MTG │ デッキ紹介│ 高橋優太【大型大会目前!今知るべきパイオニア有力デッキ紹介】
11/26-27に、チャンピオンズカップファイナル(パイオニア)が、愛知県国際展示場で開催されます。
併催でマジックの祭典であるプレイヤーズコンベンションやエターナルウィークエンドも開催されるので、マジック好きなプレイヤーが一日中楽しめるイベントです!
今回の記事では、チャンピオンズカップファイナルに向けてパイオニアのメタゲームをおさらいして行きます。
■参考情報
・Pioneer $30K RCQ (Top 4) – SCG CON Philadelphia – Saturday – 10:00 am
・Pioneer $5K RCQ – SCG CON Philadelphia – Sunday – 9:30 am
アメリカのStar City Games主催の大会結果を参考にしています。
■緑信心
緑信心 | |
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デッキリスト | |
2:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》 13:《森/Forest》 2:《ハイドラの巣/Lair of the Hydra》 4:《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》 21 Lands 4:《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》 |
4:《ニッサの誓い/Oath of Nissa》 4:《狼柳の安息所/Wolfwillow Haven》 4:《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》 4:《ビヒモスを招く者、キオーラ/Kiora, Behemoth Beckoner》 4:《収穫祭の襲撃/Storm the Festival》 1:《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship》 21 other spells 1:《エシカの戦車/Esika’s Chariot》 |
パイオニアで、依然としてメタゲームのトップを走り続けるのが、緑信心。
《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》と2種類のマナクリーチャーからマナ加速してから《老樹林のトロール》《茨の騎兵》。どちらも攻撃時ブロック時両方で活躍するサイズであり、除去されてもマナ加速につながります。
《老樹林のトロール》《茨の騎兵》はどちらも色マナシンボルが多いため、《ニクスの祭殿、ニクソス》によって大量マナを生み出す事が出来て、そこからプレインズウォーカーや《収穫祭の襲撃》に繋げて行きます。
《ビヒモスを招く者、キオーラ》は《ニクスの祭殿、ニクソス》アンタップにより大量マナを生み出しつつ、《老樹林のトロール》《茨の騎兵》でドローします。1ターン目《エルフの神秘家》2ターン目《ビヒモスを招く者、キオーラ》、3ターン目《茨の騎兵》は全てのデッキを粉砕するブン回りです。
デッキの中心と言えるのが《大いなる創造者、カーン》で、状況に合わせて様々なアーティファクトをサーチ。これらのパーマネントを《収穫祭の襲撃》で探し出し、信心が揃っている状況なら《ニクスの祭殿、ニクソス》で一気にフラッシュバック出来るほど大量のマナを生み出す事が出来ます。
カーンのサーチ先です。
墓地を使うデッキに対しては《トーモッドの墓所》《未認可霊柩車》が良く効きます。墓地対策が特に効果的であるアブザンパルへリオンに対しては、カーンの常在型能力で相手の機体に搭乗すらさせません。
《減衰球》は1ターンに複数呪文を唱えるロータスコンボに対して効き、《王神の立像》は軽いドロー呪文を連打するイゼットフェニックスに効きます。
盤面を作りたい時は《エシカの戦車》や《領事の旗艦、スカイソブリン》をサーチしても良く、あらゆる状況に対応するためサイドボードのうち14枚がアーティファクトです。サイドボードを使わなくても勝率を保てるほど、メインが完成されたデッキであるということです。
《死に至る大釜》は無限コンボのパーツです。
場に《ビヒモスを招く者、キオーラ》《大いなる創造者、カーン》と、《ニクスの祭殿、ニクソス》で十分な緑の信心があり、墓地にも《ビヒモスを招く者、キオーラ》《大いなる創造者、カーン》がある状況で、
1.まず、カーンの「-2」能力で《死に至る大釜》をサーチ。
2.キオーラの「-1」能力でニクソスをアンタップして、大量マナ。
3.《死に至る大釜》を裏面の《修復の噴出》としてプレイして、墓地のカーンとキオーラを回収。
4.カーンを再度プレイ。《修復の噴出》が追放されてゲーム外領域にあるので、再び《死に至る大釜》をサーチ出来て、①に戻る。
5.1から4の過程で無限マナと無限ライフゲインが発生。最終的に、カーンの「-2」で《宝物庫》をサーチして黒マナを出し、《死に至る大釜》を表面でプレイ。無限ライフを得ているので、起動型能力で相手のライブラリーを0枚にして勝利!
