《龍王コラガン/Dragonlord Kolaghan》で速攻を付けてフィッシュするコンボデッキです。
圧倒的な爆発力を持つデッキで《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》2枚を引けば1ターンキルも可能。《魂の洞窟/Cavern of Souls》により《意志の力/Force of Will》も乗り越えます。
ただ1マナの単体除去を構えられるとコンボの連鎖が止まったり、《魂の洞窟/Cavern of Souls》の影響を受けない《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》に弱いと言ったオールインコンボらしい弱点もあります。
メタゲームがフェアデッキ寄りになるならコンボが活躍するチャンスだと思います。
■ヴィンテージ
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》 禁止
《Ancestral Recall》《Mox Sapphire》など、どんなに強力でも1枚は使用可能だったのがヴィンテージでしたが、ルールスはその歴史を塗り替えました。
昔のマジックで存在したアンティ・ルール(※注)に関するものとコンスピラシーの策略カードを除き3枚しかない禁止カードの中に、《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》は名を連ねました。
(注:ゲーム開始時に自分のデッキからランダムにカードを1枚選び、それをアンティ領域に置く。ゲームに勝利したプレイヤーはアンティ領域にあるカードの所有権を得る)
《Chaos Orb》《Falling Star》はカードを放り投げるテキストで、《Shahrazad》はゲーム中にサブゲームを始めます。
それぞれゲームとは違う挙動になる事から禁止されています。
《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》は制限カードに指定したとしても「相棒」という効果のため意味が無く、サイドボードからいつでもプレイ出来てしまいます。
また《Black Lotus》と相性が良すぎて、初手に《Black Lotus》があるだけでゲームに勝利する別次元のマジックになっていました。
最近のヴィンテージのイベントではトップ8全員が《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》ということが日常になっており、デッキ選択に大幅に制限をかけていました。
マジックの長い歴史を紐解いても、「強過ぎてヴィンテージ禁止」は《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》が史上初です。
サンプルデッキ「4色ルーツリーコントロール」
1《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
1《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
1《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》
1《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
1《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》
1《僧院の導師/Monastery Mentor》
1《Black Lotus》
1《Mox Emerald》
1《Mox Pearl》
1《Mox Ruby》
1《Mox Sapphire》
1《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《精神的つまづき/Mental Misstep》
1《Ancestral Recall》
1《渦まく知識/Brainstorm》
1《思案/Ponder》
1《先触れ/Portent》
1《定業/Preordain》
1《血清の幻視/Serum Visions》
1《呪文貫き/Spell Pierce》
1《稲妻/Lightning Bolt》
1《紅蓮破/Pyroblast》
1《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《破壊放題/Shattering Spree》
1《目くらまし/Daze》
1《商人の巻物/Merchant Scroll》
1《Time Walk》
1《レンと六番/Wrenn and Six》
1《神秘の論争/Mystical Dispute》
1《否定の力/Force of Negation》
1《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
1《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
1《ダク・フェイデン/Dack Fayden》
1《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
1《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
1《噴出/Gush》
1《意志の力/Force of Will》
1《宝船の巡航/Treasure Cruise》
1《時を越えた探索/Dig Through Time》
3《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
3《汚染された三角州/Polluted Delta》
3《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1《露天鉱床/Strip Mine》
2《Tropical Island》
1《Tundra》
3《Volcanic Island》
2《不毛の大地/Wasteland》
サイドボード
1《儀礼的拒否/Ceremonious Rejection》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《魔力流出/Energy Flux》
3《意志の力/Force of Will》
4《虚空の力線/Leyline of the Void》
1《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1《力ずく/By Force》
2《The Tabernacle at Pendrell Vale》
1《呪文追い、ルーツリー/Lutri, the Spellchaser》(相棒)
ルールス禁止後の世界では、《呪文追い、ルーツリー/Lutri, the Spellchaser》に活躍の機会があるのではと考えています。
これは最近僕が愛用しているリストで、マジックの歴史上で強い順に60枚を集めたコントロールデッキです。
強力な制限カードが多いヴィンテージなら《呪文追い、ルーツリー/Lutri, the Spellchaser》の1枚制限の相棒条件も難しくありません。
《Ancestral Recall》《噴出/Gush》《宝船の巡航/Treasure Cruise》をコピーすれば爆発的なアドバンテージを得ます!
ただ《意志の力/Force of Will》が4枚使えないのはデメリットなので、早いコンボデッキ相手には《呪文追い、ルーツリー/Lutri, the Spellchaser》を諦めて通常の4色デッキにシフトします。
発掘デッキ相手の場合も相棒を諦めて《虚空の力線/Leyline of the Void》《The Tabernacle at Pendrell Vale》をサイドイン。
■おわりに
ヴィンテージはルールスによる閉塞感が強かったため、今回の禁止でまた《Mishra’s Workshop》《Bazaar of Baghdad》のひしめく環境に戻るか楽しみです。
レガシーはまずは《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》のミッドレンジ対決からスタートして、それを倒すためのコンボデッキ、コンボを倒すためのデルバーデッキとメタゲームが回って行きそう。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》は多くの環境で使うため需要が大きく、もう少し値上がりするかも。「テーロス還魂記」も剥かれなくなっているので、今のうちに揃えておきたいです。
それではまた。