MTG │ デッキ紹介│ 高橋優太【イゼットフェニックス】

前回に引き続き、パイオニア記事です。
既に各地でチャンピオンシップ予選が開始されてており、イゼットフェニックスの入賞が目立ちます。今回は、イゼットフェニックスを特集して行きます。

前回の記事で、パイオニアの主要なデッキを取り扱っていますので、そちらも参考にどうぞ。

前回の記事はコチラ

 

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■直近の大会結果

郡山チャンピオンシップ予選

吉祥寺チャンピオンシップ予選

MOプロツアー予選(7/5開催)

MOパイオニアチャレンジ(7/10開催)

この7/10開催パイオニアチャレンジの3位のイゼットフェニックスが、自分の理想とする形にかなり近いと感じたので、今回はこのデッキリストの内容をもとに解説していきます。

■イゼットフェニックス

イゼットフェニックス
デッキリスト
2:《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants
2:《島/Island
1:《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City
4:《河川滑りの小道/Riverglide Pathway
4:《蒸気孔/Steam Vents
4:《尖塔断の運河/Spirebluff Canal
2:《嵐削りの海岸/Stormcarved Coast
19
 Lands


4:《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix
4:《帳簿裂き/Ledger Shredder
2:《氷の中の存在/Thing in the Ice
10 creatures

2:《航路の作成/Chart a Course
4:《パズルの欠片/Pieces of the Puzzle
1:《海門修復/Sea Gate Restoration
1:《絞殺/Strangle
2:《時間への侵入/Temporal Trespass
4:《宝船の巡航/Treasure Cruise
3:《焦熱の衝動/Fiery Impulse
2:《感電の反復/Galvanic Iteration
2:《稲妻の斧/Lightning Axe
4:《考慮/Consider
4:《選択/Opt
1:《呪文貫き/Spell Pierce
1:《棘平原の危険/Spikefield Hazard
31 other spells


1:《氷の中の存在/Thing in the Ice
1:《呪文貫き/Spell Pierce
1:《削剥/Abrade
2:《霊気の疾風/Aether Gust
2:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke
2:《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries
2:《溶岩コイル/Lava Coil
2:《神秘の論争/Mystical Dispute
2:《若き紅蓮術士/Young Pyromancer
15 sideboard cards

その名の通り、《弧光のフェニックス》を軸にした、コンボ・コントロールデッキです。引いて捨てるカードや、《パズルの欠片》と組み合わせて《弧光のフェニックス》を墓地に送り、ドロー呪文や除去を3回唱えて復活条件を満たしていきます。

帳簿裂き》は1ターンに複数の呪文を唱えるデッキ構成に最適で、謀議により手札から《弧光のフェニックス》を捨てつつサイズアップできます。
帳簿裂き》が入っていないリストも見かけますが、探査呪文のための墓地肥やし、フェニックスを捨てられる点、序盤からプレッシャーになることなどから、僕は4枚必須だと考えています。

最近はこれらのクリーチャー8体に加えて、《氷の中の存在》を少量採用する形が、マジックオンライン上で特に多い傾向です。
氷の中の存在》は特に緑単や赤単、ボロス英雄的などアグロデッキに対して全体バウンスが強い性質がありますが、その反面《致命的な一押し》《稲妻の斧》など、1マナで除去してくる相手には弱いという欠点も併せ持っています。《氷の中の存在》をメイン2サイド1で、相手に合わせてインアウトする構成が良さそうです。

クリーチャーを入れすぎると《パズルの欠片》が外れたり、探査が進まない原因にもなるので、メインのクリーチャー10枚が適正枚数だと思っています。

フェニックスの復活条件を満たしつつ、探査のために墓地を増やしていくためのドロー呪文。パイオニアは1マナのドロー呪文が少ないので、《考慮》《選択》は使い方が大事です。

手札に《帳簿裂き》《弧光のフェニックス》と土地3枚が揃っているときは、1ターン目に気軽に撃つのではなく、謀議でフェニックスを捨てながら呪文カウントを稼ぐために《考慮》《選択》を取っておく場合があります。
探査が入っているのですぐ墓地を貯めたくなる気持ちはわかりますが、このデッキは意外とフェニックスのために3回呪文を唱えることが難しく、クリーチャー除去を挟まないと復活出来ないケースが多いので、1マナキャントリップを適当なタイミングで撃たないように注意。