《鎖のヴェール》は、《ビヒモスを招く者、キオーラ》《大いなる創造者、カーン》の能力を追加で起動します。
超大量のマナがある状況であれば、《鎖のヴェール》を4マナ起動した後にキオーラで《鎖のヴェール》をアンタップしてまたキオーラの能力が使えるようになり、隣にいるカーンの起動回数を増やします。これを繰り返す事で忠誠度「-1」連打により自分からキオーラを墓地に置けて、《修復の噴出》でキオーラを回収、という動きを繰り返して行けます。
このリストでは入っていませんが、《日没を遅らせる者、テフェリー》と《ニクスの祭殿、ニクソス》と《鎖のヴェール》の組み合わせで無限マナが狙えます。
緑信心はメイン60枚のうち57枚くらいは固定枠であり、残り3枚は好みで分かれます。
最近ではメインに1枚《領事の旗艦、スカイソブリン》を入れたリストが多く、僕もこれをおススメします。
その他の枠は《恋煩いの野獣》は序盤の安定性アップ、《日没を遅らせる者、テフェリー》は《ニクスの祭殿、ニクソス》と組み合わさった時の爆発力アップ、《龍神、ニコル・ボーラス》は《収穫祭の襲撃》《ニッサの誓い》経由で出せて、カーンやキオーラの能力を得るのでコンボ達成が早まりつつ、除去能力も持っています。
緑信心は強いデッキであり、チャンピオンズカップファイナルでも使用者が多い事が予想されます。使う側も使われる側も、デッキをしっかりと理解しておきましょう。
■イゼットフェニックス
イゼットフェニックス | |
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デッキリスト | |
4:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》 4:《蒸気孔/Steam Vents》 4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway》 2:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast》 2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》 1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》 2:《島/Island》 19 Lands 4:《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》 |
4:《選択/Opt》 4:《考慮/Consider》 2:《呪文貫き/Spell Pierce》 4:《焦熱の衝動/Fiery Impulse》 3:《稲妻の斧/Lightning Axe》 2:《棘平原の危険/Spikefield Hazard》 2:《航路の作成/Chart a Course》 2:《感電の反復/Galvanic Iteration》 4:《パズルの欠片/Pieces of the Puzzle》 2:《時間への侵入/Temporal Trespass》 3:《宝船の巡航/Treasure Cruise》 32 other spells 2:《削剥/Abrade》 |
《弧光のフェニックス》を軸にした、コンボ・コントロールデッキです。除去と打ち消し呪文で序盤を凌ぎながら、追加ターンコンボを目指すデッキです。
引いて捨てるカードや、《パズルの欠片》と組み合わせて《弧光のフェニックス》を墓地に送り、ドロー呪文や除去を3回唱えて復活条件を満たしていきます。
《帳簿裂き》は1ターンに複数の呪文を唱えるデッキ構成に最適で、謀議により手札から《弧光のフェニックス》を捨てつつサイズアップします。
《氷の中の存在》は特に緑単や白単など、除去が薄くクリーチャーを展開するデッキに対して、全体バウンスが強い性質があります。その反面《致命的な一押し》《稲妻の斧》など、1マナで除去してくる相手には弱いという欠点も併せ持っています。《氷の中の存在》をメイン2サイド1で、相手に合わせてインアウトする構成が良さそうです。
1マナ除去7枚、《呪文貫き》2枚、探査呪文を3枚と2枚。Kanisterさんがマジックオンラインで結果を残して以降、メインデッキはこの枚数配分がテンプレになっており、模倣するプレイヤーも多いです。
《考慮》《選択》《パズルの欠片》といったドロー呪文で墓地を貯めて行き、《宝船の巡航》での大量ドローと《時間への侵入》でフェニックスの連続攻撃に繋げて行きます。
これら2つの探査呪文をサポートするのが《感電の反復》で、《宝船の巡航》コピーなら3マナ6枚ドローで一気にリソース回復、《時間への侵入》コピーなら追加2ターンでゲームに勝利します。
