MTG │ デッキ紹介│ 高橋優太【各国の地域選手権から分析するパイオニア】
今先週末は、各国でパイオニアの地域選手権が開催されました!
日本でも現在進行中の予選がパイオニアで、さらに今月6月23日開催のチャンピオンズカップファイナルもパイオニアと、競技イベントはパイオニアが続いています。
今回は選手権の結果を元に、パイオニアの注目デッキを紹介していきます!
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■参考情報
・アメリカ地域選手権 参加者1174名
・カナダ地域選手権 参加者316名
・東南アジア地域選手権 参加者157名
・中国地域選手権 参加者195名
・メキシコ地域選手権 参加者163名
先週末に、世界5か所で地域選手権が開催されました。情報量が多いですが、上位のデッキリストを見るだけでも参考になります。
その中から、特に参加者の多かったアメリカ地域選手権とカナダ地域選手権のデッキを紹介します。
■グルール機体(アメリカ地域選手権優勝)
グルール機体(アメリカ地域選手権優勝) | |
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デッキリスト | |
2:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》 4:《銅線の地溝/Copperline Gorge》 3:《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》 4:《カープルーザンの森/Karplusan Forest》 2:《ハイドラの巣/Lair of the Hydra》 1:《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》 4:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 3:《変わり谷/Mutavault》 1:《森/Forest》 24 Lands 4:《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》 |
2:《イクサランへの侵攻/Invasion of Ixalan》 1:《抹消する稲妻/Obliterating Bolt》 4:《アクロス戦争/The Akroan War》 4:《エシカの戦車/Esika’s Chariot》 1:《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship》 12 other spells 1:《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》 |
《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》のマナ加速から、クリーチャー除去では対処しにくい機体を主軸にして攻めて行くデッキです。
マナクリーチャーから、2ターン目に《無謀な嵐探し》で速攻で攻撃。3ターン目に《エシカの戦車》を出せば《無謀な嵐探し》での速攻付与により、攻撃しつつ猫トークンが3体!次のターンに《領事の旗艦、スカイソブリン》速攻付与で、合計20点以上のダメージ!
1ターン目にマナクリーチャーでスタートした時は、他の追随を許さないほどブン周りが強いデッキです。
このデッキの中盤を支えているのが《アクロス戦争》。
1章で相手のクリーチャーを奪って盤面を強化し、2章で相手に攻撃を強制して盤面を有利に、3章にスタックで機体に搭乗する事により、クリーチャーを自滅させます。
《アクロス戦争》の3章はクリーチャー自身がパワーに等しいダメージを与える効果なので、例えば1章で《黙示録、シェオルドレッド》を奪った場合、3章にスタックで機体に搭乗すれば、接死ダメージにより《黙示録、シェオルドレッド》を自滅させられます。
そして《アクロス戦争》と相性が良いのが《ヴォルダーレンの興奮探し》。相手から奪ったクリーチャーを賛助しつつ、生贄にして大ダメージ!
《アクロス戦争》無しにしても、単純に《領事の旗艦、スカイソブリン》を賛助すれば飛行で8点、能力で生贄で8点、さらに《ヴォルダーレンの興奮探し》を生贄で1点で合計17点入ります!超エキサイティング!