航路の作成》は少し重いソーサリーと弱めのドロー呪文ですが、手札からフェニックスを捨てる手段が少ないので、デッキを回すために少量採用されています。
パズルの欠片》は墓地を一気に4枚増やしてくれて、その上で除去や《宝船の巡航》など、状況に合わせたカードを探せます。3マナソーサリーと重いコストですが、デッキの探査カードやフェニックスを強く使うためには必須と言えるので、4枚推奨です。

今回は不採用ですが、他の候補として《巧みな軍略》があります。墓地を3枚増やせるメリットはあるものの、ドロー性能面で《航路の作成》に劣るので、まずは《航路の作成》を採用してから考える枠かなと思います。

デッキの強さを支えているのが、2種類の探査呪文である《宝船の巡航》と《時間への侵入》。
特に《宝船の巡航》は、他のフォーマットでは禁止や制限を受けているほどの強力なカードであり、1マナでプレイ出来たら一気に有利になります。

正直な話、《宝船の巡航》が許容されているのは「環境のバグ」だと感じるほどで、これを使わないのが損に思えるほどです。
時間への侵入》は、単体で使用したときの性能は《宝船の巡航》ほどではないですが、土地を伸ばした後半に追加ターンを得ることでフェニックスの攻撃回数を増やします。

これら2つの探査呪文をサポートするのが《感電の反復》で、《宝船の巡航》コピーなら3マナ6枚ドローで一気にリソース回復、《時間への侵入》コピーなら追加2ターンでゲームに勝利します。

MTGアリーナのヒストリックでイゼットフェニックスを使用した経験がある方は、このデッキを攻めるデッキだと勘違いするかも知れません。

ヒストリックのイゼットフェニックスの大きな特徴は《ドラゴンの怒りの媒介者》《信仰無き物あさり》が存在すること。この2つがあると、3ターン目にフェニックスを戻すのは容易ですし、もっとクリーチャーで攻撃するデッキ構成になります。
しかしパイオニアに上記2つは存在せず、フェニックスを能動的に手札から捨てる手段が《稲妻の斧》《航路の作成》《帳簿裂き》のみなので、3ターン目にフェニックスが戻ることはあまりありません。むしろドロー呪文で墓地を増やし、5ターン目や6ターン目に《時間への侵入》《感電の反復》からフェニックスで一気に攻めていくイメージです。

冒頭で、コンボ・コントロールデッキと紹介したのもそれが理由です。ヒストリックのイゼットフェニックスは序盤からガンガン攻める構成ですが、パイオニアのイゼットフェニックスは除去で捌きながら、後半に逆転する構成です。
去年のスタンダードにあった「イゼット天啓」をイメージしてもらえると、デッキとして近いのかなと思います。

1マナ除去枠。
砕骨の巨人》《墓地の侵入者》など、パイオニアは2点か3点かで除去できる範囲がかなり変わるので、3点にもなる《焦熱の衝動》が最も使いやすいです。3枚は確定で、4枚目もアリです。

稲妻の斧》は《氷の中の存在》や《ゲトの裏切り者、カリタス》など高タフネスも除去れて良いのですが、フェニックス以外で捨てたいカードが少なく、リソースが枯れる原因にもなるので、2-3枚で悩む枠です。

絞殺》はソーサリーで撃ちにくいものの、《焦熱の衝動》と異なり墓地対策されても1マナ3点で、プレインズウォーカーにも撃てるので、多くのリストで1枚採用です。2枚目は不要だと思います。

イゼットフェニックスは「土地は伸ばしたい」「しかしこのターンに《パズルの欠片》も撃ちたい」そんな状況が良く起こります。そのため、《パズルの欠片》で回収可能な土地として、両面の呪文は2枚ほど採用するのが良さそうです。

棘平原の危険》は火力としては弱めですが、緑単相手にマナクリ除去として撃てる可能性があります。複数回呪文を唱えるボーナスが大きいデッキなので1マナは嬉しい。
海門修復》は呪文としてプレイすることはほどんど無いですが、アンタップインのマナで青か赤どちらを優先するかとなると、青マナです。