問題点として、これだけ探査呪文と《感電の反復》が入っていると、墓地対策が効きやすいという欠点があります。特に《安らかなる眠り》《虚空の力線》といった継続的な墓地対策を置かれると、デッキ全体のうち11枚ほどが機能不全に陥ります。
今年の7月から8月の予選シーズンではイゼットフェニックスの人気が落ち、その理由としては《未認可霊柩車》《真っ白》といった墓地対策の増加が原因でした。
意識されると墓地対策は増えて行くので、墓地対策を無視できる《弾けるドレイク》を増やしたりと、イゼットフェニックス側も工夫する必要があると考えています、
■ラクドスミッドレンジ
《思考囲い》《致命的な一押し》はパイオニア環境屈指の1マナ呪文で、黒を使う理由となります。これらに《砕骨の巨人》《鏡割りの寓話》といった中盤ー終盤に強いカードを詰め込んだ、いわゆるグッドスタッフです。
2022年のパイオニアシーズン初期からずっと人気のあるデッキであり、これもチャンピオンズカップファイナル本戦で使用者が多いのが予想されます。
ラクドスミッドレンジが環境にいるからこそ、《致命的な一押し》《砕骨の巨人》への耐性を持っているかが、クリーチャーの選択の基準にもなります。
最近は4マナのクリーチャーは《黙示録、シェオルドレッド》の方が優先される傾向にありましたが、このリストでは《ゲトの裏切り者、カリタス》も併せて採用しています。
《ゲトの裏切り者、カリタス》は《老樹林のトロール》《茨の騎兵》といった死亡誘発型能力を防ぎつつ、絆魂によってアグロデッキに強い性能です。
珍しい事に、このリストでは《ヴェールのリリアナ》が不採用です。
最近のパイオニアのクリーチャーデッキが1マナから複数展開する事が多いので「-2」での除去が機能しにくく、狙ったクリーチャーを除去出来ないのが理由として考えられます。
ただラクドスのミラーマッチでは、相手の《墓地の侵入者》を除去するのにリリアナが最適で、ここは枚数配分を悩む箇所です。
僕自身のラクドス経験から言うと、パイオニアは墓地を活用するデッキが多いので《墓地の侵入者》は3-4枚は必要な枠です。
■グルール機体
グルール機体 | |
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デッキリスト | |
4:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》 4:《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》 1:《バグベアの居住地/Den of the Bugbear》 4:《カープルーザンの森/Karplusan Forest》 2:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》 2:《ハイドラの巣/Lair of the Hydra》 1:《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》 4:《変わり谷/Mutavault》 1:《森/Forest》 1:《山/Mountain》 24 Lands 4:《エルフの神秘家/Elvish Mystic》 |
3:《溶岩コイル/Lava Coil》 4:《アクロス戦争/The Akroan War》 4:《エシカの戦車/Esika’s Chariot》 3:《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship》 14 other spells 3:《エンバレスの宝剣/Embercleave》 |
直近の大会で、好成績が多いのがグルール機体。マナクリーチャーから強い3マナ、4マナを出すのは緑信心と同じ思想です。
《無謀な嵐探し》での速攻付与により、《エシカの戦車》《領事の旗艦、スカイソブリン》が出たターンから攻撃して行きます。
フル採用された《アクロス戦争》は緑信心やラクドスミッドレンジに対して良く効きます。
■おわりに 兄弟戦争の影響
兄弟戦争発売前のパイオニアをまとめると、緑信心、イゼットフェニックス、ラクドスミッドレンジの3つが特に多く、その下に続く形でグルール機体、白単人間、青白コントロール、ロータスコンボ、アブザンパルへリオンといった分布になると考えています。
兄弟戦争のリリースにより、パイオニアも変化が起こりそうです。既存のデッキに影響がありそうなカードを挙げて行きます。
緑信心の《大いなる創造者、カーン》でのサーチ先の増加。
除去のアップデート。《抹消する稲妻》は《溶岩コイル》の上位互換です。
《兄弟仲の終焉》は、イゼットフェニックスが《未認可霊柩車》を破壊する手段として良さそう。
イゼットフェニックス、アブザンパルへリオン、ロータスコンボなどに対してのサイドボード。
グルール機体で、《エシカの戦車》《領事の旗艦、スカイソブリン》は搭乗すると伝説のクリーチャーなので、除去から守れます。
それではまた。