もう1つ、新セットからの加入が《イクサランへの侵攻》で、パーマネントを探すので《エシカの戦車》や《アクロス戦争》、土地が欲しいときは土地、状況に合わせて探せて、デッキの安定性を底上げします。
《迷宮壊し、ミグロズ》は、高スタッツながらメインからエンチャント・アーティファクトを破壊できるのが良いです。
グルール機体は土地とマナクリーチャー含めてマナ関連が32枚ですが、相棒の《湧き出る源、ジェガンサ》含め、余ったマナの使い先が多いです。
2種類のミシュラランド《ハイドラの巣》《変わり谷》は、全体除去を撃たれた後に機体に登場するのに役立ち、自身も打点が高い。このリストは不採用ですが、《バグベアの居住地》を1-2枚入れたデッキリストもあります。ただ1ターン目に緑マナからマナクリーチャーを出したい事、機体に搭乗しやすい事を考えると《ハイドラの巣》優先。
■ラクドスサクリファイス(アメリカ地域選手権2位)
クリーチャーを生贄(サクリファイス)にする事でシナジーを多く生み出し、相手のライフを細かく攻めて行きます。
《大釜の使い魔》《魔女のかまど》が揃えば毎ターン相手のクリーチャーをブロックしながら1点ドレイン。《不運な目撃者》は生贄にしてアドバンテージに繋げて行きます。
《波乱の悪魔》はパーマネントを生贄にしたときに1点が誘発し、特にタフネス1やタフネス2に集中したクリーチャーデッキを殲滅します。
クリーチャーデッキ全般に強く、《魔女のかまど》で生成した食物トークンを生贄でも《波乱の悪魔》が誘発するので、3点回復しながら1点ダメージと、細かいライフレースを得意とするデッキです。
ただ《魔女のかまど》だけを複数引いたり、《大釜の使い魔》だけを複数引いたりするとちぐはぐな展開になり、バランスの良い手札が求められるため、《鏡割りの寓話》や《命取りの論争》でドローを進めてコンボを探しに行きます。
《初子さらい》は、相手のゴブリンシャーマントークンや《老樹林のトロール》のコントロールを奪いながら、《魔女のかまど》《命取りの論争》で生贄に捧げる事で、ターン終了時に相手に返却するデメリットを帳消しにします。
このリストでは《初子さらい》に加えて《焼炉の手綱》までも採用されており、これにより《黙示録、シェオルドレッド》《茨の騎兵》といった4マナ以上のクリーチャーも奪えます。相手の《茨の騎兵》を奪って生贄に捧げれば、《焼炉の手綱》を再びデッキトップに置ける!
■アゾリウススピリット(カナダ地域選手権優勝)
アゾリウススピリット(カナダ地域選手権優勝) | |
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デッキリスト | |
4:《金属海の沿岸/Seachrome Coast》 3:《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》 4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》 4:《連門の小道/Hengegate Pathway》 1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire》 1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》 2:《変わり谷/Mutavault》 3:《島/Island》 22 Lands 4:《幽体の船乗り/Spectral Sailor》 |
2:《とんずら/Slip Out the Back》 4:《執着的探訪/Curious Obsession》 4:《霊灯の罠/Geistlight Snare》 3:《高尚な否定/Lofty Denial》 13 other spells 1:《邪悪を打ち砕く/Destroy Evil》 |
種族スピリットを軸に、飛行で攻めながら打ち消し呪文でバックアップしていくデッキです。デッキ全体が1マナや2マナ中心で軽く、相手より多く行動回数を取って序盤からリードを広げます。
《鎖鳴らし》はデッキの中心とも言えるカードで、単体除去に対応しての呪禁付与で味方を守り、インスタントタイミングで《至高の幻影》をプレイして全体強化で大ダメージを与えます。
《幽体の船乗り》”藤ちょこ”絵が4枚使えるのが嬉しい!
アゾリウススピリットは特に単体除去が少ないデッキに対して有利で、1マナクリーチャーに《執着的探訪》を付けて毎ターンドロー。
エンチャント・スピリットと揃うと《霊灯の罠》は1マナでプレイ出来て、驚くほど行動回数に差をつけて、一方的な試合展開になる事もしばしばあります。
《高尚な否定》《呪文捕らえ》《とんずら》などインスタントタイミングで動くカードが多いので、相手にした場合は手札を推測する能力が求められます。
単体除去が少ないデッキに対して有利な反面、ラクドスサクリファイスやラクドスミッドレンジなど、1マナ除去が多く入ったデッキに対しては苦戦を強いられます。
このリストではそこを改善すべく、サイドボード後に《ゴバカーンへの侵攻》《婚礼の発表》で除去に強いアプローチをしているのが面白い!