このデッキは《時間への侵入》《感電の反復》の時に青マナ4つを要求しますし、土地1で《考慮》《選択》で初手キープする場合もあるため、青マナが優先です。

マナベースは《尖塔断の運河》《蒸気孔》《河川滑りの小道》は文句なしに4枚確定。

嵐削りの海岸》は3ターン目以降は素晴らしい土地なのですが、序盤のタップインが不安要素になるので、2枚が適正に思えます。少ない土地と《考慮》《選択》で初手キープすることが多く、その場合にタップインがかなりネックになるからです。
海門修復》の項目でも述べた通り、青マナの要求が多く《考慮》《選択》で初手キープすることを考えると、ミシュラランドは《ストーム・ジャイアントの聖堂》の方が《バグベアの居住地》よりも強いです。追加2ターンを得た時は、フィニッシャーにもなります。

呪文貫き》というカードは、基本的には1-2マナの脅威を出すデッキで強く運用できます。例えば《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》から、相手が動いたところに《呪文貫き》といった展開です。
しかしこのデッキの場合、序盤からクリーチャーを出すのが少なく、なおかつ《航路の作成》《パズルの欠片》で自分のターンにマナを使ってしまうので、《呪文貫き》を撃てる展開が少なく、扱いが難しい。ゲームが長引きやすいデッキなので、《呪文貫き》が手札で腐る展開もよく起こります。
ただラクドスミッドレンジに対して、《鏡割りの寓話》や《真っ白》を打ち消したときは最高です。対ラクドス枠だと考えています。

神秘の論争》はイゼットフェニックスの同系で特に強く、《帳簿裂き》《パズルの欠片》とゲームの中心になるカードを1マナで打ち消せます。もし今後イゼットフェニックスが中心となってメタゲームが進んでいくなら、3枚目や4枚目も是非検討したい枠です。

霊気の疾風》は主に緑単に対する枠で、《老樹林のトロール》《茨の騎兵》を綺麗に対処できます。《砕骨の巨人》や《鏡割りの寓話》をトップに戻してもあまり強くないので、ラクドスミッドレンジに対して《霊気の疾風》はサイドインしない方が良さそう。

軽蔑的な一撃》は、主にロータスコンボや《空を放浪するもの、ヨーリオン》系のコントロールデッキ対策です。

老樹林のトロール》《弧光のフェニックス》に対して追放効果があること、タフネス4も倒せる除去としてサイドに《溶岩コイル》。
2マナソーサリー除去は、マナ効率が重視されるイゼットフェニックス同型では弱め。コントロールデッキ対決に近いので、クリーチャー除去は沢山引きたいわけではありません。
しかし、除去を残さないと《帳簿裂き》にあっさりとマウントを取られてしまいます。とはいえ3点火力だと除去出来ないことが多いので、《溶岩コイル》になります。パイオニアにも《邪悪な熱気》が欲しい!

削剥》は《未認可霊柩車》を破壊できるのが強く、これも2枚目を検討する枠。

サイド後に墓地対策や《真っ白》で消耗戦を仕掛けてくる相手に対して、軸をずらして戦えるようになるのがこの2つ。
神秘を操る者、ジェイス》は「+1」能力で自分を切削することで、探査のための墓地を増やし、最終的には勝ち手段にもなります。《真っ白》で失った墓地を一気に肥やせるので、探査呪文を後引きした時も安心です。

今回は入っていませんが、サイドボード候補。
鏡割りの寓話》は相手に2回除去を要求して、2章で墓地をためつつフェニックスも捨てられるので消耗戦に強いです。しかし3マナと重くインスタントやソーサリーでも無いので、あまり多くの枚数は採用できません。取ってサイドに2枚程度。

反逆の先導者、チャンドラ》は同じマナ域の《神秘を操る者、ジェイス》と比較して、出たターンに盤面を除去できる、マナ加速も出来る長所があります。しかしカードアドバンテージの面で見ると、ジェイスの方が墓地肥やし+ドローで強い。どちらも投入して良いかも。

弾けるドレイク》は、4マナと重い割に除去で簡単に退場してしまうため、残念ながら今の環境には合ってないかも知れません。

■おわりに

マジックを長く続けていると、使っていて「強すぎる」と感じるカードが、時折環境に現れます。
各フォーマットで禁止されていった《王冠泥棒、オーコ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は記憶に新しいでしょう。使ったら勝つし、使われたら負ける、そう感じるほどのパワーカード!

僕は《宝船の巡航》はそれに匹敵する、もしくはそれ以上のカードだと考えています。《宝船の巡航が許されている環境なら、それを使わないのが損に思えるほどです。
今回は《宝船の巡航》を強く使うデッキとして、イゼットフェニックスを紹介しました。皆も1マナ3ドローしよう!

それではまた。


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