《婚礼の発表》は、今後スタンでもパイオニアでも出番が多そうです。
■アゾリウス《睡蓮の原野》コントロール(カナダ地域選手権2位)
アゾリウス《睡蓮の原野》コントロール(カナダ地域選手権2位) | |
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デッキリスト | |
4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》 4:《連門の小道/Hengegate Pathway》 4:《灌漑農地/Irrigated Farmland》 1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》 1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire》 1:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》 1:《ヴァントレス城/Castle Vantress》 1:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》 4:《睡蓮の原野/Lotus Field》 3:《演劇の舞台/Thespian’s Stage》 1:《平地/Plains》 1:《島/Island》 26 Lands 4:《厳しい試験官/Strict Proctor》 |
2:《ジュワー島の撹乱/Jwari Disruption》 4:《ドゥームスカール/Doomskar》 2:《多元宇宙の警告/Behold the Multiverse》 4:《記憶の氾濫/Memory Deluge》 3:《放浪皇/The Wandering Emperor》 4:《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》 3:《告別/Farewell》 4:《不連続性/Discontinuity》 2:《サメ台風/Shark Typhoon》 1:《啓示の終焉/Finale of Revelation》 29 other spells 3:《霊気の疾風/Aether Gust》 |
シミック主体のロータスコンボはパイオニアを代表するコンボデッキですが、紹介するのはコンボではありません。
《睡蓮の原野》は好きなマナ3マナを生み出しますがで土地を生贄にするデメリットが大きい、ならばそのデメリットを無くしてしまおうと、《睡蓮の原野》のマナ加速要素を取り入れたコントロールデッキです。
《厳しい試験官》は誘発型能力を打ち消すため、3ターン目に《睡蓮の原野》を置いてもそのまま土地が残ります!
《不連続性》は3ターン目に《睡蓮の原野》置いて生贄がスタックに乗った状態でプレイすれば、自分のターンを終了=スタックから呪文や能力をすべて追放するので土地が残ります!
《厳しい試験官》は《奇怪な具現》デッキや《茨の騎兵》など、意外と効くデッキが多く、《睡蓮の原野》を引いていない場合でも単体でそこそこ機能します。《不連続性》はコンボ前、コンボ後両方で強く、6マナで相手のアップキープにプレイすれば、実質追加ターンを得ているのに等しい働きをします。どちらもコンボパーツでありながら、《睡蓮の原野》を引いていない場合でもちゃんと機能するのが良い所。
《睡蓮の原野》を設置後は、膨大なマナで行動回数に差をつけて行きます。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の「+1」で《睡蓮の原野》をアンタップすれば4マナになり、《記憶の氾濫》と《放浪皇》が両方構えられる!
早いターンのアクションが少ないデッキなので、序盤のクリーチャーに押し込まれないために《ドゥームスカール》が4枚フル採用。《告別》も3と全体除去が多めですが、重いカードが多いとスピリットのような軽い打ち消しが多い相手は苦手そうです。
《啓示の終焉》は《睡蓮の原野》を《演劇の舞台》でコピー出来れば、X=10も夢じゃない!
サイドボードで、コントロールデッキ対決を見据えてか《思考のひずみ》が採用されています。相手の《思考のひずみ》に対してカウンターになる《ナーセットの逆転》までもが採用されているのが面白い!
■おわりに
大会結果を見ると様々なデッキが活躍し、パイオニアは幅広いメタゲームとなっています。色んなデッキが居て面白い。
最近では《ドロスの魔神》と《変態変異》のコンボデッキも登場しています。
とは言えTier1と言えるラクドスミッドレンジ・緑単信心もまだまだ健在で、上位にも複数のラクドスミッド・緑単が居ます。
アゾリウス《睡蓮の原野》コントロールが気になっているので、早速自分でも試してみます。
それではまた。